Monster Hunter Parody ー名状しがたき狩人のような者達ー 作:銀紬
今のところ更新ペースはある程度遵守出来ていますね!いやーよかったよかった。
それでは第一章「ユウラ・ツグァと謎のプリンセス」宜しければお楽しみくださいませ。
時は正午過ぎ位であろうか。波打ち音が鳴り響く「密林」のベースキャンプに、二つの人影があった。
片方は、革を紡いだ装備に身を包んだ少年。
もう片方は、黒く禍々しい鱗や甲殻に身を包んだ少女。
隣あって座り込んで、何やら会話をしているようだ。
そんな、端から見れば異質な組み合わせの2人が、何をしていたのかというと…
「……なぁ、一ついいか?」
ユウラが少女に質問をしようとする。
んくっ、んくっ。
しかし少年の質問など尻目に、少女は何かを飲んでいた。
「ぷっはぁー!人助けの後の一杯は五臓六腑に染み渡りますね!
ユウラさん、貴方も一杯いかがですか?」
飲み物を飲みほしたと思うと、満面の笑みでユウラに勧めてくる。
「いや、要らん。それより人の話を……」
ユウラが呼びかける。
しかし少女はそれを無視するどころか、
「んー! この焼きたての味!
やはり人助けのあとの食事はホットミートを焼いたものに限りますねぇ…!」
もしゃもしゃとやはり屈託のない笑顔で「ホットミート」と呼ばれた赤い肉を頬張っていた。
「……おい」
「んー……イッツゴージャス……デリシャス……デカルチャー……」
人の話を聞こうともせず満面の笑みで肉をほおばる少女に対しユウラのイライラ度数はとうにカンストを迎えていた。
やがて無言で少女のホットミートを奪うと、それを海の彼方へ放り投げてやった。
「美味しいにゃんってああっ!? 何をするんですかぁ!?」
悲痛な表情で訴える少女。
勿論彼女の自業自得ではあるのだが、ユウラはその表情を見ると若干罪悪感が湧かなくもなかった。
が、すぐにそれを頭から消去すると、ユウラは改めて問い直した。
「まずは僕の話を聞け。お前は一体何者なんだ?」
「え…まさか乙女の秘密を聞き出そうだなんて、
ユウラさんも罪な男ですね
……って申し訳ありませんでしたホントに私の生命線のシモフリトマト・ジュースだけは海に流さないでくださいお願いしますきちんと洗いざらい説明しますからぁぁ!」
彼女がポーチの中に入れていたジュースを海に流そうとするユウラ。
どうやらこの手は彼女に対する有効手段であるようだ。
今日もまた一つ明日使えぬ無駄知識を得たユウラは寸止めで棄てるのを止めてやることにした。
だが……
「ふぅ……いきなり人の大事なジュースを捨てようとして、でもやっぱり捨てられないそんなツンデレなユウラさんもってああ! 行動に移さないで! もうやめてくださいぃ!
