闇影の軌跡 〜黎明〜   作: 黒兎

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完全に調子乗りながらガーッて書きました。突貫工事ってまさにこういうこと。書きにくいところはやんわりさせながら、何とかするのは仕方ないですよね〜? ね?

最後の方は完全に手抜k────いえ、なんでも無いです。決して書くの面倒だなー尺長くなりそうだなーとか思ってないよ。ホントホント








あと、活動報告欄に質問所開設しました! 答えれる範囲でなら答えていきます!


ー追記ー
最後の方加筆しました。内容に変わりはありません


Ⅶ組発足

 旧校舎地下のダンジョン区画を全速力で駆け抜ける二人。

 だが、表情自体は殆ど変わっておらず───つまり、必死では無い。というか、普通に話しながら走っているまである。

 

「さっきの咆哮………こっちか?」

「閉鎖空間の中では音は反響する。しかも、入り組んでいたら尚更、な。耳で入る情報なんてものは殆ど当てにならない」

 

 シノブの言葉を指摘するゼダス。しかし、「だが───」と続け、

 

「───それは単純に当てにした場合だ。ちゃんと計算さえすれば、使える情報に化ける」

 

 確かに反響した音をそのまま情報には使えない。

 だが、多方向から聞こえる音の反響を予測し、その上音の強弱を割り出せば……と繰り返せば、音源に辿り着く。ただ、途轍もなく多大な演算が必要になるのだが。足で探した方が早いまである。

 つまり、何だ。七面倒な計算してる暇と口動かす余裕あるなら、その分足動かして探した方が良いというのがこの場における最善の回答。

 しかし、これはあくまでオリエンテーリング。最悪の事態に陥りそうになったら、サラが助けに入るだろうし、態々急ぐ必要は無いのだが………と、言いたいのだが、実際に助けに入る保証は無い。だって、明言されていないし。

 それ以前にそこまで強敵じゃない可能性もある。というか執行者の尺度で測ったら、多分雑魚。よっぽどの事が無い限り、遅れは取らないだろう。

 ただ、駆け付けた時にまだ魔獣は殺されてなくて、戦闘に参加すればどうなるか………きっと凄いくらいに一方的な展開になる。それでオリエンテーリングと称して良いのか? ただの執行者実力披露会ではないのか? ………まぁ、Ⅶ組メンバーでゼダスが執行者と知っている者はほぼいない筈だろうし、ゼダスが色目で見られる未来だけが残る。

 

「(何そのメンドくさい未来………参戦遅らせようかな)」

 

 とも思ったりするのだが、もし遅れて参戦した時が窮地であってみろ。それはそれで脚光を浴びる。

 どうしたら穏便に進められるのか分からなくなってきた。もしかして、穏便に済むパターンなんて無いのかもしれない。

 そう分かってしまうと、溜息を吐きそうになった時───

 

「────あれじゃねぇか?」

 

 暗い通路の先から光が差し、開けている。

 確かにこのオリエンテーリングの締め代わりに最終地点でボス魔獣と戦うというある種の王道シチュエーションだと仮定するなら、光が差してる所が戦闘地点だろう。

 これ以上、到着を遅くさせるのは無理そうだ。というか、元よりそんなに遅らせれていない。

 

「らしいな。───行くぞ」

 

 

 

 

 

 

―――*―――*―――

 

 

 

 

 

「うげ……これは面倒だぞ」

「同意だ。まさか────」

 

 光が差す旧校舎地下一階のダンジョン区画最奥の広間。先には地上へと続く階段があるところ、ここが終点と言って間違いない。

 そう、そこまでの理解は良い。良いのだが…………眼前に広がっている光景にちょっとばかり頭を抱えたくなった。

 ゼダス&シノブを除いた他Ⅶ組メンバーは多分全員先に着いているように見える。少し探索しながら、進んでいたから、先に終点に着かれていても何もおかしくない。うん、おかしくない。問題は───

 

 

「中型翼竜三体とか学生のオリエンテーリングで出す内容か?」

 

