闇影の軌跡 〜黎明〜   作: 黒兎

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───七章、解禁。史上最高難度の第七特異点が幕を開ける…………のが今から凄い楽しみな「 黒兎」です。

今夜実装ということに加え、考査明けで随分おかしなテンションです。昨日のFGOのニコ生はノッブが凄い楽しそうで、見てるコッチまで嬉しくなってました。お誕生日おめでとーございマシュ!




と、軌跡シリーズの二次創作で、Fateの事を延々と綴るのは流石にどうかなぁ〜って思うので、そろそろ本編へ






あ、後書きの所に主人公(ゼダス)のイメージイラストが添付してあります(ちゃんと貼れていれば)。拙いですが一見頂けるとイメージし易いのではと思いますのでので




追記:原作プレイが二年前の所為か、盛大なミスをしていました。地理把握完全に間違えてました。この場をお借りして謝罪しておきますm(_ _)m
   その為、ゼダスの転移先をケルディック→ヘイムダルに変更させて頂きました。把握し切れてなくてスミマセン………


学院までの旅路に安息無し

 ───さてさて、何でこうなったんだかな?

 

 

 眼前に広がる光景…………如何にも自分がテロリストですと名乗っている服装……いや、現に名乗っていた複数人の野郎どもが銃口を向けている光景。それを見て、ゼダスは何故、こんな状況になったのか。少し前に記憶を逆行してみる事にする。

 

 

 

 

 

 

 

―――*―――*―――

 

 

 

 

 

「ここら辺で大丈夫か?」

 

 裏路地。

 そう称しても大して間違いじゃない様な場所に突如として現れたのは黒髪の少年、ゼダス。

 結社御用達の転移装置で翔んだ先はエレボニア帝国にあるヘイムダルである。ここで少し、この国と町に関してを纏めよう。

 

 エレボニア帝国。

 それはゼムリア大陸西部に位置する君主制国家であり、軍事大国である国の事を指す。

『黄金の軍馬』を紋章に掲げ、歴史は何と1,000年以上前から続くとされている。

 そして、何よりも特徴的なのが………………貴族と平民の格差。通常貴族と平民の差も中々の物だが、それよりも凄いのが《四大名門》と呼ばれる帝国における最も家格の高いとされる貴族四家の事だ。

《四大名門》の各家々が帝国東西南北の地方を統括している。

 東のアルバレア家、西のカイエン家。南のハイアームズ家に北のログナー家。

 因みに中央の帝都だけが貴族と平民の格差が多少はマシだったりするが………まぁ、その話は後の機会でも良いだろう。

 

 で、ゼダスが転移した先の街のヘイムダル。ここは“帝都”───つまり、この帝国の首都にあたる都市である。

 ただ………一つ言っておくと、ゼダスの受けた任務………つまりは『学生を演じる』の為に入学する学院。このヘイムダルには存在していないのだ。

 その学院が存在するのは、大陸横断鉄道で一駅先にある近郊都市トリスタである。

 

 ならば何故、ゼダスがわざわざ一駅前の街に転移したか。

 理由としては、単純に気分で列車に乗りたかったけど、長時間乗るのが面倒だなーとかいう割と我が儘なもの。

 ゼダスという人物は、思いの外直情的に動く。そりゃ、重要な任務や場面では何手もの先を読み、冷静冷酷に動くが、こういった特に支障を来さないことに関しては、自分の欲望に忠実。その点だけ見れば、随分子供っぽく見えたりもしたりしなかったり………

 

 

「───ってか、そうだ。時間無い………早く駅向かわないと」

 

 

 現在の時刻を腰に下げていた携帯端末───学院側から支給された戦術オーブメント《ARCUS》で確認し、ゼダスは荷物を持って、足早に移動する。

 

《ARCUS》。

 

