TV版恋姫†無双・・・覇気と六爪流を使う転生者   作:ヒーロー好き

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では、どうぞ


第九十席 華佗、桃花村を訪れるのこと

「うん!!う~~~~~ん!!うん!!」

 

顔は青ざめ、苦痛に歪んでいて、お腹を押さえて寝台の上で踞っている劉備

 

「姉上、しっかりしろ!!」

 

その様子を愛紗、翠、たんぽぽが心配そうに見守る。そして紫苑達が入ってきて

 

「お湯を!お湯をたくさん沸かして下さい!それから、清潔な布も!早くお医者様を!」

 

「分かったのだ!」

 

「お湯だな」

 

「布!布!」

 

紫苑の指示に従い行動する面々

 

「頼む!相手は?相手は誰なんだ!!」

 

その言葉に朱里は翠を止める

 

「あ!翠さんは傍にいてあげた方が……責任があるんだし」

 

「へっ!!なんであたし?」

 

「翠!!姉上を孕ませたのは貴様か!!」

 

「ちょ!な、何言って」

 

「だって翠さん…この間、劉備さんとくんずほぐれつ」

 

顔を真っ赤にしながら腕をくんずほぐれつに動かす朱里

 

「いや、だから!あれは誤解だって。だいいちあたしは女だぞ」

 

「でも!あの時!股間に名前のとおり馬を超えるようなものが!」

 

「だから…」

 

「見苦しいぞ!この期に及んで言い訳か!男なら潔く責任取りやがれ!」

 

「ってあたしは男じゃねぇ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そんなやり取りをしている頃、屋敷の門の前

 

「う~ん…華蝶仮面としてカッコよく再登場するつもりでわざとはぐれたはいいものの、きっかけをつかめず、ずるずるここまでいい加減ここらで戻っておかんと本当に忘れかれんぞ」

 

星がいた

 

「とはいえ、常山の趙子龍。いまさら何の工夫もなく戻るわけには…あ、いやこういう場合は変に凝ったことをしようとすると得てしてしくじるもの…ここで滑っては音も当てられぬ。この際普通に」

 

どう登場するか真剣に考える星。門に手を当て

 

「待て待て!地中に勝つありという言葉もある。これだけ長期間の前振りを生かさぬ手もない。ここは思い切って勝負に出るのも」

 

そんなことを考えていると

 

「趙雲殿ではないか」

 

後ろから声を掛けられ、ビクっとし、後ろを振り返ると

 

「うん?お主は華佗。どうしてこんな所に?」

 

華佗がおり、更にもう一人、外套に身を包んだ人物もいた

 

「実は関羽殿に頼みたいこと、勇作に用事があって訪ねてきたんだ。村人から関羽殿と勇作は他の仲間と一緒にこの屋敷の一角に住んでいると聞いたんだが、ご在宅かな?」

 

「さあ~ご在宅だと思うが、ひょっとすると出かけて居たり居なかったりしたりしなかったり」

 

つい先ほど帰ってきた星にわかるわけもなく、口笛を吹いて誤魔化す

 

「早く早く!早くなのだ!!」

 

すると鈴々は走ってきて勢いよく門を開ける。

 

「ぐわ!!」

 

鈴々は華佗にぶつかり、星は開かれた門に飛ばされ、堀に落ちた

 

「いててなのだ!はっ!医者は?医者は何処だ!なのだ!」

 

「医者ならここに居るが…もしかして急病人か?」

 

「そうじゃないのだ!お姉ちゃんが子供を産みそうなのだ!」

 

「「なに!!」」

 

星はジャンプをしながら驚く

 

「え?あれ?」

 

鈴々は周りをキョロキョロしてその声を探すのであった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

場所は戻り、劉備の寝室

 

「う~~~ん」

 

「さあ、励ましてあげて」

 

「し、しっかり!」

 

劉備の手を両手で包み込み、必死に励ましている翠

 

「そうだぞ!姉上。こうしたことは天井のシミを数えている間に終わると聞いているから頑張れ!!」

 

「覚悟しておいて……お腹の出具合からして早すぎるわ。もしかしたら赤ちゃんは、下手をすれば劉備も……」

 

紫苑の推測を耳にし、嫌な汗が流れる愛紗と翠

 

「姉上!気をしっかりに」

 

「お湯沸かしてきました」

 

朱里がお湯が入った桶を持ってきた

 

「布持ってきたよ~」

 

「持ってきたよ~」

 

たんぽぽと璃々が布を持ってきた

 

「そこへ置いておいて!」

 

「医者はまだか!?医者は!!」

 

「連れてきたのだ!」

 

華陀が部屋に入ってくる

 