 

 ────この場にいる魔獣の数。

 硬質そうな皮膚を持ち、穿つに充分過ぎる鋭利さを宿す角を生やす翼竜。頭に叩き込んだ知識を叩き起こし推測すると、全員で一体に集中して戦えば、十二分に斃し切れる。

 だが、個体数を鑑みれば、そうは簡単な話では無い。

 キャッチフレーズとかでよくありがちな1+1の式の答えでさえ無限大という謎の答えが出てくるのだ。それに更に1を加えたら、どうなるか分かったものではない。

 となれば、ここで取る手段は限られてくる。

 過剰に目立つのは嫌だが、眼の前で怪我されたりするのは余り良い気分にはならない。

 気は乗らない………非常に乗らないのだが、

 

「お前らっ! 全員、一個体に集中しろ! 残り二個体は………俺とシノブで何とかする」

 

 こんな形で指揮を執るのは得意でないし、さっき突き放しておいて取る選択でもない。

 だが、こうするのが一番確実な策であるのは分かりきっている。

 

 大声で指揮を放ったから、全員に伝わっているらしく、一体に戦力が集中し始めている。

 ここまで簡単に信用されるのはどうかと思うが、現状では有難いの一言だ。

 

「シノブ、さっきの戦闘等々で一定の実力があることは分かった。だから、あの一体分は任せるぞ」

「テメーはあいつらは信用しないのに、オレは信用するのか? よく分かんねーな」

「実力があると分かれば信用する。今のところ、基準はそれだけだ」

 

 そう言うと、拳銃を抜き撃ち。ニ発放ち、両弾とも翼竜に命中。注意を惹き、こちらに向かせる。

 

「じゃあ、片方頼む。一人で行けるな?」

「執行者ほどじゃねぇけど、オレでも………行けるか? やるだけやってみるけど」

 

 何処からともなく、シノブは小太刀を抜き出し、逆手持ちで腰低く構える。

 あのスタイルはダンジョン区画内で発生した戦闘で毎度の様に見てきたシノブの基本姿勢。

 随分と小柄な身体を活かし、速度で搔き廻すという対人戦闘においては中々面倒な対処を必要とされる戦法。それは勿論、魔獣に対しても一定の効果は期待出来る。

 そして、シノブの実力も織り込んで考慮すると、あの程度遅れは取らない。決め手に欠けるかもしれないが負けることはないだろう。

 

 なら、次に考えるのは己の事だ。

 何処まで隠せるのか。何処まで出せるのか。

 視て得た情報で斃し切れるのは分かっていても、何処まで使うかはあまり定かではない。

 

「(分からないなら、打つかりながら検証、だな………まぁ、主武装は使わない前提で進めよう)」

 

 戦闘方針は大体決まった。

 意識を集中し、研ぎ澄ませる。

 余分な思考の一切を断ち切り、視ているのは相対すべき翼竜一体のみ。他は視ているというか、視界に入っているだけ。

 戦闘において、視野が狭いのは時に致命的な傷へと至る。他の物事が見えていないと、外部からの妨害に対応出来ないからだ。

 故にゼダスの取った視界を狭めるのは愚策なのだが────今この場合において気にする必要は無い。

 この空間の内装と戦況的には不確定要素と化けるものは殆ど無いと言って差し支えないのだから。

 

「───推して参る!」

 

 力を溜めた拳を構え、ゼダスは石床を砕き蹴る。

 

 

 

 

 

 

―――*―――*―――

 

 

 

 

 

 

 各翼竜ごとに始まった三つの戦闘。

 予想通りといえば予想通りなのだが、確実に戦闘の主導権を握っているのはゼダスの所とシノブの所。他Ⅶ組メンバーの所も主導権を握るまではいかなくとも、優勢であるのは間違いない。

 これなら───

 

「(まず負ける事は無い。じゃあ、ササっとカタを付けるか)」

 

