TV版恋姫†無双・・・覇気と六爪流を使う転生者   作:ヒーロー好き

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第六十八席 陳宮、呂布に拾われるのこと

それから近くの茶屋へと場所を移した一行。円卓台に座り、話を聞く

 

「しかし、董卓殿に仕えているお主が、何故こんな所に?」

 

「お見合いに、来た……」

 

「「「「「えぇっ!?」」」」」

 

「お見合いって、そなたが?」

 

恋は首を左右に振る

 

「それじゃあ」

今度は陳宮の方を向く。本人は何の事か分からず、目をパチパチと瞬きさせる

 

「違う。陳宮に……」

「ちょっと待て!!」

 

「??」

 

「お見合いするのはその子じゃないの?」

勇作は指を指す

 

「「「「「犬?」」」」」

 

どうやら恋の傍らで眠っている、この犬がそうらしい

 

「この子、張々は体大きい……同じ位大きい相手でないと、こ……」

 

「言わなくていい」

 

「あの…ご主人様?さっきから何を」

 

「何でもない(……あんなことは言わせないためだよ)」

 

「?………張々と同じ種類の犬、袁術が飼っていると聞いたのでお見合いに来た……でも止めにした……」

 

「お見合い、うまくいかなかったのか?」

 

「まだ、袁術の所に行ってない……この町の人、ちょっと元気がない……多分、領主が良くないせい……。そんな相手との縁組み、張々の為に良くない……だから、お見合いせずに帰る」

 

「……なるほどね」

 

「流石、恋殿!ねねもそう思っていた所なのです!」

 

「なんか偉そうにしてるけど、お前一体なんなのだ?」

 

「ねねの名は陳宮。恋殿の軍師なのです!」

「「「「「えぇっ、軍師!?」」」」」

 

「(えっ!この子が陳宮!!曹操を追い詰めたことのある!!)」

 

全員が驚く。勇作も別の意味で驚く

 

「武勇では天下第一の恋殿を補佐すべく、ねねは軍師として命を懸けて御仕いしているのです」

 

「陳宮…違う」

 

「違うって何がですか」

 

「一番は…勇作」

 

そう言って恋は高杉を指差す

 

「な、何を言っているのですか?こんなブ男が恋殿より強い訳…」

 

「勇作…恋より強い。戦ったけど…完敗だった」

 

「恋殿…冗談にしては」

 

「あの…陳宮殿…呂布が言っていることは間違っていないぞ」

 

「そうなのだ。鈴々達はこの目でちゃんと見たのだ」

 

「うむ」

 

愛紗達はそう言うが

 

「そんな訳なのです。ねねは信じないのです!」

 

まったく信じなかった

 

「おい、お前」

 

「鈴々」

 

勇作が止める

 

「けど」

 

「いいの」

 

「む…」

 

「そ、それより…さっき命を懸けてってどうしてそこまで?」

 

劉備がそう聞くと、陳宮は少しだけ目線を下にする。

 

「話せば長くなるですけど……孤児みなしごだったねねは」

 

「っ!」

 

孤児という言葉に、鈴々は無意識に反応した

 

「生まれ育った村で子犬の頃から飼っていた張々の引く荷車に、牧場で搾った山羊やぎの乳を積んで、街まで運ぶ仕事をしていたです…………でも、大雨が降った日の夜……家代わりに寝泊まりさせてもらっていた水車小屋から火が出て。本当は水車をちゃんと整備してなかったせいで、木の歯車と歯車が強く擦れてそのい摩擦で火が付いたのに、ねねの火の不始末が原因と言われ、村を追いだされる羽目に……それ以来、ねねは張々と一緒に、村から村へと彷徨って、旅の一座で操り人形の芝居を手伝ったり、煙突掃除婦になったり……そんな風に旅をしながら、ねねと張々は食べていく為に色んな仕事をしたのです」

 

「……」

 

「そして、ある街に辿り着いた時……」

 

 

 

 

 

 

「お願いするのです!何でもいいから仕事をさせてほしいのです!一生懸命働くですから、実はもう十日もろくに食べてなくて」

 

「っるせぇ!!」

 

「あうっ!」

 

「ここんとこ不景気で、ただでさえ仕事がねぇってのに、お前みたいに他所から流れてきたガキに任す仕事なんかあるもんか!物乞いなら、てめぇの村でやりやがれ!」

 

冷たく吐き捨てる男は、店に戻っていった

 

「物乞いじゃないです…物乞いじゃなくて、ねねはただご飯を食べる為に働きたいだけで……だから、物乞いなんかじゃ………」

 

少女は、張々と共に森の中を歩き続ける。泥で汚くなっている体

「もう心配しなくていいです。ねねはあんな事でへこたれたりしないです」

 

日が沈み始め、夕方になろうとする時、古ぼけた御堂が目に入った

 

「今夜は、あそこに泊まるです……」

 

扉を開けて、中に入る。

 

「食べ物はなくても、せめて雨露は凌げるです……」

 

祀られている仏像の前に行くと、陳宮は膝をついた

 

「張々…ねねはもう疲れたです……」

 

側で寝ている張々を撫でると、陳宮は瞼をゆっくりと閉じた

 

そして、小さな天使ならぬ小さな天女が光と共に陳宮と張々の側に寄る。二人の魂を持つと、そのまま天へと持っていってしまう。こうして二人は仲良く天国に……かと思いきや

 

「クンクン」

 

扉の隙間から美味しそうな匂いが漂ってくる。それは二人の鼻を刺激し

 

