俺のFateな話   作:始まりの0

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EP15.5 理由

 ~カルデアに来る1年前~

 

 アヌ神達よりこの時代に来た龍牙はギルから貰った宝物庫の鍵の力で黄金律を得た為、働きながら宝くじ等をしてお金を稼いでいた。

 

 龍脈の走る土地を見つけ、稼いだ金でそこを購入して家を建てていた。

 

 そして、ギル達と再会するべく準備を始めた。

 

 

「多分ギルの事だから俺の造ったアレも仕舞ってる筈だけど……あった」

 

 龍牙が宝物庫の中から引き出したのは、ウルクにいる頃に自分で造った中央に水晶が安置された祭壇だ。恐らくギルが龍牙の居なくなった後、私物も宝物庫に仕舞っていたのだろう。

 

 この祭壇はサーヴァントを召喚する為に龍牙が自ら造った物だ。祭壇を龍脈の上に置き、祭壇が龍脈より魔力を吸い上げているのを確認すると龍牙は触媒となるギルから貰った鍵とエルキドゥの一部を用いて造られた鎖を祭壇に置いた。

 

 まずサーヴァント…かつての英雄を召喚する為には、世界の外側にある「英霊の座」にある英雄の魂をコピーし、その魂を物質化させる魔術…正確には第3魔法「魂の物質化」を用いて英雄を現界させる。

 

 また触媒を用いることで特定の英雄を呼び出す事が可能である。

 

 本来であればそれらは「聖杯」により行われるが、龍牙は目の前にある祭壇がそれらを行ってくれる様に作った。

 

 龍牙は術式が完全に機能していることを確認すると詠唱を始める。

 

 

「(詠唱中)……抑止の輪より来たれ!天秤の護り手よ!」

 

 詠唱を魔法陣が眩い輝きを放つが、次の瞬間に消えてしまった。

 

 

「なんで……」

 

 龍牙は召喚が失敗した事に驚いている、そして詳しく原因を調べ始める。

 

 

「祭壇の術式に問題はない………魔力もしっかりと龍脈から吸い上げている。なら何が問題だ……ギルやエルキドゥが召喚を拒否しているとも考えられない……全くないとも言えないが、一応召喚には強制力が働くし………一番考えられるのは………確か今年は2014年だとしたらアレが起こる1年前、もしかしたら崩壊は徐々に始まって………取り敢えず確認しに行くか」

 

 龍牙はその場で座り込むと自分の意識を身体から離した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 龍牙は目を開けると何故か星空の中に居た。

 

 

「此処に来るのも久しぶりだな………」

 

 何かを探すかの様に周りを見渡す。そして水の中を泳ぐ様に移動を始めた。

 

 

「あった、あった」

 

 辿り着いたのは巨大な渦だった。それは白なのか、黒なのか、良く分からない色をしている光が渦を作っていた。龍牙はその渦を懐かしそうに見ている。

 

 

「ただいま」

 

 

 《おかえりなさい》

 

 何処からか優しい声が響く。目の前にある渦から光が伸びて来ると龍牙を包み込んだ。

 

 

「……………………………………そう……そう言う事か。でも良く彼女達、それで納得したね………そっか……分かったよ、俺もできるだけの事はするよ。うん………何とかするよ、ならこっちは任せるね」

 

 龍牙は1人で喋っている、光が離れると龍牙は何かに引っ張られていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 彼の王の仕掛けた人類史の崩壊、その影響は未だ人には観測されていなかったが少しずつ迫っていた。

 

 よって世界の抑止力が働き始めていた。時を越えて存在する7つの『特異点』……その1つにメソポタミア……バビロニアがある。それが原因でギルやエルキドゥを召喚できない……それがこの世界で言う「根源の渦」……【無】の言葉だった。

 

 大いなる母である【無】の言葉は絶対だ。決して違える事のない、絶対の宣告だ。この世界に絶対など存在しない………しかし【無】だけは例外だ。母たる【無】の言った事は決定事項である、未来だろうが、過去だろうが、現象であろうと、何であろうと全て内包しているのが「根源の渦」とも呼ばれる【無】なのだ。何故?そんな事が分かるか?

 

 何せ【無】は俺の産みの親だ、俺はその親に会う為に世界の外に行く事ができる。この世界の魔術師達からしたら羨ましいことこの上ないだろうが俺からすれば親に会うだけのことだけど。【無】は総てを内包しているので男であり、女なので母親なのか?という話だが………俺の前では女の姿で出て来るので「母親」と言う事にした。

 

 そして最後に言われたのは『この世界を救いなさい』だ。まぁ人類史が崩壊したらギル達にも会えなくなるしね、因みに前の世界で神々を滅ぼしたのも【無】に言われたからなんて口が裂けても言えない。

 

 さて、まずは準備しないといけないね。人類史修復なんてこの世界の主人公たちに任せるべきだと思うが……言われた以上はしないといけない。それが俺の役目だから……彼女達との再会まで道は遠いが仕方ない。今の内に言い訳を考えておこう。

 

 

『他の雑種共を召喚しながら、何故我を呼ばなかった……しかも何やら有象無象の女共に囲まれて鼻を伸ばしておるとは………我というものが在りながら………少し仕置きが必要な様だな、お前が誰のものなのか再びその身体に教えてやる(意味深)!』

 

 

『僕は怒ってないよ……僕は物だからね、龍牙が誰を抱こうと何も思わないよ。でもちょっと身体を動かしたい(意味深)気分なんだ、これまで呼ばなかった埋め合わせとして付き合ってくれるよね?』

 

 絶対に天の鎖で縛られた後にバビられるな……。かと言って俺1人じゃどうしようもない事もある、ランダムで召喚するなら男が出るか、女が出るか分からない訳だし……まずはカルデアを見つけないといけない。前途多難だな、全く。

 

 

 その数ヶ月後に本屋でカルデアの求人を見つけ、1年後には予想もしない人物と再会するなど夢にも思わなかった龍牙である。




~状況整理~

 龍牙=【無】の子供

 【無】=この世界で言う「根源の渦」の意志の様なもの。


 カルデアに入る1年前にギル逹を召喚しようとするが失敗。

 原因を突止めるべく「英霊の座」の根源の渦へと向かう。

 親である【無】によると「バビロニアに特異点があるので召喚できない」と言われた。ついでに世界を救いなさいとも………。

 その半年後、本屋でカルデアの求人を見つけ応募した。











~とある日、宝クジを買った龍牙~

 目の前には札束の山がある。


 「100円の宝クジが100万になった。それが10回以上続くとか………これが黄金律というやつか……素直に凄い、黄金律すげぇ」

 龍牙は黄金律の凄さを初めて知った。

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