Monster Hunter Parody ー名状しがたき狩人のような者達ー   作:銀紬

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はい、皆さんこんばんわ。銀紬です。
少し更新が遅れましたね。大変申し訳ございません。

まぁ、長々と謝罪文だけ書いてもアレなので…第五章後編、お楽しみ下さいませ。



第五章後編 四人と四本の角

「……で、ご都合のなんたら症候群って奴か」

「えぇ、蒼玉症候群です」

「名前変わってんじゃねぇか」

 

ユウラが突っ込むと突然そっぽを向きぴー、ぴーと口笛を吹きだすシャルル。

荒れ狂う雲が渦巻いて戦いの火ぶたが落ちそうな曲であった。

やっぱり何か隠しているのかもしれない。

 

一先ず、時は午前11時。なんたら症候群とやらで彼らは旧密林へと降り立っていた。

 

まだまだ温暖期真っ盛りの旧密林においてこの日差しはなかなかにキツいものがあった。

蒸し暑さが一行を襲う。

 

「そ、それよりも。一先ずはラギアクルスが現れたというエリアに向かいましょう」

「ん、そうだな。暑いし少しは水が欲しい」

「高く、売り払える……」

「え、そうなのか? いつも何気なく飲んでたんだけど」

「余り知られてはいない事実なんですがね、実は旧密林の河川の水は「メタペ水」と呼ばれるほどの高級飲料水として取引されているんですよ。

更にいうと、温暖期のメタペ水は上質な土壌を持つアクラ地帯の方から寒冷期~繁殖期にかけて雪解け水が流れてきていていますので、栄養価も抜群なんですよ。

飲料水としては勿論、植物を育てたりにも有効です。

そういう訳で、今の時期のメタペ水の相場は鰻登りって寸法なのです。

まぁ、それ故に結構取水制限も掛かっているんですけどね。

一人一リットル以上はハンターでも持ち帰ってはいけない決まりになっています」

「へ、へぇ……」

 

なんでコイツは妙な雑学に詳しいのだろうか。

しかしまぁ、たまに何気なく狩猟の後に飲んでいた旧密林水がそこまで上質な物であったとは。

少しはありがたみを持って飲んだ方が良いのかもしれない。

 

「とりあえず、いってみよっ」

 

ユウラ達を先導して、ハルトが駆け出す。

 

そういえば、あの黒装飾は暑くないのだろうか。

確か黒という色は熱をこもらせる効果が高かったような気がするのだが。

 

----

 

『ギャオー!ギャオー!』

 

「うっわ、大量に居ますねぇ……ランポスの狩猟依頼に関してもあながち嘘ではなかったということでしょうか」

「まぁ、そういうこともあるだろうな」

 

 

目の前には、ランポスの大群。数にして、一、十、…まぁ、かなりいるのは間違いない。

 

エリア1と呼ばれるそのエリアはキャンプと隣接している為、早くもランポスの群れにぶち当たったことになる。

 

 

「とりあえず片付けちまいましょうか。秘伝狩人CQC『散弾散弾散弾散弾散弾(リーサル・ラドグーン)』!」

「ただ散弾撃つだけじゃねぇか」

「こまけぇこたぁいいんですよ」

 

シャルルの老山龍砲【極】から、大量のLv3散弾が射出される。

 

大型モンスターですら悲鳴を上げるその火力をランポス如きが喰らおうものなら命の保証などまずないだろう。

 

そしてそれは事実であったらしく。

 

『ギャッ』

 

ランポス達は一瞬悲鳴をあげるが、それがいいところであったようだ。

悲鳴を上げるや否や、例外なく四散していった。

 

 

「……ふー、一丁上がりですね」

「シャル子……かっこいい」

「おみごとだよっ、さんこうにするね!」

みぃー!

 

器用にくるくると老山龍砲を振りまわすシャルル。そしてそのシャルルを口々にほめたたえる一同。

だが、ユウラにはどうみてもやり過ぎに見える。

 

「……」

「おやおやぁ? ユウラさんどうしたんですかそんなに無口になって? あっ!

