Monster Hunter Parody ー名状しがたき狩人のような者達ー 作:銀紬
一日遅れにはなりましたけどぼちぼち更新しますよー!
今回は結構ガチな戦闘に……出来るかなぁ。
どうせまたご都合主義で終わる気がしますが、期待10分の1、冗談10分の9位で読んで頂ければ幸いでございます。
それでは第3章後編「碧眼のクシャナ」どうぞ。
時は午後6時ほど。
ユウラ達は「セクメーア砂漠」と呼ばれる、ドンドルマから見て南西に位置する砂漠岩地地帯に居た。
「それではぁ、6時間後に迎えに参りますので、頑張って下さいにゃ!」
ガラガラ、と竜車を引き三人に対し丁寧に挨拶をするアイルー。
竜車から降ろされると、岩地特有の硬い地面が三人の脚を出迎えた。
「ふー……やっと着いたな」
ユウラが遠方に見える砂漠地帯を見渡す。
既に月や星が輝き始めていたが、まだ若干昼間の温もりが残っていた。
ユウラがそんな空気を体全体に感じていると、後方から声が聞こえてきた。
「さぁユウラさん、今日これから私たちの伝説が始まりますよ!」
「大げさな奴だなぁ……あれ、そういやユー子は?」
「えーと……あれ、どこへ行ったんでしょうかね」
朝に出会ってから気付くと仲間同然になっていた赤い髪の少女、ユミ。
やや長めで赤いツインテールは目立ちやすいのだが、そういえば先ほどから姿が見えない。
「呼んだ……?」
「あ、居た居た。どこ行ってたんだよ」
「シャル子の真下の……地面……」
あぁ、成る程。
シャルルの装備は腰防具がスカート状に近かった。地面に居た、というのはつまりそういうことなのだろう。
どこまで変態道を究めるのだろうか、この赤毛ツインテールは。
「あー、ゴホン。
とりあえず後6時間、まずは最優先で納品するサボテンの花を手分けして探すぞ」
「成る程、となるとエリア2,3あたりがメインですかね」
「シャル子と一緒なら……どこでもいい……」
「寝ぼけたこと抜かしてないで行きますよ、この脳内フォーマルハウト」
セクメーア砂漠、エリア2。
このエリアにおいて昼間は常に暑いのだが、夜ともなるとその暑さの元凶となる太陽が消える為に涼しいを超えて寒さすら感じるほどにまで温度は低下する。
つい最近までただでさえ暑い温暖期における砂漠の狩猟は全面的に許可されて居なかったのだが、
温度上昇はともかくとして温度低下は暑さに関係ない。ということで夜間限定ではあるものの、温暖期の砂漠における狩猟が解禁されていたのだった。
「うー……やっぱり温暖期といっても寒いものは寒いなぁ」
ユウラが体をぶるりと震わせた。
「そうですねぇ、まあ寒冷期と比べれば大したことありませんよ」
「少年……わたしの片手剣、握る?」
「いや、むしろやけどしそうだしそれはやめておく」
ユミが腰に差していた金色の剣をユウラの方に向ける。
心遣いは大変ありがたかったが、朝かなり離れていた状態でも感じ取れるほどの高熱を放っていたこの剣を握るのはやや抵抗があった。
彼女は慣れているのかもしれないが、慣れていない状態で触ってやけどでもしたらたまったものではない。
「それでしたらユウラさん、『ホッター』はいかがですか?」
シャルルが赤い容器の何かを取りだした。ちゃぷんちゃぷんと揺れている音を聞くに、中には何かしらの液体が入っているようだった。
「ホッター?」
「最近私たちの機関で開発された改良版ホットドリンクです。飲むと通常の三倍の効果が得られるんです」
「へぇ……そいつは便利だけど、なんで「ホッター」なんだ?」
素朴な疑問。なんとなく比較級のような響きがある気もしなくはなかったが。
「……」
「……」
「……えーと……それは……魔法使いになるかもしれないから、とかなんとか」
「おいどういうことだよそれは」
「大丈夫ですよ! 半濁音はありませんし、そもそも私というものがある以上ユウラさんが魔法使いになるはずが」
「あーごめんユー子、ホットドリンクあったらもらえるかな」
「はい、どうぞ……」
「ユウラさん、ナチュラルにスルーするスキルを付けましたね……」
触らぬ神になんとやら、である。
「さて、この辺に……お?こりゃサボテンかな」
ユウラが目の前の
「間違いないですよ、花も咲いていますから」
「これ……スライスサボテン。……食用になる」
「詳しいな」
「植物学……専攻してたから……」
