やっと落ち着いたので更新しました。
顕現した魔術王。
そして立香と龍牙に遊びと称して、6柱の魔神柱を呼び出した。
「藤丸君………君等が俺に対して、警戒しているのも分かる。俺が話さないから信じきれないと言うのもな。だが生き残りたいなら協力してくれ」
「はっ……はい!」
龍牙の言葉に了承する立香。魔術師としては素人の彼にも今の状況がどれ程、拙い状況なのか理解できた。故に未だ信用しきれないとは言え、これまで自分達に協力してくれた彼の提案に頷いた。
「よし、藤丸君のサーヴァントは全員彼を護れ!ジャンヌは万が一の場合の為に彼等の傍に!
ヴラド、牛若丸、X、アルテラ、信長は魔神柱を迎撃。金時達も協力してくれれば助かる」
「おう!任せときな!」
「ぇ~面倒ですが………逃がしてはくれなさそうですし、仕方ないですねぇ」
どうやら金時やタマモ達も協力してくれる様だ。
「助かる…………さてと」
【破壊龍:
龍牙は破壊龍の鎧を纏い、宙に浮いた。
「待たせたな、魔術王(仮)」
「ほぅ、それがフラウロスを倒した力か」
「そうだ」
龍牙はソロモンにそう答えながら、翼を広げその身を包む。
「ソロモンを語る者よ。最後に1つ聞く…………止める気はあるか?」
「ある訳がなかろう、無駄に浪費する物を私が有効に使ってやるんだ。感謝して欲しいものだ」
龍牙の問いにそう答えるソロモン。それを聞いた彼は決意する。
「そうか…………なら此方も全力でいく。
『我が声に応え、目覚めよ。創造より産まれし、あらゆる存在を喰らいし破壊龍よ。
森羅万象を【破壊】をもって無へ還そう。苦しみ、もがき、彷徨う魂達を【死】をもって輪廻の輪へと導こう。
我【楔】としての役目を果たす。我が魂力を喰らい、我が肉体を通し現世へ顕現せよ』」
龍牙の身体が龍の身体へと変貌していく。
「【
ソロモンはその龍牙の変貌を見て目を見開いた。
「これは……なんだ?なんだ、その力は?」
ソロモンの目はあらゆる未来を見通し、あらゆる魔術の術式を看破する。だと言うのに、目の前に龍牙の力が欠片も分からなかった。
「これは………魔術?いや魔法………違う。これはそんな次元の物ではない…………そうか………貴様は!世界側の……抑止力に関る者……抑止の使徒か!?」
【否………我ハ抑止に非ズ】
それは龍牙の声だけではなく、別の男の声も重なっていた。
「抑止の者ではないだと?!ならば何故、存在できる!?その力は世界の内に存在してはならぬものだ!」
ソロモンが余裕の表情を崩す、それに呼応するかの様に魔神柱達も騒ぎ始めた。
【我ハ世界ノ行末ヲ見守ル存在………ソシテ新タナル可能性ヲ齎スモノ】
「なに?」
「【例え冠位の力を隠れ蓑にし、人より出でたお前であろうと、これまで生きてきた命を否定し無かった事にする事も、今を生きる命を否定する事も許しはしない】」
「人には何の価値もない!無駄に時を消費し、無駄に死んでいく!ならばこの私が有効に使ってやろうと言うのだ!それの何が悪い!」
「【お前には言葉では分からぬ様だ。ならば力で示そう】」
―グオオォォォォォォォ!!!―
龍化した龍牙が咆哮を上げる。そして、魔神柱に襲い掛かった。
その爪を魔神柱の身体に突き立て、引き寄せると鋭い牙で噛みついた。ジャンヌ達と戦っている魔神柱、立香達と戦っている魔神柱、噛みつかれている魔神柱を除いた2柱が龍化している龍牙へと襲い掛かる。
【グルルルルル…………】
魔神柱達は龍化した龍牙へと光線を放ったり、体当たりし、何とか引きはがそうとしているが龍牙はその力を一向に緩めようとしない。
「【人は確かに死を克服する事はなかった。だが人も、他の生命も、違う形での未来を紡ぎ、永遠を手にした。
そして死への恐怖を捨てなかったのも、知性を捨てなかったのも、次なる段階へ進むために必要だったからだ】」
「必要なことだと?!貴様等が繰り返してきた愚かな歴史がか!?」
「【それを選んだのは人自身………ならば俺はそれを見守り、時に助けるだけのこと。それが俺に与えられた役目だ】」
「なに?」
龍化した龍牙は背の12枚の翼が体当たりしてくる魔神柱達を受け止めると、弾き飛ばし、噛みついている魔神柱を離し、そのまま回転すると尾で殴り飛ばす。
「【Break!Break!Break!Break!】」
龍牙は【破壊の制約】により力を解放していく。
【
龍化した龍牙の咢より、漆黒の破壊の威が放たれる。
「なl」
それは一瞬の事だった。ソロモンと魔神柱達、後方に在った魔力炉も漆黒に飲み込まれた。
「ふぅ……」
「バカな……この冠位を得た私を傷付け、3柱の魔神柱が消し飛ぶなど」
周囲にいた魔神柱が消し飛んだものの、ソロモン自身はそれほど、傷を負っては居なかった。
「目覚めたはがりとは言えこの身に傷を……」
「その程度で驚くなよ、グランドキャスター」
「「「グランドキャスター?」」」
魔神柱と戦っていた立香たちが声を上げる。
「元々、サーヴァントとは人類が立ち向かう事の出来ない敵に対してのカウンター。
そして、人理を護る時代の最高峰の七騎の頂点に立つサーヴァントこそ
「その通りだ………この身は冠位を受けし魔術師だ。通常のサーヴァントよりも一段階上の存在………サーヴァントでさえ、この身に傷を付ける事など不可能に近い。
だと言うのに…………貴様は」
腹立たしそうに龍牙を睨み付けるソロモン。
「フッ………神に近しくなった自分が傷付けられるのは不思議か?
