TV版恋姫†無双・・・覇気と六爪流を使う転生者 作:ヒーロー好き
街の大部分を埋め尽くす程の屋敷。そこに、街の主である袁術がいた。侍女に楽器を奏でさせ、張三姉妹の歌を歌っていた
「うわ!まあ、流石美羽様。お上手ですわ!」
袁術は歌い終わり、傍らにいた世話係の張勲はパチパチと拍手をする
「そうじゃろう、そうであろう、遠慮せずもっと褒めてたも」
歌い終えると、袁術は玉座に座る
「一杯歌ったら喉が乾いたのじゃ。張勲、蜂蜜水を持て」
「はぁい直ちに」
「あと、献上品の桃の蜂蜜漬けがあったのう。あれも持ってくるのじゃ」
「両方は駄目ですよ?美羽様」
「どうしてなのじゃ!わらわは両方欲しいのじゃ」
「さっきおやつ食べたばかりじゃないですか。またこの前みたいにポンポン痛くなっても知りませんよ?」
「うぅっ…ポンポンが痛くなるのは困るじゃ……」
「でしょう?蜂蜜水か、桃の蜂蜜漬けか、どっちか片方だけにして下さい」
「う~ん、どっちも捨てがたいのう……」
そして選んだのは
「ぷはぁっ!やっぱり歌った後の蜂蜜水は最高なのじゃ」
蜂蜜水を選んだ袁術は、それを一気に飲み干した。
「蜂蜜水を飲んだ後の美羽様の笑顔も最高ですよ」
「そういえば、董卓の所から誰か来ると言っておったが」
「はい、そろそろ来ても良い頃なんでけど……。どうしちゃったんでしょう?」
「ここが、袁術殿の治める街か」
宝剣を取り戻すべく、袁術の治める町へと辿り着いた一行。見る限りでは、人通りが少なく、街に活気がない
「やっと着きましたね」
「しかし、領主のお膝元にしては、何となく 街の人々に活気がないな」
「(たしかに……)」
「そうですね…。袁術さんは、あの袁紹さんと血が繋がっている訳ですから、きっと人の上に立つ者として問題があるんじゃ」
「うわ!!」
朱里が言うと、鈴々は突然、何かに向かって走り出した
「でっかいキ◯タマなのだ!」
向かった先には、子供の身長程の大きな狸の置物があった
「ちょっ!」
「こ、こら鈴々!そんな事を大声で言うな!」
「そうだぞ鈴々。もう少し遠回しな言い方があるだろう?陰嚢とか布久利とか」
「あんま遠回しじゃない気がするけど……」
「(なんであんなものがあるんだよ!」
少し歩くと、土産物屋が見えた
「そういや旅立つ時、璃々ちゃんからお土産頼まれてたな」
「ちょっと覗いてみるか」
そして店内へと入る。中には皿や茶瓶等、陶器類の他にも様々な品物が置いてある
「結構いろんなものがあるな……ん?」
品物の棚を見ていると、愛紗が木刀を手に取り、鑑定するように眺める
「これって木刀?」
「ご主人様の武器を同じですね」
「そうだな(素振りように買おうかな)」
劉備と朱里は、陶器類を見ていた
「色んな湯呑みがありますね」
「あっ、これなんか可愛くていいかも」
劉備が見たのは、桜の花が彫られている湯呑み
「でも、これくらい大きい方が使い勝手はいいんですよね」
朱里は、上半分が灰色。下半分が茶色の、底が蓋をしてある様な形をした湯呑みを手にとる
「朱里、湯呑みなら此方の方がいいのではないか?」
「はうっ!?」
星が見せたのは、妖艶な女性の絵が描かれている湯呑み
「なんでも、お湯をかけると絵の中の女性の服が透けるらしいぞ」
「星さん」
「それとも、此方の子宝飴の方が良いか?」
「何でソノ手の物ばかりを勧めるんですか!?」
とツッコミを入れる朱里
「(………子宝………ご主人様との子供………って何を考えてるいるのですか!!)」
「(主との子供……悪くないな)」
星と朱里は心の中でそう考えていた
鈴々はと言うと、動物の形をしたストラップらしい陶器を見ていた。
「色んな動物のがあるのだ」
「これって、御守りなんですね」
劉備もその陶器を眺める。
「えぇっと、何々……。鼠は子沢山で子孫繁栄、犬はワンワン吠えて病魔退散、猫は福を招いて商売繁盛。種類によって、効き目が違うんですね」