「成る程、食用ならば少しばかり持ちかえってみてもいいかもしれませんねぇ」
「その前にまずは花を確保してからな。じゃあこの空きビンに入れて……っと」
そのサボテンには思いのほか沢山花が咲いていた為、依頼そのものはキャンプを出て十分ほどで終了してしまっていた。
後は納品して、好きに採取をするだけである。
「……なんだろう、こう事が上手くいくと妙に嫌な予感がするのは僕だけなのかな」
「気のせいですよ気のせい。ささ、四十秒で納品して元炎天下でおデートといきましょう」
「シャル子とおデート……おデートからのホテル……んんっ……んふぅっ」
「……さーて、キャンプは確かこっちだよな」
「あぁ!置いていかないでくださいよぉ!」
「少年はやはりいけず……」
ユウラは、慌ててついてくる約二名の発情系少女を置いてその脚をキャンプに向けることにした。
こいつらはいつになったら学習をするのだろうか。全くもって疑問でならなかった。
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「コレで良し…と。」
キャンプに据え置かれている青い箱に瓶内の花を納めるユウラ。
「さて、ピッケル良し、虫あみ良し、モドリ玉よし。今日こそはマカライト鉱石を手に入れておかないとな…」
ユウラはそう呟き、自らの獲物に目を通す。
この世界線上で『ハンターカリンガ改』と呼ばれているその剣は、ハンターナイフから強化して3段階目の武器。
少しハンターをかじった者であれば持っていてもおかしくはない代物のそれであったが、性能はまだまだ発展途上といったところだろうか。
その為、まずはその強化系「アサシンカリンガ」を手に入れることがユウラの第一目標でもあり、その強化の上でマカライト鉱石が必要なのだった。
「少年……何かあったら何が立ちはだかろうと一瞬で一刀両断するから……安心して採取してきて、良いよ……?」
先ほどまで背中に背負っていたゴールドイクリプスを研ぎ終えたユミが口を開く。
その剣の輝きは「一刀両断」が嘘ではないであろうことを証明していた。
「もし何かあるまで……わたしはシャル子とちゅっちゅらびゅらびゅしてるから……
さ、シャル子……パッと舞って……ガッとやって……チュッと吸ってあげる……はぁ……ん……」
「えぇい離れなさいこの万年発情期!」
内腿をすり合わせ淫猥な声をあげるユミをはねのけるシャルル。
その小さな背中に背負った黄金の剣の輝きも、まるで台無しであった。
「あー……とりあえず行くぞ」
「ほらユー子、そんなランス使いみたいにくっついてないでユウラさんについていきますよ!」
「あ……そんなところ急に引っ張らないで……んんっ……」
いつまでこの万年発情期は発情しているのだろうか。いや、いつまでもしているからこそ万年なのか。
ユウラやシャルルは勿論、ユミ本人すらそれは知る由も無いのだろう。
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カツーン。カツーン。
心地の良い金属音が洞窟内に響く。
「おぉ……?この青はマカライトか!? よしよし、コレでようやくアサシンカリンガに強化出来るぞ!」
「ほぅ……ユウラさんの戦闘力が5から15に大ランクアップですね」
「農家のおっさんから……通常の三倍に……」
ユウラが掘っている後ろに立っていた護衛二人は、先ほどから訳のわからないことばかりを言っていた。
ただでさえ寒いのに気分的にも寒くなってくる一方であった。心なしか、砂漠の方からも異常なまでの寒波が……
「……なぁお前ら、なんだかやけに寒くないか?」
「いえ」
「全然」
「あー……まぁお前ら慣れてそうだしな。でもほら、なんかこっち側から強烈な風が吹いてないか?」
それにしても不自然な寒さがユウラを包んでいた。
ユウラが指差した方向は、「エリア5」と呼ばれる砂漠地帯のエリアで。
言われてみれば、確かに従来とは比較にならないほどの強度の風がそこから洞窟へと吹きこんでいた。
ただでさえ外気温は寒いのにそこから強烈に吹きこむのだから、その寒さはユウラにとっては慣れたものではなかった。
「まぁでも、風が強いのは事実ですね……ユウラさんは少しそこで待っててください。シャンティッ君に様子を見させてくるので」
みー!?みみみー!みー!?