「華陀殿!早く、早く姉上を……!」

 

「任せておけ」

 

華陀は早速診察に入る。

 

「手をどけて。帯を解くぞ!楽にして。ここは痛いか?」

 

華陀が問いかける

 

「喋れないほど痛いか?」

 

「ど、どうだ?姉上は?腹の子は?大丈夫なのか?」

 

「何を勘違いしたが知らんが、これは陣痛ではないぞ」

 

「「「「「「「「「え?」」」」」」」」

 

その場の全員が呆けた声を出し、翠は朱里を見る

 

「では、何だというのだ?」

 

「多分、食あたりだろう。何か悪いものでも食ったのではないか?」

 

劉備は首を縦に振る。そして全員が力が抜けたみたいその場に座り込むのであった

 

 

 

 

 

「此処がご主人様の部屋です」

 

劉備の治療を終え、一同は勇作の部屋の前に来ていた

 

「此処に居るのか」

 

「ご主人様に一体?」

 

「ちょっとな、思い過ごしだといいが…」

 

「一体?何が」

 

部屋に入る

 

「勇作…大丈………なっ!!」

 

そこにはうずくまり、苦しそうな様子をする勇作がいた。華佗はそれを見て、劉備よりひどい状態だということだと理解する

 

「ご、ご主人様!!」

 

皆が近づく

 

「だ、大丈夫ですか」

 

「う……う、う」

 

勇作は皆の方に顔を向ける

 

「「「「「「!!!」」」」」」

 

そして勇作を見て、驚く。顔の色はまるで生気がないほど白く、脂汗をかいており、そして右目は赤くなっており、まさに赫眼のようになっていた

 

「ご、ご主人様!!」

 

「ま、まさかここまで!!待ってろ!!今すぐ!」

 

華佗は針を取り出し

 

「我が身!我が針と一つなり!心気同体!全力全快!病魔服滅!元気にぃなぁぁれぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」

 

男の体が眩い光に包まれ、針も同様に輝きを増していき、針を勇作の右手甲に刺す

 

ガツン

 

「ぐわ!!」

 

が弾かれる

 

「やはり無理か!くそ!!」

 

「華佗殿、ご主人様は一体、どうしたのですか?」

 

「説明している暇はない!手伝ってくれ!」

 

「え?」

 

「早くしろ!!でないと勇作は死ぬぞ!!」

 

「なっ!!」

 

「お兄ちゃんが」

 

「死ぬ」

 

「ど、どうすれば」

 

「勇作を仰向けに」

 

「は、はい!!」

 

皆が勇作を仰向けしようとするが

 

「う……う……」

 

暴れる上に、力も強く、抑えるだけ精一杯であった

 

「ご主人様!!落ち着いてください」

 

「お兄ちゃん!!」

 

「横になってください!!」

 

「「「「「ご主人様!!」」」」

 

「まずい、ここままじゃ」

 

華佗が焦っていると

 

「皆、大丈夫か」

 

「星!!」

 

星が部屋に入ってきた

 

「帰ってきたのか!!」

 

「今までどこに?」

 

「それは後だ!主を何とかするのが先だ!!」

 

星も加わり、ようやく抑えること出来、勇作は仰向けになった

 

「これなら」

 

華佗は勇作の寝間着の帯を緩め、勇作の心臓部分にお札を張った

 

「これなら!!」

 

再び針をだし

 

「我が身!我が針と一つなり!心気同体!全力全快!病魔服滅!元気にぃなぁぁれぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」

 

体が眩い光に包まれ、針も同様に輝きを増していき、お札に針を刺す

 

「妖気…退散!!」

 

針を抜いていき光が収まる。そして暴れていた勇作は大人しくなった

 

「どうですか」

 

「これで大丈夫のはずだ」

 

「う~ん」

 

気が付く勇作

 

「あれ?華佗…何で」

 

「説明は後だ。関羽殿達は部屋を出てくれ。少し調べたいことがある」

 

そう言われ、愛紗達は部屋を出るのであった

 

 

 

 

 

 

 

 

 

しばらくして華陀の話を聞く為、客間に集まる一同。がその場に勇作がいない

 

「それにしても、華陀の針治療、本当に良く効くんですね」

 

「そうなのだ。華陀のお兄ちゃんは天下一の名医なのだ」

 

「駄目だよ。微妙な年頃の人におじちゃんとかおばさんって言っちゃあ」

 

璃々の言葉に苦笑いをする華佗

 

「しかし孔明殿。一緒に旅をした時、医術には明るい方だとお見受けしたが、今回は見誤った様だな」

 

「あの、つい皆の調子に乗せられて……」

 

「姉上、本当にもう大丈夫なのか?」

 

「ええ。チクッ!としてピキューン!てなってハッ!ってなったら治ってて、さっきまであんなに痛かったのが嘘みたい」

 

「流石、義理の姉妹と言うべきか…鈴々とものの言いようがそっくりだな」

 

「まったくだ。というか星!いつの間に!?」

 

「まあ、そんな細かいことは良いではないか」

 

「細かい事って」

 

「華佗殿、愛紗に頼みごとと言っていたが、そちらの御仁は?」

 

「うむ。実は……」

 

その人物はゆっくりとそのフードを外す

 

「お前は!!