「それじゃ、鈴々はこの前みたいにお腹が痛くならない様に、病魔退散の犬の御守りを買うのだ」
「それならまずお腹を出さずに寝た方が効果あると思うんですけど……」
犬のストラップを取る鈴々に、苦笑い気味で言う朱里
「ああーーーっ!!」
横から大声が聞こえた。軍帽を被った鈴々より小さい少女
「これは、ねねが最初に目をつけておいた物なのです!」
少女は鈴々に近づくと、犬のストラップを取り上げる
「何するのだ!それは鈴々の物なのだ!」
「まだお金を払ってないなら、そうじゃないのです!」
「何無茶苦茶言ってるのだ!」
鈴々とその少女は、言い合いながら、犬のストラップを奪い合う。その声が、勇作の方へと聞こえた
「何だ?」
「どうした?また鈴々が何かやらかしたのか?」
「いえ、今回は珍しく、鈴々ちゃんの方が正論なのですが……」
「ふむ、確かに今回は、鈴々の言い分が正しいな」
朱里から事情を聞き、愛紗も同意する。鈴々は勝ち誇った様に、小さな胸を張る
「きっと明日は大雨だな」
「何でそうなる」
「むぅ……」
少女は頬を少し膨らませ、俯く。その様子を見た劉備は、手を叩いた
「そ、そうだ!お店の人に聞いてみたらどうです?もしかしたら同じものがあるかも」
少女は早速、店主に話す
「生憎、そちらの品は店頭に出ているだけでして、次の入荷はいつになるか……」
少女は、溜め息と共に肩を下ろす。
「残念だが、諦めるしかないようだな…」
「まあ、そうがっかりするな。人生は一期一会。出会いもあれば別れもある」
「星さん…それ全然慰めになってない様な気がする……」
少女は深く俯き始めた
「お前なんか……お前なんか……!」
「んっ?」
「アライグマにおへそ洗われて風邪ひいちゃえなのですっ!!」
少女は大音量で叫ぶと、そのまま店から走り去っていった
「な、なんなのだ、あいつ……」
「(誰だったんだ?)」
皆一同、呆然と立っていた
商品を購入すると、次は近くの飲食店で腹ごしらえする
「ありがとうございました」
「美味しかったのだ」
「そうか?私はイマイチだったが」
「鈴々ちゃん」
「ん?」
「せっかく買った木彫りの犬…忘れちゃだめですよ」
「あっ!そうだったのだ」
「おいおい、気を付けろよ。鈴々」
「えへへ」
「孔明ちゃんはさっきの土産物屋で何を買ったのですか?」
「私はほら、あの大きめの湯飲みを買いました。あまりかわいくないですけど…薬湯を飲む時に良いかなって」
「そうか……ん?」
勇作が何かに気づき視線を向けると
「…恋?」
呂布が歩いていた。傍には大きい犬がいた
「おう、呂布ではないか!」
「関羽…張飛…趙雲……勇作」
恋も気付き、名を呼ぶ
「あは、でっかいワンコなのだ」
鈴々は犬に近ずき、しゃがむ。そして触ろうとした時
ダタダタ
「ん?」
「ちんきゅ~~~!飛び膝蹴り!!」
少女が走ってきて高く跳躍し、空中で綺麗に右足を突き出す
「はにゃあああああ!?」
蹴りは、鈴々の後頭部に直撃した
「えっ!!」
勇作達は驚き
「う~~~~」
鈴々は倒れ、目を回していた
「恋殿!勝手にうろうろしては駄目だと、あれ程申したですのに!しかも、どこの馬の骨とも知れぬ輩の接近を許すとは、平時はあってもここは他国の領内。気を付けるに越した事は!」
「いきなり何するのだ!!」
「うるさいのです!ねねは今大事な話を」
「あっ」
「あっ、お前はさっきの……」
「陳宮……」
振り向くと同時に体が硬直する。呂布の目元に陰がかかり、深紅の瞳は少し怒気が含まれていた。陳宮は怯えの様子を見せる
「さっきの飛び膝蹴り違う」
指を立てながら言った
ダー!
勇作達はずっこげた
「ってそこじゃないだろう!突っ込むとこは!」
「??」
首をかしげる恋
「あはは(それにしても恋とこんな所で会うとはな……何か用事があってきたのかな?」
心の中でそう思う勇作であった