闇影の軌跡 〜黎明〜   作: 黒兎

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第2回特別実習

「うーむ………………」

 

 差し迫った5月の特別実習日の前日の夜。自室でゼダスは1人、寮の食料庫からパクり………もとい拝借したチーズを貪りながら悩んでいた。

 

 一つは同班のユーシスとマキアスの確執について、だ。入学式以降、改善の兆しが見られないどころか時が経てば経つほどに劣悪な関係になっているのは誰の目から見ても明らか。今ある記憶の中ではまともな人付き合いした経験の少ないゼダスにとってはこの問題の解決は難易度が高い。

 本来、こういう問題はⅦ組の重心と成り得る素質のある奴───具体的に言えば、リィンが適任なのだからリィンに任せれば良いのだが、今回に関してはそういう訳にもいかない。なんて言っても、リィンと班を分けられたからだ。というか、人付き合いが得意そうな連中が軒並みA班に流れたまである。B班でそういうのが得意そうなのと言えば、委員長くらいだろうか。最早詰んでいる気がしなくもない。

 解決の為の一歩として考えられるのが、互いが互いの意見を頭ごなしに否定しない前提で腹を割って話し合うことなのだが、これ自体が叶いそうにない。次に武力行使で強制的な和解に持ち込む手段も無くは無いが、それをそもそも「和解」と称するのが正しいのかは疑問点であるし、その方法では結局問題を先送りしているだけな感じもする。

 

「………やっぱり、こういうことは慣れてないんだよなぁ………………というかチーズ美味い」

 

 未だにムシャムシャとチーズを貪るゼダス。悩みながら摘んでいたとはいえ、気付けば自室に持ち込んでいた量の半分は腹の中に消えていた。

 

 だがしかし、ゼダスの脳内を占領していたのは全く別の案件だった。

 

 前回の実技テスト。その後に急遽呼び止められ、一方的に語り掛けられたフィーからの言葉。あの内容に関して何度も何度も考え直した。

 

「(『時間が解決してくれる』って一体どういうことだ………? しかも、『俺が俺のままいることが約束』って何なんだよ………)」

 

 だがしかし、納得のいく答えは出てこなかったのだ。

 フィーに関する話と戦闘スタイルから元は猟兵たったのはほぼ確実と言って良い。それを頼りに記憶を辿れば………

 

「(潰したとか壊滅的な被害を与えた猟兵団の思い出とか一々覚えてる訳ないんだよなぁ………)」

 

 幾らでも情景が浮かびはするものの、その全てがロクでもないようなものばかり。

 命令を受けて、猟兵の数を減らしたこともあった。団間の争いが激化していたから、わざと手出しして更に状況を引っ掻き回した時もあった。全てに通ずるのは、まともに記憶しているのは血の匂いが濃かったことくらい。とてもじゃないがフィーみたいな少女が出てくるような記憶はなかったはずだ。

 

「うーむ………………」

 

 ───ここまで考えて、行き詰まる。こんなことをここ数日ずっと繰り返してきた。

 本人に直接問えば、答えてくれるかもしれない。が、丁度上手い具合に避けられ続けている。気付けば何処かに消えている。この案件に関して聞けずじまいで良いにしろ、避けられるのは気持ち良くはない。

 

「(───って、別に学院での人間関係はどうでもいいんだろうが………何気にしてんだ俺)」

 

 もう夜も遅い。きっと、思考が鈍っているのだろう。

 そう判断したゼダスは寝ることにした。明日は実習だ、朝は早い。先月のに比べれば人間関係的な意味で大変だろうが、頑張るしかない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――*―――*―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 特別実習当日の朝。結局何も好転しておらず、最悪の空気のまま班ごとに行動することとなった。………B班から漂う同情の目線がとても辛かった。誰も好きでこんなメンバーで行動する訳ではないのだ。一層の事、無視してくれた方が気が楽である。

 別の街での実習であるから、列車での移動なのは先月と同じ。だが、勿論駅での待ち時間の時も気不味い雰囲気だった。そして、それが列車に乗った後も継続するのは自明の理で………

