風月録   作:古明地 リック

2 / 2
キャラデータ 改編可 動画に使う場合は感想or私にメールでお願いします。紹介させて頂きます!

キャラ名:楠月 恋  コードネーム:閃光の剣士 経験点:200点

年齢・星座・身長・体重・血液型:16・蟹座・160cm・45kg・A型

ワークス・カヴァー:高校生・高校生

[能力値]

<肉体>2 [白兵]1 [回避]3 <感覚>3 [知覚]3 <精神>5 [RC]2 [意志]4
<社会>2 [調達]4 [噂話]2
<HP最大値>34 <常備化P>23 <財産点>11 <行動値>10 <戦闘移動>15m 
<全力移動>30m <侵食率>32

[ロイス]
・名前:如月高校 ○P尽力/N恐怖
・名前:犬李珠瑠 ○P純愛/N脅威
・名前:如月支部 ○P連帯感/劣等感

[エフェクト]
・リザレクト Lv.1
・ワーディング Lv.1
「1」C,ノイマン Lv,2
「2」吠え猛る爪 Lv.4 
「3」コンバットシステム Lv.3
「4」コントロールソート Lv.1
「5」ブラックマーケット Lv.3
「6」カウンター Lv.2
「7」ラストアクション Lv.1

[武器]
・日本刀

[防具]
・レザージャケット

[一般アイテム]
・携帯電話
・カジュアル
・思い出の一品
・UGN幹部(霧谷雄吾)


以上です。


ダブルクロス編
ダブルクロス視点 エピローグ


この物語は各々が運命に導かれ、集合した者達の物語。人々はこれを風月録と呼んだ。

 

~とある町の路地裏~

 

「全く、霧谷くんも面倒な仕事を押し付けて来るものだ」

 

私の目の前には、ジャーム化したUGN職員が人の形とはかけ離れた姿で、私に向かって威嚇してくる。

霧谷から回ってきた資料によると、彼は割と上位な職員だったらしい。私と相対している彼の身に付けている物の中にも、そのような物が見受けられた。

 

「ぐ、ぐ、ぐ。殺す、殺す、殺す。壊す、壊す、壊す」

「君みたいな真面目で勤勉な職員を、私の血糊で汚れた手で葬らなければいけないとは。私はとても悲しいよ」

「黙れ、黙れ、黙れ、黙れ、だm」

 

彼の言葉は途中で途切れてしまう。きっと、自分の首の付け根のあたりから肉が吹っ飛んでしまっているからだろう。

軽く、彼の手が震える。そして次の瞬間、・・・私の体は幾つかあるビルの中の一つの屋上まで打ち上げられていた。

 

「ふむ、中々面白い趣向だ。久し振りに楽しむことが出来そうだよ」

「グギャアアアアアアアアア!!!!!!??!!!!!」

 

新しい敵は若干の困惑を覚えつつ、私に対して威嚇を続けている。

それを見て私は背中のUGN特製の大鎌に手をかけて、相手の事をしっかりと見る。

 

「まさか、あの時に逃がした君と巡り会えるとは。嬉しさで、手加減が・・・出来そうにない」

 

私をしっかりと見た彼は、ビルを飛び写りながら人が多い方へ多い方へ逃げていく。

それは不味いかな。私はぼんやりと思考を巡らせながら、悠々と追いかけていった。

 

私の名前は、モーロック。この町の支部長である。

 

~学校(主人公視点)~

 

はぁ、今日も今日とて暇すぎる。が、やっぱり、慣れた日常がとても落ち着く。やはり、人間とは安定を求める生物なのだろう。

そんなことをぼんやり考えながら、僕は窓の外へ視線を向ける。

僕の日常に絶対にそぐわない格好をした、巨大な怪物がいた。

 

「グギャアアアアアアアアア!!!!!!!!!」

「・・・、不運だ」

 

