TV版恋姫†無双・・・覇気と六爪流を使う転生者 作:ヒーロー好き
場所は、とある団子屋
「……」
「……」
その店内にて、皿の上に乗っている、一串のみたらし団子を巡り、今、二人の少女が目を離さずに対峙していた
「あははは」
隣では、桃香と鈴々が呑気に食べており、朱里とは苦笑を浮かべる
「……」
ゆっくりと手を伸ばす魏延
「ふん」
しかし、手が触れる直前に、たんぽぽが素早く掠め取ったのだ
「おい、それは私の団子だぞ」
「私のって、名前でも書いてあるの~?」
「貴様、私より一本多く食べてるだろ……だから、残ったソレは私のだ」
魏延の皿には、三本の串。たんぽぽの皿には四本の串が入っていた
「人が食べてる団子の数を数えてるなんて、セッコイの~」
「なにぃ!!」
「魏延さん…落ち着いて……馬岱ちゃんも、魏延さんに謝って……」
「なんでたんぽぽがこんな奴に謝んなきゃなんないさ」
「人の団子を取っておいてその言いぐさは何だ」
「あの、魏延さん……そんなにお団子が食べたいんだったら、私のを……」
「えっ!?劉備殿の、食べかけを……」
思わず顔が綻ぶ魏延
「……」
向かい側にいるたんぽぽの気配に気づき、取り乱し始める
「い、いや、私は別に、団子ごときに執着しているのではなく!こやつの態度が…」
その様子を見ていた桃香はふと横にある物が目に入った
「……」
それは隣に座っていた勇作の皿の上にある食べかけのみたらし団子
「(ご主人様の団子……)」
スッ!スッ!
まさに早業。誰にも気づかれることなく自分のと勇作のを入れ替えた
「(ご主人様の団子♪)」
でそのまま食べる桃香であった
一方勇作は
「ふう~すっきりした」
席を立ち、厠に行っていた。終わった後、店の近くにある井戸から水をくみ、手を洗っていた
「……」
てを洗っている最中に水面に映った自分の顔を見る
「……」
おぞましいな。その右目!!
ピキ
「……」
心に痛みが走り、胸を抑える勇作
「……はあ」
そして店に戻る勇作であった
生い茂った木々の間を、その少女は身軽な動きで駆け抜けていく。森林を軽やかに飛び交い、地面に着地
「婆ちゃん、いるか?」
団子屋の裏口から入る少女
「おや、兀突骨じゃないか。今日はどうしたんだい?」
「コレ、やる」
兀突骨は、狩ってきた野鳥の首を持ち、獲物を店主に差し出す
「いつもすまないねぇ。ちょっと待っておくれ。今、団子でも包んでやるから」
「いらない…この前、仲間が病気になった時、薬を分けてくれた礼だ。だから、気にせず貰ってくれ」
「そうかい……?それじゃあ」
彼女の恩返しに感謝しながら、それを受け取る店主
「なんで、たんぽぽ達についてくるの」
その際、店の中から声がこちらに漏れてきた
「私は劉備殿のお供をしているだけで、別に貴様についてきている訳ではない」
「一緒じゃん!」
「一緒ではない!」
「ちょっとやめろください!たんぽぽちゃんも魏延さんも!」
魏延の名を聞いた瞬間、少女は顔色を変え、暖簾をくぐる
「あっ!!」
そして魏延の姿を見て驚愕の表情をするのであった
店から暫く歩いていくと
「近くに橋もないようですし、川の中に入って、この綱を伝って渡るしかないようですね」
幅が何十メートルもある川があり、こちらと向こう岸を繋ぐ様に、手すり代わりの綱が用意されていた
「もう、橋くらい作っておいてくれればいいのに」
「あんまり人が通らない所のようですし、流れにさらわれないよう、こうやって綱を張ってくれるだけでも感謝しないと」
「ん~」
鈴々は川を見て考えてる
「どうしたんですか?鈴々ちゃん」
「濡れないでこの川を渡る方法を考えていたのだ」
「濡れないでって、そんな方法」
「ん~~あっ!!」
頭に何か浮かんだようだ
「お兄ちゃん」
「ん?」
「この川、あの時みたいに切れない」
