今年初めての投稿です。これからもどうぞ、宜しくお願いします。
EP24 龍牙の使い魔
~特異点Fから帰還して数日~
管制室に呼ばれた龍牙達は、集まった。既に管制室には立香やマシュ、立香のサーヴァント達が集まっていた。
龍牙は自分の事を話さなかったが、立香やマシュ、ロマン逹は少なくとも龍牙は敵対しないと考え深く聞く事を止めた。
恐らく、無理矢理聞き出す事はできないと思ったのだろう。それに無理に聞き出そうとすれば、彼のサーヴァントである牛若丸が黙っていないだろう。因みに所長であるオルガマリーはロマンとダ・ヴィンチの後ろに隠れている、原因は牛若丸である。それは勿論、龍牙への態度が気に喰わないので牛若丸が睨んでいるからだ。
「さて、次の特異点だけど西暦1413年のフランスだ」
ロマンが説明したのは、次の特異点についてだ。龍牙は既に知っていた「第一特異点 邪竜百年戦争オルレアン」……そこにレイシフトするとの事だ。立香は少し不安そうな顔をしている。
(藤丸君、そんな不安そうな顔をしないでよ、君なら出来る……というか出来て貰わないと困るからね。俺は君に死なれたら困る)
そんな立香を見て、龍牙はそんな事を考えていた。
「次のレイシフトはフランスか……」
「では説明は終わるね、レイシフトは3時間後に行うよ。君達も不安だろうけど、僕やダ・ヴィンチちゃん、生き残った職員達で全力でサポートする……って聞いてる龍牙くん?」
「あぁ、聞いてるよ。ドクターロマン、俺や藤丸君は自分達のできる事を最大限して、ドクター逹も自分達の出来る事を最大限する。それだけでしょう……そんで勝利を勝ち取る、それでいい。今から緊張していたら保たないからね。リラックスだよ、リラックス」
そう言って、大人1人より大きなライオンのぬいぐるみにもたれ掛かり、鬣をモフッモフッとしている。
「先輩!大きなライオンのぬいぐるみです!」
「そうだね、それにしても大きいね」
マシュがキラキラした目でライオンのぬいぐるみを見ている。
「アハハハハ、確かにこりゃでけぇな。今にも動きそうだな」
そう言って、雑にぬいぐるみに触れるクーフーリン。
「動くぞ」
「はぁ?」
【気安く触れるな】
ガブッと言う擬音と共にぬいぐるみがクーフーリンの頭に噛みついた。
「ななな何がどうなってるんだ!?いでぇ!」
【主人、食べていいか?】
「ダメ、離しなさい」
【ぺっ!】
ぬいぐるみはクーフーリンを吐き出した。クーフーリンは涎まみれだ。
「どっどうなってるんだ?!」
「これはなんとも不思議な現象だ………どう見てもライオンのぬいぐるみなのに」
ロマンとダ・ヴィンチちゃんがぬいぐるみを見ている。サーヴァントとしてこのカルデアにいるダ・ヴィンチちゃんにもぬいぐるみが何なのか分からない様だ。
「いでぇぇぇ……頭砕かれるかと思ったぜ。というか、此奴は一体なんなんだ?」
頭を摩りながら、クーフーリンがぬいぐるみをジッと見ている。だがぬいぐるみが何なのか分からない様だ。
「此奴は俺の使い魔だ、ほれっ自己紹介しろ」
【主人がそう言うならば……我が名はフンババである】
「「「「「フンババ!?」」」」」
立香以外が全員が驚きの声を上げ、身を退く。
「フンババってあのメソポタミア神話に出て来るあの魔獣かい!?」
「それにしては姿が違う様な……」
「そりゃそうだ、このぬいぐるみは形代に過ぎんからな……本当の姿は藤丸君やマシュ達は見ただろう?」
「「「えっ?もしかして……」」」
立香、マシュ、オルガマリーは思い出していた。先の特異点でレフを叩き潰していた獣の事を。
「その通り………普段からあの姿だと周りに害悪を齎すから戦闘以外はこの形代になって貰ってる。まぁ何でそんな魔獣を使役してるかって聞きたいだろうが、答えるつもりはない。まぁ自分の事も話さない、異質な力を持つ正体不明の輩を信用できないのは分かる。信用しろとは言わないし、して貰わなくていい。嫌ってくれも構わんよ、慣れてる。でも少なくとも君等と目的は同じだ、敵対するつもりはないさ」
龍牙はそう言うと、フンババは龍牙を乗せたまま立ち上がった。フンババはそのまま歩きだし、出口の方へと向かう。
「じゃあ3時間後ね……俺は部屋に戻って準備してくるよ」
フンババに乗ったまま、部屋を出てしまった。牛若丸は霊体化すると、龍牙を追ったのだろう気配が遠のいていった。
管制室を出て、カルデアの廊下を歩く
【しかし良かったのか主人?】
「何がだ?」
【我の真名をバラしたら、あの者共も警戒するのではないか?】
「いずれはお前に出て貰う事もあるし、それで後々に疑われるよりいいだろう。まぁ、俺は誰に何と言われても止まるつもりはないけどね……1つ目、こんな所で躓くつもりはないけど、準備はしっかりとしてとくか」
龍牙は自分の部屋に入ると、準備を始めた。
~管制室~
立香とマシュはレイシフトの準備の為に部屋へと戻っている。
「自分で用意したサーヴァント、膨大な魔力、ドラゴンを模した鎧……謎の刀剣を出す力、所長を蘇らせた【生命の実】」
「それに加えてあの高い戦闘能力、あれは鎧の力によるだけでなく彼自身の力だろうね」
「それにメソポタミア神話の魔獣フンババ……本物かどうか分からないけども、レフを叩きのめしていた魔獣は神話通りの姿だったと思うわ」
現在、管制室で話し合っているのはロマンとダ・ヴィンチちゃん、オルガマリーだ。
「はぁ……あの時は此方のモニターが切れてたから把握出来なかったけど」
「所長も震えてばかりじゃなく、もっと観察しておいて欲しかったな」
「しっ仕方ないじゃない!本気で怖かったんだもん!」
ダ・ヴィンチちゃんの言葉にそう反論するオルガマリー。
「まぁまぁ、ダ・ヴィンチちゃん、あの状況じゃ仕方ないよ。でも彼の経歴、外は人理焼却で連絡つかないから何とも言えないけど……怪しい所がない訳ではない。だからと言って彼は僕達に敵対するつもりはないようだし……さっきの言葉も嘘ではないだろうね。少なくとも敵なら態々面倒な事をしてまで所長を蘇らせようとしないと思うよ」
「確かに………まぁ彼の事は置いといて僕達もレイシフトの準備をしないと」
ロマンの言葉にダ・ヴィンチちゃんも同意すると準備を始めた。
・使い魔紹介
真名:フンババ
種族:神の造った魔獣
主:無皇 龍牙
元々はエンリルにレバノン杉の持ちの番人。しかし龍牙の中の破壊龍の力を感じ平伏し龍牙の使い魔となった。
顔はライオン、脚は猛禽類、尾と男根の先端が蛇となっている。神話通りの姿だが、本来の姿は真っ黒な巨体、左右3本ずつの腕、巨体の頂点には紅い1つの眼がある。
普段は息だけで周りに害毒を齎すので、龍牙の用意したライオンのぬいぐるみを依代にしている。龍牙に平伏したものの、魔神柱以上の力を持ち、龍牙が統べていなければビーストとして顕現した可能性もある。