ハードオンの楽しい思いつき集   作:ハードオン

1022 / 1724
あぁ?!


106話 チャンネル登録、よろしくお願いします!

レベル100前後、冒険者ランクにして「金」の冒険者は、日本人口ほぼ全てが冒険者である現状でも、たったの1%未満。

 

40%ほどの冒険者が「木」であるが、これはまあ当然だろう。彼らは全員、非労働人口である。

 

例えば、老人ホームの老人や、子供などだ。

 

とはいえ、大抵の重病者や障害者はポーションで無理やり治され、子供も13歳前後でダンジョンに叩き込まれているため、非労働人口は非常に少ない。

 

一般的な市民は、ダンジョンで冒険者として活動をするしないに関わらず、とりあえず「石」までは上げる。

 

これは最早、国民の義務であった。

 

最低限、「石」のランクまで上げておくことは、人として当然だという暗黙の了解があった。

 

まあ、確かに、「石」は大体レベルにして20程度。

 

身体能力は、オリンピックのあらゆる科目で記録をちょっと塗り替える程度のもの。

 

つまり、「ちょっとした超人」の範囲を出ない。

 

この「石」ランクが、凡そ30%であるから、つまり、「木」と合わせて70%の人間が、「ちょっとした超人」でありながらも、ダンジョンにおいては戦力外とカウントされる。

 

一般的に、職業は冒険者ですと名乗れるのは、レベル40前後の「鉄」ランクからだ。

 

「鉄」ランクの冒険者達は、全体で見れば20%程度のものなのだが、冒険者という職業的には平均的な収入を持つ。

 

ベテラン冒険者ならば「銅」、アスリート級のプロで「銀」、トッププロが「金」となっている。

 

そして、これ以上は、百階層を突破して超越種(エクストリア)になる必要がある。

 

超越種になった時点で、冒険者ランクは「ミスリル」に認定。

 

その後の到達階域により、「オリハルコン」「ヒヒイロカネ」のランクが付与されていくが……。

 

「ミスリル」だけでも十万人いない。

 

「オリハルコン」は千人程度、「ヒヒイロカネ」に至っては、生ける伝説こと赤堀藤吾一人のみ。

 

「ヒヒイロカネ」は、オリジンダンジョン666階層の完全攻略が認定条件なのだ。

 

つまり、現在のトップは「オリハルコン」ランクになるのだが……。

 

「オリハルコン」ランクともなると、冒険者と呼ぶよりは最早「国家の最終兵器」と扱われ、あまりにも強く、あまりにも理外で、動画ウケはしない。

 

無限に広がる宇宙空間で、星より大きなモンスターを薙ぎ倒すシーンは、流石に撮影をしても訳が分からないということだ。

 

「ミスリル」でも既に人智が及ぶギリギリのライン。

 

そんな訳で、事実上、人間の冒険者のトップは「金」ランクであり、彼らこそが人々の表に出てくるアイドル冒険者なのだった。

 

 

 

彼らはこのように、まだ人間が理解できる範疇の力しか持たない。

 

「行くぜ!『グロウアップ』!」

 

異様に柄が太い斧に魔法をかけた梵天。

 

すると、その斧の柄は、一瞬にして伸びると同時に細くなる。

 

梵天……、ジョブにして「魔法使い」派生職『奇術師』……。

 

不恰好な片手斧から、細身のハルバードになった得物を、軽く振ってオーガロードの前に躍り出る。

 

「さあさあ、梵天様のマジックショーをご覧じろ!」

 

オーガロードは、手に持った巨大な人斬り包丁を盾にして、梵天の一撃を防ごうとする。

 

しかし。

 

「『ダズル』!どーれだ!」

 

『グオッ?!!』

 

梵天が手に持ったハルバードが、魔法によって増える。

 

否、実体のない幻だ。

 

くるくると回るハルバードが、複数。宙に浮かんでいる。

 

当然、オーガロードは混乱した。

 

だが、すぐに解決策を思いつく。

 

回転するハルバードがどういうものかは分からないが、パワーと耐久力で押し潰す、と。

 

盾として構えた人斬り包丁をそのままに、思い切り全身で体当たりをしてくる!

 

凄まじい速度。血、肉、骨といった、脆弱な有機体とはとても思えない信じられない速さ。

 

時速にして200kmは超えるだろう、とんでもない速さと威力のぶちかまし。

 

それを、梵天は。

 

「『トリック』!そして『シャッフル』!」

 

魔法発動、叫んで転移し回避。

 

オーガロードの上空に転移した梵天は、まだまだ増えているハルバードを使って、突きを放つ。

 

オーガロードは、それを左手で受けた。

 

片腕を犠牲にして、もう片方の腕で必殺の人斬り包丁を確実に当てるつもりなのだ。

 

だが……。

 

『ガ……、ア……?!』

 

斬撃は、「オーガロードの背中から」飛んできた。

 

「『イリュージョン』……ってな」

 

いつの間にやら、梵天の手元にはハルバードはなく、ハルバードはオーガロードの背中に突き刺さっていた。

 

これが、奇術師である。

 

『ぷむぅー』

 

そしてその死角は、もぐら丸ことジャイアントモールが塞ぎサポート。

 

トリッキーな戦闘スタイルで敵を翻弄する梵天と、パワーと耐久力で梵天をサポートするもぐら丸。

 