突然出番が来て驚くシャンティッ君。しかし久々の出番に喜ぶどころか、むしろ怯えているようにすら見えた。
「……もしかしてそいつ、寒いとこ苦手だったりするんじゃないのか」
「そんなことありませんよ、仮にも天翔龍、言ってしまえば古龍の子ですから寒さ如きどうということはないはずです」
「その理屈はおかしい。古龍だって生き物なんだから不特手の一つくらいはあるだろうに」
「でもシャンティッ君は将来上空何千メートルで活動する龍なので、恐らく耐性はあるかと思うのですよ」
「……そうなのか?」
「ええ」
そうなると話は別だ。
もしこいつがシャルルの言うとおり古龍種であれば生まれながらにその位の耐性は持っているだろう。
では、その理由とは。
「もしかして……怖がってる……?」
確かに、外敵の存在と考えても自然ではあった。
が、仮にも古龍種であるシャンティッ君が怯えるほどの外敵がそうそう居るとは思えない。
少なくとも飛竜種であれば互角には戦えるだろう。そうなると、考えうる外敵とは……
「ユウラさん……もしかして、もしかするかもしれませんよ、コレ」
「なんだよ、一体何が始まるってんだ」
「ユウラさん、先ほどから異常に強い風が吹いていますよね?
もしかするとあの元凶は……古龍種『クシャルダオラ』のもの、かもしれません」
古龍種『クシャルダオラ』。
この世界では「風の化身」だの「氷点下の支配者」だのと呼ばれている彼の名はユウラにもなじみ深い。
何せドンドルマは一ヶ月に一度か、多いと二週間に一度ほど何かしらの古龍が襲撃してくる「古龍都市」としても有名であったのだから。
そして、その襲撃してくる古龍はクシャルダオラとてその例外ではなかった。
「なっ!? ということは、また保護団体の仕業か……?」
「確証はありませんけどね、基本古龍種は神出鬼没ですから。
ですが……最近は情報網も発達してきていますから、ある程度予想は出来るようになっているんですよ。
なので、その可能性は大いにあると言えます」
どうやら、新米潰し計画はかなり本気のものであることが分かってくる。
「更に言うならば、そもそも採取系や簡単な討伐依頼には殆どの確率でそういった罠が入っていると言えますね。
例えば卵運びに森丘へ行ってみたらリオレウスと遭遇したり、雪山にポポノタンを取りに行ったらティガレックスと遭遇したり、孤島近海でモンスターのキモ採取をしていたらラギアクルスに遭遇したり、ドスファンゴを討伐した矢先にジンオウガに襲撃されたり」
ドンドルマから出たことのないユウラには後者二つは分からなかったのだが、相応に危険なモンスターなのは理解が出来た。
どちらもすごくビリビリとしていそうな気がしなくもない。
「とりあえず行かなきゃあ話にはなりませんし、行ってみましょう。シャンティッ君は荷が重いでしょうから、少しこの辺りに隠れていてください」
みー。みー。
主人の命に従い、ふわふわと浮かんでいくシャンティッ君。
井戸からキャンプに上がろうとしているのだろうか。
「え、大丈夫なのかよ」
「私たちが居れば……取るに足らない……多分……」
「そりゃまぁ、おまえたち二人って俗に言う「G級」らしいからな、いやそれ以上かも知れないのけどさ。
そういう問題じゃなくて、古龍が出たとなればやっぱりクエストの一つや二つ出されているんじゃないか? その対象を勝手に狩ったらまずいんじゃ」
最もな言い分であった。
