闇影の軌跡 〜黎明〜 作: 黒兎
最近、不運な出来事しか起きない「 黒兎」です………え、やってたゲームのデータ吹っ飛んで、執筆中にPCフリーズして原稿吹っ飛んで、自転車に足轢かれて、自転車の空気入れ中にハンドルに頭ぶつけて………もう私のライフはゼロよっ
今話投稿して直ぐにメンテ明けるFGOでもきっと爆死するんだぜ………行ってまいります
………今回、オリキャラ出てます! ただ、名前は出てないよ!←
校門前にいた小柄な少女の言葉通りに進んだ先にある講堂にて、ゼダスは入学式が始まるのをボケーっと座って待っていた。勿の論、出来るだけ目立たない様に後ろの方の席の一番端っこを陣取っている。
流石にまだ時間に余裕があるということで、講堂の中にいる人の数は疎ら。
人が少ないと目立つ云々の事柄を気にしなくて良いので、他の事を考え込んでしまう。
まず、列車内での事件について。
襲撃者全員の制圧後、監視がてらに色々と聞いたが………特に実入りのある話は聞けなかった。
ゼダスが《天帝》と呼ばれていて、凄く強いことを知らされていたからこそ、潰しておきたかった。と、襲撃者らの依頼主が言っていたらしい。
ただ、奇妙な事に、制圧した連中の中で依頼主に関する情報が一切合切出てこなかったのだ。
下っ端連中には情報が与えられていないのか、もしくは何らかの記憶操作を受けているか。ゼダスの素性を知った上で依頼してくる輩だ。記憶操作なんていう異能を使えても何ら不思議では無い。
ゼダスが断空で意識を刈り取った、襲撃者の中でのボス格の奴は未だに意識が戻ってないから問答出来なかったし………あいつの口から何か情報を引き出せれば、それなりに結果は変わっていたに違いない。流石にボス格さえも情報を規制されている筈が無い。少なくとも、下っ端連中よりかはマシだろう。
しかし、憲兵に引き渡してしまった以上、それ以上の情報を得るには伝手を使わなければならない。とりあえず、入学式後に連絡を取ってみて確認するのが最善策と見える。
そして、結社の事も考え込んでいた。厳密には、ゼダスに学徒である命令を下した《盟主》の思惑に関して、だが。
《盟主》の命令の意味が、目的がよく分からないのだ。
このトールズ士官学院に何らかの情報や重要物があり、それを回収すると仮定すれば分からなくは無い。だが、それならわざわざ学生として過ごす必要は一切無いのだ。何故なら、執行者としての力を遺憾無く発揮すれば、力づくで回収出来るのは目に見えているから。
だが、他の目的で結社の利益となる可能性があるかと言われれば───
「……思い付かないな」
───全く頭の中から捻り出せなかった。
ただ、《盟主》曰く、ゼダスが学院に入る事と結社の計画が繋がるらしいが……やはり合点がいかない。
せめて、何がどう繋がって、どういう結果を生むかの説明が欲しかった。じゃないと、納得出来ない。納得のしようがない。
考える事に疲れたのか、それともここに辿り着くまでの過程で疲労が溜まったのかは分からないが、若干の倦怠感を感じ、ゼダスは徐に瞼を閉じる。
そうして見えてきたのは……執行者としての所業の追想光景だった。
降り頻る雨すら効果を成さないほどに燃え盛る街並み。鼻を刺す様な充満する“死”の臭い。
無数の屍の上に立つ一つの影。影が纏うコートが風で棚引く度に想起される“死神”の
その瞳に宿るのは────深淵の底よりも濃い無感情の闇。“虚無”と揶揄しても差し支えないであろうその瞳は見るもの全てに警戒心を抱かせると同時に、絶望感を与える。
あんなものを相手にすれば死ぬ。深い闇の中に引き込まれて呑まれ尽くされる。斃れるよりも酷い何かが待っている……などなど。
きっと、本人にとっては迷惑極まりない。だが、他人から見れば当然の無数の思いはあったに違いない。
しかし、それはゼダスが執行者として辿ってきた軌跡を鑑みれば当然の帰結。本来なら、その思いを全てこの一身に背負わねばならない。
だが……だが─────!