まさか今の私に」

「それは無いから安心しろ」

「惹かれて……位言わせて下さいよぉ……」

 

おいおいと泣きだすシャルル。都合のいい時にどうしてこうも涙を流せるのだろう。

やはり役者の才能があるのかもしれない。

 

などと思っていると。

 

 

『……チッ』

 

 

「……ん?誰かなんか言ったか?」

 

どこかから何かが聞こえてきた気がする。

 

「ううん、ぼくはなにも」

「わたしも……」

「空耳じゃないですかね?」

「おかしいな、確かに聞こえたんだけど……」

 

まぁ、葉っぱがかすれる音だったかもしれない。

 

そう思い、気にせずに一行は歩みを進めることとした。

----

 

「そんな訳で、ユウラさん! エリア3ですよっ! エリア3っ」

「どうしてお前はそんなにテンションが高いんだよ」

 

エリアのほぼ上半分を占める巨大な河川に満々と水をたたえた、エリア3。

この辺りはまだ流れも緩く、波音も少ない。

 

そこには大抵水を求めてやってきた獣や竜が居るのだが、この日はモスが数匹歩いている程度。

それは一見なんともない風景であったが、今回の場合は事情が事情なだけに不気味さを助長させる。

 

「も、モンスターたちがいないね」

「ラギアクルスの……仕業かもしれない」

「見た事ないんだけど、ラギアクルスってそんなに強いのか?」

「そうですねぇ……保安隊指定ランクでは、水中では陸上で言うディアブロス程度、

陸上では大体リオレイア位ですかね。総合してリオレウスとほぼ同等といったところでしょうか。

青い体躯に灼眼を持っています」

 

基準がいまいちよくわからないが、とりあえずリオレウスと同等であるということはかなりの強敵であることは間違いない。

ユウラはその言葉に若干戦慄するのだった――

 

「まぁご安心ください。我々が一瞬に砕け散らせますから」

「少しはお前も加減というものを知ろうな?」

 

主にシャルルの一言に、であるが。

 

もうなんというか、この世のハンター業は全部コイツ一人でいいんじゃないだろうか。

 

と、ユウラが思いかけていた時であった。

 

ザザァ……ザザァ……

 

先ほどまで波音一つしなかった河川から波音が聞こえる。

そしてそれはゆっくりとこちらに近づいていた。

 

それだけではない。やや濁り気味だった水面が青白く発光していた。

 

 

「……おでまし」

 

ユミがそう言うや否や、水面から巨大な雷球がユウラ達を襲う。

 

ビシャアアア!

 

「うぉっと!?」

 

辛うじて一撃を回避したユウラ。

ユウラが居た地面は黒く焼けただれており、雷球にどれほどの火力を秘めているのかを示していた。

 

そして雷球の持ち主は、ゆっくりとその白い体躯を陸上へと曝け出す。

 

……白?

 

「ラギアクルス……の、亜種ですねコレは」

「おい亜種か原種かも書いてないのかよ保安隊報告書」

「私に言わないでくださいよ。文句はお上に、どうぞ」

「でも……亜種となると、少しだけ厄介」

 

ユミの言い分は最もであった。

亜種モンスターは基本的に原種モンスターより強力なものが多いとされている。

ユウラもそれは学んでいた。

 

となれば、流石のシャルルでも少しは苦戦を強いられるのでは----

 

「亜種だろうがなんだろうが関係ありません。銃のレベルを上げて火炎弾という物理で殴るだけです」

 

関係ないようであった。

 

ジャギィィン。

そして、かのジャギットファイア・シークエンス形態へと変貌を遂げる老山龍砲【極】。

ユミもゴールドイクリプスを構え、ハルトもトルネードトマホークを両手に持つ。

こうなればユウラも臨戦態勢を取らざるを得まい。

全員が完全に戦闘形態へと移り変わる。

 

『ギャォオオオオオ!!!』

 

こちらを見つけ、雄たけびを上げるラギアクルス亜種。

あちらも既に臨戦状態であるようだ。

 

「行きますよ……!狩人CQC、ジャギットファイア・シークエンスモード起動!」

「小便はすませた……? 神様にお祈りは? 部屋のスミでガタガタふるえて命ごいをする心の準備はOK?」

「が、がんばろうね、ユウラくんっ」

「お、おう」

 

二人ほど妙に不安な面子が居るが、状況はどう見てもこちらが優勢である。

 

「これが私の全力全開!天壌の業火(アラス・トール)ッ!!」

 

ゴォォオオオオオ!!

