TV版恋姫†無双・・・覇気と六爪流を使う転生者   作:ヒーロー好き

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第七十三席 楽進、李典、于禁、村を守らんとするのこと

暗雲立ち込める空の下。宝剣を取り戻した劉備と勇作達一行は、桃花村への帰路を歩んでいた。特に劉備は、嬉しさのあまり、張三姉妹の歌を歌っていた

 

「ご機嫌だな、劉備殿」

 

「だって、宝剣を取り戻したんですもの~」

 

愛紗が言うと、劉備は鞘から剣を抜き、天に掲げる

 

「嬉しいのは分かりますけど、そんなことをしてると危ないですよ?」

 

「えっ?」

 

「この雲行きだと、いつ雷が落ちてもおかしくないですから……」

 

「ぷぷっ雷が怖いなんて、朱里もまだまだお子ちゃまなのだ」

 

「そういう事じゃなくて……見てください」

 

朱里が指差した所には、3メートル位の一本の木が、大きく裂かれていた

 

「雷の直撃を受けたら、ああなっちゃうんですよ」

 

「「「「っ!!」」」」

 

愛紗、鈴々、星は驚愕の表情をし、劉備は剣を後ろに隠す

 

「雷は金属にも落ちやすいんですから、皆さんも気をつけて下さいね?」

 

朱里の説明を見計らった様に、ゴロゴロと小さな雷鳴が鳴る。それを聞いて、咄嗟に武器を低く持つ少女達。朱里は、苦笑する

 

「(確かに雷は怖いけど、俺はお守りがあるし、万一の時は雷を殴るか………雷を殴る。出来るのかな…俺。自分で言って何だけど)」

 

心の中でそう思う勇作であった

 

 

 

 

 

 

 

 

暫く歩いていると、塀に囲まれた村を発見する

 

「あっ!村がありますよ」

 

「助かりましたね。今夜はあそこに泊めてもらいましょう」

 

「そうだな…いつ降り出すか分からない天気だ。屋根のある所で寝られるのは有難い」

 

「……そうなれば良いけど」

 

「どういう意味ですか?ご主人様?」

 

「あの村、少し厄介な事情抱えているぞ」

 

「事情ですか?」

 

「ああ」

 

「それはいったい?」

 

「それはあそこに着いてから…行こう」

 

「わかりました」

 

 

 

 

村へ行くには、でかい堀の上にかけてある一本の橋を渡るしかない。しかもその橋でしか行けない様に、橋の出口の左右に木で出来た柵が何列も置かれている。

 

「止まれ!」

 

橋を渡り終えると、門番らしき二人の少年が、槍を交差させて立ちはだかる

 

 

「お前ら、何者だ?」

 

「何者って……見ての通りの旅の者だが?」

 

「旅の者?なんか物騒なもん持ってるけど、まさか賊の一味じゃないだろうな?」

 

「はぁ?」

 

「ふっ…皮肉なものだな。黒髪の山賊狩りが山賊に間違えられるとは」

 

「黒髪の山賊狩り」

 

門番の一人が愛紗を見る

 

「嘘つけ!黒髪の山賊狩りはすっげー美人だって聞いているぞ!お前なんかな訳ないだろう」

 

その言葉にブチっとなる

 

「愛紗、落ち着け。子供の言う事だ」

 

「分かっている。わかっているが」

 

右手を握りプルプル震えている

 

「落ち着いて……愛紗」

 

「は、はい」

 

「楽進さん達を呼んでこい!」

 

「分かった!」

 

一人がそう言うと、もう一人は急いで呼びに向かった

 

「なんだか、随分警戒されてるみたいですけど……」

 

「きっと近くに賊が出るのでしょう…ご主人様が言っていた厄介な事情はこれでしたか」

 

「ああ(それにしてもさっきの子…楽進って言っていたけど)」

 

「だからって鈴々達を疑うなんてひどいのだ!」

 

「う~ん…愛紗が噂にたがわぬ美人であればこうした疑いを受けることはなかったのだが」

 

「悪かったな。期待外れで」

 

「そうかな…愛紗は美人だし、俺だったらすぐに信じるけど」

 

「ご、ご主人様!な、何を言っているのですか!!」

 

「自信もっていいよ。愛紗は美人だしかわいいよ」

 

「あ…ありがとうございます」

 

勇作の言葉に顔を赤くする愛紗であった

 

「むっ」

 

「じー」

 

「にぁ」

 

「え~と」

 

「(あ!)も、もちろん、他の4人も美人だしかわいいよ」

 

「本当ですか?」

 

朱里が聞いてくる

 

「ほ、本当だよ(何か怖い…目に光がないような)」

 

