TV版恋姫†無双・・・覇気と六爪流を使う転生者 作:ヒーロー好き
此処は南蛮
「……」
太陽が燦々と照り、密林を熱してその奥地、一際目立つ大樹に建てられた砦。その玉座にて、少女が気持ち良さそうに昼寝をしていた
「美以はどじょうよりもカニの方が好きなのにゃ……」
傍らでは、ピンク色の子象が眠っていた
「分かったにゃ……そのどじょうも食べてやるにゃ………………かぷっ」
寝ぼけて、象の尻尾を噛む少女
「パヤァアアアアアア!?」
象はあまりの痛さに一気に目を覚まし絶叫。その場を駆け回る
「パヤパヤパヤパヤッ!!」
「んんっ、何なのにゃ……」
眠そうな瞼を擦りながら反論する少女
「パヤパヤうるさいのにゃ」
「パヤパヤパヤパヤッ!!」
尻尾を見せる
「何言ってるにゃ?美以はパヤパヤの尻尾を噛んだりしてないのにゃ」
「噛んでないものは噛んでないのにゃ!」
「パヤパヤパヤパヤッ!」
泣きながら鳴くパヤパヤ
「ご主人様に向かってその言い草はなんなのにゃ!」
「ぬにゅにゅにゅ」
少女は段々と苛立ちが募り
「もう我慢できないニャ!そんなに美以のとこがイヤなら出てくのニャア!」
その言葉に、パヤパヤ目に涙を浮かべる
「パヤパヤパヤパヤッ!」
そして、外へと飛び出した
「あっ……」
思わず、手を伸ばしかける。だが、意地を張ってしまい、その場に留まるのであった
「パヤッ!」
パヤパヤは一匹、密林の奥へと走り去っていった
「ねえ……なんかここんとこ日に日に暑くなってない?」
「ここはもう常夏の南蛮ですからね。今日はまだまだ暑くなりそうですから、覚悟しておいた方がいいですよ?」
「えぇ~!!」
蒸し暑い日差しを浴びながら、勇作達は密林を歩いていた
「最近、ずっとこの陽気だから、この世に寒い所があるなんてこと忘れちゃいそうだね」
「……」
勇作の様子が少しおかしい
「お兄ちゃん?」
その様子を見て、鈴々が少し心配する
「………」
勇作は歩き出す
「ご主人様?」
その先には桃香がいる
「……」
そして
ガバ
「ええぇ!!」
そのまま桃香に抱き着いた
「……あ…あ」
周りは甘い雰囲気にある
「はわわ」
「えっ!!えっ!!」
「おわあわあわ」
「??」
勇作の顔は赤くなっていた
「ご、ご主人様」
「……あ…い…」
桃香と勇作は見つめ合い
「…っ!!」
「あ~づ~い~」
と言いながら、その場に崩れる勇作であった
「ご!ご主人様!!」
桃香の声が密林に響き渡るのであった
「「「ただいまなのにゃ~」」」
三人の少女が帰ってきた
「果物採ってきたにゃ」
「トラはお魚捕ってきたにゃ」
「シャムは、シャムは……えっと………いっぱいがんばったのにゃ」
獲物を献上する
「ミケ、トラ、シャム。ご苦労にゃ」
「あれ、パヤパヤはどうしたにゃ?」
ミケが頭上を見て、気がつく
「本当にゃ。パヤパヤいないにゃ」
「いつも頭の上に乗ってるのににゃ」
「実は、パヤパヤは…」
事情を説明する
「ええっ!喧嘩して追いにゃした!?」
「パ、パヤパヤが悪いのにゃ!美以はやってないのに、尻尾を噛んだなんて言うからそれで、ついカッとして……」
「ミケは前に足を噛まれたにゃ」
「トラは腕にゃ」
「シャムはお尻にゃ」
「ガガ~ン!」
顔を青くする少女
「そ、それじゃあ、パヤパヤの尻尾を本当に美以が……」
「パヤパヤ可哀想にゃ」
「森で迷子になってなきゃいいにゃぁ……」
「大きな獣に襲われて食べられちゃったりしてにゃ」
後悔と不安が募り
「ものども!ぐずぐずするにゃ~!」
号令を出す
「パヤパヤを探しに行くにゃ~~!」
「はぁ……冷たくて気持ちいい~」
道中、上流から流れる川を発見した勇作達。女性陣は脱衣し、一糸纏わぬ姿で、水浴びをしていた
「いい所に川がありましたね」
気持ちよさそうに水に浸かっていた
「ねえ、今更なんだけどさ。南蛮象ってどんな生き物なの?」
「南蛮象って言うからには南蛮に住む象なんでしょうけれど、そもそも像自体、謎包まれていて、実際見た人はほとんどいないらしくて」