 

 

「ふぁー………」

 

 

 険悪極まりない空気が漂う列車の中、ゼダスは欠伸をしながら手元の本に眼を落としていた。内容は実習先のバリアハートのことに関して纏めてある観光本だ。初めて行く土地である以上、事前にある程度の情報を入れておきたかったのがゼダスの思うところ。で、内容を掻い摘んで纏めると────

 

 

 《翡翠の公都》バリアハート。

 

 

 帝国東部クロイツェン州の州都であり、四大名門が一角、『アルバレア公爵家』が直々に治めている総本山でもある。

 帝都から特急列車で約5時間半の距離で、かつては皇帝が住んでいた事があり、由緒ある都市である。

 人口は約30万人。大貴族である公爵家の総本山である為、住民の多くが貴族階級であると印象を受けるが、割合的にはそんな事もなかったりする。それでも、やはり貴族階級の住民が多いのも事実なのだが。しかし、平民は貴族の使用人として、出稼ぎに来ている事が多い事からは目をそらす事は出来ない。

 平民を使用人として働かせているという事が貴族の間で需要の高い宝石類や毛皮などが特産品として取り上げられている背景には存在する。広大な敷地内に鉱山なども多く存在するみたいだし、それで産業を回しているのだろう。戦術オーブメントに組み込みクオーツの元である七耀石も取れるらしいので、実習中に貰えるだけ貰いたいのだが、多分そんなことをしてる暇はないのだろう。

 

 

「すぅ………すぅ………………」

 

 

 ────と、そこまで思い至った時、腕に感じた感触。その元凶はフィー。どうやら眠ってしまったらしく、何故かゼダスの腕にしがみついていた。慎ましいとはいえ胸を押し付けられているのだから青少年的には色々思うべきなのだろうが、大して何も思わずに読書を続けた。他のメンバーからは白い目で見られたのは内緒の話。

 

 

 

 

 

 

―――*―――*―――

 

 

 

 

 

 

 程なくして、目的地のバリアハートに到着した。無事到着した………のだが、

 

「うわっ………なにこれ」

 

 ボソッと呟くフィー。しかし、そう呟きたくなる光景が広がっていたのは確かだった。

 列車が駅に止まり、Ⅶ組B班がホームに降りるや否や、直ぐに駅員たちに囲まれたのだ。

 ここはバリアハート。《四大名門》の一角であるアルバレア家の総本山だ。となれば、子息であるユーシスがくるとなると当然、普通の対応をされるわけがないのは分かっていたが………まさかこの時からだったとは誰も想像はすまい。

 だが、この状況の原因でもあるユーシスは快く思っていない様子だった。

 

「過度な出迎えは不要だと伝えておいた筈だ………───っ!」

 

 ユーシスは制止をかけるべく言葉を紡ぐが、途中で息を呑む。それもそう………何故なら、いきなり駅員たちの集団が割れ、高貴な御人が入ってきたから。そして、その相手が────

 

「────兄上っ!?」

 

 ────ユーシスの血縁者となれば当然か。そんな人が出迎えに来るのはもっと予想外だった。

 

「親愛なる弟よ。三ヶ月ぶりくらいかな? いささか早すぎる再開の様な気もするが、よく戻ってきたと言っておこう」

「………はい。兄上も壮健そうで何よりです」

 

 普段のユーシスの態度からは想像出来ない位に殊勝な態度に他のメンバーは多かれ少なかれ驚きを隠せなかった。因みにシノブは口元を隠して肩を震わせていた。余程面白かったのだろう。

 

「そして、そちらがⅦ組の諸君という訳か」

 

 急に話を振られて戸惑うが、こういう目上の相手への対応には慣れている。ゼダスは特に萎縮した様子を見せずに、

 

「お初にお目にかかり光栄です。………その口振りだと、特科クラスのことも知っておられるご様子で。ただのアルバレア家のご子息ではないんでしょう? ………一体何者です?」

