闇影の軌跡 〜黎明〜   作: 黒兎

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FGO終章でガチ泣きしました! マシュ………マシュは良いぞ! 遅過ぎることはない! 今から始めても問題無いからFGOやってみて! 感動するからさぁ!


と、FGOの宣伝をしてしまうくらいに感動してしまった「 黒兎」です。福袋はキャスター引く模様。玉藻はお呼びでねぇですよ?


今回は年末最後の更新かな? 話としてはあんまり進んでない………文字数も案外少なめです。というか意識的に少なめにしないと私執筆辛いことに気付きました(今更)


赤制服大集合

 先述の通り、帝国には貴族平民間に大きな差が存在している。昔からの慣わしなどというくだらない&大して重要でも無いことだというのに、それは今現在進行形で存在している。

 故にこの世界……少なくともこの帝国に限っては、『人間皆平等』などという理想は絶対に成し得ない。

 その理想は平民が掲げるもの。虐げられしものが掲げるべきものであり、貴族という名の搾取する側にとっては不要なもの。貴族にとっては現状が一番都合が良いのだから。

 

 だが……まぁ、その、なんだ。

 結社に籍を置くゼダスにとってはどうでも良い話なのだ。

 そんな生まれながらの身分云々よりも、自分の持つ実力が重要なのだから。

 上に立ちたければ、強くなれ。弱き者は下に着け。

 こういう実力主義の環境なのに加え、ゼダスは他人の環境に関心があるとはあまり言い難い。

 結果、貴族が何だろうが、平民が何だろうがだってどうでもいい。現に世界にはもっと良い環境……反面もっと悪い環境の国家だって存在する。なのに、たかが帝国の事情に割く要領なんて無いっての……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ───と割り切れると思っていた時期もありました。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――*―――*――― 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………君、何か文句でもあるのか?」

「別に。“平民風情”が騒がしいと思っただけだ」

「これはこれは………どうやら大貴族のご子息殿が紛れ込んでいたようだな。その尊大な態度………さぞ名のある家柄を見受けるが」

 

 場所は旧校舎一階。

 眼前で引き起こされるはクラスメイト同士の実に面倒な雰囲気しかない言葉の応酬。しかも、貴族と平民の関係性が絡んできてると見た。

 どうやら、啀み合っているのは“平民風情”の緑髪眼鏡野郎………列車内で出会ったマキアス・レーグニッツに───

 

「ユーシス・アルバレア。“貴族風情”の名前ごとき、覚えてもらわなくても構わんが」

 

 帝国貴族の最高峰《四大名門》が一角。東のクロイツェン州を治めるアルバレア公爵家のご子息こと、ユーシス・アルバレアときた。

 

 

 

 

 

 

 さてさて、何故こうなったかというと、この旧校舎に連れてこられて、教官───サラ・バレスタインが説明がてらにある爆弾発言を打ち込んできたのだ。

 

 

「今年からもう1つもクラスが新たに立ち上げられたのよね〜。君たち───身分に(・・・)関係なく(・・・・)選ばれた(・・・・)特科クラス《Ⅶ組》が」

 

 

 この帝国において“異端”ともとれ、それでいて概ねゼダスの予想通りの言葉だったが、その言葉が与える衝撃は凄まじい。

 本来、この学院は貴族と平民ごとにクラス分けが成されていた。………去年までは。

 今年は身分制度一切関係無しでありながら、きっと何らかの共通点を持つ者のみで結成される特科クラス《Ⅶ組》が設立されたのだ。で、その証は他とは違う赤制服。つまり、旧校舎に集められた計11人は《Ⅶ組》に与する者ということで───

 

 

「───冗談じゃない!」

 

 

 ───反対意見が出てくる。こんな重要に見える情報を事前に聞かされていなかったのだ。ある意味当然とも言える。

 大声を挙げたのはマキアス。まぁ、マキアスが反論するのはゼダスの推測通りだったが。

 何故なら、マキアスの家名(ファミリーネーム)は「レーグニッツ」。現帝都知事であるカール・レーグニッツと同名。つまり、現帝都知事の息子がこのマキアスなのだろう。

 平民の帝都知事ということはこの帝国を二分する勢力の片方───《革新派》を率いるギリアス・オズボーン宰相と盟友ということで知られており、《貴族派》は敵の認識。そして、それはそっくりそのまま息子(マキアス)に引き継がれている。

 ならば、反対意見を挙げるのは必然。何故なら───如何にも大貴族の雰囲気漂う人物が居るのだから。

 

 で、その大貴族の雰囲気漂う人物……ユーシス・アルバレアが名乗る先の場面へと繋がるのだ。

 

 勿論、マキアスとユーシス。互いの立場を鑑みれば、どう見ても良い雰囲気になるはずも無く、寧ろこのまま喧嘩してしまうのでは? としか心配したくなるのが当事者以外の全員の見解。

 そういった一触即発の事態に直面した際に収拾付けるのは教官の仕事にして使命。サラは空気を入れ換える意味を含み、パンっと両手を叩き、言葉を挿す。

 

「はいはーい、そこまで。言いたいことは山程あるだろうけど、“特別オリエンテーリング”始めるわよー」

 

 両者共に………いや、マキアスだけかもしれないが、頭に血が上っていたとしても、サラを教官と認識しているからか、一度敵対心を鞘に納め込む。ここは士官学院。今は他の進路に進む人も多いと聞くが、仮にも軍隊の研修所でもある。教官の言葉は絶対だ。

 先の二人の険悪な雰囲気をサラが無理矢理収めたからか、全員に強弱はあれど、緊張感を張り巡らせる中、ゼダスは他の事を考えていた。事というかは違和感。

 

