ハードオンの楽しい思いつき集   作:ハードオン

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あああああー!

ああー!


94話 サウナにて

そろそろ、梅雨も明けた。

 

今年は、あまり雨が降らなかったな。

 

代わりに、とても暑い。

 

いや、マグマと同じ気温の領域とかで散々戦ってきた俺がそれを言うのはちょっとアレだが、一般論的なことを言えば暑いのだ。

 

今日は涼しげに、素麺をいただく。

 

氷水でシャキッと冷やした素麺を、麺つゆと豚しゃぶ肉、玉ねぎを刻んだタレにつけていただく。

 

お好みでごまだれやトマトタレなどもある。

 

副菜は、夏野菜のサラダや、氷系モンスターの肉刺身など、冷たいものを中心にチョイス。一方で、体を冷やし過ぎないようにお茶は熱い。

 

氷系モンスター肉……、これはアイスバードの肉だな。

 

シャリシャリとした歯触りと、生肉のようなもっちり感が両立した、不思議な肉だ。

 

尚、モンスターなのでカンピロバクターとかはない。

 

……今は、料理中の俺だが、日光の屋敷にいる。

 

この辺は『下野大異界』になっていて、その一等地にある屋敷が俺の家だ。

 

この屋敷に、使用人二十人と、嫁、愛人三人、ペット三匹、子供四人と一緒に暮らしている。

 

嫁と愛人と俺の五人でキッチンで料理すれば、十数分で終わった。

 

使用人はあえて使わない。

 

女共が、我が子や俺に手作りの料理を与えたいからだ。

 

「「「「いただきます」」」」

 

家族全員で食事して、それぞれが仕事を始める……。

 

ぶっちゃけ俺は何もやってないんだが、嫁達は組織の責任者だからな。

 

なるべく、朝晩は家族みんなで食事をしましょうと杜和が言ってきたので、それが家族のルールとなっている訳だ。

 

飯を食った後は、皿を食洗機に放り込み、それぞれが仕事場に赴く。

 

「はい、先輩!言ってきますのちゅー♡」

 

「旦那様ー♡」

 

「私も頼む♡」

 

「わたくしもお願いしますわ♡」

 

こいつら、仕事出発前に俺に引っ付いてキスしない限り働かないからな……。

 

適当に相手をしておく。

 

 

 

で、俺は、相変わらず仕事は無い。

 

ダンジョンは、ソラが「予定階層まで作っちゃったから、まだ先はできてないよ……?」とのことで、しばらくやることはないようだ。

 

だがソラは、「でも、エンドコンテンツは必要だよね!レベルキャップの引き上げはしたし、じゃあ後は極ボスとかレイドボスとか……、大迷宮バハムなんちゃらとかやろうか!」とか、よく分からないことを言っていたな。

 

何にせよ、冒険者全体のレベルが上がらないと、エンドコンテンツは中々できないとのことだから、しばらくは後進の指導に時間をかけるか……。

 

 

 

「このクソガキが!!!!」

 

ジジイに怒鳴られ、道場から追い出された。

 

うーん、やはり、俺は他人に教えるってのが向いてないみたいだ。

 

仕方がないので、近所の健康ランドのサウナに篭る……。

 

 

 

健康ランド。

 

元は小さな銭湯だったんだが、俺が通っているという噂がネットに流れると瞬く間に大流行りした。そして、気がつけば大型健康ランドになっていた。

 

どうやら、俺にはファンが山ほどいるらしい。

 

今年の大河ドラマである『蜻蛉切』は、俺の先祖である俵藤太を主人公としたもの。

 

最近は聖地巡礼というやつで知らん人らがうちに来ることも多い。

 

大河ドラマファンも合わせれば、外を出歩けば必ず知らん奴から声をかけられる。

 

そう、こんな風に。

 

「あっ、あの!サインください!」

 

「ん」

 

「ありがとうございますっ!!!」

 

いつもこれだ。

 