巨大な怪物は僕の日常の塊である、高校に向かって飛び掛かってくる。

教室に居るクラスメイトと先生は気付いていないようだ。

怪物の後ろにいる真っ黒な服を着た銀髪の男性が、右手をつき出して掌を怪物の方へ向けている事に気が付いた。

何故だろうか。男の姿を見ていると、底の知れない恐怖感に煽られる。

 

「ちょっ、ヤバい・・・!皆逃げろ、死ぬぞ!」

 

僕がそう叫ぶと、皆は此方の方へ視線を向けて事の重大さを察する。

察した後は、急な坂を転がるように状況は急変していった。

 

「きゃーーーー!!!!!???!!!」

「うわーーーー!?!!??!?!」

「皆さん落ち着いて!?!!?!?!」

 

皆は教室から脱出して、下へ下へ逃げていった。

そんな光景を空中から眺めていた怪物は、校庭に急降下して、出てくるであろう者達を待ち構えていた。

男はその行動を見ていても、焦りが一切見られなかった。

 

「罠・・・だったか・・・」

 

僕は普段から高校へ連れてきている犬を探す。暫く探すと、窓際で静かに校庭を見下ろしていた。

 

「なんだ、そんなところにいたのか」

 

僕が飼い犬のタマに声をかけると、タマは一瞬のうちに犬耳と尻尾が生えた人間へと姿を変えた。

そして、姿を変えたタマはこっちに視線を向けて口を開いた。

 

「あ、初めまして。珠瑠(たまる)と言います。っと、今は話してる場合じゃないんですよ」

「お前、タマ・・・か?」

 

目の前に現れたのは、かなりしっかりした服を着た犬耳少女だった。

昔の資料やネットで調べたことのある白狼天狗と姿が酷似していて、腰には日本刀が提げられていた。

 

「ええ、タマです。因みに、本当の名前は、珠瑠です」

「そ、そうか。珠瑠って言うんだな」

「取り敢えず、彼奴を倒してきますね」

 

珠瑠は僕にそう告げると、窓の外にある空中へ体を投げ出していく。

僕は慌てて、珠瑠が身を投げ出した窓から校庭を見下ろす。

するとそこには、珠瑠とさっきの男が怪物と相対していた。

 

「珠瑠って戦えるのかな・・・?」

「分からない・・・。行かなくちゃ・・・!」

 

そんな衝動に身を任せて、珠瑠がやったように身を投げ出した。

どうしてこのような事をしてしまったのかは、自分でも分からない。でも、行ける気がした。

そんな、根拠のない自信が僕を満たしていく。・・・空中って気持ちいいな。

 

地面が近づいてくる。もう、10メートルも無いだろう。

そんな迫り来る事実を再確認しながら、着地した。

 

「な、なんで?どうしたんです?」

「これは・・・。実に興味深い出来事だな」

「痛い・・・」

 

僕が着地したところは、珠瑠の右隣だった。

足からじんわりとした痛みが迫って、時間差で僕を襲った。

空から落ちてきた僕を視認すると、目の前の怪物は煩く吠える。

 

「ど、どうして来たんですかっ!」

「えっ・・・?」

「はっきり言うと、邪魔なんです!!足手まといなんです!!足枷なんです!!」

 

一気に珠瑠に捲し立てられ、一瞬だけ思考と行動が止まってしまう。

この一瞬が命取りということも、分かっていた。そう、理解はしていた。

この隙を突いて、怪物は僕達に接近してくる。

 

「こういうことが起こるから、感情的になるのは控えろと言っているんだ」

 

そう言うとローブの男は、怪物の方に右手を向けながら一歩前に出る。

男が一歩分前に出た瞬間、空気が変わった。空気中の何かが高濃度になっていく。

それを認知した時から、心臓にかなりの負担がかかる。

 

「ぐぁっ・・・・・。い、息が・・・・」

「ふむ、流石に厳しいか。もう少し耐えてくれると期待していたのだがな」

 

心臓が煩い。ドクドクドクと、エイトビートより細かく鼓動していく。

心臓の音で、その他の雑音、話し声がかき消されていく。

そして、何時の瞬間からだろうか・・・?心臓の負担が無くなったのは・・・。

 