「そういえば挨拶がまだだったね。私はルーファス・アルバレアだ。この弟のことだから、私という兄がいたことを話していなかったのだろう」

「仰る通りで。話したくないことはわざわざ踏み込んで聞かない主義なんで」

 

 だって、俺だって話してないし────内心そう思うゼダス。寧ろ話したことの方が少ない。だって、説明が面倒だし、後処理が厄介だし。余程のことがない限りは話すことはないだろう。

 

 その後、ゼダスとルーファスは終始笑顔で他愛もない会話を続けていた。今さっき初めて会ったとは思えないくらいに。

 ルーファスが話しやすい人柄なのか、ゼダスが世渡り上手なのか。又はそのどちらでもない何かかは分からないが、他のメンバーにとって拭えない違和感があったのは確かだ。

 誰かがその違和感の正体に気付けたか気付けなかったかした頃。ルーファスの先導でⅦ組B班は今回の宿泊先であるホテルに連れていかれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

―――*―――*―――

 

 

 

 

 

 

 

 流石大貴族と言うべきか、豪華なリムジンでホテルへと連れて行かれた。

 世間話やユーシスの話で盛り上がっている中、特別実習の課題が記されている封筒を受け取った。という事は──

 

「この封筒を持っているって事は、ルーファスさんは学院関係者だったりするんですかね?」

「洞察力は大した物だな。そうだよ、私は学院の関係者だ」

「それだけですか?」

「ゼダス君は中々踏み込んでくる人なんだな」

「よく言われます」

「そうか………。隠してても仕方無いし言わせてもらうと、常任理事だ」

 

 突然のルーファスの告白に俺を除いた全員が目を見開く。その様子を見ると、弟であるはずのユーシスも知らされていなかった様だ。

 学院に通ってる身としては、目の前にいる人が──ユーシスから見たら身内が──学院の高位関係者なのだから、この反応は仕方無いと言える。

 その衝撃の告白から直ぐに、宿舎となるホテルに着いた。明らかに学徒が、ましては実習中に泊まるには場違い過ぎる雰囲気だった。

 荷物をまとめて、ホテル内に入ろうとする中、ルーファスが言う。

 

「Ⅶ組の諸君。ちょっとゼダス君を借りても良いかな?少し二人きりで話をしたい」

「おや、奇遇ですね。俺も面倒な課題さえ無かったら、そうしたかったですよ。でも、それでⅦ組を待たせる訳にはいかないんですけど」

 

 相手を立てた上でのやんわりとした否定。正直な話、ルーファスと二人きりでの会話とかしたくないゼダスである。

 正真正銘、先の邂逅が初対面な相手に抱くような感想ではないのだが──

 

「ほんの少しで良い。話している間に課題を進ませて貰えば良いのではないかな?」

 

 ──その一手さえも潜り抜けてくる。内心、悔しかった気もするが、平常心を心掛け、

 

「ま、それなら問題ないでしょう。理事なら、この程度の裏合わせぐらいは余裕でしね。と言う訳で、お前ら。後、頼むわ」

 

 と手を振り、後にする。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――*―――*―――

 

 

 

 

 

 

 

 

 ゼダスが連れてこられたのはバリアハートの中でも高い位置の土地に聳え立つアルバレア公爵家の本邸だった。

 並大抵の貴族の家でもここまでの規模を誇る館はそうそう存在しないだろうと思わせる雰囲気にゼダスは割と引いていた。聞いていた以上に凄かった。というかもはや要塞であった。

 我が家に先々進むルーファスに三歩後ろをゼダスは付いていく。大きな門を潜り、広大な庭を超え、館の扉を開いた先はまさに豪華絢爛の体現。

 

「一面大理石の床に、レッドカーペットに、シャンデリア。一体、何処の大貴族だ………」

「ここはその“大貴族”の本館なのだが」

「ああ、そうか。ルーファスさんが“妙に”人に好かれそうな感じの人だから、大貴族って事を忘れてましたよ」

 

 そんな感じの話をしながら、辿り着いた先は広いスペースのある一室。中には長机が置いてあった。

 