もうなんかめんどくさいので、サイン色紙の表面を文字型に焦がしてサインする魔法を編み出したくらいだぞ。

 

そんな訳で、露天風呂に浸かり、サウナに篭る……。

 

うーむ、どうやらここのサウナは、ダンジョン産の良い香りがする木材を使った特別なサウナなんだとか。

 

120℃のかなり熱い設定の湿式サウナで、定期的にロウリュまでしてくれる。

 

風の魔法を発する魔導具が設置されており、熱風が循環して体感温度はとても高い。

 

これに、一桁温度の水風呂もついていて、バランスが大変に良いのだ。

 

因みに、サウナの中にはテレビがついている。

 

俺はあってもなくても気にしないが、あるならあるで見る。

 

えーと、何々……?

 

サウナのテレビと言えば、野球か相撲かなもんだが、どうやらここはニュース中継が流されているようだ。

 

『今日未明、アメリカの新大統領による抗議が日本政府に届きました』

 

へえ、またそう言う話か。

 

『新大統領は、初の女性大統領であるフリントン氏で〜……。これは、ポリティカルコレクトレス的に大きな意味を持つとされており〜……』

 

なるほど、女だから偉い、と。

 

よく分からんが、そうなんだろう。

 

『そして、フリントン氏は、日本政府に対して《生命倫理的観点から、人体改造を即刻止めるように》と声明を出し、国連もまたそれに追従しています』

 

うーん?

 

人体改造?

 

あ、VTRだ。

 

『我々は、キリスト教の教徒として、なによりも人として!人体改造による国民の生物兵器化など認められません!自国民の改造を推奨する日本には、強い批難を〜……!』

 

はえー、まだ言ってんのか。

 

外国はよく言うよな、なんて言ったか、ゲームチェンジっての?

 

自分達が勝てないと分かるや否や、ルールの方を変えにくるやつ。

 

と、俺が逆に感心していると……。

 

「またかよ、海外はいつもこれだな」

 

「そうだよな、卑怯だ!」

 

と、同じサウナルームのおっさん達が世間話をしていた。

 

「昔は自動車でもそうだったよな?日本のトヨイ自動車に勝てないからって、電気自動車以外は認めないだとかなんだとか……」

 

「でも、トヨイ自動車が、電気自動車の開発も実はやっていたと宣言すると、今度は手のひら返しをして『電気自動車はまだ早い』だとか言ってルール変更してきたんだよな?」

 

「そうだ!綺麗事を言っても、結局は、『真っ当にやったら勝てないから足を引っ張ります』と宣言しているようなもんだ!」

 

「許せねえな……!」

 

「ああ、許せねえ!」

 

うーん……。

 

これはこれで危険な傾向だよなあ。

 

「大体にして、上位の冒険者もおかしいんだよ!もう日本だけで生きていけるんだから、外国なんて滅しちまえば良いだろ?!」

 

「本当だよ!上位冒険者が無敵なのは分かるけど、海外の奴らがとち狂って核ミサイルとか撃ってきたら、俺達一般人は死んじまうだろうに!やられる前にやってくれよ!」

 

一理あるようで何もない危険思想だが……、最近はこんな感じが多いよなあ。

 

やはり、これもマスコミのせいだろう。

 

法規制により、「報道しない自由」は禁じられたらしいが、マスコミのお得意である恣意的なデータで国民を煽るのは規制できなかった。

 

報道関係まで国営にすると、それこそ悪い独裁になるからな……。

 

まあでも、逆に、ただ単に反省や自制を促しても国民が聞く訳ない。

 

適当に敵を作って、そいつを叩いて気持ち良くなるコンテンツを提供しなきゃ、テレビなんて誰も見なくなっちまうからな、仕方ない部分はあるんだろうが……。

 

うーん、ままならねえ。

 

 




アーマードコアの新作が出る!!!!!!!!!!!!!!!

もう死んでも良い……。

もし出たら一週間くらい更新しません。

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