「ハッ、たかがこの程度か・・・」

「・・・!そうか、覚醒したのか」

「こ、こんなの荒療治過ぎます!支部長!」

「そうか?私の時はこんな感じだったが?」

「煩い・・・。さっさとあの怪物を倒すのが得策・・・だろ?」

 

僕は言い争いをしている二人を横目に、怪物をしっかりと見据える。

怪物・・・。いや、よくよく見てみると怪物の姿では無かった。

あの獣の怪物は、とても華麗な少女の姿をしていた。

 

「タス・・・ケテ・・・。オネガイ・・・!」

「分かった。絶対に君を助ける。だから、待ってて」

「わ、ワカッタ」

 

そう言い残すと、彼女は元の怪物の姿に戻っていた。

 

「待て・・・!ここで逃がすわけにはいかない!」

 

珠瑠が食い下がる。しかし、そんな声を意に介せずに飛び去っていった。

 

~怪物が飛び去った後の校庭~

 

「まっ、とにかく支部戻りましょう。目立ち過ぎですし」

「なんもしてないけど、眠たい・・・」

「ま、負荷が掛かりすぎていたのだから、当然だろう?」

「張本人はお黙り下さい♪」

 

こうして、黒い服を身に纏った男と犬耳の可憐な少女と学生という、奇妙な集団が街中へ溶け込んで行った。

・・・溶け込めねぇよ、どう頑張っても。

 

「もー、支部長はいっつも無茶ばかりかけますね」

「ふむ、そうか?私としてはいつも通りなのだが」

「それに巻き込まれた僕は、むちゃくちゃ不運だったって事か」

「本当にすみません、このアホ支部長が」

「おい、珠瑠。私の方が立場が上だった筈なんだが?」

「そうやって私に圧力をかけるんですか!クビになっても、恋くんの所に居させて貰いますからね!」

「まてい。どさくさに紛れて僕の家に居ようとするんじゃない」

「何か不都合ですか?」

「・・・犬じゃなくて、普通の女性なら・・・」

「じゃあ、犬じゃなくて女性としてなら大丈夫なんですね!」

「おい。私を置いて話を進めるんじゃない」

 

こんな感じの会話を30分位続けた。因みに、とてつもなく盛り上がった。

そう、かなり支部を通り過ぎてしまうぐらいに・・・。(500m位)

確か、その時の会話はこんな感じだった。

 

「支部長、ここ何処でしょう?」

「ふむ、軽く検索をかけてみようじゃないか」

「・・・検索?」

「うむ、検索出たぞ。支部を500m程通り過ぎてしまっている様だ」

「え、マジですか。気付かなかったなぁ」

「っていうか、かなり溶け込んでますね。初見じゃ分かりませんでしたよ」

 

と、こんな感じだった。割とがやがやしてて、誰も気が付かなかった。

・・・自分達の支部分からないって、大丈夫なのだろうか。

 

~如月市支部~

 

「さて、今更過ぎるが、自己紹介をしようか」

 

黒いマントを身に纏った男は、そう切り出した。

 

「じゃあ、私から。犬李 珠瑠(いぬい たまる)です、宜しくです♪」

「珠瑠は相変わらずだな」

「それが私の良いところですよ!」

「自分で言うな」

 

珠瑠が天然ぶりを発揮したので、ノータイムで突っ込んだ。

 

「次は私だな。私の本名は、 鼠賀 雅(そが みやび)で、コードネームは、"災厄の悪魔(モーロック)”だ」

「コードネーム・・・?」

「ああ、説明してませんでした。オーヴァード同士では、コードネームが通り名の役割を果たしているんですよ」

「ふーん・・・。珠瑠は?」

「私は"厄犬(やっけん)”です。相手からは災厄と呼ばれていますからね」

「何をしたんだよ、珠瑠は・・・」

「大したことやってないですよー。相手を蹂躙してるだけです」

「大したことやってるじゃないか・・・」

 