まぁ、そりゃそうだろうさ。英霊でもない、人間に傷付けられるなど考えないか。普通は………残念ながら、俺はその普通には当て嵌まらないんでな」
「くっ…………くっ……ククク!ギャハハハハハハハ!
人間に当てはまらない人間か!面白い!順調に進んでいた我が人理焼却に貴様の様な存在が現れようとは………。
だが………それが貴様の限界だろう。まだ私には届かん」
ソロモンが龍牙の顔の変化を見て笑いを上げる。龍牙の顔の半分が黒い鱗に覆われていた。
「「「!!?」」」
立香とマシュ達は龍牙のその顔を見て、驚きの声を上げる。
「人の身ではあの力は強大過ぎる………この身と魂を代償に力を発動させる」
「つまりは命を削ってと言う訳か!ハハハハハ!愚かしいにも程がある!」
「(別に命を削ってる訳じゃないけどね。寝りゃ回復するし……勘違いしてるみたいだし、黙ってよ)
愚かしいか、愚かしくないかは置いといて……向こうも決着がつきそうだ」
「向こう?カルデアのサーヴァントと貴様のサーヴァントの事か……我が此所にいる以上、たかがサーヴァント如きが」
ソロモンはタダのサーヴァントが束になったとしても、項目早く魔神柱がやられる訳がないと思っていた。そして、魔神柱達の方へと視線を向ける。
「【
「【壇ノ浦・八艘跳び】!」
ヴラド三世の宝具【
牛若丸が追い討ちを掛けて、【壇ノ浦・八艘跳び】を発動し一閃を放つ。
それを受けた魔神柱は苦痛の叫びを上げ消滅した。
「これが魔王の三段撃ちじゃあ!」
「【
信長の宝具【
回復の間もなく、アルテラの宝具【
「……………」
これには魔術王も目が点となっている。本来、普通のサーヴァントが束になってやっと滅ぼす事の出来る存在。だと言うのに、それぞれ2体だけで魔神柱が倒された事が信じられない様子だ。
立香とそのサーヴァント達も同じ様に目が点となっている。
「まぁ、確かに普通のサーヴァントの出力で魔神柱を倒すのは骨が折れるだろう。ならサーヴァントの出力を上げてやればいい」
「馬鹿な!奴等も冠位だと言うのか?!」
「いいや、冠位には適性が必要だから冠位じゃない。まぁ色々と制約はあるが簡単に言えば魔神柱や世界、人に害成す存在に対してだけ抑止のバックアップが付く様にしただけのこと」
「「「「…………」」」」
それを聞いて唖然とするサーヴァント達と魔術王、立香は魔術等に関しての知識が少ない為か良く分からない顔をしている。
「そんな事が出来る訳が……」
「現にサーヴァントが倒しているだろう…………とは言うものの、少し苦労したがな。まぁ準備期間は結構あったからな」
「馬鹿な!我が人理焼却の計画を見抜いていたと言うのか?!」
魔術王は激高する、自分が長い時を掛けて準備してきた人理焼却がたった1人の人間に見破られていた事に怒りを覚えた。
「別に見抜いて訳じゃない……………ただ
龍牙は自身を浸食している鱗の部分を手で覆い、ニヤッと笑みを浮かべそう言い放った。
「ふっ………クハハハハハハハハ!良いだろう!お前がどの様な存在で在れ、我が前に立ちはだかるならば七つの特異点を乗り越え我が元に来るがいい!その時は我が全霊を持って相手をしてやろう!」
魔術王は笑いながらそう言い放つと、自身の後ろに空間の歪みを産みだしその中へと消えて行った。
「言われずともそうするさ、人より出でた者よ…………さて、取り敢えずこれでこの特異点は修復完了か」
龍牙がそう言うと、金時や玉藻達が徐々に消え始めていた。そして自身と自分のサーヴァント達も何時もの光に包まれ始め、この特異点を去ろうとしていた。
「無皇さん」
「藤丸くんか………」
「貴方は………」
「君の言いたい事は分かる。まぁそれは次の機会にでもしようか………カルデアに用が出来たしな」
龍牙はそう言うと、そのままサーヴァントと共に消えてしまった。
魔術王の出現、多くの疑問が残ったが彼等が龍牙の事を知るのも時間の問題だろう。
こうして第四特異点は修復された。