火炎弾を連射しただけとは思えない一撃がラギアクルスに牙を剥く。

 

「本家・ジャギットファイア・シークエンス……。 ゴールドイクリプス・レディ?」

『OK、ゴールドイクリプス!』

 

何故か片手剣から音声が発される。

と、同時にユミの片手に世界の終わりすら予感させる赤黒い球体が生み出される。

 

それは徐々に巨大化していく。そして、周囲の地面を焼き払いながらゆっくりと球体はユミの元を離れ、ラギアクルスへと向かう。

 

「あ、あぶないからみてよっか」

「そ、そうだな」

みぃー。

 

そして、規格外すぎる二人を傍観することにした二人と一匹。

下手に攻撃を加えたら自分も巻き添えになりかねない。それを全員悟ったようである。

一体臨戦状態とは何だったのだろうか。

現状一番攻撃を加えられそうなのはハルトであったが、ここで仮に黄金衣状態になってもアレだけの熱量の攻撃の巻き添えになればただでは済まないだろう。

 

『ゴォオオオオオオオオ!』

 

しかし、それに怯む事なく電気を発するラギアクルス。あちらはちらで相当量の放電を行っているようであった。

 

やがて、二対一の巨大なエネルギーがぶつかり合い。

 

ドゴォオオオオオオオオオオオオ!!

 

超巨大エネルギーと言えるそれは、巨大な爆発を起こした。

 

「うぉっ……!」

 

凄まじい爆風に対し、ユウラは手持ちの盾で身を守る。

ハルトは手持ちの双剣を交差させ、シャンティッ君も身を丸め防御態勢を取っていた。

 

どちらも凄まじいエネルギーを発してこそ居たが、なにぶんこちらは二人分の、それも大陸中の火力をかき集めて逆立ちしても届くか微妙なレベルの火力である。

オーバーキルで倒されたであろう彼には申し訳ないが、ラギアクルス亜種は一溜まりもないであろう。

 

やがて爆風が収まる。

 

シャルルたちはじっと、煙の上がるラギアクルスの姿があったそこを見つめて---

 

 

「……ゆうらくん、シャンティッ君、あぶないッ!」

「え?」

 

ハルトがふいにユウラとシャンティッ君を抱え込み、数メートル先の地面にダイブする。

 

そして。

 

 

バリバリバリバリバリバリィイイ!!!

 

超巨大雷球がユウラ達の先ほどまで立っていた地面を襲う。二度目の光景であった。

やがて爆風の煙が晴れると、そこには先ほどと変わらずこちらを睨みつける白き海竜の姿があった。

流石にあの爆発で無傷、という訳にはいかなかったらしい。あちらこちらに痛々しい焼け跡がみえる。

しかしそれは、生物としての活動になんら支障をきたさない程度のレベルであったようだ。

むしろ彼にとっては適度なダメージであったようで、口からは電気が漏れ出している。どうやら一層興奮状態になったようだ。

 

「にゃ、にゃんですと!?」

「余り効いていない……?」

 

いつの間にかユウラ達の数メートル左に居たシャルルやユミも、驚きを隠せずにいた。

 

だが、それ以上に驚いていたのは何を角槍、もとい隠そうユウラであった。

 

あそこまで規格外な熱量をぶち込んで、尚あの程度の傷。

もしもこの依頼をユウラ一人で受けて居たら……そう考えると、ぞっとする。

 

「……まさか、ランディープ・個体ですかねぇ?」

「可能性はある……」

 

初めて聞いた個体区分であった。

こいつらのこじ付けに過ぎないものだと思わなくもなかったが、一応聞いておくことにする。

 

「何なんだ、そのランディープ・個体って」

「よくぞ聞いてくれました。ランディープ個体というのはですね……おぉっと!」

 