「あの時?」
「ほら、お兄ちゃんが水に流されそうになった時」
「!!あれのこと」
鈴々が言っていたのは桃香が宝剣を犠牲にして救った村(この小説では第七十六席)でのことを言っていた
「そうそう」
「鈴々ちゃん、いくらご主人様でもそんなこと」
「やってみる」
そういうと応龍を抜き、覇気を纏う
「……」
集中し、そして
「はあぁぁぁぁ!!」
振り下した
ズバァアアアアアン
水しぶきが上がり、川の底が現れる。見事に川を切った勇作であったが
「……あ」
道が出来たのは一瞬で底が見えたくなった
「駄目だ……やっぱこの綱を使って渡すしかないな」
「良い考えだと思ったのに」
「もう」
「(やっぱりすごいなご主人様…驚いちゃったけど)」
「(張飛が前に言っていたこと、本当だったんだ)」
「(私は夢でも見ているのか)」
あまりの事に驚愕の表情をする桃香とたんぽぽと魏延であった
結局、綱を頼りに、川を渡る勇作達
「うんしょ」
先頭を鈴々が行き、その次に朱里、たんぽぽの順番に辿り着いた
「ん?」
向こう岸にたどり着いたたんぽぽは後ろ振り向く
「なに!あの3人まだあんな所に」
勇作、桃香、魏延がまだ中ほどまで来ていなかった
「劉備さん~慌てなくていいから慎重に」
「は~~い」
「劉備殿、足元に気を付けて」
「はい、だいじょっ!!」
足が滑り流されそうになる桃香
「ぷはっ」
「大丈夫」
勇作が桃香の手を取り、引っ張り上げる
「ありがとう、ご主人様」
「「「はあ~」」」
鈴々、朱里、たんぽぽはホッとする
「ん?」
たんぽぽは滝の方を見る
「あれ!!」
突如、巨大な丸太が、滝に流されてきた。流れに乗りながら、勇作達に掛けて向かってくる
「ご、ご主人様!!」
「ちょ!」
桃香は勇作に抱き着く。バランスを崩しかけるが何とか持ちこたえる
「はあっ!!」
魏延は二人の前に立ち、鈍砕骨で丸太を粉砕するのであった
渡り終えた後、焚き火を起こし、服を乾かす一同
「大変な目に遭いましたね」
「ホント、下着までびちょびちょだよ」
濡れたズボンやスカートを脱ぎ、全身が濡れた桃香と魏延は下着のみとなっている。勇作は見ないように目隠しをしている
「けど、さっきはびっくりしたよね。あんなおっきな木が流れてくるなんて」
「もう、笑い事じゃないですよ?もしかしたら、大怪我してたかもしれないんですから」
「それはそうだけど…」
焚き火に当たりながら、暖を取る一同
「っ!」
その直後、魏延が視線を感じた。得物を持ち、直ぐ様駆けつける
「ちっ!」
森の茂みに隠れていた者は、構えていた弓を下ろす
「……」
辺りを見渡しても、何も見当たらない
「気のせい、か……」
勇作達の所に戻ってきた魏延
「どうしたんですか魏延さん?急に飛出して行って」
「ああ、いや、何でもない……誰かいたように思ったが、気のせいだったようだ」
「………………」
その様子をたんぽぽは、じ~と見ていた
「お兄ちゃんも気づかなかったの?」
「ああ、うん」
「ふ~ん」
そしてその様子を先ほどとは違う人物が覗いていた
「……」
そしてその場から消えた
同じこと、星と翠はというと
「……」
二人はある店に寄っていた
「ふふふ」
星が上機嫌で店から出てきた
「ついに手に入れたぞ」
手に何かを持っていた
「念願の秘伝の味特性メンマ!!」
「ってたかがメンマで大げさな」
「メンマを…なめるなあああああああああ!!!!」
大声で翠を怒鳴りつける星
「いいか翠…身近過ぎてメンマとは実に奥深いものなのだぞ!」
「(話長くなりそう)」
翠は静かにその場所を離れる
数分後
「とまあこのようにメンマという物は職人の血の滲むような努力の上に…あれ?」
星は顔を上げるが翠の姿はなかった
「あ、あれ翠?どこだ、どこに行ったぁ~お~い」
おいて行かれる星であった