 

「何進殿!?」

 

「え?じゃあこの方が今を時めく大将軍の……あら」

 

何進の頭に猫耳が生えており、ピクピク動いていた

 

「ひ、人の趣味をどうこう言うつもりはないが、何進のお歳で頭にそういうのを付けるのはちょっと……」

 

「こ、こら星……笑っては、失礼、だぞ……」

 

「そういう愛紗さんだって……」

 

愛紗達は笑いを堪えている

 

「笑うな!妾も好きでこんな物を生やしているのではない!」

 

何進はバン!と机を叩く

 

「じゃあ、何で?」

 

「それより、華佗殿。主にも用があったがいったい」

 

「ああ、俺は黄巾の乱が終わった後、一度教団に戻り、乱の事について報告をしていたんだ」

 

「ほう」

 

「そこで勇作の事を話すと、張衡様が慌てた様子で勇作の様子を見るように指示してきたんだ」

 

「何でですか?」

 

「張衡様によると、勇作は太平要術の妖力によって呪われているかもしれないと」

 

「呪われている?」

 

「ああ、太平要術の妖力は術者以外の者とっては毒と同じで、もし人体に触れれば、その者の生気を奪って行き、死に至ると言われているんだ」

 

「人体に触れれば」

 

「けど、ご主人様はいつそれに?」

 

たんぽぽがそう言うと

 

「あ…あの時だ…私の…所為だ…」

 

「劉備殿、いったい?」

 

「私の所為でご主人様は」

 

「何か心当たりがあるのか」

 

「張宝が太平要術の妖力で巨大な腕を劉備殿を攻撃しようとした時、勇作がそれを庇って」

 

「あの時か!」

 

「それでお兄ちゃんは」

 

「ああ、恐らくその時に」

 

「それでご主人様は…大丈夫なのですか?」

 

「大丈夫だ。張衡様から頂いた札の効力で死ぬことはない。だが少し来るのが遅かった」

 

「それはどういう?」

 

「勇作の妖力は完全には無くすことは、出来なかった。さらに後遺症により……」

 

「後遺症により?」

 

「…………」

 

「教えてください!!ご主人様は一体どうしたんですか!!」

 

「そ、それは…」

 

劉備は華佗に詰め寄る

 

 

「言って構いませんよ。華佗」

 

扉が開かれ、勇作が入ってきた。右目を閉じながら

 

「ご、ご主人様」

 

「大丈夫ですか」

 

「ああ…華佗」

 

「しかし」

 

「いいよ。いずれ分かる事だし」

 

そういうと右目を開ける。その目はあの時と同じ赫眼であった

 

「そ、その目は?」

 

「この通りの赫眼。それに……右目の視力が無くなったんだ」

 

「無くなったって?」

 

「右目だけ失明したんだよ」

 

「失明!!!」

 

「何も見えないのかよ」

 

「右目だけね」

 

「そ、そんな…」

 

「それ以外は何とも」

 

「何ともじゃあねえよ!!」

 

「華佗さん!何とかならないんですか⁉︎」

 

「すまないが、これ以上は…」

 

その言葉に皆、悲しみに暮れる

 

「ご主人…様」

 

劉備が涙を浮かべながら、勇作に近づく

 

「ごめんなさい。私の所為で、私の…所為で…」

 

「気にするな」

 

「……何で?何で⁉︎何で責めないんですか!!私があの時、直ぐに逃げていれば…あんな行動を…しなげれば…」

 

「だから気にするなって」

 

「でも!!」

 

「あの時、言っただろ。守るって」

 

「だけど!こんな事に…なるんだったら…」

 

「それ以上は言ちゃダメだよ。それに俺は後悔していないし」

 

「けど…ご主人様……私の所為で……右目が!!」

 

「安いもんだよ。右目くらい……約束を守ることが出来たんだら」

 

「う…う…うわぁぁぁーー!!!」

 

勇作の胸でポロポロと涙をこばし叫びながら子供の様に泣く劉備の頭を優しく撫でる勇作であった


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