私のジュースの中身が0になってしまいますからぁぁ!」
少年は少女に耳を貸さず、ドボドボドボ、と音を鳴らすジュースを大海原に送り出してやった。
なんと懲りない奴だろうか。
「うぅ……酷いですよユウラざん…ぐす」
ジュースを捨てられさめざめと泣き出す少女。だがいくら泣こうと、話を聞こうとしない彼女の自業自得にかわりはなかった。
「全く、それじゃあいい加減に話してもらうぞ」
とりあえず少女が貪りそうなものは既にないことを確認し、改めてユウラは話を聞きだすことにした。
「しょうがないにゃあ……それじゃあ、まずは自己紹介から行わせていただきますね。
私、大陸保安機構北エルデ支部に勤めております。"High you'll can't on"のニャル」
「おいその役職絶対今考えただろ」
「……」
「……」
「あ、あぁそうでした!実は最近異動があってですね、確か今では
"Move oh not came egg army"ことニャル」
「とりあえずお前がろくでもないことをしているのはよーく、よーく分かったから本当のことだけ話してくれれば良いぞ」
「ぐすん……名前位は言わせて下さいよぉ……」
彼女は自分の所業が誤解されていることについてはどうでもいいのだろうか。
「ゴホン。それじゃあ改めまして。
私、大陸保安機構北エルデ支部に勤めておりますニャルヴァーナ家出身、シャルル=ニャルヴァーナと申します。
どうぞユウラさん、親しみをこめて私のことは「シャル子」と」
「それ以上いけない」
それはそうとニャルヴァーナ家。ユウラはその名前に聞き覚えがあった。
確かユウラが生まれる大分昔に、オトモアイルー九体にそれぞれ全く違った切断武器を持たせることでオトモアイルー史上最強にして最凶の陣形「ニャルヴァーナ」を完成させたとかさせてないとか。
なんでも、アイルーが唯一かの伝説級古龍と互角に戦える陣形らしい。
この世界においてこの出来事は意外と重要な歴史らしく、訓練校の授業の一環である「狩り史」においても一度は触れるほどであった。
ユウラはダメージ計算学には余り精通している方ではなかったが、全体攻撃力が通常の115%になるだとかそういった数字もなんとなく覚えてはいた。
「といっても九匹居ないと実現不可能なその陣形は未だに普通の狩猟で取り入れられないどころか、
九匹も一度に総動員させるコストが余りにも高すぎて余りにも採算が付かないとか、
そもそも打撃アイルーでも可能であるとかで、戦法その物は余り評価されていなかったんですよ。世知辛い世の中ですよね。
それでですね、そのニャルヴァーナを実用レベルに改良して継承したのがこの私のペットこと、「シャンt」」
「お前は今一体だれの考えを読み取ったんだよ……」
「……んー、なんとなく言わないといけないような気がしましてね」
「なにそれこわい」
心底よく分からない少女であった。
「……んで、とりあえずよく分からないけれど、君はあの「大陸保安隊」に所属している人間である、ってことで良いのか?」
「そういうことです! いやー話が早くて助かりますよ」
その早く済む話をこじらせかけたのは一体誰なのであろうか。その答えは少年の瞳に映っていたようである。
ふと、ユウラはある疑問を持った。
……先ほどからシャルルは自分のことを「ユウラ」と呼んでいるが、いつの間に彼女は自分の名前を知ったのだろう。
こちらからはまだ一度も名乗っていないというのに。
「あぁそれなんですけどね、今回の仕事に当たってユウラさん、貴方のことは色々と調べさせていただいたのですよ。
本名ユウラ=ツグァ、年齢17歳、ハンターになって一ヶ月の新米ハンター。オトモアイルーは契約なし、キッチンアイルーは「キュウ-B」「シャミセン」「あずさ」を雇っている……間違いありませんね?」
彼女のいい加減ぶりはさておき、どうやら調べ上げたのは本当らしい。
もう心を読んでるとかいう突っ込みをする気は起きなかった。
「……悔しいけど、一字一句間違いは無いな。でもシャルル、調べ上げた以上は相応の理由があるんだろう? 君の依頼と僕になんの関係が?」
「おや、ご存じありませんか? そうであれば良い機会ですし説明してしまいましょう。
まずユウラさん。貴方は「獣竜保護機関」を知っていますね?」
「あぁ……確か「獣」と「竜」を保護するから「獣竜」なんだっけ?
