ランスロット(狂)とアタランテを倒した一同は、ジャンヌ・オルタがいるオルレアンの城へと向かっていた。
此処に来るまでにワイバーンや海魔達がいたが牛若丸達の活躍により難なくを進めていた。既に城が目視で確認できる所まで来ていた。
「……妙だな」
「どうしました、無皇さん?」
龍牙の言葉に反応する立香。
「此処まで来たっていうのに、ファヴニールが姿を見せない」
「そう言えば……そうですね」
「……後方のエミヤ達が戦闘をした様子もない。奴等が向こうにいるなら連絡が来る手はずになっている……後、考えられるのは」
『お生憎さまね、私達は此処にいるわよ』
龍牙達がその声を聞いて、上空を見てみるとファヴニールとワイバーンの群れがいた。その上にはジャンヌ・オルタとサーヴァント達がいる。
それを見て、龍牙は舌打ちをする。
(向こうに攻めて無かったのか……攻めてくると思ってジークフリートを向こうに残してきたんだけど)
龍牙達はハデスの隠れ兜を使い敵の本拠地へと向かう→サーヴァントとフランス軍がおり、進軍を開始する→そこにジャンヌ・オルタ達が攻めてくる→守りの少なくなった城を攻め落とす→戻ってきたジャンヌ・オルタ達を休む暇を与えず攻撃する。
少なくともファヴニールはジークフリートが倒してくれると考えていた。だが現実はそう簡単に行かなかった様だ。
「はぁ……城に残っていたとは……予想外だ」
「ふ……ふふふ……悔しいですか?自分の思惑が外れて……アハハハハハハ!」
溜息を吐きながらそう呟く龍牙を見て、笑っているジャンヌ・オルタ。
「まぁいい………どうせ倒さなきゃならんしな。藤丸君、作戦Bだ」
「はい、マシュ!清姫!エリザベート!」
「はい!」
「はい、
「分かったわよ!」
立香達は直ぐに戦闘準備を始めた。
「フン!たかがサーヴァント如きがこのファヴニールの相手になるとでも?!」
ジャンヌ・オルタはファヴニールに指示を出し、邪竜はその咢に魔力を収束させる。
恐らく、竜がよく使う
「ジャンヌ!」
「マシュ!」
龍牙と立香が2人に声を掛けた。
「はい!真名、偽装登録……いけます!宝具、展開します!」
「我が旗よ!我が同胞を守りたまえ!【
2人の護りの宝具が発動された。それと同時にファヴニールが息吹を放つ。邪竜の息吹は広範囲に放たれ、龍牙達を飲み込む。
マシュとジャンヌの宝具により、彼等は無傷で済んだ様だ。しかし宝具を使用したマシュとジャンヌには少し疲労が見えた。
「無様ですねぇ……聖女様……あれ、あの男がいない?」
ファヴニールの上からジャンヌ達を見降ろしていたジャンヌ・オルタは龍牙が居ない事に気付いた。
『すまないが、墜とさせて貰う……邪悪なる竜は失墜し、世界は今洛陽に至る。撃ち落とす』
「はっ!?」
ジャンヌ・オルタは声のした方向を見てみた。自分達の少し後方、そこに魔法陣が描かれており、そこには龍牙とフランス軍にいる筈のジークフリートや他のサーヴァント達がいた。
そして既にジークフリートは宝具を発動させていた。
かつてファヴニールを殺した剣……その名は……
「【
放たれた黄昏の剣気はファヴニールに直撃した。それにより飛んでいたファヴニールは失墜する。
ジャンヌ・オルタは直ぐにファヴニールから飛び退き、近くにいたワイバーンへと飛び乗ったことで無傷で済んだ様だ。
何故、フランス軍と共にいる筈のサーヴァント達が此処にいるのか………その理由は簡単だ。
「くぅ……まさか、私のファヴニールがやられるなんて」
地上へと降りてきたジャンヌ・オルタは忌々しそうに龍牙を睨む。
「ジークフリートがいないと思って油断したな……もしもの場合の為に準備しといてよかった。さてジャンヌ・オルタ、此処からはサーヴァント同士の戦いと行こうじゃないか……うおっ?!気持ち悪ぃ!」
龍牙が言っている最中に、海魔が襲い掛かって来た。
「ジャンヌ!此処はサーヴァント達に任せて一旦、退くのです!」
そう言ったのは、ジル(キャスター)だ。彼は魔導書により海魔を大量に召喚し始めた。
「ですが、ジル!」
「落ち着いて下さい……ファヴニールがやられた以上、新たに戦力が必要です」
「そうですね……サーヴァント達よ、彼等を倒しなさい!」
ジャンヌ・オルタはサーヴァント達にそう告げると撤退した。
「ぁ~あ……行っちゃった。一先ずは目の前のサーヴァントか」
龍牙は飛んで行ったジャンヌ・オルタとジルから、目の前の狂化されたサーヴァントへと目を向ける。
「シュヴァリエ・デオン、サンソン、ヴラド三世、カーミラか」
「無皇さん……どうしますか?」
「……俺と牛若、ジャンヌが半分を引き受けよう。残りは頼めるか?」
「はい!」