ハードオンの楽しい思いつき集   作:ハードオン

1014 / 1724
クソ!!!


98話 アジア連合国

欧米人は自分達に有利なルールを勝手に決めて押し付けてきた。

 

では、中国人やロシア人はどうだろうか?

 

答えは簡単、「都合が悪いルールなど守らない」である。

 

 

 

何も難しい話ではない。

 

短期的な利益を出すと考えれば、ルールも倫理も全て無視して突っ込んでくる中露の人間が一番強いのだ。それは歴史的に見てそうだ。

 

例えば、世界で一番、スポーツ大会においてドーピングを選手にさせた回数の多いロシアだが、これもそういうことである。

 

つまり、「勝てばいい」「勝てば何をしてもいい」という考え方だ。

 

さも悪役かのように周りの目に映るが、実際の話、勝負の世界では手段を選ばない奴の方がどう考えても強い。

 

気に入らない異民族を奴隷のように扱い、奴隷に作らせた製品を、ネットで雇ったインフルエンサーにステマさせて無理矢理売りつける中国も、ある意味では賢いのだ。

 

その時をチャンスタイムとして大きく稼いで、ダメになれば末端の人間をスケープゴートとして切り捨て、「バカが勝手にやった事、我々は関係ない」でいい。

 

その後は、周りが勝手に作った国際法だの内政干渉だののルールを振り翳して反撃するだけだ。

 

惜しむらくは、ルールの意味を理解していないところだろうか?

 

人道保護の観点による労働法などの保護方策は、弱者を守り、弱者になるかもしれないという不安を抱えた人々を安心させる。

 

ルールを守れば、ルールから守ってもらえると言う理解でよい。

 

であるからして、皆がルールを守るのだが、短期的な利益が全てと言わんばかりのバランスが悪いプレイングは良くないだろう。

 

そして今回。

 

中露は、そのやり方を、ダンジョンにも適応した……。

 

 

 

「う、うわああああああ!!!!や、やめっ、やめてくれぇええええ!!!!ぎゃっ……」

 

「主任、『スキルスクロール』を使わせた遊牧人の脳を切り開いたのですが、優位的な差は……」

 

「いい、いや、いやだあああああ!!!!」

 

「ふーむ、臓器にも問題はないな」

 

「助けて!助けて!殺さないで!いぎいいいぃ!!!!」

 

「しかし主任、こちらの日本から誘拐してきた冒険者の個体を見てください。こちらは、人間が圧壊する倍の力をかけてもまだ生きています」

 

ここは、中国とロシアの境界に存在する、極秘の研究所。

 

第三次世界大戦で首脳部を捕獲された中露は、素早く首脳部を見捨ててこう言った。

 

———「首脳部が勝手にやったこと、我々は脅されて従っていただけなので無実だ」

 

そう言って素早く損切りをした中露は、ついでに「国家の主権者が変わるので新しい国になる」と宣言し、「新しい国になったので、元の国の借金は全部なかったことにする」と宣った。

 

当然、国家間の借金を全部無かったことにします!などと一方的に宣言して、許される訳がない。

 

全世界からボコボコに非難され、あらゆる資本を引き上げられた中露だが、そこは共産圏国家。

 

国家の強権により、中露にある外国企業の全ての施設及び技術を「接収」し、国営企業にしてしまった。

 

そんなことをするものだから、更に全世界が中露に対して報復……経済封鎖などを行った。

 

するとどうなったか?

 

中露は逆上し、手を組み合って一つの国になった。

 

『アジア連合国』の誕生である。

 

アジア連合国は、どうせ何をやっても非難されるのだからと開き直り、国際法を完全無視した侵略、根伐りを行った。

 

モンゴルやウイグル、チベット、近隣の台湾にスリランカ、朝鮮、更にウクライナやカザフスタンを消し飛ばしたアジア連合国は、占拠した国家から富を吸い上げて、国民を奴隷化することによって巨大な帝国へと変わっていった……。

 

酷い話だが、宣戦布告もなしに首都に水爆を落とされて無事な国はそうそうないと言うことだ。

 

なまじ、第三次世界大戦で核が放たれたことから、核兵器使用のハードルが低まったことが原因だろうか?