珠瑠はとても誇らしげに胸を張っている。

この天然さには誰も敵わないだろう。・・・いい意味でも悪い意味でも。

 

「他にも構成員を紹介しよう。入室しろ」

 

支部長が、外と繋がっている扉に声をかけると、数人の人間が入ってきた。

その入ってきた人達は、多種多様だった。

 

「よし、これで全員だな。では、役職順で自己紹介を頼む。順番は、医師、近接アタッカー、射撃アタッカー、レネゲイドアタッカー、支援役、戦術支援部隊だ」

 

支部長が言い終わると、白衣を纏った女性が一歩前に出る。

見た目は白髪のショートで、瞳の色は美しい翡翠だった。

 

「だったら、私からね。私の名前は斑鳩 雫(いかるが しずく)、この支部で医師をやってるわ。怪我をした時は何時でもいらっしゃいな」

「よ、宜しくお願いします」

「えぇ、宜しくね」

 

雫は一礼してから、もう一度列にもどった。

彼女が戻ると同時に、一人の女性と一人の男性が一歩前に出た。

 

「次はあたい達だな!」

「・・・そうだな」

 

出てきた男女の見た目は、女性の方は黒髪のポニーテールで赤いパーカーを身に着けている。

男性の方は、赤い髪で腰の辺りまでのロングで真っ黒なパーカーを身に着けている。

 

「あたいの名前は、緋炉(ひろ)。名字とかは特に無いから気にしないで」

「俺の名前は、湖雨(こう)。緋炉とは双子をやってる。ヨロシクな」

「あっ、はい!宜しくお願いします」

 

二人は気さくに自己紹介をしてくれた。中々優しい人達の様だ。

次は女性二人が前に出てきた。

 

「次は私達かな?」

「だね~」

 

今度出てきた人達は、二人ともロングヘアで頭に被り物をしていた。

 

「私の名前は、保志 華菜(ほし かな)。狙撃なら任せて欲しいな」

 

華菜は、魔法使いの帽子を被っていて、金髪のロングだ。

 

「うちは、楓(かえで)。狙撃は下手やけど、援護やったら任しとき!これからよろしゅうな」

 

楓は、兎の耳を頭から垂らしていて、髪は紫とピンクの中間の様な色をしている。

二人は列に戻った。と、同時に一人の少女が一歩前に出てくる。

 

「私の名は、桜華(おうか)。この支部でたった一人のレネゲイドビーイングだ。宜しく」

 

前に出てきた少女は白髪のボブで、髪飾りはただのヘアピンだが、おでこから角が生えていた。

 

「・・・その角は?」

「あぁ、私は人々の鬼のイメージから誕生したからな」

 

僕が首をかしげていると、珠瑠がこっそり耳打ちをしてくれた。

 

「レネゲイドビーイングとは、レネゲイドウイルス自身が意思を持った存在です。姿、形は様々あって、例えば道端に落ちている小石だとか、お店の商品だとか、野生の動物達だとか。そして、私達のような後から感染したオーヴァードとは、強さが桁違いです」

「ってことは、むっちゃ強いのか・・・」

 

僕と珠瑠のやり取りを一瞥すると、桜華は列に戻っていった。

で、流石に全てをグダグダ語ってはいられない為、ざっと紹介だけを。

 

「あちきは支援担当してる、沙傘(さかさ)。支援なら任せてね!」

沙傘は、水色の髪で朱色の下駄をはいている。

 

「私達は戦術を考える、チームチェスです。三人で一つなので、特に名前とかは気にしないで下さい」

よくいる、黒服を着た黒髪のショート。が三人もいる。

 

「では、最後は君にやってもらおうか、恋くん」

「僕が最後ですか・・・。えっと、僕の名前は、楠月 恋(くすつき れん)です。UGNについては、全く知らないので教えて頂けると助かります。宜しくお願い致します」

「ふむ、実に平凡だ。つまらないな」

「絶対にあんたは、ぶっ潰す・・・」

 

支部には、大きな笑いが起きた。正直、笑えない。

 