シャルルの方向にラギアクルスが雷球を吐きだす。

一方、シャルルはヘビィボウガンを構えながらも器用にそれを回避した。

この様子を見るに、やはり彼女の狩人としての腕前は超一流クラスと言っても過言ではないだろう。

それを改めて確信した上で、なおこの目の前の白い化け物の強さを確信する。

 

「少し説明が長くなりそうですね……

ユウラさん、ハルト君。ここは一度撤退しますよ。コレをお使いください。ベースキャンプを思い浮かべた上で叩きつければ即効果が発揮されますので」

 

そういって、シャルルが緑色の煙が充満する何かを手渡す。

コレが普通の敵であれば少しは難色を示さなくもないのだが、生憎相手は普通の敵ではないようだ。

ユウラは、言われるがままにその球体を地面にたたきつけた。

 

すると、たちどころに視界が緑色の煙に覆われていった。

 

ラギアクルスがこちらに突進してきた光景を最後に、完全に視界が失われた。

----

気が付くと、見覚えのある光景が見て取れる。

 

空を見上げればギラギラと照りつける太陽に、どこまでも青い空が続く。

正面を見ればまんまんと水をたたえた滝があり。

周囲を見渡すと、見覚えのある黄色い建造物。

 

ユウラ達は、ベースキャンプへと戻ってきていた。

 

「もしかしてコレ、モドリ玉って奴か?」

 

知識としてはモドリ玉を知ってこそいたユウラだが、実物を見るのは今が初めてであったった。

 

「えぇ、素材玉のネンチャク草に含まれる粘着成分とドキドキノコのランダミング菌(Ⅳ)酸が結合した結果、思い浮かべた場所に戻れるというなまらすげー効果が」

「うん、そろそろこじ付けの設定を考えるのは止めても良いんだぞ」

「本当のことですのに……」

 

最も、今はそんなことはどうでもいいのだ。

むしろ必要なのは、あのラギアクルス亜種が一体何者なのか。という情報だ。

 

恐らくあの様子、言動からしてシャルルたちは知っているのだろう。

 

「じゃあ、改めて説明を頼むよ」

「っと、そうですね。それでは続きをお話しましょう。

ランディープ個体というのは、通称「Z級個体」とも呼ばれていまして」

「おいなんだその区分初めて聞いたぞ」

「そりゃあこっちの業界の用語ですからね。まぁ、G級の更にワンランク上と思って頂ければ良いかと」

 

G級の更に上。それはつまりどういうことか?

 

まず、ユウラは下位ハンターである。コレは既知の事実だ。

そして恐らく次にランクが低いハルト。持っている武具的にも実力的にも一応上位ランクであることは間違いないが、

少なくとも「黄金衣状態」となれば、G級のそれを遥かに圧倒するポテンシャルを秘めている。

 

そして、最もランクが高いであろうシャルルにユミ。

 

実力はほぼ拮抗というよりもカンスト。だが、G級以上の区分が作られていない以上G級の天井を超えることは無い。

 

つまり。

 

「……もしかして、苦戦しそう……なのか?」

「認めたくないものですね……G級の範疇に縛られた実力というものを」

 

この瞬間、このラギアクルス亜種が恐らく旧大陸最強に準じる実力の一行にすら劣らぬ実力を保持していることは間違いのないものとなった。

 

「まぁ、我々もこのような事態に備え常に一対一でも対応可能なよう鍛練を積み重ねていますし、少なくとも四人である以上は一方的に負けることは無いと思いますがね」

「ただ……、Z級モンスターに対してはある程度戦局を一人で持たせたところで、複数人の保安隊員でフルボッコにするのが定石。

単独ではわたしやシャルルでも、火力的に少し厳しい物がある」

「マジかよ……じゃあ、どうするんだ?」

 

ユウラはユウラなりに色々と作戦を考えてはいた。

 

例えば、ユウラは一応常にトラップツールだけは常備していた。

その為、ツタの葉やクモの巣さえ採取出来れば落とし穴で長時間の拘束を図り、再びあの高火力で焼き払う。

 

