俺のFateな話   作:始まりの0

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EP37 信長が2人!?

 ~カルデア 局長室~

 

 カルデアではオルレアンより帰還した立香達。だが龍牙と牛若丸が帰還しなかった事で騒ぎとなった。

 

 

「龍牙くんが行方不明になって3日か……」

 

 

「無皇は一体何処へ行ったのよ……全く」

 

 

「正直、何処に行ったのかも分からないね。反応もないし」

 

 

「レイシフト直前までは彼の反応は確認できた。レイシフトが始まったと同時に消えた……その後の反応は全く無い」

 

 ロマン、ダ・ヴィンチ、オルガマリーが行方不明の龍牙の事に付いて話し合っていた。

 

 

「でもレイシフト途中に消えるなんて……普通は在り得ないね。彼については謎が多い……多過ぎる。立香君達の報告では特異点Fとは別の力を使ったらしいし」

 

 

「それに彼の話に出てきたと言う無……僕達で言う根源の渦……その意志が産み出したと言う【創造】と【破壊】の力。訳の分からない事だらけだ」

 

 

「でももし……無皇が根源の力を使ってるとすれば、それはもう魔術とかそんなレベルの話じゃないわ」

 

 ダ・ヴィンチ、ロマン、オルガマリーの順に言った。だが考えれば考える程、彼がどう言う存在か、何者か……彼の目的など様々な事を考えてしまい余計に訳が分からなくなる。

 

 

「はぁ……止めよう。彼の事も考えないといけないけど……立香君の次のレイシフト先、第2特異点の事も考えないと」

 

 

「そうだね……今回、立香君が召喚したセイバーとキャスターのジル・ド・レェ、ジークフリート達。戦力としては十分だね……でも一度のレイシフトで遅れるのは6体……マシュを入れると5体が限界だ。メンバーについては立香君に任せてようと思う」

 

 ロマンの言葉で話を次の特異点に切り替えた。

 

 

「それについては問題ないわね……藤丸は未だ未熟だけど、少しずつ経験も積んでいるし次の特異点は彼に任せましょう」

 

 オルガマリーの言葉にロマンとダ・ヴィンチが驚いている。

 

 

「「所長がデレた」」

 

 

「べっ別にそんなんじゃないわよ!彼も頑張ってるし……すっ少しくらい認めてやってもいいかと……ごにょごにょ」

 

 顔を真っ赤になっているオルガマリー……次第に何を言っているのか分からなくなり、そのまま部屋を出て行った。

 

 

「全く所長も素直じゃない」

 

 

「素直すぎる彼女って言うのも想像できないなぁ」

 

 2人はそんな事を考えながら、自分達の仕事へと戻って行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ~ぐだぐだ特異点 大阪~

 

 

「はぁ……取り敢えず終わった」

 

 

「う~む……奴が何者か分からんが、これで儂の目的は果たされた!」

 

 龍牙とギル吉の戦いを見ていた魔人アーチャーこと織田信長は聖杯を手にしていた。

 

 

「フハハハハハハ!これで12体のサーヴァントが聖杯にくべられ、儂は力を完全に取り戻した!」

 

 そう言いながら笑う魔人アーチャー。

 

 

「そして聖杯の力を使いこの空間を我が物として、貴様等の世界に乗り込んでくれるわ!」

 

 

「ぁ~うん……まぁ分かってたけど」

 

 

「そうそう、我が名は「織田信長だよね?」えっなんでバレとるのじゃ!?」

 

 

「さっきお昼ご飯の時に聞いてもいないのに自分から自己紹介してたじゃないですか」

 

 

「えっ何してるの儂!?」

 

 

『ふっ、馬脚を現したな!』

 

 皆が声のした方向を見る。

 

 

「そう、儂じゃ!」

 

 

 

 ―そこに立っていたのは目の前にいる織田信長だった。つまり信長が2人居る事になる。

 

 元から一緒に居た信長を良いノッブ、偽物を悪いノッブと区別した。

 

 どうやら悪いノッブは元は信長の一部らしく、良いノッブがトイレに行った時に襲い縛っていたらしい。

 

 そして何やら言い合いをしている信長ズ……そして悪いノッブは宝具・第六天魔王波旬を発動したので辺り一面は炎の海。神性・神秘を持つ者には絶大な力を発揮するが神性持ちの居ないこの状況では少し熱くなっただけに過ぎない。

 

 あっ……でも俺、生身だから熱い。加護が在っても熱いものは熱いな―

 

 

「なぁ、牛若、沖田。2人共やっちゃ駄目かな?」

 

 

「良いのではないのでしょうか」

 

 

「良いんじゃないですかね」

 

 

「ちょっと待て!儂まで殺す気か!」

 

 良いノッブが抗議の声を上げる。

 

 

「だって長いし、熱いしさっさと終わらせたい」

 

 

「儂が言うのもなんじゃが扱い酷くない?!」

 

 

「そうじゃ!そうじゃ!」

 

 悪いノッブが良いノッブの扱いを憐むと良いノッブもそれに乗り声を上げる。

 

 

「味方なr「せぃ!」のわぁ?!この人斬りめ!せめて言わせんか!」

 

 悪いノッブが何かを言おうとするが、沖田が斬り掛かった。

 

 

「だって戦場で言葉を交わす必要なんてないでしょう?」

 

 

「え~」

 

 そうして悪いノッブと沖田の戦闘が始まった。

 

 

「おぉ~凄い剣撃……悪いノッブの銃撃もすげぇ」

 

 

「えぇい!龍牙!魔力が足らん!」

 