先日のユウラのケースであればある程度やむを得ないところもあったのだが、
『脅威の存在及びどの程度の脅威であるかが既に分かっている』
『避けようと思えば避けられる狩猟行為である』
ギルドの規定ではこの辺りは余り細かく言及されてはいなかったのだが、
この二つの状況が揃ってしまうと、大丈夫かどうかは自信を持てたものではなかった。
「……」
「……」
案の定黙りこくる二人。
ギルドではそこまで規定されていなくても、どうやら大陸保安隊的にはまずい行為であるらしい。
というか、そんな行為を敢えてやろうとするこいつらは一体何なのだろうか。
ここ最近セレブ層の中で流行りの戦闘値特化という奴なのだろうか。
「……ユウラさん」
「なんだ?」
「バレなきゃ犯罪じゃなぁいんですよぉ」
「よし、言質は取ったからな」
「」
一瞬で真っ青になるシャルル。
まぁ、言質を取ったところで物的証拠が何一つ無い以上は意味をなさないのだが。
「と、とととりあえず! 行ってみないことには何も分かりませんよ! ね? ね? ね?」
「分かった分かったからそんなに顔を近付けるな」
ずずい、と焦りながらユウラに顔を近付けるシャルル。
このまま放っておいたらそのまま唇まで奪われそうな勢いだ。
「少年……二度目は……ないよ……?」
「僕がお前に何をした」
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砂漠エリア5。
広大な砂漠地帯であるそこでは異常なまでの風が吹いており、最早砂嵐と言っても過言ではなかった。
「うーん……凄い砂嵐ですね。毎ターン体力が二十分の一ほど減ってしまいそうです」
「一体なんの話だ」
こんな状況でも戯言を吐くのをやめないシャルル。
恐らくコイツは自分の命が絶たれるまでその戯言を止めないであろう。
「二人とも……アレ……」
不意にユミが遠くを指差す。
そこには、遠目からでも分かるほどの黒光りした体躯。
そのシルエットは「龍」と言われたらまず連想するであろうものに非常に近いものがあった。
彼の持つ角は何重にもなっており、その鋭さもさることながら角には傷一つついていない。
ということは、この龍に傷を付けたモノが存在しない――――
----すなわち、この龍に外敵が存在しないことを証明していた。
そして何より特徴的なのは、その碧眼。その青い目はじっと遠くを見つめており、こちらにはまだ気付いていなかった。
「クシャルダオラ……」
ユウラが呟いた。
「えぇ…黒殻碧眼の討ち手ですね」
シャルルの例えは相変わらず訳が分からないものだったが、姿だけでも十二分に感じる威圧感は確かに「討ち手」という表現も納得が行く。
まず、このエリアに吹く強風は彼を中心として吹いているのはまず間違いなかった。
その証拠に、一歩近づくたびに一層強烈な風が三人を苛んでいく。
ユウラは勿論、龍狩りのエキスパートであるであろうシャルルやユミですらもその足取りが次第に重いものになっていっていた。
「……ユウラさん」
「……なんだ?正直喋るのも辛いから、長くなるなら三行に纏めてくれ」
「実を言うと、本来ユウラさんのハンターランクでクシャルダオラと交戦するのはそもそも規約違反に成りかねないんですよ」
「……え?そんなの知らないぞ」
規約違反。つまるところそのままの意味なのだが、
これはどちらかというと正当防衛、不可抗力の一環ではなかろうか?