「珠瑠、雫。恋のシンドロームを調べてくれないか?」

「はーい、了解!」

「分かったわ。恋くん、着いてきなさいな」

「は、はーい」

 

珠瑠と雫に連れられて、医務室へ向かっていった。

 

~医務室~

 

「お、お邪魔しまーす・・・」

「どうぞ、そこの椅子に座りなさいな」

 

雫に促されて、よくある回転する丸椅子に腰をかけた。

隣には珠瑠も、椅子に座っていた。本当、ちゃっかりしてるな・・・。

 

「じゃ、採血するわね。多分、痛いけど我慢してね」

「は、はぁ・・・」

 

僕は腕の袖を捲って、雫の方へ腕を出した。

雫の掌にギリギリ納まる程の大きさの注射器が、僕の腕から血液を吸いとっていく。

血液がここまで無くなったのは初めてで、一瞬目眩が起こるが、その一瞬きりだった。

 

「はぁ・・・。僕は本当に、オーヴァードになったんだな」

「まぁまぁ、そう言わず。それが無かったら、私達巡りあえてませんから」

「まぁ、犬だと思ってた珠瑠がこんなに可愛かったから、悪いばかりじゃ無かったってことかな」

「そうですy・・・って、そんなベタ褒めしないで下さい!照れちゃいますから・・・///」

 

そう言って、珠瑠は顔を背けてしまった。・・・本心なんだけどな。

そんなやり取りを繰り広げていると、奥から雫が一枚の紙を持って出てきた。

 

「あ、・・・って、なにやってるのよ。あなた達は」

「聞いて下さい!恋君が私を揺さぶるんですっ!」

「べ、別に揺さぶってないし。本心だし」

「ほらまたそう言って!」

 

こんなやり取りを30分以上続けた。なにこれデジャブ。

キリがいいところをみて、雫が本題を切り出す。

 

「さて、結果が出たわよ、恋くん」

「とても緊張します・・・」

「これで恋くんの配属されるとこが決まりますよ」

「ずばり、恋くんのシンドロームは・・・」

 

--------------------------------------------------

 

「ノイマンとハヌマーンだったわ」

「のいまん?はぬまーん?」

「あ、説明するわ。まず、ノイマンというのは、頭の回転が速くなったり、知識が増えたり、相手の行動予測すらやってしまう・・・。簡単に言ってしまえば天才ね」

「な、なるほど・・・。知識はどこまで知れるんです?」

「マイナーな知識からメジャーな知識位かしら。でも、隠されている情報や人が持ってる秘密は知ることが出来ないから留意しておいてね」

「ノイマンは後方役かな・・・?じゃあ、ハヌマーンは?」

「ハヌマーンの事なら、知識だけの私より、珠瑠の方がいいんじゃないかしら?」

「んーー、わかりましたー。支部長への報告はお任せしますね!恋くん、行きますよ!」

 

珠瑠は突然立ち上がると、僕の腕を引っ張り、医務室の窓へと駆け出していく。

 

「窓に当たる!当たるからー!?」

「ほら、恋くんなら行けますから!」

「だったら、手を離してくれーー!?」

「・・・・・、仲が良いのね、あの子達は」

 

~トレーニングルーム~

 

「はぁ、はぁ、はぁ。し、死ぬかと思った・・・」

「これくらいでへばってたら、ついていけないですよ?」

「ハード過ぎでしょ・・・」

 

ここはトレーニングルーム。試したいエフェクトや手合わせをしても、壁や地面が壊れないらしい。

ただ、正確には、壊れても修復する。ということらしい。

 

「じゃあ、私がいつもやってるトレーニングを一緒にやってみましょう!」

「まだ死にたくないかな」

「ただのアスレチックを素早く通過するだけなので、大丈夫ですよ♪」

「安心出来ねぇ・・・」

 

珠瑠が入ってきた扉近くの端末を操作する。

操作が終了すると、真っ白だった部屋が、かなり複雑で人間には難しいアスレチックへと形を変えていた。

 