「お茶を二つ頼めるかな?」

 

 ルーファスの一言に部屋のすぐ外に待機していた執事風の男は一礼して、指示に従う。

 これが貴族か………と思うゼダスにルーファスは、

 

「立ち話も何だし、座ったらどうかね?」

「それじゃあ、お言葉に甘えて」

 

 ゼダスはルーファスが座ろうとしていた席の対面側の席に座った。付け加えるならば、一番ルーファスと距離を置ける席に座った。

 椅子に着いてからは二人の間に沈黙が流れ続けた。側から見るならば「気不味い」と思われても仕方ないこの状況。

 

 しかし、ゼダスはそんなことを思うよりもルーファスに対しての警戒心が心の中で渦巻いていた。

 

 これから実習を始めるというのは先刻、常任理事としてB班に課題を渡していたから知っているはず。そんなタイミングでわざわざ「二人っきりで話がしたい」ときた。何かがあると思って当然だし、思わない方がおかしい。

 そして、ゼダスの本能が先程からずっと警鐘を鳴らしているが、目の前の相手(ルーファス)は十二分に厄介な相手だ。どういう点で厄介かは明言出来ないが、厄介であることには絶対的な自信がある。

 故に極力は関わらないが吉。だが、知らないままでいることが吉でないことも確かだったのだ。

 出来ることならば本人には触れられずに周りからの情報を揃えたかったが、そんなことをさせてもらえる訳も無いのか、あっちから先手を打ってきた。これは非常に不味い。

 

 脳内が現状と推測で一杯になり永遠循環し始めた頃、部屋の扉がノックされる。きっと、さっきの執事だろう。流石は大貴族の家に仕えているだけのことはある。仕事が早い。

 

「お待たせ致しました」

 

 執事は手にした紅茶の入ったポットとカップ、それに茶菓子を長机に並べ準備して部屋を跡にした。まるでルーファスの意を言外に汲み取ったみたいに。

 

 セットされた紅茶を一口含んだルーファスは会話を始める。

 

「改めて、はじめまして、ゼダス君」

「こちらこそ、はじめまして」

「君の話は学院側からよく耳に届いているよ。活躍しているそうじゃないか」

活躍(・・)ねぇ………俺は出来ることをしているだけなので」

「それは謙遜かな? 出来ること(・・・・・)で先月の特別実習で正体不明の相手を撃退したというのはどうかと思うが」

 

 そこまで話が渡っていたか………と思うゼダス。別に予想していなかった訳ではないが、これで不味い結果になることは確定した。

 学院に編入するにあたっての資料に目を通されているとすれば、聡い奴ならばゼダスの素性に疑問符が出るはずだ。妙に普通過ぎる(・・・・・・・)と。明らかに裏に何かあると思われても是非は無い。

 そして、それを探り───又は確信を得るために先の特別実習でのことを引き合いに出してくるということは………

 

「……………………………めだ………」

「ん? 何かな?」

「まどろっこしいことはやめだッ!」

 

 ゼダスはガンッと机に拳を叩きつける。

 

「建前とか回りくどい攻め方するくらいなら、さっさと本題に入れよ。その方が互いに時間が掛からなくて済む」

「………それもそうだ。では、すまなかったと同時に言わせてもらおう。────一体何が目的だ、《天帝》」

 

《天帝》───その名でゼダスを呼ぶ者はつまり、結社に関してある程度知っているも同然。しかも、あの棘の含む言い方。結社の執行者が如何に危険であるかは把握しているらしい。

 だからといって、ルーファスに今手にしている情報を詳らかにする必要はない。………といっても、「何が目的だ?」と聞かれても納得の答えを出せる訳ではないのだが。しかし、「伝えれる明確な情報が無い」というのも一種の強力な情報だ。

 ならば、ここは黙るに限る。が、ゼダスを何故《天帝》と称することが出来たのか───これに関しては問わねばならない。

 となれば、これは必然的に………

 

「………良いぜ、答えよう。だが、代わりに俺の質問にも答えてもらう。────これでどうだ?」

 