モンスター保護に一役買っているとか習った気がする」
獣竜保護機関。
彼らは絶滅寸前のモンスターや個体数が著しく下がったモンスターを保護、必要であれば養殖を行い、世の中のモンスターの数を常に一定に保つ。
「えぇ、それのことです。
しかしながら、彼らには裏の顔があることが我々の調査で既に判明しています」
「裏ぁ? するってーと何か、賄賂とか密売とかやってたりするのか?」
「まぁそういったところですねぇ。
ですがそうした「裏」の仕事に、ギルドやら警察隊が加担している関係で尻尾をつかめていないのが現状です」
成る程。つまるところその「尻尾」をつかむのが彼女の仕事なのだろう。
だが、それなら尚のことユウラに関係は無いことであるはずだった。
「今自分は関係ないんじゃないかとか考えてたでしょうけど、本題はここからです。
ユウラさん、いえ、ユウラさんのような新人ハンターの命が今、「狙われて」います。」
「…はぁ?」
また心を読まれたとかはもはや気にならなかったが、代わりにユウラの脳内には更に疑問が浮かぶ。
アレか。身代金でもとるつもりなのだろうか。
「そうですね、それだけでは分からないと思うのでまずは順を追って説明していきましょうか。
まず「機関」の活動の元手となる「資産」はどこから生まれているか想像できますか?」
「そりゃあ、ギルドが一枚噛んでいるってくらいだしその辺りから回ってきてるんだろ」
「確かにそれもあるでしょうが、それだけでは無理があります。
真の資産源は他の団体などからの「支援金」によるものです。
彼らは平たく言ってしまえば、「他団体からの信用」を大きな資産源にしているといっても過言ナシ、なのですよ!」
「……成る程」
確かに、無理がない理由ではあった。
しかし、それだけではいまいちユウラには関係性がつかめなかった。
「……まだ分からない、という顔をして居ますね。分かりました。
ココで話が分かりやすくなるようにユウラさんに一つ質問をしましょう。
ユウラさん。もし貴方が人に信用してもらいたい状況に置かれたとしたらユウラさんはどうしますか?」
「どうするって……
例えばその人の為に何かをするだとか、そうでなくても信用されるようなを実績を残せばいいんじゃないのか?」
「えぇ、そういうことです。彼らにとってのその「信用されるような実績」は、モンスターを保護した、個体数を増やせた、といったモノです。
そうした実績を重ね、周りからの信頼を集めたことで今の機関があると言えますね」
「……となると、その「実績」と僕に何か関係がある、ということなのか?」
「excellent!」
どうやら正解だったようだ。
しかし、ユウラとそんな「実績」に何の関係があるというのだろうか?
ユウラはまだつかめていない様子であった。
「さて、話を戻しましょう。私は先ほどユウラさんを始めとする「新米ハンター」が狙われている」という話をしました。
コレと「保護」の関係、なんだか分かりますかね……?」
再びシャルルから投げかけられた質問に考え込むユウラ。
そこでユウラは一度整理してみることにした。
今回標的になっている「ハンター」とは、「モンスターを狩る」職業の人間である。
そして、「信用」を元にして資産を得ている機関。
彼らの「信用」は実績によって成り立っている、というシャルルの言葉。
彼らの実績とは?そう、「モンスターを保護する」ことだ。
そう、ハンターと機関はまるで正反対のことを職としていたのだ。
では改めて。彼らはどのように実績を出すのか?
「……まさか」
それが分かれば、答えに辿り着くのにそう時間は要さなかった。
「お察しの通り、「ハンター抹殺計画」です。そう呼んだ方が良いでしょう。
彼らの目的は「そもそものハンター人口を減らすことで」個体数の増加を図るというものです。確かに狩る存在が減れば相対的に個体数は増加しますからね」
ビンゴであったようだ。
なにやら石を各種五個必要としそうな名前の計画であったが、問題はそこではなかった。
「……成る程な。
確かに「熟練者」であるハンターはきっと実績もあるだろうし、
そんな存在がいきなり消えたりしたら流石にギルドや警察と裏で手を組んでいても隠し通すには少し無理があるけど、新参であればほぼ完璧に隠蔽して暗殺することができる…と」
気付けばユウラもそこそこ察しが良くなってきていたようだ。
言っていて自分でも納得がいくし、シャルルもそうだとばかりにうんうんと頷く。
「その通りです。
名も無い時代で名も無い少年がその身に余る罰を受けてもその事実は名も無いおとぎ話扱いされた挙句、夕焼けの中に吸い込まれて消えていくようなもんです」
未だに彼女の例えはよく分からなかったが、ユウラからすればとりあえず現状が把握できただけでも大きな収穫であった。
「恐らくもう御察しかもしれませんが、そういうワケで今回の依頼も罠です。
今日の密林は…そうですね、後1時間もすれば先ほど私が討伐したナルガクルガ討伐のPTが到着する筈ですよ」
ナルガクルガ。
密林の暗殺者、迅竜と異名づけられた彼の存在自体はユウラも知っていたものの、実際に見たことはなかった。
といっても彼の動きの俊敏さは疾風にすら例えられることは知っていた。
そういったことから、今思えばよくあそこまで逃げたものだとユウラは思えてならなかった。
「ん…ということは、採取依頼も嘘なのか?」
「いえ、そちらに関しては確かに正式な依頼として受理されていた履歴がありました。
ですが……ナルガクルガの様な飛竜が出現が確認されていたのであれば、基本的に採取依頼が受理される筈がないんです。
実のところ、ギルドも一枚噛んでいるという事実が判明したのも、つい先日ユウラさんの「護衛任務」が課せられてこの密林に派遣されることが確定してからです」
つまり、所謂「半分嘘で半分本当」みたいな小説にありがちな展開だったという訳である。
が、それ以上にユウラには気になる事が一つ。
「……護衛任務?」
「おや、言いませんでしたっけ?