 正直な話、ゼダスにそう言った名称の戦術オーブメントが存在している事は一切合切知らなかった。

 しかも、学院の赤い制服と共に付属されていたのだが、全く説明が無かった。

 流石に不思議に思い、結社の独自のネットワークやら、己の持っている知識を元に解体してみたりして、大まかには理解出来た。

 この世に導力革命を齎したエプスタイン博士により設立された財団である『エプスタイン財団』。そして、この帝国に本拠地がある超大型技術メーカーである『ラインフォルト社』の二グループが共同開発した代物らしく、試験運用中の物らしい。

 既存の戦術オーブメントで行う導力魔法(オーバルアーツ)も、少しは原理が違うとはいえ、問題無く起動は出来たが………ゼダスには最後まで理解出来ない点があったのだ。それが設計、である。

 ───無駄が多過ぎるのだ。

 大型二グループが本当に共同開発したのかさえ疑わしいレベルで無駄が多い。

 その無駄があるが故の試験運用中なのかもしれないが、そうとしては完成され過ぎている。

 従来の戦術オーブメントで使用する導力魔法も使えるし、通信機能も付いている。現時代の表社会の技術で出来る最前線の出来。

 だが、その機能を搭載して組むのなら、もっと効率の良い組み方があったはず、と技術職でも無いゼダスが思うほど。

 

 

 

 

 ………まぁ、この時のゼダスが知らなかっただけで、その無駄な組み方は“ある機能”を搭載する為に必要不可欠だったらしい。

 

 

 

「よし、間に合った」

 

 出発ギリギリに滑り込む様に列車に乗り込むゼダス。本当に切羽詰まった時間だったらしい。ギリギリの乗車に車掌さんも決して、良さそうな表情はしなかったが気にしない気にしない。時にはスルーするスキルも必要なのだ。

 

「えーっと、席は………まぁ、何処でも良いか」

 

 とりあえず、空いてる席に座る。

 そして、今チラッと見えた光景に「ん?」とゼダスは思った。

 

「(なんで………席に座っている大半の人間が緑の制服を着ていたんだ?)」

 

 この次の駅が学院のある町だから、この列車に乗ってる大半の人間が学院に入学する為に帝国各地………ともすれば外国から来た者だろう。故にここにいる人の大半が同じ学び舎で学ぶ生徒………なのだが。

 何故だろう………自分の眼が可笑しいのか? とゼダスは思わざるを得なかった。

 皆が緑の制服なのに………自分が着ている服は紛れもない“赤”。これでは一枚の葉っぱだけが生き急いで、周り緑の中、紅葉してしまった様なものだ。………いや、それも語弊がある。別にゼダス一人では無かった。限りなく少ないのは少ないが、確かに存在はしている。

 

「…………何か嫌な予感しかしないな」

 

 少数だけが異なるという事例は、往々にしてロクな結果にならないと知っているが故の溜息混じりの呟き。

 だが………このタイミングで、どう予想出来ただろうか。

 その呟きがよもや………………全く別の方向(・・・・・・)で現実になるとは。

 

 

 ───バンッ! バンッ、バンッ!

 

 

 列車前方から響く甲高い音。鼻に来る独特な臭いから察するに………間違いなく、銃声。

 その事実は入学前で浮き足立っていた学生たちから希望の明るさを奪い────

 

 

「う、うわぁぁぁぁああああああああぁぁぁぁぁ!」

 

 

 ───たった一人。そう、一人が叫ぶだけで………驚きという名の混沌(カオス)がこの場に一気に伝播する。

 冷静さなんて、誰一人………いや、一人を除き、全員が失っていた。………まぁ、その一人は間違いなく、執行者であるゼダスなのだが。

 ゼダスにとって、予定外の不祥事なんて物は慣れている。いきなり、銃声を聞かされても、多少耳障りなだけで、特段驚きはしないだろう。

 ただ、思った事は………

 

「(面倒な事になったなぁ………)」

 

 これだけ。

 

