俺のFateな話   作:始まりの0

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EP66 思い出の家

 ~ロンドン 隠れ家~

 

「……」

 

 

「……」

 

 龍牙は現在、カルデアのマスター藤丸立香と机を挟んで座っていた。

 

 龍牙の後ろには彼のサーヴァント達がおり、立香の後ろにはマシュ、エミヤ、清姫、フランシス・ドレイク、アルトリア・ペンドラゴン(騎士王)、アルトリア・リリィがいる。

 

「……御愁傷様」

 

 げっそりとしているエミヤを見て、龍牙がそう呟いた。

 

「「シロウ(エミヤさん)、どういう意味ですか?」」

 

 

「さっ…さぁな(いっ胃が痛い、人理修復の為とはいえ、この面子は……)」

 

 不思議そうな目で見られて首を傾げるアルトリアズ、彼女達と因縁のある彼にとっては色々と大変だろう。

 

「まぁ、その内……義理の父、母、妹とか出るな」

 

 

「がふっ」

 

 

「直感だけど、赤い同級生」

 

 

「ぐっ!?」

 

 

「清純に見えて結構腹黒い後輩」

 

 

「ぐぁ!」

 

 

「姉も出てくるんじゃ……」

 

 全てに心当たりのあるエミヤは今にも死にそうになっている。

 

「きっ君は何を知っている!?」

 

 

「確かこうだったな。『俺はっ…みんなを幸せにしたかったんだ!』」

 

 

「えっエミヤ、待って!自害しようとしないで!」

 

 

「シロウ、落ち着いて!」

 

 龍牙の言葉を聞いたエミヤは干将・莫耶を投影すると、刃先を自分の首もとに向けた、それに気づいたアルトリアと立香はそれを必死に止める。

 

 

 

 

 一先ず落ちつきを取り戻したエミヤ。改めて向かい合って座る龍牙と立香。

 

「えっと……その」

 

 立香は何かを言おうとするが、言葉に詰まってしまう。

 

「前も言ったけど、俺は君達が敵対する気がないなら戦うつもりはないよ」

 

 

「なら説明してほしいんです。貴方のことも、貴方の本当の目的も」

 

 

「言ったろ、未だその時じゃないって」

 

 

「じゃあ、何時なんですか?その時と言うのは」

 

 

「さて……何時かね。その時としか言えないな、一先ずは特異点の修復が優先だもの」

 

 龍牙はそう言うと立ち上がり、外へ向かおうとする。

 

「俺がこの特異性で集めた情報はジキルに渡してるから聞くといい。俺は俺で勝手に動くから」

 

 彼はそう言うと、サーヴァント達と共に外に出ていってしまった。

 

 

 

 

 

「しかし、あそこから出てどうするつもりだ?例え、お前にこの霧が効かなくとも拠点がないと困るであろう?」

 

 ヴラド三世が龍牙にそう聞いた。サーヴァント達は魔力さえあれば活動は可能だ、しかし龍牙は人外の力を持っていても生身の人間だ、衣食住がないと後々に響く事になる。

 

「取り敢えず………即席の家を作るか」

 

 龍牙はそう言うと、近くの路地に入る。サーヴァント達はどうするのだろうと思いながら、後についていく。龍牙は人気のない場所までくると、近くの壁に触れる。

 

「うん、しっかりとしてる」

 

 龍牙はそう言って宝物庫から取り出した剣で掌を切った、当然の如く血が出る。そしてその血で壁に魔法陣を書いていく。

 

マスター(おかあさん)、何やってるの?」

 

 

「お家を作ってるんだよ、後は隠蔽の術式を書いてっと………これで良し」

 

 どうやら完成した様だ。彼は血で書いた魔法陣に触れると、魔法陣が光り出し扉に変わった。そして扉を開けると、中へと入って行く。サーヴァント達も後について入ると驚いた事に、そこに広がっていたのは……何の変哲もない家だった。

 

「此処は………」

 

 

「異空間に俺の記憶を元に再現した物を作った。一先ずは此処を拠点にするよ」

 

 相変わらずやる事が人外レベルである。

 

 

 

 ~家?~

 

「マスターはどうしました?もきゅもきゅ」

 

 

「このケーキ、美味しいね」

 

 Xは龍牙との約束通り、焼き肉を食べている。不思議な事にこの家の冷蔵庫はどれだけ食材を出しても尽きないそうだ。ジャックはちょこんと座ってケーキを食べていた。

 

「少し疲れたそうなので、お部屋でお休みになっています」

 

 

「そうか………ルーラーよ、この家は」

 

 

「恐らくそうなのでしょう」

 

 ヴラド三世は家の中を見廻してジャンヌに話しかける。

 

「此処が主殿の家と言う訳ですか」

 

 牛若丸も周りを見廻してみる、テレビや冷蔵庫を始めとする家電、ソファーや箪笥と言った家具、壁に張っている子供が書いたであろう絵など、生活感が在った。

 

「これは」

 

 

「写真と言うものか」

 

 ジャンヌとスカサハは写真を見つけた。そこには龍牙と2人の子供、そして両親らしい男女が映っていた。

 

「これがマスターの家族ですか……もきゅもきゅ」

 

 

「おい、立って喰うな………ジャックが真似をするだろう」

 

 

「おっとこれは失礼………」

 

 

「あっ、マスター(おかあさん)だ」

 

 

「幸せそうな家族ですね」

 

 

「あぁ……だがマスターはこの幸せを捨ててまで世界の安定を取った。元は根源より産まれた身とは言え、人として生を受けた以上、その生を全うしても可笑しくはなかったというのに」

 

 スカサハは幸せそうな家族写真を見てそう言った。

 

「主殿は幸せそうですね」

 

 

「えぇ」

 

 サーヴァント達は写真に写るマスターの姿を見て、本来ならマスターはこんな戦いをするべきではなかったと考えていた。

 

 だが、今は人理そのものの問題………そんな事を言ってはられない状況だ。だからこそ、この戦いが終わった後の事が気になった。だが今は、彼等はその考えを飲み込んだ。今はそれを考えていても仕方がないからだ。

 

 今できる事は敵を倒す事だけだ。


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