「──────────ッ!」
突如、カッと眼を見開き、口元を手で押さえる。
「(結局、克服出来ず終いか……)」
気を緩めてしまった時に時折、見える光景。
実体験の時の感覚も寸分違わずに想起してしまうからか、思い出す度に気分が悪くなってしまうのだ。現に制服の裏は洒落にならないくらいの冷や汗を掻いている。
別に大した運動もしてない筈なのに息が乱れていたので、一旦深呼吸すると……ちょっと目の前の光景に驚いた。
「…………」
その……何というか。
ゼダスが追想光景を眺めている間に入学式は始まっており。
その上、壇上では如何にも学院長っぽい人が話をしており。
そのまた上、話は終盤に差し掛かってる風な雰囲気を感じとり。
まぁ、その……何だ。
客観的に見たら、入学式始まってから終了間際まで居眠りをしていた様に見えるのでは……と。
とはいえ、まだ話が終わったわけでは無さそうなので、耳を傾ける。
「───さて、最後に諸君らにはかの大帝の遺した言葉を伝えようと思う」
その言葉は講堂内によく響く。果たしてそれは、純粋に大きな声音だからか。それとも、聞く皆の心に刺さる様なものだからか。
「『若者よ、世の礎たれ』───“世”という言葉が何を指すのか。何を以って、“礎”とするのか。その意味をしっかりと考えてほしい」
かの大帝───この学院の創立者であり、内乱を収めたドライケルス大帝の言葉。
確かに若者が考えるべき、
人は人の数だけ別の捉え方を持つ生き物なのだから、この言葉だって、捉え方はまさしく千変万化。
「(だけど、今考えるべきことでは決してない……な)」
と思うのも理由がある。
さっきの意味深めいた言葉がどうやら、入学式終了の御言葉だったらしく、講堂内にいる大多数の緑制服の生徒とその半分くらいの人数の白制服の生徒がゾロゾロと行動を始めたからだ。
結果、何も聞かされていない赤制服……都合11人は講堂内にポツーンと取り残された形になる。
全員が全員、強弱の差はあれど戸惑いを見せる中、突如声が届き聞こえる。
「はいはーい。赤い制服の子たちは注目〜!」
その言葉通り、全員が音源の方に眼を向ける。………が、ゼダスはその音源の方にいた姿に若干顔を強張らせる。
そこにいたのは深紅の髪を後ろで束ねた女性。一般的な観点から見れば、充分に“美女”と扱われるに違いない。
だが、ゼダスにとってはそんな一般的な見方で見れていない。もっと………もっと警戒すべき存在。
「………………」
無言で睨み付けるゼダスを女性は一瞥。何か言いたそうにしていたが、言葉を呑み込み話を続けていく。
「どうやら、クラスが分からなくて困ってるみたいねぇ〜。まぁ、勿論事情があってのこと、なんだけど」
「んな、御託はいいから早く本題には入れよ、バカ教官」
「アンタねぇ………少しはその悪口調直しなさいっての」
深紅髪の女性───教官と呼ばれた女性の言葉に喰いついていたのは白髪の生徒だった。
だいぶ小柄で赤制服の中でも一、二を争う小ささ。だが、言動から見るに態度は大きい。
随分と反抗的に見えるが、反抗したくなるお年頃なんだろう。仕方ない………………でも、一応力をだいぶ抜いて、教官は白髪っ子を小突いていたが。
「………ったく、調子狂わせられるわね。えーっと、君たちには今から『特別オリエンテーリング』に参加してもらいます」
―――*―――*―――
「『特別オリエンテーリング』に参加してもらいます」の言葉で連れられた場所は学院裏手にある廃墟………もとい旧校舎。完全に夜中には立ち入ってはいけない部類の雰囲気を醸し出すのは、無駄な不安を煽って来る。
だが、教官は随分と楽し気に鼻歌を歌いながら、旧校舎の鍵を解錠していた。ゼダスとしてはそっちの方が数倍怖い。
そして、開かれる扉。勿論、外見のボロさに比例して中もだいぶボロい。
ただ、その『特別オリエンテーリング』とやらの会場がここなんだろう。全員続いて入るが────
「………………ん?」
───何処からともなく感じる気配にゼダスは振り返る。が、あるのは木々ばかり。
「………………………まぁ、気にする程度の事じゃないか」
と、一人で断定して小声で呟き、ゼダスも旧校舎の中に姿を消す。
―――*―――*―――
「──ほっほう………アレが俺たちの後輩か」
旧校舎を見下ろせる丘に人影が二つ。その内の一つ………頭にバンダナを巻いた青年は言葉を漏らす。
「にしても、あの殿にいた黒髪………だいぶヤベぇな。なぁ、ゼリカ」
“ゼリカ”───と称された黒いライダースーツの女性はその言葉に同意すると同時に驚きを隠せないでいた。
「普通、あそこからこっちの存在に気付くか………? 相当距離はあるはずなんだけどね」
「まぁ、あいつが“訳アリ”の特別クラスの中でも教官が一番危険視しているらしいしなぁ。マジでバケモンじゃねぇの」
「確かに怪物に近いとも言えそうだね。あの旧校舎の“仕込み”に関しては同情を禁じ得ないつもりだったが、彼だけは平然と攻略しそうだ」
「うわぁ………あんだけ苦労したのにって言いたいが、確かに平然としてそうだよなぁ。クソったれの規格外かよ、ったく」
青年は悪態を吐くものの、表情は実に楽しそう。きっと、規格外な後輩が出来るとその眼で見て、理解出来た事に熱くなったのだろう。
やはり、心は少年か────と、女性は微笑み、言葉を発する。
「さぁ、見せてもらおうか。帝国の未来を形作るであろう彼らの初陣を」
いやぁ、文字数少ないっすね。配分間違えるのは悪い癖だと自負してるけど直らない(泣)
なんだかんだ言いながら、リメイク前に出せなかったアンゼリカ先輩! 書いてて凄い新鮮だったさ………