 銃声が響いた以上、きっとロクでも無い状況が待っている。

 ただ頭がイカれた奴が発砲しただけならまだ良いにしろ、何らかしらの目標を持った複数人での犯行とかなら、厄介だろう。

 ゼダスとしては穏便に行きたいのだ。命じられているのは「学生を演じる」。たった、それだけなのだ。

 なのに、何が悲しくて、わざわざ面倒事に巻き込まれねばならんのだ。ゆっくりまったりイージーモードで学生生活しても、命令には逆らってないんだから、別に良いはず。

 

 ───と、脳内で理論展開していると車内放送で野太い声が流れてくる。

 

『皆の諸君、御機嫌よう。生憎、悪いが楽しい楽しい談話はここで終わりだ。何故なら、この列車は私たちが乗っ取らせてもらったからな。君たちには………ここで死んでもらう』

 

 ───決定的な一言だった。

 

 その一言に無数の学徒の一部は怒りに拳を震わせ、また一部は生の終了の宣言に涙を流し、また更に一部は思考を停止させられていた。

 もう駄目だ。冷静さを取り戻す要因を完全に摘まれた。

 

「(銃声で注意を惹きつけた上で、非日常を突き付ける事によるマトモな思考を奪う……実に単調な作戦だが、上手い)」

 

 ゼダスが思った通り、文面化してしまえば、実に単調な策なのだ。

 だが、この列車に乗ってるのは大半が入学前の学徒………つまりは子供だ。大人であっても難しいと思われる、緊急時に思考の切り替えを即座に行えないに違いない。加え、一発目の銃声の後からの手際の早さ………流石のゼダスも「上手い」と思わざるを得なかった。

 そして、問題は相手側が何を望んでいるか、だ。

 多分、金目当て………では無いだろう。襲撃に掛かる人員、労力、資金を換算して、こんな学徒だらけの列車を襲うメリットはさして無い。

 しかし、他の目的と言われても、思い付かないのだが────と思う中、相手側が要件を述べる。

 

 

『そうだなぁ………助けてやっても良いが、条件があるな。赤制服。この列車の中に乗ってる赤制服を全員、先頭車両に連れてこい。勿論、武器とかは持ち込ませるなよ。それで他の奴らは助けてやろう』

 

 

 ………

 

 

 ………………

 

 

 ………………………

 

 

「(………………………………嘘だろぉぉぉぉぉ⁉︎)」

 

 まさかのピンポイント指名。いや、ピンポイントでは無いのかもしれないが、限定され過ぎれる。

 と、ゼダスは若干、驚きを隠せないでいる中………列車内は面倒な状況になっていた。

 生きる唯一の光明を見出せたのだ。大多数の緑制服は極少数の赤制服を物量で無理矢理、身柄を拘束する光景がチラホラと見えてしまった。

 赤制服も頑張って、反抗するが多大な物量の前には無力。そして、ゼダスも………呆気なく、捕まった。

 本気を出せば、幾らでも掻い潜れたのだが、状況が状況だ。

 

「(今は………今だけは流れに身を任せる方が良い)」

 

 そう思い至ったゼダスは、大人しく先頭車両に連れて行かれたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

―――*―――*―――

 

 

 

 

 

「これで……全員か?」

 

 先ほど、車内放送で聞こえてきたのと殆ど差異の無い声を発するは車両の奥扉側に立つ身体付きの良い男だった。

 筋骨隆々と言っても差し支えない身体に防弾ジャケット等々の防具類。手に持っているのは、車両内という狭い空間ではロクに取り回せないであろうM134………通称、ミニガンと呼ばれる大型機関銃。まぁ、目の前に立つ対象を撃ち穿つだけなら、充分事足りるレベル。むしろ、過多な気もしなくはない。

 男の左右には一人ずつ控えがいるが、そいつらも似た様な装備に持っているのは、普通のアサルトライフル。殺傷するには充分。

 

 ────と、ゼダスが襲撃者連中の装備云々を換算している中、集められた赤制服6人の内にいた、如何にも正義感強そうな緑髪眼鏡野郎が声を荒げていた。

 

「一体、お前たちは何なんだ⁉︎」

「何、と言われてもなぁ………正当な仕事で来た“死神”か?」

 