「いえ……実は先ほど言い忘れていたのですが、ここ最近ハンターの死亡事故を防ぐべく、古龍種と交戦可能な最低ランクが制定されたんですよ」
「え、マジかユー子」
「えらく……マジ」
「……私の話は信じてくれないんですね……ぐすん。
まぁ気を取り直して……それでその最低ランクなのですが、ユウラさんの現在のハンターランクは確か6でしたよね?」
「あ、あぁ。つってもなんかあのナルガクルガ討伐を僕がやったことになって一気に9まで上がったらしいけどな」
「そうですか……それで、古龍種に挑める最低ランクですが……『17以上』です。
ですから、例え一気に9まで上がったとして交戦した時点で規約違反になってしまいます」
いくら相手が強大な古龍、更に採取特化の革装備とはいえここまで来たからには引き下がるのも……という心情のユウラであった。
が、規約違反をした時点で大きなペナルティを課される未来は目に見えている。
まだ新米のうちからペナルティの経歴を貼られるのは、今後狩猟で食っていくにあたり大変よろしくない。
古龍種と刃交える貴重な機会ではあったが、ここは涙を呑むことにした。
「そうか……じゃあどうするんだ?」
「それなんですがね……
…………にやり」
突然砂嵐の中で不敵な笑みを浮かべるシャルル。どうも良からぬ予感がする。
「シャル子……久々に……シよ?」
「じゃあそういうことなのでユウラさん、少々そこの岩陰に隠れていてください」
そういってすぐそこの岩を指差すシャルル。一体何をするというのだろうか。
「……まさか」
ユウラが感づいた時には時すでに遅し。
「大丈夫、ちょっと通りすがってくるだけですよ」
そう言うなり、凄まじい勢いで砂煙を巻き上げ古龍に突撃するシャルル。
通りすがりなら素直に通りすがるだけにしておけばいいものを。
そしてそれに負けないほどの速度でユミが追いかけて行った。
『ゴギャアアアォオオオ!』
龍の咆哮が響きわたる。それは砂漠の遠方まで響きわたる。
その咆哮と共に一層風が強まる……と思われたが、それはユウラの杞憂に終わった。
「オラオラオラオラオラオラオラオラァァァァァっ!」
ビシィィイイ!!
遠目から雷属性特有の青い稲妻が見え、その音は幾度となく響いた。
『グギャアォオオ!?』
数瞬前とは違う悲痛な叫び声が聞こえてくる。しかし無慈悲な銃弾の嵐は留まる事を知らない。
やがて傷一つなかった角はいとも簡単にへし折れてしまった。
が、流石は古龍というべきかそれだけで倒れるはずも無く、シャルル、ユミ両者を対象とした巨大な風のブレスを吐く。
「無駄無駄……無駄無駄……」
そしてそれをどうやっているのか片手剣の盾一つで軽く受け止めるユミ。
その反動を上手く利用し背後に回り込むと、尻尾を強烈な一撃が襲う。
「結合破壊……完了……後はシャル子に任せる」
「ユー子……任されたり!
行きますよクシャルダオラ……コレが私の全力全開!!
「おい色々と待てコラぁぁあああッ!!」
余りにも圧倒的な戦局を見て、思わず突っ込み声を張り上げるユウラ。
しかしそんなものはシャルルのボウガンから放たれた異常なまでの熱量を持ったビームの発射音が思い切りかき消していく。
そして強烈な熱量がクシャルダオラを襲うと、瞬く間に被弾した部分が「融解」していく。
鋼の甲殻を持った古龍ですらも溶解してしまうとは、一体どこまでこいつらの武器はぶっ飛んでいるのだろうか――――
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「ふぅ、一丁上がりですね!」
「お疲れ様シャル子……」
一仕事終え、そのままエリア5で手持ちの酒で祝杯を上げる二人。
いつもはいがみあっている二人も、こうして狩猟が終われば盃を交わす程度には仲が良いようだった……
と、そうではなくて。
「なぁお前ら……アレ、どーすんだよ」
ユウラが指を刺した方向には、かつてクシャルダオラ「だったもの」の一部が置かれていた。
正確には先ほどまで傷一つなかった勇猛な角。
シャルルたちが戦利品といって剥ぎ取ったものであったが、シャルルの砲撃によって殆ど融解しており使い道になりそうにない。
「どうするって……記念みたいな感じですかね?」
「少年は気にしなくていい……シャル子、この角だった部分を……わたしの下のお口にねじ込んで良いよ……んんっ……もっと……もっと……」
約一名妙なことを口走っていたが、この際ユウラはスルーした。
「そういえばシャルル、確か古龍が出現した地域には雑魚が沸かないんだよな?」
「えぇ、ですから古龍が居なくなった今は採取の大チャンスですよ!」
「そうか…じゃあまだなんやかんや4時間くらいあるしもう少し回ろうかな」
「それでは、オトモしましょう♪」
採取したい張本人でもないのに妙にテンションが高いシャルル。やはりこいつらにとっての狩猟は流行り程度のものなのだろうか?