「こんなんやってんの・・・?」

「まぁ、はい。これぐらいは出来ないと死んじゃいますから」

「マジか。ブラック企業にも程があるな」

 

珠瑠はこんな会話と共に、説明やコツ、注意点等も教えてくれた。

一つ一つ、細かくパターン分けされていてとても分かりやすかった。

一通り話し終わると、珠瑠はスタート地点に立って、アスレチックを始めた。

 

簡単に言うならば、とても鮮やかだった。突然飛び出してくる突起物を、宙返りや伏せて回避したり、対面している人形を足を引っ掻けて転倒させたり、ノーモーションで回し蹴りを放ったりなど、とても滑らかで凄かった。

程なくして、珠瑠はゴールした。

 

「次は恋くんの番ですよー!」

「はーい・・・」

「頑張って下さいねー!」

「はーい・・・」

 

珠瑠の声援を受けて、僕も珠瑠と同じようにアスレチックを開始した。

いきなり前から出てくる棒を、半身で回避したり、途中の大きい大穴を壁を走って渡ったり、3mの有刺鉄線を垂直に飛び越したり、うねる地面をものともせずに、4m上の地面にジャンプしたり・・・。

正直に言って、とてもしんどい。間髪入れずに迫り来る様々なトラップを掻い潜り、途中に存在するエフェクトを使ってくる人形を相手に対術で転倒させる。時には、2体や3体、もしくはそれ以上を一度に相手をする必要もあった。

そして、やっとの思いで珠瑠のいるゴールへとたどり着いた。

 

「お疲れ様でした。いかがだったです?」

「くっそ、疲れた・・・。考えたやつの顔を見てみたいな・・・」

「あ、考えたのは私です」

「悪魔か何かか?」

「天使と間違えてますよっ?」

「いや、大正解だから」

 

こんな会話を続けていると、天井から煩いハウリングの後に言葉が続く。

 

「珠瑠、恋の二人はトレーニングが終了次第、支部長室へ来い」

 

この一言を告げると、部屋は静寂に包まれた。

 

「ありゃりゃ、何か事件でも起こったんでしょうか?」

「さぁ?普段、UGNが何をしているかあまり知らないしな。取り敢えず早く行こうか」

「そうですね。内容が何であれ行かないといけないですし」

 

僕たちはトレーニングルームから退室し、支部長室へ早足で向かった。

 

~支部長室~

 

珠瑠が部屋をノックする。

 

「誰だ」

「珠瑠と恋くんです」

「入室を許可する」

「失礼します」

 

返事が帰ってきたのを聞いて、支部長室の部屋をあける。

部屋の中は片付けられていて、ソファーと机がある程度の家具しか無かった。

 

「ふむ、雫から恋くんのシンドロームは聞いている」

「あ、事件とかじゃ無いんですね」

「そこ、ガッカリするところじゃ無いからな」

「珠瑠は置いとけば良いだろう。私は恋くんに用が有るのだから」

「じゃあ、私は何の為に呼ばれたのです?」

「・・・一旦、退室してくれ。話が進まない」

「はーい」

 

珠瑠は返事をすると、支部長室を退室していった。

そして、溜め息をつきながら支部長が話し始める。

 

「恋くんには部隊を決める権利がある」

「今までの人もそうだったんですか?」

「いや、今までで君ぐらいだろう。選べたのは」

「そうですか・・・。で、選択肢と珠瑠の所属先を教えてください」

「選択肢は、[近接アタッカー]・[射撃アタッカー]・[支援役]の三つだ。

珠瑠は、本部直属の[カーチス]という部隊に所属している」

「カーチス・・・?」

「簡単に言ってしまえば、優秀なエージェントが所属する、特別任務を遂行する部隊の事だ」

「そうですか・・・。僕はカーチスには入れないんですよね?」

「・・・実はカーチスという部隊に所属しているのは、霧谷くんが信用しているエージェントのみが所属している部隊だ」

「入るにはどうすればいいんですか?」

「やる気なのは大いに結構だ。では、今から霧谷くんへ連絡を入れてみようか」

 