 男の応答にゼダスは若干眉を顰める。

 仕事………この手際の良さから、目標があることは明白だった。しかも、“死神”と称したところ、赤制服を殺しに来たんだろう。

 だが、そこまでして、赤制服だけを殺しに来た理由が未だに分からない。

 何か………何か嫌な予感がする。放っておくと悪化して、取り返しの付かないことになる悪性腫瘍の様に。

 まずは理由を引き出せると良いのだが、目立ちたくない。

 正直な話、相手が如何なる装備を用い、場所がどれだけ劣悪だろうと───あの程度(・・・・)の練度ならば、ゼダス一人で制圧は十分だろう。それも、一切の被害を出さずに。

 だから、交渉だろうが何だろうがやろうと思えば出来はする。下手を踏んだら、責任取って瞬時制圧で済むのだから。

 しかし、その手が後々に響く影響を鑑みれば………………ちょっとどころか、かなり面倒なのだ。

 まず、この襲撃者連中に仕事を頼んだ奴が面倒な系列の相手だと、早速厄介ごとを抱え込む事になる。そして、例え面倒な相手じゃないにしろ、こっち側に飛び火しそうならば、根源を叩いておいて損は無い。つまり、結局、仕事が増える。無給仕事絶対反対。

 加え、この列車には多くの学徒が乗っている。そんな列車にやってきた襲撃者を、たった一人で追い返したなんて知れたら………確実に注目の的だ。穏便に過ごすつもりが最初っから瓦解してしまう。

 

「まぁ、死神といえど………チャンス位はくれてやる」

 

 と、思考を割いて降りかかる声。それにここにいた全員が疑問符を浮かべる。

 

「全員、名前を言え」

「名前、ですか………?」

 

 おっとりしてそうな薄紫色の髪の眼鏡っ娘が困惑気に言う。

 だが、この場で抗うのは得策で無いと判断したのか、名乗り始める。最初に名乗ったのは黒髪の少年。

 

「リィン・シュバルツァーだ」

 

 次に名乗ったのが赤茶髪の小柄な少年。

 

「え、エリオット・グレイグです………」

 

 先ほど、声を荒げていた緑髪眼鏡野郎。なお、今も声は荒げていた。

 

「マキアス・レーグニッツだ!」

 

 金髪ツインテール女子………って、その人物にゼダスは内心、

 

「(………マジかよ………………なんで、こんな所で)」

「アリサ・ラインフォルトよ」

 

 で、ゼダスを除き、最後の薄紫色の髪の眼鏡っ娘。

 

「エマ・ミルスティンです………」

 

 ほぼ全員を名を聞いて、ゼダスは確信した。

 

「(赤制服組……随分と出がバラバラだな。まさかと思うが………………赤制服だけは特殊クラスか何かかだなコレ)」

 

 身分格差激しいこの帝国において、ある種の異端である境遇をバラバラにしてあるクラス。

 そんなものを企画し、実現させる………それ相応の無茶を成せる上、随分と発言権のある人がいると見た。予想としては、一人いるが………今はそんなことを考える時では無い。

 

「おい、そこのお前………名前は」

 

 催促され、ゼダスは一瞬、偽名を使おうか悩んだ。

 この状況で真名を晒すのは………絶対に危険だ。執行者としての勘がそう告げている。

 だが、ここで偽名を使うとなると、後々の学院生活で疑心を抱かせる要因にも成り得ない。学生登録は本名で行われてるっていうのが《盟主》の話だし。

 結局、真名で応える事にした。

 

「ゼダス………アインフェイト」

「───ッ! ………くくく、ああ、お前が」

 

  男は一瞬、呆気にとられた様にしたが、次の瞬間には笑いに変わっていた。

 

「随分と………随分と聞いてたよりも少年なんだな、貴様は」

「アンタ………たった今確定した」

 

 何が確定したかというと、ゼダスの中で、完全に面倒臭さよりも眼前にいる連中の排除の優先度が上回ったこと。

 あの反応………知っているのだ。いや、伝え聞いただけかも知れない………執行者No.Ⅱ《天帝》の側面を。

 