 翼竜の攻撃自体は竜種としては普通(スタンダード)なものだった。火炎放射とか、角を活かした突進とか、尻尾による薙ぎ払いとか。

 しかし、行動の全てが大振りというか予備動作が長いというか、冷静に立ち回ればただの羽根の生えた雑魚蜥蜴に見えなくもない。というか見えてる。

 

 頭を小刻みに振ってからの火炎放射をゼダスは限りなく最小限の移動で避け、そこから繋げてくる薙ぎ払いの予備動作を見据えた今。

 足に力を収束。機会(タイミング)を狙って────加速(アクセル)

 眼にも止まらぬ速度で翼竜の懐に飛び込み、撃ち込むは昇竜拳。列車内で使った時とは撃ち込み方は違うが───

 

 

「────断空」

 

 

 ズドンッ! と捻じ込んだ拳で殴り付けた音が響くや否や、翼竜は少しの間痙攣してから、その身体を地面に沈ませる。

 

「よし、一丁上がりっと」

 

 ゼダスは研ぎ澄ませていた意識を平常時に切り替え直す。

 打ち抜いた感触が「仕留めた」と告げているし、一頭目はもう思考に挟まなくても良い。

 

「───で、他はっと………………」

 

 視点を変えて、見るはシノブの方。未だ戦闘中ではあったが、そろそろ決着が付きそうである。

 

 シノブは逆手持ちの小太刀で連撃を仕掛けていた。翼竜に一切の反撃を許さず、縦横無尽に斬り付けるその姿を形容するとすれば「苛烈」。

 それに加え、相手の急所をしっかりと割り出し、的確に当てるところ、眼といい身体の運用の仕方といいよく出来ている。

 

 

 ───随分と戦闘慣れしている。それがシノブに対してゼダスが抱いた感想だった。

 

 

 立ち回り方や技のキレ。どこを取ってもそれなりに上手い。元々、才があったのだろうが、加えて血の滲むような鍛錬を積んでいるように思える。

 何がシノブをそこまで押し動かしたのかは分からないが……まぁ、そこまで分かる必要性も無いか、と思い至ったゼダスはその戦いの末路を見ることにした。

 

 翼竜は滅多斬りを喰らい、その身体をグラっと崩す。その瞬間を狙っていたのか、小太刀を即座に納刀。片足を踏み込ませ、身体中を収縮。あの構えは───抜刀術。

 瞬時に溜めた力を解き放ち、その時の摩擦で発火したのか、小太刀は焔を纏っている。焔の小太刀で放つ瞬速の抜刀技の名は────

 

 

「────螢惑!」

 

 

 翼竜の身体を斜めに斬り上げ、爆炎が包む。轟々と燃える焔はまるで………

 

「(怨嗟の焔………)」

 

 とゼダスの瞳に映った。

 理由も根拠も無いのに、不意にそう直感してしまう。

 理解出来ないと思うと同時に見過ごしてはいけないような気もした。が、今どうこう出来る話題じゃないと頭の片隅に追いやる。

 

 これで二体沈み、残り一体だ───と思って、視線を移すや否や、謎の光景が広がっていた。

 最後の一体と戦う全員が淡く光る青い輝きを宿し、まるで絵に描いたようなまでに綺麗に行動は繋がった。

 全員が全員の動きを阻害せずに、最も効果が発揮されるように動いている。それこそ、十年来の友人くらいの息の合わさりようで。

 その時に垣間見えた表情から察するに、この連携現象は意図して行われたものでは無い。きっと、何らかの要因によって発生した偶然の産物に過ぎない。

 だとしたら、考えるべきはこの現象の発生原因。このメンバーの共通点といえば赤制服であり、特科クラスⅦ組。そして、特科クラスと呼ばれる所以といえば────

 

 

「(───ARCUSの存在)」

 

 

 そこに至り、あの戦術オーブメントの無駄の多い造りも一緒に思い出す。

 もしや、この現象を起こす為にそういう造りを避けられなかったのか───と頭の中で試行をしようとした瞬間、最後の一体も討ち倒される。

 Ⅶ組メンバーが負けるとは思ってなかったが、連携現象によるここまでの瞬時戦力増強は完全に誤算というか思考の外。

 この場にいる全員が理解の追い付かない現象に頭を悩ませる中、コツコツと鳴らし、奥にある階段から降りてくるはサラ。

 