「これは…この匂いは?」

 

二人は起き上がり、匂いの元を辿って行く。やがて森を抜け、小川付近に到着した。焚き火に焼かれる串を刺された魚が目に入った。同時に、傍らにいた深紅の髪を持つ少女と目を合わせた

 

「……食べるか?」

 

呂布は焼き魚を一本手に取ると、陳宮に渡そうとする。陳宮は一瞬目を輝かせるも、すぐに否定する

 

「い、いらないです。ねねは、物乞いじゃないです!」

呂布の得物である方天画戟を服の袖でゴシゴシと擦り出した

 

「……恋は、お腹が空くとご飯が食べたくなる。ご飯を食べると幸せになる……一人で幸せになるより、皆で幸せになった方がずっと幸せ……。だから、お腹が空いているなら、恋と一緒に食べるといい……」

 

「…………」

 

陳宮と張々は瞬く間に焼き魚を頬張り、腹を満たしていく。全て食べ終え、ようやく腹が落ち着いた

 

「お腹一杯になったか?」

 

「う、うん……」

 

「もうすぐ日が暮れる……そろそろ家に帰った方がいい……」

 

「っ……!」

 

「帰る所、ないのか?」

 

コクッと頷く陳宮

 

「だったら、一緒に来るといい…」

 

「えっ?」

 

「恋と、家に帰ろう」

 

方天画戟を担ぐ

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

辺りはすっかり夜になり、呂布は陳宮を連れて、董卓の屋敷に帰途した

 

「なんだ呂布、また捨てられた動物を拾ってきたのか?」

 

武将である華雄が聞くと、呂布はコクッと頷く

 

「しかし今日のはまた、二匹ともバッチィな……」

 

「でも可愛い……」

 

「う~ん、まあお主がそうならそうなのだろう。飼うのはいいが、ちゃんと洗ってやれよ?バッチィままだと、賈駆がうるさいからな」

 

華雄はそう言うと、自分の部屋に戻っていく。呂布は廊下を歩き、陳宮と張々もその後を追う

 

「ん?あんたまたバッチィのを拾ってきたのね」

 

廊下で賈駆と鉢合わせる

 

「もう、これで今月何匹目よ……」

 

「イー…アル…サン………いっぱい」

 

「いいわよ数えなくて!家にはあんたの拾ってきたのがわんさといるんだから、今更一匹や二匹増えた所で大差ないわ。飼うのはいいけど、ちゃんとしつけるのよ?この前みたいにボクの部屋でおしっこしたりしたら承知しないからね?」

 

「わかった…賈駆の部屋でおしっこさせない……」

 

そして、何事もなかった様に立ち去る

 

「ってぇ!ちょっと待ったぁ!!」

 

何かに気付いたのか、急いで呼び止める賈駆

 

「そっちのでかいワンコは良いとして、よく見たらチンチクリンのは人間じゃない!?一体どういう事よ!」

 

「…………バッチィけど可愛い…バッチィけど可愛い…同じ」

 

「同じな訳ないでしょう!?この子、名前は?歳は?拾ってきたって、どこから連れてきたの?まさか、気に入ったからって人様のをお持ち帰りしたんじゃないでしょうねぇ!?どうなの?えぇ?えぇ!?」

 

「……賈駆、怒るの良くない…怖がってる」

陳宮は呂布にしがみつく

 

「事情は後で聞くわ…とにかく、そのバッチィのを洗ってらっしゃい!」

 

そう言いつけると、立ち去っていった

 

 

 

 

 

 

 

呂布は陳宮と張々と共に、浴場へと向かう。泥等で汚れた二人の体を、お湯で流していく

 

「バッチィままだと賈駆が怒る……だから綺麗にする」

 

「えっ?あ、ちょっと、だ、駄目です…くすぐったくて、じ、自分で出来るのです。だから…ひゃあっ!!」

 

背中、尻、体の隅から隅へときちんと洗う呂布。二人共、綺麗になった

 

 

 

 

 

 

寝室を用意され、そこの寝台で横になる陳宮

 

「お布団で寝るの久しぶりだから…かえって寝付けないのです」

 

「陳宮…」

 

「ふわぁっ!?」

 

呂布が突然顔を出し、陳宮は驚きの声を出す

 

「いつの間に」

 

「眠れないのか……?」

 

「……はいです」

 

「じゃあ……」

 

すると、呂布は陳宮の寝台に入り込む

 

「連れてきた子の中で、すぐには家に慣れなくて中々眠れないのいる……そんな時、恋はいつもこうしてる……」

 

恋は陳宮を優しく包み込む

 

「(良い匂い……何だか思い出せないですけど、なんだか、とっても懐かしい匂い……)」

 

「家に連れてきた子は、みんな恋の子供……だから、陳宮もそう……だから、安心して眠るといい…………」

 

優しい音色に、目に涙が溢れ出てくる

 

「その時、ねねは心に決めたのです。恋殿に一生ついていこう、ずっと一緒にいよう。そして、少しでもお役に立とうと……」

 

語り終えると、鈴々は最後まで話を聞いており、見間違いか、少し目が震えている

 

「そうか…そんな事が……」

 

「うっ……陳宮さん、苦労したんですね……」

劉備は微かに泣いていた

 

「(感動する話だったけど……所々、某名作を似たようね話が出てきたんだけど!)」

 

心の中に突っ込む勇作…………だが

 

 

 

 

 

 

 

「(…………俺も小さい時に、その温もり欲しかったな………)」

 

勇作は心覚えがあるのか…羨ましく思うのであった

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