チャンネル名『もぐら丸養育会』、登録者数一億人……。

 

 

 

一方で、ボディーアーマーの各所に仕込んだ穴からジェット噴射を繰り返し、凄まじい速さで移動しながらロック鳥を叩き落とすのは、イヌ噛ミギョーブだ。

 

犬を模した機械的な仮面の、恐らくは目と思われる位置から、赤い燐光が漏れる。

 

白塗りの細い棍棒……戦闘用バットで、空を飛ぶロック鳥の頭を思い切り殴りつける。

 

『ギピィィィ!!!』

 

突然殴られたロック鳥は、パニックになって暴れるが、それをジェット飛行で素早く避けつつ、イヌ噛ミギョーブは呟いた……。

 

『イヌ も あるけば ぼうに あたる』

 

瞬間、イヌ噛ミギョーブの持つバットが火を吹く。

 

火属性をエンチャントする付与魔法の類だ。

 

灼熱のバットは、最早レーザーブレードに等しい。

 

これを使って、暴れまくるロック鳥の一瞬の隙を突いて……。

 

突撃した!

 

『ギィエエェエーーーッ!』

 

人間など簡単に丸呑みするであろう、巨大なロック鳥の頭部が焼き切られる。

 

無理もない、この一撃は200mmの鉄板すら一瞬で焼き切る超高温の斬撃なのだ。

 

いかに、ロック鳥が化け物じみた大きさと力を持っていても、これの前では無力だろう。

 

「魔法剣士」派生職、『電脳騎空士』……。

 

魔導ガジェットにより空を翔ける騎兵。

 

機動力と火力でド派手に暴れるイヌ噛ミギョーブ。

 

チャンネル名『イヌ派のイヌ小屋』、登録者数一億四千万人……。

 

 

 

ピンク色のハートがついたステッキが、くるくると、くるくると。

 

「ま」

 

回る。

 

「じ」

 

回る。

 

「か」

 

回る……。

 

「るぅ〜……」

 

瞬間、迸る燐光。

 

魔力の輝き。

 

ルーン文字で構成された魔法陣。

 

視認できるほどに放出される濃厚な余波魔力は、流石「魔法使い」派生職の『魔法少女』といったところか。

 

凄まじいエネルギーの波動、輝き、轟音。

 

そこから生み出されたのは、大量の鎖だ。

 

「『銃殺刑☆』」

 

笑顔でステッキを振り下ろすのは、魔法少女☆ゆきりん。

 

桃色の魔力粒子でできたAK47アサルトライフルが、一切可愛くない爆音を発して、鎖に絡め取られた哀れなモンスター達を銃殺していく。

 

機動力が売りのマーダータランチュラも、強力な力を持つライベルサーペントも、物量と力で捩じ伏せた後に、確実で高威力な「処刑魔法」で始末する……。

 

「『磔刑☆』」

 

『ギィイッ?!!!』

 

ピンクの十字架に縛り付けられたサーペントに、回転する巨大な槍が突き刺さる。

 

「『斬首刑☆』」

 

『ゴアアッ?!!』

 

オーガの首がギロチンで落とされる。

 

「『凌遅刑☆』」

 

『ギエエエェ!!!』

 

ロック鳥の肉を削ぎ微塵切り……。

 

ピンクの瞳に爛爛とした星が舞う。

 

「ファンのみんな〜☆ゆきりんのカワイイ処刑、いっぱい見ていってね☆」

 

処刑者、魔法少女☆ゆきりん。

 

チャンネル名『ゆきりん☆ファンクラブ』、登録者数五千万人(過去に垢BAN二回)……。

 

 

 

「この調子でハ、ワタシの出番はないデすかネ?」

 

そう言って、すれ違ったオーガロードの手足の腱のみを切り、的確に無力化してゆく、黒コートのペスト医師。

 

黒い手袋、黒いインナー、長いブーツ。頭を丸っと覆うマスクの上から更に、中世のペスト医師がつけていたような、鳥のように口元が伸びた独特なマスク。

 

目元もブラックガラスで覆い、人らしい痕跡が一つも見えない、長身痩躯。

 

黒コートを翻し、山高帽を軽く抑えながら、すれ違うモンスターの神経や筋を的確に切断し、全体を見通している。

 

『ゴアアアアッ!!!』

 

「五月蝿イですネ」

 

感情を感じられない台詞と共に、背後から掴みかかってくるオーガの頚動脈にメスを這わせ……。

 

『ゴ、ア……!』

 

大量の血液が間欠泉のように噴き出し……。

 

「こういう時に黒はイイですネ……、赤色が目立たなイ」

 

血液の雨を浴びながら、そうひとりごつ。

 

「錬金術師」派生職、『医師』……。

 

元医師という異色の経歴を持つ辻ヒーラー、唐墨。

 

チャンネル名『ダンジョン救命隊公式チャンネル』、登録者数二億人……。

 




新作すら書けないパターンにある……。

もう俺、プロットを書くのやめよう!

書いたとしてプロット通りになった試しがないもんね。

すーぐ「ここで大胆なオリチャー発動!」とか言ってキャラの名前から変わっていくんだもん。

やっぱね、勢いで書くべきだよ。俺はそう言うタイプのスタンド使いだよ。


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。