「さてと、昼飯でも食べに行くか」
俺は庭を歩いていると
「・・・・・・・」
春蘭が居た
「おーい、春蘭ー。一緒に昼飯でも食べないかー?」
「・・・・・・・」
呼びかけたが気づかずに行ってしまった
「随分と挙動不審な動きだったな・・・・・・面白そうだし行くか」
と俺は後を追った
「・・・・・・・・」
俺の百歩ほど前を、春蘭はこそこそと歩いている
「なんかスパイみたいな動きだな・・・いやまあ春蘭がスパイなんてありえないけど」
「・・・・・・・・」
「(とはいえ、随分と警戒している様子なのに、俺の存在には気付く様子もないな・・・・・いつもなら気づくのに)」
「・・・・・・・・」
春蘭は周りをきょろきょろと見回して、こそこそと部屋の中に入っていく
「・・・って自分の部屋じゃん」
春蘭が入っていったのは自分の部屋だった
「これ以上踏み込んだら、ヤバそうだし・・・」
と行こうとしたら
「・・・・・お、おい、これは」
「・・・・・・・・いや、まさか、こんなに・・・・・」
中から春蘭と、別の誰かが聞こえてきた
「この声は・・・・・秋蘭か?」
「・・・・・あぁ、これは、たまらん・・・・・・」
「やりすぎだぞ、姉者ぁ・・・・・・」
「うぅ、何をやっているか、ものすごくきになる・・・・・」
「うむ。さすがにこれは禁じ手という事で・・・・・・」
俺は気になり、扉の隙間から、そっと中を覗き込もうとして・・・・・
「あれ、華琳もいたのか・・・・・・?その割には、華琳の声は聞こえなかったような」
「!何やつ!」
「うひゃぁっ!」
「大人しくして貰おうか」
組み敷かれた背にかかるのは、静かな声。ひたりと首筋に当てられたのは、抜き放たれた短い刃
「(やばい、油断した。このままだと俺は間違いなく死ぬ)」
「おのれ!我々の秘密を見た者・・・・・・は・・・・・」
「・・・・・・なんだ、翼ではないか」
「分かったなら、とりあえず・・・・・その刃、退いてくれないか?」
「む・・・・・・すまん」
その言葉と共に、首筋のひやりとした感覚が消えて、極められていた腕の拘束が解ける
「悪かったな。とりあえずこんな所で立ち話も何だ。入れ」
「いいの?秘密とやらは」
「翼なら構わんよ。な、姉者」
「何・・・・・?こやつとて・・・・・!」
「いや、前に話しただろう。姉者のいるところで」
「・・・・・・そうだったか?」
「・・・・・・・・」
「・・・・・・・・」
「まあ・・・・・・いい。とりあえず、入れ」
俺は部屋に入った
「そういえば華琳もいたんだよな・・・・・・。って事はホントにお邪魔だったか?俺は」
3人がそういう関係だって事は俺も噂で聞いている。荀彧なんか直球だし、少なくともそっちに関しては、城内じゃ秘密でもなんでもない・・・・・はずなんだが
「・・・・・・・」
華琳はだまったまま。俺の方をじっと見て、文句を言う気配すらない
「(何だこの違和感)」
「翼。前に話した件、覚えているか?」
「二人が華琳の寵愛を受けてるって話?あれなら、別に秘密でも何でも・・・・・・」
「それは誇りこそすれ、秘密にする事ではあるまい」
「だろうなぁ」
「それではなくて、華琳さまの人形を作って、衣装の研究をしている話だ」
「ああ、等身大着せ替え華琳さまか」
春蘭が全身全霊を込めて作ったという
「・・・・・・・・あれ?」
俺は動かない華琳を見て気付く
「まさか、これ」
「ああ。それが華琳さま人形だ」
「えええええええええっ!?」
俺は思わず叫んだ
「・・・・・・だから言っただろう。凄いぞ、と」
「確かに、凄いけど」
絶対誰にも気付かないほどの出来栄え
「肌の感じも本物そっくりだし・・・・・動くのか?」
「当然だ。おっと、人形とはいえ、華琳さまに触れることはまかりならんぞ?」
「(これだけ雰囲気がそっくりじゃ、逆に触る気にもなれない)」
「・・・・これ、どうやって作ったんだ?」
「・・・・普通に木を彫っただけだが?」
「いやいやいや!(どんな塗装をしたらここまで再現できるんだよ)」
「・・・・・・・」
「・・・・・良く分からんが、いま貴様、ものすごく失礼なことを考えてなかったか?」
「気のせいだよ!」
「そうか。だが、良く出来ているだろう。我ながら自信作だ」
「じゃあ、さっきここまでコソコソ帰ってきたのは、人形絡み?」
「うむ。街の仕立屋に新しい服を作らせていたのでな、それをこっそりと・・・・・何だと!?貴様、どこから気付いていたというのだ!」
「庭の辺りから・・・」
「バカな・・・・・・細心の注意を払って帰ってきたというのに・・・・・・。貴様ごとき気付かれていたとは・・・!」
「姉者、いつも言っているだろう。堂々と帰ってきた方が、気付かれにくいぞ」
「俺もそう思う。普通に帰ってきてたら、気にしなかったし」
「むぅぅ・・・・・・。この夏候元譲、一生の不覚・・・・・!」
「・・・なあ。その服ってさ、前に俺が見せた奴か?」
「うむ。件の、メイド服とか言うヤツだ」
「あと、きゃみなんとか、というのも受け取ってきたぞ」
「キャミソールのこと?良く出来たな、アレ」
「ふふん。我が国の職人の腕を甘く見るなよ?」
「で、もう着せてみたの?」
「そ、それは・・・・だな」
「どんな感じだった?」
「いや、何というか・・・・・・だな」
「(秋蘭まで言葉を濁すなんて珍しいな)似合わなかったの?華琳のメイド服姿、可愛いと思うんだけど・・・・・」
「うむ。確かに可愛らしかった」
「だが、あれはまずい。まずすぎる」
「まったくだ」
「何か問題が・・・・・・?」
「あれは可愛らしすぎて、我々の仕事が手に付かん」
「・・・・・あー。そういうオチ」
「翼には悪いが、あの二つの服は禁じ手という事にさせてもらった」
「そりゃまあ、いいけどさ・・・・・。もう着せないの?」
「我々を殺す気か・・・・・?」
「いや、俺も一度見てみたいし、できれば写真も撮りたいなぁ、と」
「すまんが、あのお姿の華琳さまをお主に見せるわけにはいかん。それに、着付けされる我々の身にもなってみてくれ・・・・・」
「・・・・・そうか(そこまで爆発的に可愛いのか)」
「それと翼。写真もダメだからな」
と秋蘭が言ってきた
「了解」
その後、調整をする予定だったけど、昼飯を食べた後にすると言って、俺は3人で昼食を取りに街に出かけた