 ゼダスの中でルーファスに対する一応の敬意よりも警戒心が強くなっていたのか、いつの間にか執行者としての口調で話していた。

 学生を演じている時の一定の壁を置きながらも会話しやすい雰囲気を出してたのとは対極。

 自軍の利益だけを尊重し、他のものは思考から外す。利用出来るものならば徹底的に使い潰した上で捨てる。絵に描いたような冷酷な執行者。

 それが執行者NoⅡ《天帝》ゼダス・アインフェイトなのだ。

 

「………良いだろう。では、話したまえ」

「よし。で、目的だが………俺も分かってない。上からの命令でね。詳しく聞かされてない」

「それは本当かね?」

「俺の言葉の真偽はアンタが判断しろよ。どうせ、言葉をそのまま鵜呑みにするような柄でも無いだろうし」

「確かにその通りだ。言葉を字面通りの意味でしか捉えれないとなると貴族()の世界では幾ら命があっても足りないからね」

 

 そりゃそうだ、と内心嘲笑うゼダス。

 貴族の世界は本音なんてものは存在しない建前だらけ、相手の口から出る言葉全てを虚構だと思っても問題ないようなところだ。鵜呑みにすれば最後、貴族社会的に殺されるがオチだ。余程恨みを買っていれば物理的に殺されるだろう。

 そして、ルーファスはかの四大名門の一角のアルバレア家の長男坊。並大抵の貴族とは潜って来た場の数が違う。故にそこら辺に関しては弁えていて当然だ。

 

「───で、君の質問とは一体何かな?」

「別に言わなくても分かってるだろ。───何処でその《天帝》の名を知った?」

「君の編入時の資料の中に記載されているといえばどうする?」

「そんな訳あるか。こっちの連中がそんなミスらしいミスするかよ」

「意外だね。君みたいな人がそう簡単に信用するとは思えないのだが」

「バッカ、情報とかは専門家に任せるのが一番なんだよ。この程度のミスを犯すような奴はいないんだわ」

 

 事実、提出書類にあからさまに結社からの出向だと仄めかすような記載をするようでは情報を扱う者としては三流。そして、結社に籍を置く者は余程の末端でない限りは多方面で一流だ。実力主義寄りなところのあるゼダスにとっては信用に足る存在であるのは自明の理。

 なのに、眼前の男(ルーファス)は真実が透けて見える嘘を吐く。その程度しか出来ないただの馬鹿か、あるいは────

 

「(───それすらも織り込んだ上での対話を可能としている“天才”、か………十中八九、後者だな)」

 

 そうでもなければ、ゼダスと………結社の執行者と、自分の領域とはいえ一対一で対談しようとは思うまい。もし機嫌を損ねようものなら、相手によるが最悪首が飛びかねないのだから。

 誰が好き好んで猛獣と同じ檻に入れられる状況になろうとするのか。余程の物好きか───それともその危険を冒すだけの価値がある利益を見込めるか。

 

「で、本当の所はどうなんだよ。何処で、何が原因で知った? ここまで聞き質しても何とか答えずやり過ごそうなんて考えるなら………」

 

 ゼダスは手元に真紅の大剣レーヴァティンを顕現。その切っ先をルーファスに向けて、言葉を紡ぎ続ける。

 

 

 

「────今ここでアンタを殺す。正直、俺の勘だとお前をそのまま生かしておくのは嫌な予感しかしないしな」

 

 

 

 会話を重ねる度に這い寄る形容し難い“何か”。それがルーファスの中にあるのは確実だった。

 底が見えず、何かは分からない。ただロクでもないものが眠っているのは最早確定事項と言っても差し支えない。

 ならば、ここで処分しておくのが賢い選択だ。しかも、肝心な情報を吐かないのだから、相手にかける慈悲などもゼダスの中には無かった。

 だが───

 

 

 

 

「………………分かった。ならば、ちゃんと答えよう。だが、君が私に仕掛けたように君も私の言葉を真偽を判断したまえ。君の名は─────」

 

 

 

 

 

 

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