俺のFateな話   作:始まりの0

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EP86 終焉の鐘が鳴る

 ~大空洞~

 

 聖杯の本体があるこの大空洞に顕現したアンリ・マユ。その眷属として無数の蟲とアサシン軍団、バーサーカー。

 

 それに立ち向かうのは、龍牙、ジャンヌ、ディルムッド、セイバー、アーチャー、ライダー陣営。

 

「と言う訳で暫く頼む……此処まで魔力使い過ぎたから少し回復させるんで……ジャンヌ、ディルムッド、此処は任せる。一応外にも待機させてるが、出来るだけ出さない様に頼む」

 

 

「はい!」

 

 

「承知!」

 

 龍牙はそう言うと目を瞑り、その場に座り込んだ。ジャンヌはその旗を、ディルムッドは槍を構える。

 

「仕方ない……セイバー、頼む」

 

 切嗣にそう言われ少し驚いた顔をするアルトリア。

 

「貴方に頼まれるのは変な感じですが……分かりました。

 

 我が剣に賭けて奴等を此処から出しはしません!」

 

 セイバーは風王結界を解除する、聖剣が姿を現した。

 

「ライダー! 任せた!」

 

 

「フハハハハハハ! 任せろ! 彼の騎士王や英雄王と並んで戦うのも、また血が滾るわ!」

 

 イスカンダルは雷を纏いながら、戦車ごと突っ込んで行った。ウェイバー君(マスター)を乗せたまま。ウェイバーが何やら悲鳴を上げているが、その悲鳴も直ぐ様、戦車の轟音に掻き消されてしまった。

 

「英雄王」

 

 

「貴様に言われずとも分かっておるわ」

 

 ギルガメッシュは複数の砲門を解放し、そこから宝具が顔を覗かせる。

 

「ハハハハハハ! 魔力の貯蔵は充分なのでな! 派手に行くぞ、雑種!」

 

 宝具の雨が降り注ぎ、アンリ・マユの眷属達が滅していく。

 

 

 

 

 ~大空洞外~

 

 大空洞の外では龍牙のサーヴァント達が待機していた。

 

「はっ!」

 

 

「これでっ!」

 

 

「■■■!」

 

 アタランテ、マルタ、ヘラクレスが散会し、大空洞から溢れたアンリ・マユの眷属(蟲)達を潰していた。

 

 どうやら、出入口だけでなく岩の隙間などからも出てきているらしい。

 

「アタランテ、3時方向! マルタ、少し下がって! ヘラクレスはその場で待機!」

 

 キルケーは後方から支援と指示を出していた。

 

「ぁあ、もう! 多過ぎだ!」

 

 

「キルケー! 口ではなく手を動かせ!」

 

 

「分かってるよ! でもキリがない!」

 

 

「それは仕方ないでしょう。此処で私達が手を抜けば被害を受けるのは罪もない人々です。此処が踏ん張り処! タラスク!」

 

 マルタの背後にタラスクが顕現し、共に敵を倒し始めた。

 

 今の所、彼等の活躍により街に被害は出ていないものの、キリがないのは確かである。

 

 これを解決するには大元を一刻も早く潰すことなのだが……

 

 

 

 ~大空洞内~

 

 それぞれのサーヴァントが、眷属を相手に奮闘している。

 

 蟲は小さいものの、難なく倒せているが問題は無数のアサシン達である。眷属と化しても高いステルス性と閉鎖空間での起動力に長けているアサシン、それぞれのサーヴァントは泥に触れぬ様に注意しつつ戦っており、加えマスターを護らなければならない。

 

 ライダーと共に戦車に乗っているウェイバーを除く、他の者達は魔術や火器による自衛を行っているものの、魔力も無限ではない。前衛であるセイバー、ランサー、ライダー、マスター陣を守りつつ戦っているジャンヌとギルガメッシュ。一気に宝具で一掃出来ればいいのだが、聖杯を破壊し、泥が溢れ出せば少なからず被害が出てしまう為に使用出来ずにいた。

 

 そうしている内にマスター達にアサシン達が得意の暗殺を仕掛け始めた。

 

「アギャャャャ!」

 

 

「キャハハハハ!」

 

 狂った様に捨て身で暗殺を仕掛けてくるアサシン達。

 

「このっ!」

 

 ジャンヌが聖旗でアサシンを打ち倒す。倒されたアサシンはその場で霧散する、だが間を空けずに泥より新たなアサシンが出現……これではただ消耗するだけである。

 

「ギルガメッシュ! 貴女も本気を出したらどうですか!?」

 

 

「本気を出すまでもない……が、これでは消耗する一方か。だがあまり派手な事は出来んな……ムッ」

 

 アサシン達が一斉にマスター達に襲い掛かる。どうやらサーヴァントを倒すよりマスター達を倒した方が早いと気付いたらしい。

 

 前衛のサーヴァントはアサシン達、蟲、バーサーカーを相手にしている為に此方には来れない。

 

「チッ!」

 

 ギルガメッシュとジャンヌがそれに対応しようとする、だがその時

 

 

 

 

ゴーン ゴーン

 

 

 と鐘の音が響き始めた。

 

 それを聞いたアサシン達はピタッと動きを止め、その場から飛び退いた。

 

「これは……」

 

 辺りの気配が変わった事に気付いたサーヴァント達。セイバーは聖剣を解放し、ギルガメッシュはその手に乖離剣を持つ。

 

「成程……残りの一体はアンタだったか」

 

 今まで目を瞑っていた龍牙が何かに気付きそう声をあげる。

 

 ー我を呼び出しし契約者よ。汝、何を成すか? ー

 

 謎の声は龍牙に向かいそう尋ねる。

 

「人理を護る……人が己が手で滅びるなら諦めよう。しかし此度の焼却は人間から産まれながらに、人間を知らない魔神だ。そんな輩に人類を滅ぼさせる訳にはいかない。

 

 だが今は目の前のこの世の悪をどうにかしないと……手伝って貰えるか?」

 

 

 ー良かろう……我を使うがよいー

 

 龍牙の後ろにそれは現れる。

 

 髑髏の仮面、黒衣、大剣、放つそれは死の気配。

 

「我は冠位の暗殺者(グランド・アサシン)、山の翁、ハサン・サッバーハである。

 

 白と黒の龍の力を使いし契約者よ、これより我は汝の影となろう」

 

 始まりにして、終わりの山の翁、冠位を持つサーヴァントが此処に召喚された。

 

 

 


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