だとしたら、保護団体はむしろこういう奴らを頑張って減らす方向に向かった方が良い気もした。
最も過ぎたことをどうこう気にしても仕方がないことだったのだが、それでも一つだけユウラには気になる事があった。
「んー……でもやっぱり許可なしであそこまでボッコボコにして大丈夫だったのかよ?
めちゃくちゃ証拠残っているだろうし」
普通に狩猟をおこなったのならある程度の隠蔽は可能だろうが、
あそこまで一方的な戦いをしたとなれば明らかに不自然さが残るのは無理もなかった。
それに、ココでお咎めを喰らうのはやはり今後のことも考えると宜しくない。
「あー、それなら大丈夫です、問題ありません。
今頃恐らくシャンティッ君が食べているでしょうから」
さらっととんでもないことを抜かすシャルル。
「……は?」
「いやー、シャンティッ君最近大喰らいでしてねぇ。
でも20m級の古龍であれば多少溶けていてもわがままなお腹を満たすには充分かなと」
そう言われ、後ろを振り向いたユウラが見たモノとは。
がつがつがつがつ。
ばきぃっ。ぶしゃっ。
みぃー!みみみぃー!
如何わしい擬音と共に元気な鳴き声を上げ捕食を行うシャンティッ君の姿であった。
普段は小さな幼竜であるが、こうして捕食を見ると確かに彼がモンスターの一環であることを実感させてくれる。
その捕食っぷりや、一度だけ目撃したランポスのそれとは比べ物にならないほどの勇猛さがあった。
しかし―そんなにガッつくほど美味しい肉なのだろうか?
「いえ、アレを美味しいと感じるのはシャンティッ君位のものです」
「だからお前は一体誰に何を言っているんだよ」
「こまけぇこたぁいいんです。さぁ、採取に向かいますよ!」
はい、如何だったでしょうか。
これにて三章終了です。いやー長かった。
というか、戦闘入れるとか言って結局9割削られたましたね!
一体ユウラくんはいつになったら普通の狩りが出来るんでしょう。いやまぁこんな支離滅裂な小説ではありますがある程度狩猟の順序は踏むつもりですからね。主にドス準拠で。
そんなところでクシャルなんて唐突に出てきたら……という訳で、ちょいとご都合主義にしました。悪気は無いんです!ないんです!
……はい。ごめんなさい。
さて、次回予告といきましょう。
朝、静かなドンドルマの街を竜車が一つ登っていく。
中には、黒髪の少年、そして銀髪と炎髪の少女という奇怪な組み合わせの乗客がすやすやと眠っていた。
すると、竜車の中に差し込む朝日をきっかけに少年が目を覚ましたようだった。
「ふぁぁあ……もう朝か」
少し空腹を感じた少年は、ポケットに忍ばせておいたスライスサボテンの干物を口に含む。
少々えぐみがあったものの、干物とは思えない瑞々しさを保持していたそれは少年の口内を水分で包む。
一方眠っている少女たちは未だに目覚める気配がない。
そこそこ遅くまで酒盛りをしていた為に無理もない。
「到着したニャよ!さ、降りるニャ」
気付けばもうドンドルマの見覚えある酒場に到着していた。
竜車の騎手であるアイルーに促されるがままに、その硬い地面に脚を下す三人。
「んふ……おはようございますユウラさん」
「おはようシャル子、少年……」
「ん、おはよ……今日はどうするかな」
久しぶりに平穏な朝であった。
「あ、あの……」
そう思っていると、突如金髪の少女が話しかけてくる。
小柄であったがその顔だちはしっかりしており、間違いなくそれは美人の部類に入るであろう。
どこぞの赤毛同様、「小さい」のだが……いや、目の前の金髪にとってはそれはあたりまえかもしれない。
「んー……と、君は?シャルルとユー子は何か知ってるか?」
「んー…どこかで見たような気もするんですけどね」
「名前が出てこない……」
「あっ、もうしおくれました。ぼくの名前はっ、大陸保安隊の中央エルデ地帯所属の、ハス」
「よし分かった、ちょっとその辺にしておこうな。
……まさかクシャルダオラの出現ってこれの伏線だったりしたのか……?」
次回第四章「まがら色シンフォニー」
to be continued....