確かに一撃で殺せはしなかったものの、ふつうであれば何発と攻撃を繰り出してもそう簡単にモンスターは興奮状態には陥らない。

だがそこは流石あの火力と言うべきか、一撃で興奮状態に陥らせるほどのダメージを与えられていたのもまた事実だ。

簡単に言ってしまえば、規格外には規格外を、という戦法だ。

本当はそのような罠だけしかけて攻撃は任せる、などという寄生根性丸出しの行動はユウラは好きではない。

好きではないのだが、残念ながらアレに自分が数発斬りつけたところでダメージはほとんど期待できない。

そうであれば、然るべき時の為に体力を温存しておくべきであろう。

 

……などと考えていると、シャルルが口を開く。

 

「可能であれば、ハルト君に「アレ」をやってもらえればグッと戦闘は楽になると思うのですが」

「アレ……って」

 

アレ。

 

アレとは、先日リオレイアを一方的に四散させた「黄金衣状態」。

しかしその消耗は通常の鬼人化より遥かに大きく、正直昨日今日で発動させてしまって大丈夫なのか、という懸念がユウラの中にはあった。

 

「ハルト君……出来る?」

「う、うーん……出来ないことは、ないと思うけど……できれば強走薬が、ほしいかも」

「強走薬なら常備しておりますのでご安心を」

「お前その辺は無駄に準備いいよな……じゃあ、僕は落とし穴らへんで拘束でもしておくか?」

「その心配には及びませんよユウラさん。火力面は恐らく充分でしょうから、コレで討伐へのレッドタブレットは揃いました」

「いや訳分かんねぇよ」

「少年……狩猟は、パワーだから」

「……あ、そ」

 

自分でも余り相手する事のないZ級個体の討伐を前にしてもここまでおどけられるのは恐らく彼女らだけだろう。

 

だが、同時に頼もしさを感じたのもまた事実だった。

単独では厳しいとか言いつつ、実はほぼ余裕なんじゃなかろうか。何時もよりわずかに時間が掛かるだけで。

 

「まぁそうですね、より効率良く行くためにここは真正面からぶつかるのではなく、奇襲といきましょうか」

「ん、まぁ確かにそっちの方が良いかもな」

「よっし!ユウラさんの言質も取れましたよ皆さん!それでは……夢幻の彼方へ、さぁ行きますよ!」

 

一体ユウラの言質になんの意味があるのだろう。

当の本人は疑問でならなかった。

 

----

 

おおよそ作戦会議……といって良いのかは疑問だが、それを終えて再びエリア3への入口へと立つ一行。

 

ラギアクルスは未だにエリア中心に鎮座しており、口からは電気が漏れ出していた。

どうやら、まだ興奮状態であるようだ。

また、焼け跡も治った様子はまだない。恐らくダメージを与えるには絶好の機会であろう。

 

「それじゃあ行きましょうか……!狩人CQC、シルバースパルタカスファイア・シークエンスモード起動!」

 

いつの間にかグレードアップした機構を起動させ、老山龍砲【極】に何時もの二倍の業炎袋の……いや、それよりも更に強力と思われる素材を使っているのだろうか。さながら烈炎袋とでも名付けようか?

何時もよりも巨大、且つ高温を保持したそれを装填するシャルル。

 

「コジロー魔炎弾モード……起動。狩人CQC・「シ抜きでいや四門で『煉黒龍』」

『オーケー!ソノヤイバ、ショウコウノゴトシ!』

 

再び無駄にテンションの高い電子音と共に、先ほどより一層禍々しい紫色の火球がユミの右腕に生み出される。

それは、先ほど以上に世界の終焉を物語らんとするものであった。

 

「の、のりこえ、ふみこえ……行くぞ』

 

黒い装飾が黄金に輝き、「黄金衣形態」へと移るハルト。

 

手持ちのトルネードトマホークがユミのものとは違った、しかし禍々しい色に包まれる。さながら龍属性と言ったところだろうか。

ユミやシャルルに先行して、眼にもとまらぬスピードでラギアクルスに斬りかかる。

 

そして。

 

みぃぃぃぃぃぃ……!!