そんな事をしていると、向こうから門番兵の一人が呼んできたのだろう。二人の少女達が走ってきた

 

「于禁さん!李典さん!」

 

「(何!!)」

 

「真桜ちゃん!きっとあの人達なの!」

 

「よっしゃあ!賊共、覚悟!」

 

李典は両手で持っていた小型の砲台をこちらに向け、発射した。その弾は勇作達の上に行くと、急に大きな網となって降りかかる

 

「っ!」

 

愛紗と鈴々、星が武器を構える。そして

 

「はっ!」

 

「ふん!」

 

「はっ!」

 

網はバラバラに切り裂かれていた

 

「んなっ!?」

 

「ええっ!?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

村へと案内され、一軒家に上がる勇作達。一行の目の前には、先程の二人に加えて、もう一人の少女がいた

 

「……すまなかった」

 

楽進は謝罪を含めて、頭を深々と下げる

 

「こちらの早とちりで御迷惑をお掛けして、申し訳ない」

 

「楽進さん、頭を上げて下さい」

 

「誤解と分かれば、我等はもう……」

 

「頭を上げてください!楽進さん」

 

「真桜も沙和も、決して悪気があってした事では……」

 

楽進の後ろで、李典と于禁の二人が気まずそうにしている

 

「沙和…あんたが賊が来たって大騒ぎするからやで…」

 

「けど、門番の子が慌てて走ってきたから、どうしたの?って聞いたら、賊の手下が来たって……」

 

ヒソヒソと話していると、楽進がわざとらしく大きな咳をする。ビクッ!と肩を震わせる李典と于禁

 

「あの、随分と賊を警戒しているみたいですけど、何かあったんですか?」

 

「実は我等三人は、仕官の道を求めて、曹操殿の元へ赴く途中だったのです」

 

「ほう、曹操殿の所に?」

 

「はい。曹操殿は、有為の人材であれば、身分の上下に関係なく召し抱える、度量の広い人物だと聞いたもので…で旅の途中、この村に宿を求めて立ち寄ったのですが、その夜、近くの山に潜む賊が攻め寄せてきて……聞けばこの村は戦や土木工事に男手をとられ、残っているのは年寄りと子供ばかり。どうやら賊はそれを良いことに、この村を我が物とし、新たな根城にするつもりらしく……」

 

「ほう」

 

「賊のくせに生意気なのだ!」

 

「それ以来、賊は隙を見ては襲って来る様になり、来る度に追い払ってはいるのですが、多勢に無勢。彼奴らを退治するまでは至らず、日々守りを固めているのです」

 

「なるほど、そういう訳だったのですか」

 

「思ったより深刻だな」

 

「私達がこの村に来て、もう三月になるの。その間に十回も賊に襲われて……」

 

「正直ウチらも、いつまでもここで足止め食ろうとる訳にはいかんのやけど、まさかこのまま見捨てるっちゅう事も出来へんし」

 

「当たり前だ!それにもし、この村が賊共の根城となれば、彼奴らは更に勢力を強め、近隣の村や町にまでその手を伸ばすに違いない」

 

「……主」

 

「分かっている」

 

「私もお手伝いします!大した事は出来ませんけど、筵織りなら自信があります!」

 

「じゃあ鈴々は、その筵で賊を簀巻きにしてやるのだ!」

 

「だが聞いた所では、敵はかなりの数だぞ」

 

「真っ向勝負では分が悪いか……」

 

「……朱里、何か策をお願いする」

 

勇作が朱里に聞くと、朱里は楽進達に、村の見取り図を要求した

 

「こんな絵地図しかないが……」

 

「結構です。ここが村、そしてこっちが山の中の賊の住処。これが村の前にあった橋で……」

 

絵地図を指差しながら見ていくと、朱里はあることに気づいた

 

「上流のこれは、湖ですか?」

 

「はい。龍神湖と言って、龍神様が住むという言い伝えがあるらしく、村人の話では、昔はかなり大きな湖だったが、今は水の量が減り、村の前を流れる川もすっかり細くなってしまったとか……」

 

その話を聞き、朱里は口に手を置いて、策を練り続ける

 

「ん?」

 

「どうした?朱里。何か思い付いたか?」

 

「そうですね……もし、龍神様のお力を借りる事が出来れば、何とかなるかも」

 

その言葉に皆が顔を上げた

 

「(朱里)」

 

朱里の隣に居た勇作は朱里に小さい声が呼びかける

 

 

「(な、何でしょうか)」

 

「(覇気を使って賊の人数を教える。朱里は今考えている策を進めてくれ)」

 

「(…御意)」

 

「(それにしても…楽進に李典に于禁か…魏の武将とこんな所で出会うとはな……)」

 

勇作はそう思いながら会議は終わるのであった

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