「今から、アンタら全員、制圧対象だ。大人しくしろよ。殺さないでやるから」

「「「ッ⁉︎」」」

 

 ゼダスの言葉に他の奴らは驚きを隠せないでいる。

 確かに数では赤制服の方が多いが、いかんせん無武装。しかも、こんな閉鎖空間では銃は確実に当たる必殺凶器。

 そんなものを持った相手に、こいつは何を言っているんだ⁉︎ ………大まか、そう思われているに違いない。事実、客観的に見たら、そう言われてもおかしくない。むしろ、正しい。

 

「ほぅ………随分と威勢の良いことだが、この状況では流石に無理があるのでは無いか? 俺たちは確殺の飛び道具があると言うのに、貴様は丸腰。この優劣差をどうやって埋める?」

「………なんだ、アンタらも所詮は三流かよ。────優劣差なんてモノは関係無い。俺にとっては………この程度の修羅場は超えれて当然なんだよ」

 

 そう言えるだけの自信はゼダスにはある。………いや、そう言えねばならない。今までゼダスが辿って来た軌跡が「言える」と断言させるのだから。

 

「別にアンタらがどれだけの銃弾を放ってこようが問題無い。俺にはそれを覆せるだけの“力”がある」

 

 と、発しながらゼダスはゆったりと歩みを進める。

 一歩一歩を滑る様に、だが確実に。

 そのゼダスの行進に、進路の先に居る襲撃者達はゾゥっと身の毛が一気に逆立つ様な感覚に襲われる。

 

「なん、だ………」

「正直な話、まだ見せたくは無かった。他人に見せて、ロクな事になった覚えが無いし」

 

 男らの震えた声には一切取り合わず、ゼダスは歩みを進め、ただ真っ直ぐをジッと見据えていた。

 正面から見て、漸く理解した。こいつは………ゼダス・アインフェイトは─────

 

「(────敵に回しちゃいけない相手、だと………)」

 

 分かる………分かってしまった。

 ゼダスは………執行者は規格外過ぎる。百聞してきたつもりだったが、たった一見だけで見解を改める必要がある。こんなのはただの“殺戮者”と同じだ。

 知識、戦略、経験………そんなものは規格外相手には障害にすらならない。ただ無意識の内に蹂躙して行く。

 例え、得物の一つも持っていないとしても、ゼダスならば余裕で────

 

「───ッ! お、お前らッ! 撃て、とりあえず撃てェッ!」

 

 リーダー格の男が控えていた二人に射撃を促しながら、ミニガンを炸裂させる。

 毎秒100発の発射速度を誇るミニガンの銃撃に左右からもアサルトライフルの雨。完全に蜂の巣。

 見るも酷い死体と化したであろうゼダスの姿を見まいと全員が眼を瞑っていたが──────カラン。

 突如、響いた謎の音に眼を開くと、そこにいたのは無傷のまま、何も無かった様に立っているゼダスと、列車の床にバラバラに落ちている無数の銃弾。

 

「………満足か?」

 

 何も感じさせない声音で呟くゼダス。

 

「無駄だと分かったなら、早く制圧されろ。別に殺したりはしないし」

「ッ………」

「あ? まだ反抗するのか? 止めとけ止めとけ。アサルトライフルの方はまだしも、ここを襲撃する為にミニガンの銃弾数だいぶ減らして来てんだろ? もう弾切れだから、主武装(メインアーム)は使いモンに───」

「───なら、副武装(サイドアーム)があるのは常識だろうッ!」

 

 と、男は声を張り上げながら、隠し持っていた拳銃を抜き撃ち。流れる様な動作の抜き撃ちは鍛錬故の練度を感じさせ、ゼダスも舌を巻くほどのクイックドロウ。

 放たれた銃弾は眼にも止まらぬ速度でゼダスの胸中へと迫る。

 だが、

 

「───だから、止めとけって言ったのに」

 