「そうなんだ」
「書物によれば、体の一部が異様に長くてたくましく、その上大きくてビラビラしている部分があるとか」
「い…異様に長くてたくまして」
「大きくてビラビラしている」
たんぽぽと焔耶は何を想像したのか顔を赤くする
「う~ん…どんな生き物かまったく想像つかないのだ」
鈴々は分からない表情をする
「お兄ちゃんなら、どんな生き物かわかるはずなのだ…けど」
鈴々達は勇作を見る
「あつい~~」
勇作は川の岸で朱里のバックを枕にして横になっていた。目元には川で濡らしたタオルを当てている
「大丈夫?ご主人様」
「な、なんとか」
「まったくだらしないお兄ちゃんなのだ」
「そう言わないでよ…俺、冬国の方の出身だから…この暑さはちょっと」
「そうなんだ」
「(それにしても熱すぎるだろう!南国みたいな所は皆こうなのか)」
「………だからと言って劉備さんに抱き着くつくなんて」
「朱里?何を怒っているのだ」
「怒ってません」
「けど」
「怒ってません!!」
「は、はいなのだ」
「あはは」
桃香は苦笑いしていた
「(もう…ご主人様…あんなことしたのに何も覚えていないなんて)」
勇作は暑さであの時の事は何も覚えていないらしく、桃香はそのことを少し怒ってりがっかりしていた
「そういえば」
桃香は覚えていないの言葉で
「孟獲ってどんな人物か分かる?」
「いえ…正体不明といえば南蛮象を飼っている孟獲さんもそうなんですよね。魏延さんは孟獲さんについて何かご存じありませんか?」
「ああ、あくまでも噂だが…身の丈は十尺を超え、肌にはウロコが生え、獣やヘビを生きたまま頭からバリバリかじり、南蛮の王と恐れられているとか」
「それって、とんでもない化け物じゃないですか!!」
「へん!たとえどんな奴でも」
鈴々は立ち上がり
「鈴々がちょちょいのぷーでブッ飛ばしてやるのだ!!」
「何を言っているんですか!!私たちは喧嘩をしに来たんじゃないんですよ!私たちの目的は南蛮象之臍之胡麻を分けてもらうことなんですから。ちゃんと訳を話してお願い…?」
すると、草陰から何かが飛び出してきた
「パ、パヤ~~!」
「な、何なのだ?」
桃色の小さい生き物は、助走を付けて飛び付き、鈴々が胸元で受け止める
「こんな小さい生き物見たことっ!!」
その小さな体が、小刻みに震えていた。その直後、森の奥から、一頭の大柄な虎が現れた
「きゃああっ!」
「はわっ!」
桃香は悲鳴を上げ、朱里と抱き合う
「………」
獰猛な唸り声を鳴らし、睥睨する虎。鈴々は恐れる事なく、睨み返す
「(くそ!!得物が手元にあれば……!)」
「……」
たんぽぽは得物を取りに行くが
「よせ!今は下手に動かない方がいい」
それを止める焔耶
「………」
正に目と鼻の先の間の距離、睨み合いが続く
「……っ!」
鈴々は眼差しを鋭利に研ぎ澄まし、こちらも虎の如く、睨みを利かせる
「グルルルル!!」
相手の虎も、若干たじろぐが、まだ後退しない
「グルルル」
すると虎は何かに気づき、視線を向ける
「……」
そこに居たのは猛暑でダウンしている勇作であった
「……」
勇作に狙いを定めたのか視線を顔を向ける
バシャ
鈴々は虎に水を掛ける
「グルル」
虎が視線を鈴々に視線を向けると
「(お兄ちゃんに近づくな!!)」
兄を守るため更に眼差しを鋭利に研ぎ澄まし殺気を放つ鈴々の姿があった
「……」
それにあてられ、大きくたじろぐ虎。踵を返して森の方に去っていった
「「「「はあ~」」」」
脅威が去り、安堵の息を漏らす一同
「か、顔が」
鈴々は皆の方に顔を向ける
「か、顔が……戻らなくなったのだ」
バシャン!と、全員がずっこけた。無理矢理な顔を作ったせいで、眉がヒクヒクと痙攣している
その頃、翠と星はというと
「此処は泰山山頂」
山頂付近の洞窟の中で焚火を焚いて、体に毛布を巻いていた
「実は私たち遭難しそうなんです……なんてな」
「やめろ!!余計寒くなるだろうおおおおおおおおお!!!」
吹雪により足止めを食らっているのであった