私、今回の一連の事件からユウラさんを身を呈して御守りする任務が課せられているのですよ!」
「……そうなのか?」
「嘘は言いませんってばー」
ぷぅっと頬を膨らますシャルル。
「……ははっ」
それを見てふぅっとその身から一切の不安が無くなったかのような感覚に陥り、笑みを零す。
無理もない。少なくとも彼女は自分より何倍も実力がある。
見てくれが年端もいかない少女に守ってもらうことに対しては仮にも男として若干抵抗がない訳でもなかったが、
それでも命を失うよりは一万と二千倍くらいマシだ。あるいは一億と二千倍かもしれない。
「…お、ついにデレましたねユウラさん!」
「こういうのはデレって言わない」
「貴方様、いけずです……」
それにしても、面妖な少女であった。
更にそれからよく分からないことを言いだしたのだから、ユウラにとってのシャルルの「よく分からない度」は急上昇していった。
「しかもこの任務実は私が担当じゃなかったんですよ。でも上司に無理言って変えて貰ったんです。何故か分かりますか?」
「いや、そんなこと」
知ったこっちゃねえだろ、と言おうとした瞬間、ユウラはあることを思い出した。
ユウラ幼少期に読んだ小説に、こんなシチュエーションがあった。
「宇宙からやってきた少女が地球の冴えない少年の護衛任務を受け持っていたが、
実は少年に一目ぼれしていて、本来別の任務を受け持っていたのに上司に無理言ってその任務に変えてもらった」
という、シチュエーション。
「はは…まさかな」
そんな訳は無かろうと、ユウラは考えていた。
そんな訳は無かろう。そんな訳は…
「そりゃあユウラさんがですね、「大陸保安官受け」する顔だったからですよぉ!
所謂一目惚れって奴ですね!そう、ユウラさんのプロフィール写真の目と目が合う瞬間好きだと気付いたんです!ティンと来たんですよ!」
事実は小説より奇なり。
いや、小説と同じことが起こったのだから「より」というよりは「くらい」というべきだろうか。
「……はい?」
「んもー、とぼけないでくださいよぉ!
