TV版恋姫†無双・・・覇気と六爪流を使う転生者   作:ヒーロー好き

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第六十席 勇作、華陀に出会うのこと

橙色に染まった空。そびえ立つ山々も、夕焼け色に染まっている。勇作達は、森の中を歩いていた

 

「う~ん、やはりさっきの分かれ道。反対の方へ行くべきだったようだな…」

 

「このままだと、野宿か」

 

日が沈みかけるのを見て、愛紗と星はそう述べる

 

「鈴々、お前の占い通りにしたらこの様だ。当てにならないにも程があるぞ?」

 

「うぅ……」

 

愛紗がそう言うと、鈴々はお腹に手を添えている

 

「どうした?鈴々」

 

「お腹、痛いのだ……」

 

「だから言っただろう。茶店を出る時、厠に行っておけと」

 

「そんなんじゃなくて」

 

「愛紗!鈴々の様子がおかしいぞ!」

 

「えっ!」

 

「お腹がきりきりして…すごく、痛くて……っ!」

 

お腹を押さえて、その場に蹲る

 

「おい!!鈴々!?」

 

「鈴々ちゃん!」

 

「ぅぅ……ぅ…」

 

愛紗や朱里が声をかけるも、返事を返す事も出来ない位に苦しんでいた

 

「しっかりしろ!」

 

「ん?あっ!」

 

劉備が何かを見つける。目線の先には、煙が見えていた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

日が沈み、辺りが完全に夜へと変わった。暗闇に包まれた森。その中で、一人の男が横たわった木を椅子代わりにして、焚き火をしていた

 

「突然、申し訳ない」

 

「ん?」

 

視線を向けると、勇作達がいた。勇作は鈴々をおんぶしていた

 

「実は、連れの者が急な病で、良ければ火に当たらせてもらえぬか?」

 

「何っ?病!」

 

その男は立ち上がる

 

「なら、俺に見せてみろ」

 

「えっ?」

 

「心配するな。俺は医者だ」

その男の指示に従い、地面に薄い毛布を敷いて、鈴々をそこに寝かせる。男は鈴々の腹を触診していく

 

「ここは痛いか?」

 

「ぅ……ぅ…痛くないのだ」

 

「昼は何を食べた?」

 

「鰻を揚げたのと、ご飯…後さっき、茶店でおっきな瓜を………」

 

鈴々がそう説明すると、男は何かに反応した

 

「ここか…!」

その男は、両手にそれぞれ一本の針を取り出す

 

「一体、何を…?」

 

「病根を滅する坪に針を刺し、そこに氣を流し込む」

男は、針を天にかざす

 

「我が身!我が針と一つなり!心気同体!全力全快!病魔服滅!」

 

「(な…何をする気だ)」

 

「元気にぃなぁぁれぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」

 

男の体が眩い光に包まれ、針も同様に輝きを増していく。その光に驚きを隠せない。その氣は周りの木々の葉を激しくカサカサと揺らしている。男は針を鈴々の右ひざ、右手の甲に軽く刺した

 

「病魔…退散っ!!」

 

針をゆっくり抜いていく。すると光が収まる

 

「あ、あれ…お腹、痛くなくなったのだ!」

鈴々は、自身のお腹を摩りながら起き上がらせる

 

「えっ?ほ…本当にもう大丈夫なのか?」

 

「チクッ!としてピキューン!てなってハッ!て気づいたらもう治ってたのだ」

 

先程の事が嘘の様に、明るい声で答える

 

「恐らく食い合わせが悪くて、胃の府が引き付けを起こしたのだろう。痛みが収まったのなら、もう心配ない」

 

「突然押し掛けたのにも関わらず、難儀な所を救って頂き、ありがとうございます」

 

「ありがとうございます」

 

勇作と愛紗が礼を言って頭を下げる

 

「何、医者は病に苦しむ者を救うのが使命。礼には及ばんさ」

 

「申し遅れましたが、我が名は関羽」

 

「鈴々を治してくれてありがとうなのだ♪」

 

「こちらは連れの公明に、劉備殿」

 

「諸葛公明と申します」

 

「劉玄徳です」

 

「常山の趙子龍……そしてこの方が我らの主である」

 

「高杉勇作です」

 

「俺の名は華陀。旅の医者だ」

 

「(えっ!!華陀!!この人が………女ではないな)」

 

「華陀…もしかして、五斗米道の」

 

「ちっがぁぁぁぁう!!」

大声で否定した。

 

「五斗米道ではなく…ゴッドヴェイドォォォォォォォォ!!…だ」

 

いきなりハイテンションの掛け声で叫ぶ華陀。それを見て苦笑いを浮かべる一同

 

「うん…大事な事なので、正しい発音を心がけてくれ」

 

「わ、分かりました…」

 

「それで朱里。そのごと…ごっ…ごと?」

 

「ゴッドヴェイドォォ!だよ」

 

「おお…!素晴らしい発音だ!」

 

「そうですか?普通に言っただけですけど?」

 

「だが、間違わずに言ったのは先生と俺以外では、お主が初めてだ!ありがとう。今日から俺達は友達だ」

と勇作を手を取り、握手する

 

「(………友達)」

困惑する勇作だが

 

「ありがとう!俺の事、勇作と呼んでいいよ」

 

「そうか、俺の事は華陀と呼んでくれ」

 

二人は友達になった

 

「(こんな友達、欲しかったな………)」

 

「朱里、その、ゴッドヴェイド~~!というのは?」

 