 

いや、本来なら対抗して止めるはずだった大国……アメリカやEUなどが、経済不振により内部分裂寸前でそちらばかりにつきっきりになってしまっており、止められなかったと言うのもあるだろう。

 

無論、経済制裁の他にも、外交官を送ったり、交渉の窓口を開くなど、海外は可能な限りの努力はしていたのだが……。

 

……これを見て、某国の総理大臣は、「刃物を振り回す狂人を、口で説得しようとしても無駄に決まっておろうに」とコメントした事はオフレコであるとしておきたい。

 

さて、そんな非人道的行為を平気で行うアジア連合国だったが……、当然、禁忌にも手を染めた。

 

拉致した日本人冒険者や、奴隷にした異民族にスクロールを使わせ、解剖実験などを行なっているのだ。

 

麻酔もせずに開腹し、頭骨を電動ドリルで穿ち、前頭にメスを入れる。

 

ナチスドイツの収容所を彷彿とさせる蛮行だ。

 

「あ、あ……、あ」

 

「おい!死んだ検体は早く捨てろ!どんな危険があるか分からないんだぞ?!」

 

「「はっ!」」

 

「『超兵計画』もいよいよ大詰めなのだ、気を抜くんじゃない!」

 

「「はい!」」

 

白い防護服に、顔を完全に隠したガスマスクを付けた研究者達。

 

彼らは何事か、『超兵計画』などという聞きなれない単語を出しながらも、死骸をゴミのように黒いビニール袋に投げ込んだ。

 

死骸は容赦なく焼却炉に放り込まれ、ゴミのように焼かれ、灰は海に垂れ流しに。

 

日本海側なのは嫌がらせなのだろうか?それは分からない。

 

「まさか、人間を殺しても『経験値』が得られるとはな。これでは人殺しを推奨するようなものだ!やはり、エイリアンだな、神などではない」

 

「しかし、異民族にレベルを上げさせて、それを我が国の兵士が殺してレベルを上げると言うのは……」

 

「何か問題があるか?異民族は人間ではないのだぞ?」

 

「は、はっ!」

 

「くくく……、日本も国民をダンジョンで相当数殺しているからな。あの、龍人の化け物も我が国と同じようにして作られた存在なのだろう」

 

「た、確かに。この時代に、少しばかり剣法を齧っている餓鬼が、我が国の優秀な兵士の練度を上回るはずがありませんからね。やはり、日本も『共喰い』をしてレベルを上げたのか……」

 

「いや全く、日本も愚かなものだ。我が国が送り込んだ異民族がいくら死んでも何も言わんとは。これで人道主義とは笑わせる!」

 

「ええ、つまりは、日本も同じことをしていると言う証明に他なりません!」

 

日本は単に、国民の過半数がダンジョンに潜っているので、その分死者も多いという話なのだが、その辺は詳細なデータを公開していないので、このアジア連合国含め諸外国はこのように考えていた。

 

そして日本は、外国人が新出島のダンジョンで死んでいくことも「当たり前」と考えているので、スルーしているのだった。

 

嫌な話だが、いわゆる『実力主義武士道』という懐古的思想が今の日本では蔓延している為、ダンジョンに潜るなら死んで当たり前と国民の殆どがそう考えている。

 

なので、アジア連合国が奴隷を大量死させていても、その奴隷達から直接助けを求められない限りは動くつもりはないのだ。

 

そも、今奴隷に落ちた人々も、元はと言えば日本を敵視していた国の人々であるからして、助ける義理はないというのが日本の見解だろう。

 

そう言った憎しみの連鎖はどこかで断ち切らなくてはならないのだが、今の狂乱の時代にそれを実現する事は不可能である……。

 

だからこうして、日本に攻撃されたという憎しみを、その『超兵計画』というものに乗せて、悪感情を育てる。

 

『ぐオオオオ……、オおオオオオオッ!!!!!!』

 

「さあ、目覚めよ!『鉄拐』よ!!!」

 

『うウうおオオオオオッ!!!!!!!!』

 

そしてその悪意が、怨みが、憎しみが。

 

その集大成のうち一つが、ポーションが詰まったシリンダーを破って飛び出した……。

 




満員電車カス!!!!

まあそれはそれとして書き溜め君がマジでない。

助けてくれ。


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。