ハードオンの楽しい思いつき集   作:ハードオン

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財務省、もっと痛い目を見て欲しい。


96話 飛躍の陰に

大戦とその痛み、残された歪み。

 

急激な変化は、それが例えプラスの方向であったとしても、必ずや何かの歪みを生む。

 

ダンジョンから齎される富により活性化した、日本もまた……。

 

 

 

まず、前提として。

 

能力が高く、経験も豊富な政治家が、国家の運営権を握ったからと言って、劇的に国が良くなる訳ではない。

 

仮にその有能な支配者が、子飼いの使える部下で周りを固めたとしても。

 

無敵の武力があったとしてもだ。

 

「そんな程度」のことで国が平和になるなんて、そんな甘いものではない。

 

この世界は「ヒト」で満ちている。

 

人という生き物は、義人悪人、白黒ではないのだ。良いところもあれば悪いところもある。

 

そんなマーブル模様の人間という生き物が、群れたり孤独になったり、戦ったり愛し合ったりするのだ。

 

日本という国だけでも、様々な主義主張が溢れており、色々なことをそれぞれが自由に考えている。

 

完全なる意思統一など、人が人である以上不可能であるからして。

 

決まりもモラルも、完全に守られる社会などない。

 

富を得て、一等国と成り上がった日本の、変革期を迎えた日本の、各所に歪みが生まれたのは当たり前だった……。

 

 

 

「も、萌子ちゃん!僕と付き合ってください!」

 

「……ごめんなさい」

 

ここは、東京のとある高校。

 

一人の男子生徒が、女子生徒にフラれていた。

 

「そ、そんな、なんで?!」

 

「悠太郎くんは、ルックスはいいと思うけど……、『ステータス』が低いんだもん。私、弱い男の人って好きになれないな」

 

「なっ……?!も、萌子ちゃんは、昔は、『喧嘩とかする野蛮な人は嫌いだ』って言ってたじゃないか!」

 

自分をフった女子生徒に縋り付く男子生徒は、叫び声を上げる。

 

が、しかし、現実は非情だ。

 

「それ、『ダンジョンショック』の前の話でしょ?今はもう、時代が変わったのよ。弱い人に価値なんてないの」

 

バッサリと切り捨てて、立ち去ろうとする女子生徒……。

 

「な……、なんでだよっ?!!なんでそう簡単に価値観が切り替えられるんだよ?!!おかしいじゃないか!!!」

 

「おかしい……?そうかもね。でも、弱い人は生きていけないんだもん、仕方ないよ」

 

泣き崩れる男子生徒に、振り返らずにそう呟いた女子生徒は、ため息と共に去っていった……。

 

 

 

ダンジョンショック後の日本は、このようになっていた。

 

つまるところの、絶対的な「能力至上主義」……。

 

ダンジョンのある世界に適応できるかどうか?の二極的な世界。

 

ルックスも、人格も、最低限でいい。ただ必要なのは「強さ」これ一つのみ。

 

「ダンジョンの到達階層」のみが、人のランクを示すものになってしまっていた……。

 

酷く、残酷な世界だ。

 

能力の可視化。

 

今までの世界で重視されてきたもの、全てが無駄。

 

ダンジョンで生き抜くには、ただ強ければいいという問題ではない。

 

スキルスクロールを揃えて、スキルを鍛え上げ、レベルを上げてステータスを向上させる。

 

腕力でもいいし、魔法を使うための精神力や知能でもいい。能力が高ければダンジョンは必ず突破できる。

 

怪我をしても、障害があっても、ポーションで治せてしまう。

 

行き着いたのは、『言い訳が許されない社会』だった。

 

今まで、「親が金持ちだった」から上役になれていたような無能は、地の果てに引き摺り下ろされた。

 

逆に、能力が高いのに「生まれ育ちが悪かった」ような理由で低い立場に甘んじていたような者は成り上がった。

 

なるほど、ここだけ聞くと理想郷のように思える。

 

だがしかし、行き過ぎた実力主義は一種の地獄なのだ。

 

今現在、四十代五十代の、無能だが真面目に働いてきたのでそれなりの立場になっていた中年が、容赦なくリストラされ。

 

当然のように無能であるから、ダンジョンに行くも結果を残せず野垂れ死に。

 

……年功序列というシステムは、無能でも真面目に勤め上げれば立場が上がるというある種の福祉。

 

よく考えてみてほしい。

 

胸を張って、「自分は有能だ」と、心の底から言えるような人間が、そんなに多いだろうか?

