~龍牙の拠点~
「さてと……セイバー、アーチャー陣営に関しては多分問題ないだろう。
キルケー、マルタ、ランサーとライダー陣営については?」
龍牙ほ目の前の2人にそう尋ねた。
「問題ないと思うよ、
「えぇ、ランサーのマスターはマスターから持たされた宝物で了承しました。ライダーのマスターはそこまで聖杯に執着はなかった様でしたし。ですが、ライダーのマスター権に関してはライダー本人が」
「そう……まぁ、あの性格だからね。ランサーについては?」
「ランサーのマスターは宝物と同等の対価だと納得してたよ。ランサーも主の意思に従うとさ」
「成程……残るはアサシン……言峰綺礼。後は蟲爺とバーサーカーか。
今の愉悦神父はギルとの接触が少ないから多分、自分から動かないだろうけど……アサシンがどう動くか……。
蟲爺に関しては目立った事件も起きてないから動けてないか、隠れてるか……か。
キャスターの召喚はされてないけど、時間の問題かもね」
「確か、ジルが召喚されるんでしたね」
「セイバー、アーチャー、ランサー、ライダー、アサシン、バーサーカーの6騎が召喚され、聖杯戦争は停止している。だからこそ、聖杯そのものが、無理にでも召喚しそうだが…………問題はマスターか。
でも本来とは随分変わってるからな」
龍牙がこれからの事を考えていた。
(あの男はまだ街に入ってきてない……時期的には入っている筈なんだが……俺の介入で、起きる筈のない事が起きているのか?)
ーコッ、コッ、コッー
龍牙が考えていると、ノックする音が聞こえた。
「はい、どうぞ」
彼がそう言うと、桜が顔を覗かせた。
「やぁ、桜ちゃん、どうかした?」
「あっ……あの……あお……おかあさんが……ご飯を作って……龍牙さん達も一緒にって」
「そうか……では頂こうか」
折角のお誘いなので、ありがたく受ける事にした龍牙。
「桜ちゃんも手伝ったのか?」
「う……うん。お姉ちゃんと一緒に……」
「そっか……(少しだけど、良くなってきてるな。この調子なら遠からず)」
龍牙はありえるであろう未来を想像し笑みを浮かべる。
(だけど……問題はこの子の属性か。魔術協会が放っておかないだろうな。魔術の名門の庇護がいるか、そっちも考えないと)
考える事が多くあるので、疲れると思いながらも桜の為にもできる事をしないとと考える龍牙。
~柳洞寺 地下大空洞~
柳洞寺の地下にある大空洞、此処には大聖杯の超級の魔術炉心がある。
今は無人の筈のこの場所に小さな存在が現れる。
「ぐぅ……おのれ……使い魔をかき集めてもこのくらいの身体しか作れんか」
それは子供の半分くらいの大きさしかないが、間違いなく間桐臓硯である。
「しかも聖杯戦争が中止とは……」
臓硯の背後にバーサーカーが現界する。
「GUUU……」
「すまぬな……今の儂では現界させるのがやっとじゃ。本体を此処に隠しておいて正解じゃたな、むっ?」
臓硯とバーサーカーが何かに気付き大聖杯を見た。すると大聖杯から黒い泥が溢れ始める。
「なんじゃ!?」
泥はやがて、バーサーカーと臓硯と飲み込み始めた。
「この泥は……呑まれる!?」
バーサーカーは既に飲み込まれてしまっている。臓硯は何とか逃れ様とするが、魔術を発動することも敵わない。すると彼の前の泥が盛り上がり何かの形を成した。
「ぉぉぉおおお! お主は……そうじゃ、儂はお主の姿を偲ぶために」
臓硯はその何かに手を伸ばす。
そして彼はその肉体と魂は泥に飲み込まれた。