「はい。ゴッドヴェイド~~!というのは、漢中を中心に奉行している道教の教団で、貧しい者に施しをしたり、病に苦しむ者を治したり、という活動をしているんです。聞いた所では、華陀さんはその、ゴッドヴェイド~~!の中でも一番の名医とか」

 

「ほう、ゴッドヴェイド~~!一の名医か」

 

「はい、ゴッドヴェイド~~!一の名医です」

 

「ゴッドヴェイド~~!一とは凄いですね」

 

「ゴッドヴェイド~~」

 

「ゴッドヴェイド~~」

 

朱里と鈴々は二人でゴッドヴェイド~~を連呼している

 

「お主等、段々楽しくなってきているだろ…?」

 

「(そうでもしないと言えないのかこれ?)」

 

「うんうん、良い発音だ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しばらくして

 

「太平要術?」

 

焚き火を囲う様に座り、勇作達は華陀の話を聞いていた。鈴々はすやすやと眠っている

 

「ああ、俺はその本を探し、封印するよう教団から命を受けて、こうして旅をしているんだ」

 

「太平要術っていったい?」

 

「太平要術というのは、只の妖術書ではなく、それ自体が妖力を持つんだ」

 

「妖力を持つ?」

 

「妖術というものは、例えその術の使い方を知ったとしても、それに応じた力。所謂、妖力がなければ使う事は出来ない」

 

「つまり、武術の型を知っていても、それ相応の体力や見のこなしがなければ、戦いでは意味をなさないようなものか」

 

「まあ、そんなところだ」

 

「(そんな本があるのか)」

 

「だが太平要術は、自ら妖力を持つが故、少しばかり妖術の心得があれば、それを用いて様々な術が使える様になる。そしてその妖力の源が、苦しむ民の怨鎖の声なのだ…乱れた世を恨み、平和を乞う力程、強い物はないからな……」

 

「あの、民の恨みの声を妖力に変えるのって、悪い事なんですか?」

 

「ん?」

 

「だって、その妖力を使って民が喜ぶ様な事をすれば、世の中良くなる様な気が……」

 

「ああ、そうだ。本来はその様に怨鎖の声を妖力に変え、それを使った妖術を苦しむ民を救う為の書物だったのだが……いつしか太平要術自身が、まるで自らの意思を持つかの如く、妖力を蓄える事、事態を目的とする様になってきたのだ」

 

「……」

 

「どうやら太平要術は、それを手にした者の、胸の内にある…悪しき心を擽り、妖術で世を混乱させようと仕向けるらしい」

 

「成程。そうすることで民の間に怨鎖の声が高まり、太平要術はより多くの妖力を蓄えられるようになるという訳か」

 

「なんて恐ろしい……」

 

「(民の怨鎖の声……もし見聞色の覇気を使ってその声を聴いたら……いや、やめておこう)」

 

「で、その太平要術がこの辺りにあると……?」

 

「実は、曹操が内々に太平要術を探し求めていると聞いてな」

 

「曹操殿が?」

 

「もし、既に手に入れているのなら、訳を話して、封印させてもらう。まだならその危険性を説き、入手を諦めさせるつもりだ」

 

「う~ん」

 

愛紗は腕を組む

 

「どうした?関羽殿」

 

「いや、私は曹操殿を知っているが、あの御仁の性格からして、そうした物に頼る様な方とは思えなくて……」

 

「確かに」

 

「そうか。ならば深い訳があるのかもしれんな……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌朝

 

 

快晴の下、勇作達は昨日出会った華陀と共に道を歩いていた。先頭では昨日の事がなかった様に、鈴々が劉備と一緒に張三姉妹の歌を明るい声で歌っている

 

「鈴々ちゃん、元気一杯ですね。昨日、腹痛を起こしたのが嘘みたい」

 

「子供は元気が一番。あの様子なら、母上も安心だろう」

 

華陀は愛紗を見ながらそう言った

 

「は…母上!?」

 

「それはどういう……」

 

「ん?違うのか?」

 

「(まただよ)」

 

「ち、違います!鈴々は私と姉妹の契りを結んだ仲で……ていうかそもそも!私は子供が出来るような事はまだ一度も!!」

 

「お。落ち着いて!」

 

「!!」

 

視線を外す愛紗

 

「あっ!」

 

「ん?」

 

「大変!」

劉備が向こうの方を指差す

 

「人が倒れています!」

 

全員でその方向へと駆けつける。森の茂みを掻き分けながら行くと、一人の女性が地面に横たわっていた。女性の顔の周りには、赤い血らしきものがベットリと付いていた。

 

「(これは!)」

 

華陀は直ぐ様女性の側に座り、呼吸や心音を確かめる

 

「息はあるか?それとも……」

 

「華陀殿、容態は?」

 

華陀は目を大きくする

 

「どこも悪くない…!」

 

華陀以外の全員がその場にずっこけた

 

「だ、たが!それならその血は一体」

 

「…大丈夫なのです」

 

声がする方に全員が後ろを振り向くと、少女が一枚の布巾を持って立っていた

 

「それは鼻血なので、ご心配には及ばないのです」

 

「(えっ!これが?)」

 

その少女は女性の近くに寄り、上半身を少し起き上がらせる

 

「稟ちゃ~ん。ほら、近くの小川で手拭いを濡らしてきたから、おっきしてこれでフキフキしましょうね」

 

そう言いながら、眼鏡の女性の顔を拭いていく

 

「けど鼻血って……その血溜まり……」

 

「どうなっているの?」

 

困惑する一同であった

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