「(やっぱり、下……………何かあるというか空いてる、よな。こんな人気無い場所でオリエンテーリング………しかも、“あの”サラ・バレスタインときた。これは嫌な予感しかしない)」

 

 確かめるかのように靴底で気付かれない程度に床を小突き、衝撃が妙に反響している事を確認。やはり、空間がある。

 しかも、何か“仕込み”があるように思える。これは────

 

 

「───じゃ、行ってらっしゃい」

 

 

 思考が追いつくよりも早く、駆動した床。どう駆動したかを簡潔に表現するならば────扉の様に開いて穴になった、が正しい。

 その常識外の展開に全員が全員……というわけではないが、殆ど全員驚き、対応出来ずに落ちていく中、二つの影だけは行動を起こしていた。

 片方の影は、制服の中に仕込んでいたのだと思われるワイヤーを袖から飛ばし、天井を支える柱に巻き付け、ぶら下がり。

 もう片方は、形容し難い“何か”があったように柱を掴み、空中にぶら下がっていた。

 

「はぁ……やっぱり、アンタ達二人は普通に落とされない、か。……まぁ、もう一人、候補はいたけど、事前に言い聞かせてたし、聞いてくれて良かったわ」

「サラ、冗談にも程がある。猟兵としての経験が無かったらキツかった」

 

 サラの言葉にムッとしながら悪態を吐くのは片方の影。先ほど講堂で教官に楯突いてた子とよく似てはいるが、別人であろう銀髪の女の子。

 

「(……? ………どっかで見たことある、か?)」

 

 何か記憶の片隅に引っかかる。そんな顔をしている。

 何処かで……そう、多分、こんな平和な場所ではない何処かで出会った事があるような。思い出したくても思い出せない。

 

「文句は後で聞いてあげるから、早く行きなさい」

 

 サラは短刀を抜くや否や、即座に投擲。綺麗な線を描き、銀髪少女のワイヤーを断ち切る。

 

「はぁ……めんどい」

 

 と、言い残し、穴の中へと誘われる。

 そして、残るはゼダスとサラ。互いの間に流れるのは……凄まじい程の敵対心。

 

「ようやく……ゆっくり話せるな」

「いや、話せないわよ。アンタにもオリエンテーリング受けてもらうんだから。……まぁ、でも聞かせなさい。なんで……なんでアンタみたいな執行者(バケモノ)がこんな所にいるの? また何か企んでるの⁉︎」

「知るか、そんなこと。むしろ、俺が知りたいことだ。それより、お前が教師業とか何があったんだよ、《紫電》」

 

 《紫電》。

 サラ・バレスタインという人物を語る上で決して無下には出来ない二つ名だ。

 彼女は現職教師。前職遊撃士。

 

 遊撃士というのは様々な依頼で頼まれたことをこなす「何でも屋」で、全員が遊撃士協会(ブレイサーギルド)に属している。

『民間人の安全と地域の平和を守る』事が信条であり、幼き子供達が憧れを抱く職業の一つだ。

 資格を取るには、最低でも16歳は必須であり、その上で修練過程を経ることでようやく正式な遊撃士となれる。その上に細かいクラス分けがあり……と、遊撃士の最低限の情報を連ねるとしたら、こんな感じだろう。

 

 そして、眼前にサラ・バレスタインという存在は、《紫電》という二つ名を持ち、最年少でA級遊撃士と成り得たという経緯の持ち主なのだ。

 それだけの実力が確定されている人物が。眼前で。教師業をしている………ゼダスにとってはただただ首を傾げたくなる案件でしかない。

 

 ここで誤解を招かぬ様に言っておくが、ゼダスとサラ。執行者と遊撃士はどう言い繕っても良好な関係とは言えない。

 二年前に起きた大事件、リベールの異変を筆頭に、結社と遊撃士協会の悪関係性は世界の色々な場面で垣間見得たりしている。………まぁ、この世界を普通に生きているだけなら、その片鱗すら見ずに済むのだが。精々、流れ弾の被害を浴びるかもしれない程度が関の山である。

 

「その反応………まさかアンタ何も───まぁ、良いわ。私にも色々あったのよ。アンタに心配される謂れは無いって」

「別に心配する様な間柄じゃないのは分かってるだろ」

「それもそうね………で、アンタは行かないの?」

「行く必要あるか? メンドくさそうな雰囲気しかしない」

「いや、何の事情か知らないけど、学院入ったんなら行きなさいよ。教官命令」

「うわー、職権乱用かよ。生徒じゃなかったら逆らってたな」

 

 ゼダスは実に面倒くさそうに溜息を吐くが───

 

 

「あのメンバーはアンタにとっても思う所があるはずよ。参加して得はあっても、損は無い。それに───最後まで辿り着いたら、遊んであげるわよ?」

 

 

 ───続くサラの言葉に心が湧き立つ自分がいる事を自覚する。

 「遊んであげるわよ?」………その一言が文字通りの意味では無いのは、サラが纏う闘気が物語っている。

 ピリ立つ様な「紫電」の殺気。

 ああ、分かる。実感出来る。これこそ────

 

 

「(強者との戦い………血生臭い掃討戦よりかは確実に楽しめる)」

 

 

 無意識的に口角が上がる。血が湧き立つ。心が震える。

 

 

「………分かった。面倒だけど行ってやる」

 

 

 と言い残し、ゼダスも穴の中へと落ちていく。

 

 

 

 

 







さて、次回からは特別オリエンテーリング! 1話で終わる様に調整よー。とりあえずオリキャラとの絡みが胸熱になる様に頑張ります(自分でハードル上げてコケる奴)




今年も一年、ありがとうございました! 良いお年を!
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