 

「お前はここで僕と待っていよう。な?」

 

みー……

 

続いてシャンティッ君も突撃しようとしてこそ居たものの、それをなんとか制止するユウラ。

そして、制止されたことで少し残念そうに鳴くシャンティッ君。

 

だが、いくら古龍種とはいえ、雷に雷をぶつけても無意味だろう。

それに、下手したら三人の攻撃に巻き込まれかねない。この判断はおおよそ妥当なものと言えた。

 

『グォ!?』

 

突然の襲撃に戸惑いを隠せないラギアクルス亜種。

しかし、時は少し遅かったようだ。

 

『その命、貰い受ける!』

 

ザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザゲザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザサザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザゲザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザザサザザザン!

 

『グォオオオ!?』

 

まず、一足先に先制を仕掛けたハルトの幾百閃がラギアクルス亜種の甲殻に突き刺さる。

それに伴い、竜が悲鳴を上げる。

 

一撃一撃はラギアクルス亜種にとって軽い物であったが、連撃により瞬く間に甲殻が剥がれ落ちていく。

そして、はがれおちた甲殻の先にある、守りを失った肉体に大量の裁きが突き刺さってゆく。

 

しかし流石はZ級。それだけで崩れ落ちることは無かった。

 

無かったが……それが果たして彼にとって幸運だったのか。この後のさらなる連撃を見れば疑問に思わざるを得まい。

 

そう。

 

「ジャンクにしてあげます!」

 

ゴォオオオオオオオオオ!!!

 

先ほど以上の大量の、烈炎袋製の冒涜的なまでの物量・火力を誇る銃撃がラギアクルス亜種のむき出しの体を蝕んでいく。

 

『グギャオオオオオオ!!?』

 

再び不意打ちを受けたラギアクルス亜種は、悲痛な叫びをあげる。

だがそれでも、シャルルの銃撃は止むことを知らない。

 

そして。

 

「安心して……? 痛みは一瞬」

 

巨大な紫色の火球がラギアクルス亜種を「溶かし」ていく。

一兆度ありますよ、と言っても過言ではないレベルの熱量は、

どういう原理かラギアクルスの周囲一メートル「のみ」を焦土へと塗り替えた。

本来これだけの熱であれば周囲も焦土になりかねなさそうだが、一体どんな原理なのだろう。

 

 

『ゴォ……ォ……オ……』

 

 

そして、身を守る甲殻を殆ど失ったラギアクルス亜種は、紫色の炎のテクニックの前になすすべも無く溶かし尽くされていったのであった。

 

 

「……一体Z級とはなんだったのか」

 

そもそもあの場面での撤退は必要であったのだろうか―――

 

あれほど苦戦するかと思われたにも関わらず、奇襲によりあっけなくラギアクルス亜種が蹂躙されていく様子を見て、

そうした疑問を抱かざるを得ないユウラであった。




はい、お疲れ様でした。

思いのほか書いていて長くなりそうだったので、とりあえず後編とはしたものの後日談的な物を付ける予定です。
よって事実上の中編となるのでしょうか、この場合は。


で……一応、更新が遅れ気味な理由も書いておきましょうかね。

実は中の人こと銀紬ですが、実はまだまだ高二の青二才。

そして……つい最近志望大学が決まりました。

どことは言いませんが、自宅の近所にあり、
尚且つ自分のやってみたいと考えている「情報工学部」も存在するのでそこを志望としました。

但し難易度は全国的に見ても非常に高く、今からでも十全な勉強が必要であろう……
ということで、連日更新をしていた頃。コレを通常とするならば通常の三倍は勉強をしているという寸法なのです。具体的には平日最低4時間ほど。
……理科目二つって結構厳しいですねぇ。センターは六百点位取れれば良いらしいんですけど。


まぁ、それ故に以前より大分自由時間は減り、テストが近いのもあり更新も停滞しておりました。
一応一日千文字程度は更新するのですが、それが限度。

今はテストが終わったので、一日三千~四千文字程度は更新が出来るようになりました。

よって、大体「三日に一度~週に一度」位の更新頻度になるかな、と。


まぁ、そういう訳なのです。

一先ず後日談は水曜日か、木曜日位の更新になるかと思われます。

それでは。
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