俺のFateな話   作:始まりの0

60 / 109
EP53 カルデアにて

 ~カルデア 所長室~

 

 現在所長室に、カルデア最後のマスター・藤丸立香、マシュ・キリエライト、セプテムのレイシフトに参加したサーヴァント達、ロマニ・アーキマン、レオナルド・ダ・ヴィンチ、所長のオルガマリー・アニムスフィアが集まっていた。

 

 

「それで件の彼……無皇 龍牙君の事なんだけども」

 

 ロマニの一声で話し合いが始まった。今回の問題は、龍牙の事だった。

 

 モニターに龍牙が龍化(DRAGOON DRIVE)を使った時の映像が映し出された。

 

 

「魔力値:計測不能、属性:不明、見た目はドラゴン……攻撃力:レフ……コホン、魔神柱を容易く引き裂く、防御力:魔神柱の全力の怪光線を受けて無傷。

 

 立香君からの報告と端末の映像から判断した結果だ。間違いないのね?」

 

 

「はい、それにとても恐怖を感じました」

 

 ロマニの言葉に立香はそう答えた。

 

 

「加えて、サーヴァント達から………アレは世界の外敵だとも聞いた。サーヴァントの皆さんもそれに間違いないかな?」

 

 ロマニはエミヤ、クーフーリン、清姫、エリザベート、ランスロット(狂)を見る。

 

 

「正直、彼の人柄については短い期間しか過ごさなかったが……悪人には見えなかった。いや……積極的に救える者は救おうとしていたな」

 

 エミヤが龍牙の人柄についてそう答えた。

 

 

「あぁ……此奴の言う通りだ。だがな………あの力は、世界の外敵だ」

 

 

「理由を聞いても?」

 

 

「ぁ~……理由か、強いて言うなら戦士の……いや英雄の本能だな。

 

 俺達英霊は人類の害悪に対してはかなり敏感なんだ………龍牙の坊主のあの力……前に見たファヴニール、アレが子供に見えたぜ」

 

 クーフーリンは龍牙の力についてそう言った。

 

 

「私は本当の英雄ではないのでその様な感覚は持ち合わせていませんが………正直申しますと、身の危険を感じましたわ」

 

 

「それは同感ね……もし、アレと一対一なら私は逃げるわね」

 

 

「Aaaaa」

 

 清姫、エリザベートがそう答えた。ランスロット(狂)もそれに同意の様だ。

 

 

「フム……ダ・ヴィンチはどうかな?」

 

 

「私かい?私は実際にそれを見た訳ではないしねぇ………まぁ、彼が不可思議な存在と言うのは同意かな。私としては色々と知りたいかな。

 

 英霊達はこう言ってるけど、これまで共に戦ってきた立香君とマシュの意見はどうかな?」

 

 ダ・ヴィンチはそう答え、立香達に尋ねた。

 

 

「……俺はあの人が敵だとは思えません。無皇さんは、これまでずっと俺達を助けてくれました」

 

 

「私も先輩に同感です……私の中の英霊は敵だと思っているようですが、少なくとも龍牙先輩はあの力を悪意を持って使おうとはしていませんでした。

 

 それに敵だと言うなら、私達を潰す機会は幾らでも在ったと思います」

 

 

 立香とマシュは、龍牙を敵でないと思っている様だ。

 

 

「ふざけないで!どう見てもアレは敵よ!邪悪よ!あの訳の分からない鎧の時からも邪悪な力を感じていたもの!」

 

 

「でも貴女は、その邪悪に助けられた……ではないかな、所長?」

 

 

「ッ!」

 

 オルガマリーの言葉にダ・ヴィンチがそう指摘する。オルガマリーはそう言われると何も言えなかった。

 

 彼がどう言う意図を持っていたとしても、カルデアスに魂を取り込まれそうになっていたのを助けたのも、魂だけでそのまま消滅する筈だった彼女を【生命の実】で救ったのも龍牙だ。

 

 

「謎の力……生命の実……異常な魔力と身体能力。

 

 加えて彼の経歴、改めて確認した……人理が焼却された今は確認できないけど……どう見ても一般人。でも完全に戦い慣れている。謎だ」

 

 

「まぁそれだけじゃねぇだろうな」

 

 ロマニの言葉にクーフーリンがそう答えた。

 

 

「どう言う事、キャスニキ?」

 

 立香が彼にそう尋ねた。

 

 

「アイツが冬木で使った力はもう1つある」

 

 

「あぁ……私も思っていたが……アレは……見間違いだと思ったぞ」

 

 

「どう言う事?」

 

 クーフーリンとエミヤの言葉に立香は首を傾げた。

 

 

「アイツが使っていた黄金の双剣……それを出す時に使う黄金の波紋が在っただろう?」

 

 

「そう言えば……」

 

 立香達は今まで、鎧や異常な力ばかりの事で頭が一杯だったが、それ以外の龍牙の力を思い出した。確かに、龍牙は黄金の双剣を使う際には彼の手元に黄金の波紋が広がっていたのを見た。

 

 

「アレを私やキャスターは知っている……正確には違う私達が経験したと言うべきか。アレは宝具だ」

 

 

「宝具?……でも」

 

 

「あぁ……英霊が宝具を持つなら分からなくもない。だが正真正銘、龍牙の坊主は人間だ。

 