 感心しながら龍牙は2人の戦いを見ていたが、ジャンヌと行った様に良いノッブに魔力を回した。途中から、良いノッブも参加し始めたとは言え、良いノッブは本来の力を悪いノッブに殆ど奪われているので1対2でいい勝負をしている。

 

 

「沖田殿の剣……凄まじいですね」

 

 

「速いとかそんなレベルじゃないもんな。俺でも目で追えない……でもこういう時って彼女のアレが出そう」

 

 そう言いながら状況を見ている龍牙と牛若丸。

 

 天才剣士である沖田総司の保有スキル「縮地(B)」……瞬時に相手との間合いを詰める技術だ。

 

 

「決めます……我が秘剣のきr……ゴフッ」

 

 

「人斬り、こんな時にか!?」

 

 沖田が奥義を発動しようとするが、此処で彼女の保有スキル「病弱(A)」が発動……彼女は吐血した。

 

 天性の打たれ弱さ、虚弱体質……彼女の場合は生前の病と後世の民衆のイメージによるものだ。発動すると、あらゆる行動時にステータスが低下する。発生率は高くないが……何時発動するか分からず、今回の様に戦闘中に発動すると致命的である。

 

 

「あらら……仕方ない。牛若丸!」

 

 

「承知!」

 

 牛若丸は龍牙の指示で駆け出し、悪いノッブに攻撃する。

 

 

「って、今度はそっちの露出狂か!」

 

 

「誰が露出狂だ!これは素早く動く為のものだ!」

 

 牛若丸は悪いノッブの銃撃を回避しながら、攻撃を繰り出し続ける。

 

 

「えぇい!お主等、儂の事を忘れて居るじゃろう!」

 

 良いノッブは完全に存在を忘れられていたので激昂し、自分も銃撃を開始する。

 

 

「沖田、大丈夫か?」

 

 

「ぅう……申し訳ありません。こふっ」

 

 

「病弱スキルか……何時発動するか分からないのか困るよな。取り敢えずっと」

 

 龍牙は苦しんでいる沖田の背中に手を当てた。すると彼の手に暖かい光が灯る。

 

 

「『魔力流入……診断開始……病弱スキル発動中、ステータス低下・一時的に行動不能』」

 

 龍牙は自分の魔力を沖田へと流し、彼女の状態を診断した。

 

 

「成程……これなら、こうして……」

 

 

「ん……これは……身体が軽くなりました!どうやったんですか!?」

 

 

「治ったんじゃないよ、一時的に病弱スキルを抑制しただけだ……沖田さんは最後まで戦いたいんだろう?」

 

 

「!?……はい!」

 

 病弱スキルが抑制され、動ける様になった沖田は再び刀を持って立ち上がる。

 

 

「龍牙さん、私の剣を見ていて下さい!参ります!」

 

 龍牙はそう言う彼女を笑顔で見送る。そして彼は悪いノッブとの決着をつける為に指示を出した。

 

 

「牛若丸!信長!そろそろ幕を引くぞ!」

 

 

「承知!」

 

 

「良かろう!」

 

 龍牙の指示を聞き、牛若丸は駆け出した。

 

 

「えぇい!ちょこまかと!鬱陶しい!」

 

 悪いノッブは自分の攻撃を回避する牛若丸に狙いを集中させる。

 

 悪いノッブ……織田信長はクラスアーチャーに属し、主武装は火縄銃と日本刀「圧切長谷部」。現在は遠距離なので火縄銃による銃撃が主だ。だが牛若丸は持ち前の俊敏さを用いてそれを回避している。

 

 

「だから儂を忘れるでないわ!」

 

 存在が薄くなっている良いノッブは自分の半身である悪いノッブに火縄銃を放つ。

 

 

「のわっ!?ぇえい、面倒な!」

 

 悪いノッブは良いノッブの銃撃を下がる事で回避した。この行動が彼女の結末を決めた。

 

 ―1歩音越え―

 

 

「儂の三段撃ちでまとめて葬ってくれる!」

 

 悪いノッブは牛若丸、良いノッブを龍牙と沖田をまとめて倒す為に宝具を発動させようとする。

 

 ―2歩無間―

 

 

「ムッ!人斬りが居らん?!」

 

 悪いノッブは桜セイバー……沖田総司が居ない事に気付いた。

 

 ―3歩絶刀―

 

 次の瞬間、信長の前に沖田が現れた。

 

 沖田総司の秘剣……彼女の剣から放たれる三つ突きが同じ位置・同時に存在する剣戟。

 

 

「【無明三段突き!】」

 

 局所的にではあるが、事象にさえ干渉する事実上防御不可の魔剣が悪いノッブの霊核を貫いた。

 

 

「がっ……くぅ…おのれ、良いノッブとカルデアのマスターとサーヴァントめ。だが忘れるな!幾ら儂が倒れようと第2、第3の悪いノッブが」

 

 

「えぇい!そんな事あって堪るか!」

 

 

「ちぇ~せめて最後まで言わせんか」

 

 最後に魔王らしい言葉を言おうとしたが、良いノッブに言葉を遮られて悪いノッブはそのまま消滅した。

 

 すると周辺に異変が起き始めた。龍牙は急いで悪いノッブの持っていたこの特異点の聖杯を回収した。

 

 

「おっとこの空間が消滅し始めたか……」

 

 

「主殿、どうしましょう?」

 

 

「う~ん……多分、大丈夫だと思うよ。この特異点に来たのは偶然にせよ、必然にせよ……なんとかなるんじゃない?」

 

 龍牙と牛若丸の身体が光に包まれ始めた。どうやら無事に戻れるようだ。そして次の瞬間、世界は眩い光に包まれた。


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