 変わらぬ声音で言い切り、ゼダスは迫る銃弾を手で掴み(・・・・)回転方向と(・・・・・)真逆の回転を(・・・・・・)掛けて(・・・)威力を(・・・)完全に(・・・)殺した(・・・)

 

「なぁッ⁉︎」

 

 人並み外れ過ぎているゼダスの曲芸に男は裏返った声を発する。

 だが、声を出せただけまだマシな反応。他の全員、何が起きたのか全く理解出来ずに変に口が開いていただけなのだから。

 

「流石にもう良いだろ。こんなトコで無駄に時間を喰いたくねぇっての」

 

 ゼダスにとっても、流石に嫌気が差してきた。

 

「(ミニガンから拳銃と来たら、次はコンバットナイフとか出て来そうだし)」

 

 もし、コンバットナイフを持ってたとしても、出させなければただの無用の長物と化す。

 ならば、取る行動は単純明快にして、凄い簡潔なもの。

 

「ふぅ………《聖扉戦術》」

 

 腰を低くし、身体中のバネに力を凝縮。

 それを呼吸のタイミングと完全に同期した瞬間に解放。

 全員の視線を置き去りにする速度を得たゼダスは男の懐へと潜り込み、正拳突きを撃ち込む。

 

 

「───断空」

 

 

 その一撃は男の意識を刈り取るには充分過ぎていた。

 この方法ならば、相手が何を持っていようとも大して問題無い。使わせる前に制圧出来るのだから。

 

「どうする、そこのお二人さん? 武器を捨てて投降してくれるんなら、痛い思いはしなくて済むけど」

 

 ゼダスのその一言は物凄い笑顔で発していた。見方を変えれば、笑える程に怒っている。

 これでは注目を集めること間違い無しなのだ。ゼダスにとっては避けたかった事なのだから、当然と言えば当然。

 男の傍に控えていた二人は即座にアサルトライフルを捨て、手を挙げての降伏の意志表示。

 

「流石に無謀な相手はしない、か………そんな常識的な判断出来るんなら、普通に働いて過ごした方が賢明なことに気付けって。まぁ、俺の人生じゃないし、口出さないけど。とりあえず、まだ襲撃者いるんだろ? 全員に投降を呼び掛けて来てくれると嬉しいんだけどなぁ〜」

「「さ、サーイエッサー!」」

 

 ………なんだか、軍隊風の返事になっている気もするが足早に、そして、素直に従ってくれるところ、ゼダスにとっては嬉しい限り。全世界の人間がこうも素直ならば、どれだけ良かったのだろうとも思った。

 

「───で、アンタらは無事か?」

 

 頭を少し横に向け、視線だけを後方にいる赤制服達に向けながら、ゼダスは問い掛ける。

 見た所、大した傷も見受けられないが………見えない所に傷を負われていては流石に気付けない。それが故の質問。

 しかし、全員が頭を縦に振る───つまり、無事という意志を伝えてくれたのを尻目にゼダスは頷く。

 

「なら、良かった。じゃあ、後方車に戻ってくれて良いぞ。俺は色々とやらないといけないっぽい事が残ってるから」

 

 ハァッと溜息を吐きながら、発する言葉に、黒髪の少年──リィンは、

 

「君は………一体………………」

「だから、さっきも言っただろうが」

 

 ゼダスは、ちゃんと真っ直ぐから見据え────

 

 

 

「ゼダス・アインフェイト。ただのしがない学生さ」

 

 

 

 

 

 




さてさて、本編では何か銃弾が勝手に落ちていたり、胸中に飛んできた銃弾を殺し掴んだりと随分と人離れした曲芸を使っている執行者にして《天帝》の異名を持つゼダス・アインフェイトのイメージイラストですっ!


【挿絵表示】


……ちゃんとリンク繋がってる? 後々で確認しますが……一応言っておくと手描きです。新しいペンタブが手に入り次第……描くのかな? 依頼するよりかは安くつくはず。多分、きっと!
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