それじゃあユウラさん、それを分かって頂いたところで街へ帰りましょう!それからわたししますか?私にしますか?それとも…わ・た」
「全部お前じゃねぇか!」
「えへ、バレました?」
にへら、と笑って見せるシャルル。
最早ユウラは呆然とするしかなかった。
やがて、双方が無言になる。
密林の温暖期特有の蒸し暑い風は気付くと心地よい潮風に変わっていた。
「……ユウラさん」
「……今度はなんだ?」
ユウラがシャルルの方を向くと、急に視界が何か柔らかいものに覆われた。
それがシャルルの体であること、自分が抱きしめられていることに気付いたのはそれから数瞬後のこと。
「なっ!?おま」
「……本当に、危ないところでした」
「……え?」
急にシャルルの声のトーンが落ちる。余りのテンションの落差にユウラは何も言えなくなった。
「……ユウラさんの写真を見たときです……私は、文字通り「一目惚れ」しました。
「あぁ、この人が私の運命の人なんだ」って。
……ぶっちゃけ、いきなり私みたいな得体のしれないのがやってきてもありがた迷惑ですよね。
でも、それでも、私にはそう思わざるをえなかったんです。
ユウラさんは、先ほども言った通り狙われています。
もしかしたら今後、直接襲撃されることすらあると思います。
だから、守るつもりになりました。
私の手が届くところで、この手で貴方を、守り通すつもりでした」
ユウラは、何も言えずにいた。
「無事で……良かったです。……間に合って、本当に良かったです。
コレで間に合わなかったら……私は…………私は……っ」
ユウラはふいに、頭に熱いものを覚える。
彼女は、泣いていたのだ。
先ほどまでの冗談交じりの涙とは違い、そこには明らかに本心が籠っていた。
「シャルル……」
少年は何も言えなかった。
冗談混じりで言っていたと思った好意が、本物であると知ってしまったから。
「……何、申し訳なさそうな顔してるんですか!
ユウラさん、私たちはもう仲間であると同時に、家族のようなもんです!良いんですよ、ちょっとくらい私に迷惑を掛けても!」
鼻を啜ると、再び先ほどのような最初からクライマックスなテンションを取り戻すシャルル。
「……はは」
「あっ! ユウラさんやっと笑いましたね! ついにデレましたね!」
「デレてねぇよ。それでだ…その、シャルル」
確かに彼女はかなりの変わり者。
でも、それ以上に自分を守ろうとしてくれる意思、そして自分への好意が本物であることをしったユウラには、もう彼女が居ることには異議を唱えるつもりは無かった。
「その……これから、宜しく頼むよ」
「……はいっ!こちらこそ不束者ですが宜しくお願いしますっ!」
ボゥー。
その時、汽笛が聞こえてくる。どうやら帰りの船がやってきたようだ。
「よし。それじゃあ帰りましょう!
帰ったらどうしますか? 私ですか? 私ですか? それとも…わ・た」
「だから全部お前じゃねぇかよ……って」
「ん、どうかしましたか?」
そういえば、何かを忘れていた気がする。
そもそも、ここ密林に来た理由とはなんだったか。
シャルルはユウラを守るためにやってきた。それは間違いない。
…では、肝心のユウラは?
「……キノコは?」
「あっ」
暫し、静寂がその場を支配する。
なんとなくデジャヴを感じた。
「……あ、それなら私とナルガクルガ討伐に向かったことになっていますので」
「じゃあこの船に乗ってるハンターらは誰なんだよ」
「……ユウラさん」
「なんだよ」
「こまけぇこたぁいいんですよ」
「ご都合主義ってレベルじゃねぇ」
はい、これにて第一章終了です。
ギャグ系のSSにシリアス若干混ぜんなよって?こまけぇこたぁ良いんですよっというのはシャルル談。
さて、次回は金曜日更新…といっても金曜日は何かと予定があるので、少し厳しい物もある…かも?
まぁ頑張ってみますけどね。
ということで、次回予告。
時は夜の八時ごろ。
ドンドルマの公衆酒場に二人は居た。
「それでは…乾杯!」
「はいよ」
キィン。
カップ同士をぶつけあう小気味良い音が鳴り響く。
「…ぷはー!うめぇ!うめぇですよユウラさん!やっぱり黄金芋酒のストレートは最高ですねぇっ!」
「割りなしで大丈夫なのか」
「大丈夫です、問題ありません。
それにいざとなったら私の吐瀉物は全てこのシャンティッ君が喰ってくれますから!」
みー!?
どこかからか声が聞こえる。どうやらシャルルのバッグの中に入っているようだった。
「おいなんだ今の声」
「え、ですからシャンティッ君の」
「いや、だからシャンティッ君ってなんだよアイルーでもプーギーでもなければ子アプトノスとかそういう類でもないだろ」
「あー……えっと……その」
「なんだよ、そんなに言ったらまずいのかよ」
「その……強いて言うなら……子シャンティエン?」
「」
次回、「ヤバいと思ったが物欲を抑えきれなかった」
to be continued...