「これにて入学式の特別オリエンテーリングは全て終了なんだけど……なによ君たち。もっと喜んでもいいんじゃない?」

 

 と言ってくるが、各々に感じた疑問と不信感が沈黙を齎す。そんな中、ユーシスは、

 

「──単刀直入に問おう。特科クラス《Ⅶ組》……一体何を目的としているんだ?」

 

 と全員が思うであろう疑問を包み隠さずぶつける。流石、《四大名門》の一角の後継ぎ。発言に遠慮というものが感じられない。

 だが、ゼダスはその問いに答えれるだけの推測は持ち合わせている。

 

「さっきの現象が関係してるんだろ。例えば、ARCUSとの特殊機能とかか?」

「……まあ、流石の洞察力ね。君たちが身分や出身関係無しに選ばれたのは色々な理由があるんだけど、一番判りやすい理由はゼダスの言う通りARCUSにあるわ。エプスタイン財団とラインフォルト社が共同開発した最新鋭の戦術オーブメント。様々な機能があるけど、その真価は《戦術リンク》───先ほど君たちが体験した現象にある」

 

 あの時の連携現象が《戦術リンク》。

 戦場においてこれがもたらす恩恵はある種の革命だ。

 殆ど初対面で互いのことなんて分からないであろう状況で、あそこまでの連携を発揮する。そんな技術が普及すれば、味方として使えば最大の剣となり、相手から見れば被害を齎す悪魔そのもの。

 しかし、サラはそんな有り得る理想論を一蹴した。

 

「でも現時点で、ARCUSには個人的な適性に差があってね。新入生の中で、君たちは特に高い適性を示したのよ。それが選ばれた理由の一つね」

 

 一通り、疑問に答えた後、サラは咳払いし、

 

「トールズ士官学院はARCUSの適合者として君たち10名を見出した。でも、やる気のない奴に参加させるほど予算に余裕があるわけじゃないわ。それに、本来所属するクラスよりもハードなカリキュラムになるはずよ。それを覚悟した上で《Ⅶ組》に参加するかどうか───改めて聞かせてもらいましょうか?」

 

 と問う。

 全員が答えを出すのを躊躇う中、備考が加えられる。

 

「あ、因みに辞退したら本来所属するクラスに行ってもらうことになるわ。貴族出身ならⅠ組かⅡ組、それ以外なら、Ⅲ〜Ⅴ組になるわ。今だったらまだ初日だしそのまま溶けこめるでしょ。」

 

 辞退しても、道は残されている………………が、

 

「ゼダス・アインフェイト、Ⅶ組参加させて貰う」

 

 と参加宣言していた。

 理由としてはこのⅦ組だけがハードなカリキュラムだからだ。他よりも難度が高いということは、他のクラスの生徒と同じ場所時間で過ごすことが少なくなるはずだからだ。目立たなくなるには、まず大衆の人目に付かないようにするのは当然だ。

 

「ふーん………アンタが一番手とは意外ね。最悪、辞退と同時に自主退学するかと思ってたわ」

「俺も一応、“上”が絡んでくるとなると自由は効かないからな」

 

 完全に二人の間でしか分からない言葉のキャッチボールに他全員が首を傾げていた。が、その宣言を皮切りに各々が参加表明。

 

 ある者は自身を高める為に。試練と取り、それを乗り越える為に。やり甲斐のある道を歩みたい為に。

 またある者は、技術の発展に少しでも役立てるように。…………と真面目な理由と立てる者もいれば、少々難ある理由と付けた者もいたが、まぁ気にしなくて良いだろう。

 

 結局、全員参加だった。

 

 

 

「────それでは、この場をもって特科クラス《Ⅶ組》の発足を宣言する。この一年、ビシバシしごいてあげるから楽しみにしてなさいー!」

 

 

 

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