 それにあの宝具は、そんじょそこらの英霊の物じゃない………なんせ……あれは」

 

 

「人類最古の王にして、英雄の王の持つ宝具」

 

 

「古今問わず、東西問わず、あらゆる英雄の宝具の原典を内包した庫」

 

 

「「英雄王・ギルガメッシュの宝具、王の財宝(ゲート・オブ・バビロン)」」

 

 

「「「「なっ!?」」」」

 

 立香以外のエミヤとクーフーリンの言葉に驚愕した。

 

 

「えっと……」

 

 

「まぁ簡単に言うなら、武器庫が歩いている様な物だ」

 

 

「えっ!?」

 

 始めは分からなかったが、立香はエミヤの言葉でようやく理解した様だ。

 

 

「英雄王ですって……でもそんなこと」

 

 

「英雄王・ギルガメッシュ……ウルクの女王……正直、あの我儘姫の宝具を見たくなかったがな」

 

 

「なっ……英雄王って女だったのか」

 

 ギルガメッシュの名が出て唖然となっているオルガマリー。

 

 クーフーリンがギルガメッシュを女だと言うと、更に驚く一同。

 

 

「アーサー王やネロさんも女性でしたし……そう言う事もあるのでしょうか?」

 

 

「嬢ちゃん……気にし始めたらキリがないぜ」

 

 困惑しているマシュにそう言うクーフーリン。

 

 王が女性だったり、騎士が女性だったり、男の娘だったりと、この世界(型月)ではよくある事だ。

 

 

「訳の分からない事だらけだね……現在、彼は行方が分からない……以前も違う特異点へ行ってた様だし、また戻ってくるだろう。それで、どうしよう……彼の処遇は」

 

 ロマニがそう言うが、事は簡単に決めれる話ではない。

 

 未だ、龍牙が敵だと言う確証は自分達にはない。龍牙を敵とするのならば……彼+彼のサーヴァントを相手にしなければならない。

 

 現在の彼のサーヴァントは、牛若丸、ジャンヌ・ダルク、ジャンヌ・オルタ、沖田総司、織田信長……(加えてスカサハなのだが、未だ彼等は知らない)。どのサーヴァントも一級…………加えて、未知の存在である龍牙を相手するなど無理がある。

 

 

 

 

 

 

 

 

 ―愚かな―

 

 巨大な魔力が、凄まじい圧力、殺気がこの部屋を覆う。

 

 サーヴァント達は、その気配の主がいる方向を見る。

 

 

「下がれ、マスター!」

 

 サーヴァント達が、立香達を自分達の後ろに下がらせる。そして気配の主がいる、部屋の入り口の方向を向き、それぞれ武器を構える。

 

 扉を開いた。そこに居たのは、大きな獅子………のぬいぐるみだった。

 

 

「お前は………」

 

 

「フンババ」

 

 それは、龍牙の使い魔……太古の魔獣フンババだった。フンババは部屋に入ってくると、ソファーの上に昇った。

 

 

【特にそこの小娘……我が主に救われながら、主を邪悪などと………本来、貴様はあそこで、太陽と化した擬似天体に飲み込まれ、永劫に苦しみ続ける運命だった。

 

 だが我が主はそれは忍びないと考え、救ってやったと言うのに………今、此処で殺そうか?】

 

 

「ひぃ…!」

 

 フンババに殺気を当てられた事で、オルガマリーは悲鳴を上げ、震えだす。

 

 

【フン………口だけか。何故、我が主はこの様な者を態々……まぁいい。今、我はお前達に敵対する命は受けていない。

 

 早々に役目を果たし、主の元へ赴くだけの事】

 

 

「役目だと?」

 

 

【我が主からの言葉だ、良く聞くがいい。

 

『先の戦いで俺が世界を滅ぼしかねない存在故に、君達は俺に疑いを持つのは当然の事だ。

 

 なので、俺はカルデアより退去しよう。そうすれば君等も安心して眠れるだろう。

 

 少なくとも、これから出会っても邪魔をしなければ俺が君達を害する事はない。信じるか、信じないかは君達が判断してくれ』との事だ】

 

 フンババはそれだけ言うと、段々とフンババが薄くなり始めた。

 

 

「まっ待って!無皇さんは一体」

 

 

【生き残ったマスターよ、汝は汝の役目を果たすがいい。汝が知りたい事はいずれ分かるだろう】

 

 

「えっ……うっうん」

 

 

【後そこのデミ・サーヴァントよ、お前は自分の身を大事にする事だ。守りの英霊を宿すとは言え、お前の身は1つなのだから】

 

 

「えっ……はっはい」

 

 

【最後にそこの黒い狂戦士………しっかりと護ってやれよ】

 

 

「Arrrr」

 

 フンババはそれだけ言うと完全に消えてしまった。

 

 

 

 カルデアは困惑していた。未だ見ぬ、真の敵の姿も見えない……強力な味方で在った龍牙が退去。

 

 これから先、彼等どうするのだろうか……。




 龍牙:カルデア退去。これからの活動は【無】より行われる。加え、スカサハがサーヴァントになった。





 カルデア:龍牙が抜け戦力低下。

 龍牙と話し合う派:立香、マシュ、ロマニ、ダ・ヴィンチ。

 龍牙が恐いので排除派:オルガマリー

 未だ分からない派:エミヤ、クーフーリンなど

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。