 

「自分は強いし賢い」「ダンジョンで稼げる」「自分には実力がある」そう言える人間が。

 

そう、殆どいやしない。

 

人間など、大半は無能なのだ。

 

最低賃金で働いている人々がー、とは言うが、最低賃金で働いている労働者のうち、果たしてどれくらいが最低賃金を貰えるほどの生産性があるのか?という話である。

 

無論、社会のシステムはそれとは異なる。

 

無能だとしても、ダンジョンの低階層で週に二、三回、少しアルバイトすれば、生活していくことそのものは簡単だ。

 

だが、栄光を掴むには、確かな実力がなければ不可能な世界になってしまっていた。

 

口が上手いとか、コネがあるとか、そんなものは無意味なのだ。

 

今までの社会のように、無能でもとりあえず毎日出勤していればそれなりの立場になれていたような社会の「甘さ」がなくなり、無能は一生底辺であることが確定されていた。

 

しかも、今や小学生すらダンジョンに潜る有様で、更に言えば才能がある子供に中年が負けるのだ。

 

自分よりも金も力も持っている小中学生を見る無能中年は、どう思うだろうか?自分は一生底辺のままで、子供達がどんどん上にいくのを見て、どう思うだろうか?

 

実力主義とは、そういう非情さがあるのだ。

 

「きゃー!大吾くんよ!」

 

「大吾くんって、もうレベル30なんですって!」

 

「スキルやステータスはある程度遺伝するらしいし、狙い目よね!」

 

ステータス、スキル。

 

学歴や資格よりも更に可視化された能力の数値化は、ヒトという生き物の評価基準をぶち壊しにした。

 

 

 

「君、《工作》のスキルないの?じゃあダメだよ、うちは《工作》スキル持ちじゃないと雇わないから」

 

「そ、そんな!自分は帝都大学の工学部で……!」

 

「いや、学歴とかどうでもいいよ。《工作》スキルか、DEX100以上ないとうちでは雇えないね。じゃ、面接はこれで終わり」

 

「ま、待って下さい!そんな、そんなことって……!」

 

一流企業の面接会場。

 

下手にスキルもステータスも数値化できる今、その人の「本当の能力」が知られてしまう。

 

このようにして、就職を断られ、夢破れる若者が多数出てきた。

 

「な、なんだと?!私は、あの目立化成の部長だったんだぞ?!」

 

「はぁ……、そうですか。でも、INTが低過ぎてうちじゃ雇えませんね。……失礼ですが、その歳まで何をやってらしたんです?」

 

「こ、この若造が!私の半分も生きていないようなガキに、ガキにぃ!!!」

 

「うわあ!中年が急に暴れ出したぞ?!」

 

こういったケースも多発しており、仕事をするのにもステータスを見られるようになってしまっていた。

 

なまじ、単純労働を亜人が代替してくれるので、単純作業をやりながら人材の成長を待つなどということもなくなり、無能と判断されてしまえばすぐにクビにされてしまう。

 

「一流の才能がない者は冒険者になれ」という、社会からの無言の圧力。

 

冒険者になれば、例え底辺でも食いっぱぐれることはない。

 

しかし、これはこれで、酷く歪んだ恐ろしい世界である……。

 




金が!ない!!!

新作の貴族転生領地運営もの、主人公のキャラを掴んでからは割とスイスイ書けて今14話まで行きました。

大体、真正面からバトル!って感じではなく、中世の騎士の名誉がうんちゃらかんちゃらーみたいな世界で、ガチ経済戦争やってくるカスの話になるでしょう。

「はあ?他人の権益を侵すな?……何をおっしゃるかよく分かりませんね。自由商業が原則でしょう?うちの商品の品質に勝てないのなら、そちらも然るべき事業に投資して品質向上に努めればよろしいのでは?」

「奴隷制度ですか……?反対ですね、儲からないので。人類という生物を家畜として使い捨てるなんて、コストのかけどころを間違えてるとしか……」

「貴方方のような不良債権を好き好んで抱える訳がないでしょう?と言うか、自らが財政再建団体だと自覚しているならば、倒産の手続きをなさればよろしいのでは?その際はこちらも投資を惜しみませんが……。ああ、もちろんこちら側も株主として経営に口出しはしますが」

普通に外道だぞ!
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