そういうと、支部長は机の引き出しからノートパソコンを取り出して、何やら操作していった。

 

「おや、貴方から連絡とは。珍しいこともあるのですね、雅さん」

「すまないな、霧谷くん。忙しかっただろう?」

「いえ、今日は始末書が少なく済んだので休憩していたのですよ」

「そうか。では、用件に入らせてもらう。内容はカーチスのことだ」

「ふむ?カーチスが問題でも起こしたのですか?」

「いや、違う。新しい入隊希望者が居たから、審査でもしてもらおうと思ってな」

「入隊希望者ですか。もしかして、楠月 恋くんでしょうか?」

「流石霧谷くんだね。もしかして、もう連絡がいっているのかい?」

「ええ。日本の支部を管理するのが私の役割ですから」

 

支部長はこっちに視線を向けて、霧谷さんに話すように促した。

とても緊張する。しかし、立ち止まっている訳にはいかない。

 

「では、恋くんと変わろう」

「ええ、お願いします」

「・・・変わりました。楠月 恋です」

「ああ、恋くん。久し振りだね?」

「えっ、あっ、雄吾さん!?」

「・・・言ってなかったんですか、雅さん」

「ああ、言うのをうっかり忘れていたよ」

「雄吾さん、嘘ですからね。この支部長ニヤニヤしてますし」

 

支部長は、いつものクールを何処かへ置いてきた様で、すっごいニヤニヤしている。

殴りたい、この笑顔。

 

「まぁ、この件は不問にしましょう。それで恋くん、カーチスに入りたいと聞きましたが、これは真実ですか?」

「えぇ、真実です」

「理由を伺っても大丈夫ですか?」

「理由は、犬李 珠瑠が所属してるからです。僕は、珠瑠を守りたい、死なせたくない」

「そうですか。普段は感情を出さない君がそんな事を言うとはね。それほど大事なのかい、彼女は」

「はい。珠瑠は大事ですよ・・・この世界よりも」

「そうですか、君の覚悟は見せて頂きました。・・・誰かを護ろうとする行動力は何事にも負けない。私は少なくともそう考えています。忘れないで下さい、恋くん」

「勿論ですよ、雄吾さん」

「では、支部長と変わって下さい」

「分かりました、雄吾さん」

 

僕は支部長にアイコンタクトを送って、変わるように促す。

ちなみにおもいっきり睨み付けているが軽くあしらわれている。ちょっと悔しい。

 

「ふむ、話はまとまった様だね。変わったよ、霧谷くん」

「ええ、決まりました。彼、楠月 恋くんをカーチスへの入隊を許可します」

「了解したよ。では任務の通達は彼も含めてやろう。またな、霧谷くん」

「えぇ、また。仕事の時は宜しくお願い致します」

 

会話を終えたようで、パソコンを操作して、パソコンを閉じた。

閉じた後、パソコンをしまい、こちらに視線を向ける。

 

「珠瑠、隠れていないで大丈夫だぞ」

 

支部の扉の方へ声をかけると、天井から珠瑠が降りてきた。

 

「えへへ、盗み聞きするつもりは無かったんですけど」

「聞かれていて不味かったなら、私は止めている。いつも、そうやっているだろう?」

「はい、貴方はそういう人ですからね・・・」

「じゃあ、任務の通達やらをしてくれ」

 

僕がそう言うと、二人は驚いた様な反応を見せる。

・・・正直、珠瑠が入って来たことは知っていた。性格からして来るだろうと予測していたし、その様子も目撃していた。

 

「では、話を始めようか。二人とも、机の前へ近寄って来てくれ」

 

支部長は机の椅子に座って、こっちに手招きする。

僕と珠瑠は、支部長の机の前に立つ。

一抹の不安を抱えながら、一筋の希望も持って、任務を受けた。

 

to be continued

 

 

 

 

次回予告、「きっと、私達はいいコンビですよっ!」




長い読書お疲れ様でした。
次は、また別の原作へ。

風月録 通算2話目 ダブクロ一話目
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。