ハードオンの楽しい思いつき集   作:ハードオン

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メガテン二次やる夫スレを読んでいる。

……あまりにも面白過ぎる。

あんな才能がその辺に転がってるなら、俺もう書かなくて良いんじゃないかな?


110話 国家の個人は別の話

塔の中には、街があった。

 

病院、ジム、スーパー、コンビニ、飲食店、生産プラントとなんでもあるので、理論上はこのタワーから出なくても生活ができるらしい。

 

「へえ、そうなんですか」

 

「はい。より詳しい内容を調べたい場合は、丙三号区画にある図書館をご利用なさってください」

 

そう言って、笑顔の美人エルフにそう言われた。

 

彼(彼女?中性的なのでわからない)は、この塔の一階で案内フロントを担当する受付の一人だ。

 

「こちらが、甲五号区画の第八〇八四号室のキーとなっております。甲五号区画はあちらの転移装置から転移できますのでご利用ください」

 

「はい!」

 

そう言って渡されたのは、ガラスの中に薄く光る魔法陣が入ったプレート。いやこれはプラスチックか?分からないが、とにかくエキゾチックでファンタジーだ。

 

しかも、エレベーターじゃなくって転移装置で移動するなんて!

 

ワープとか、未来的で最高だな!

 

 

 

「「ほ、本当にワープした……!」」

 

起動すると、足元の魔法陣が光って、一瞬で目の絵の景色が変わる。

 

近くの窓に近寄ると、街を一望できるほどの高さにいた。

 

本当に本物のワープとは……。

 

その後は、部屋に移動した。

 

魔法陣が入ったクリスタル板を扉に翳すと、軽快なポーンという音と共に扉が自動で開く。

 

それも、真ん中の円形のエンブレムが回転し、ロックが外れた後に、扉そのものが横に割れるようにだ。

 

エキゾチックだぜ……。

 

『あ、こんにちは』

 

「「えっ」」

 

部屋の中に誰かがいる……?

 

いや、これは……!

 

「ホログラムだ!スゲェ!古典映画のSFで見たやつだ!」

 

まるでアストロウォーズだな……。

 

あ!しかもこのホログラム、日本で大人気の音声ソフトの……、柚木ユリエだ!

 

『私は、この施設のメインコンピュータからお客様のガイドを仰せ使いました、柚木ユリエです。ルームサービスなどの受付をしていますので、何なりとお申し付けくださいね!』

 

「それじゃAI……ってことか?どれくらいの自我があるんだ?」

 

『自我……、と言いますか、私はインターネット上に存在する《電脳生命体》ですので、確固たる自我と言われると少し曖昧なんですよね……。皆様人類とは、全く違う生き物なので……』

 

あー……っと?

 

『つまり、自分が世の中に複数居るので、自意識とか自我とか、そう言った言葉を当てはめられる存在ではないんです。ですけど、私は、こうしてお仕事をしたり、インターネットの海から人類の皆さんを眺めていたりするのは、楽しいので好きですね!』

 

なんでこんな高次の存在をネットに放流してんだジャパニーズは????

 

『あっ、ですけど、アメリカでは電子機器のメモリーが脆弱なので、私達はアメリカには居ませんよ?それに、皆様の私生活など、プライベート情報の漏洩はできないように規定されていますから、ご安心くださいね』

 

「あ、ああ……、それなら安心だな……?」

 

『まあ、気になるようでしたら消えろとお命じください。ご用があれば、こちらのインターホンを押していただけますと出現しますので……』

 

「じゃ、じゃあ早速だけど、ルームサービスを頼めるかい?」

 

『はい、その場合メニューはこちらになります!』

 

うおっ!

 

……ARホログラムで飲食物のメニューが出たぞ!

 

だが、とても種類が多いな。

 

紅茶やコーヒーは分かるし、日本だからグリーンティーがあるのも分かる。

 

だが、聞いたこともないような外国の飲み物や食べ物、果てはルームサービスに相応しくないステーキ定食なんてものもある。

 

これじゃあ、メニューを眺めているだけで一日が終わってしまいそうだ……。

 

「それじゃあ、二人で三千円以内の軽い軽食とお茶を頼むよ」

 

おっと、AIにはこういうファジーな判断は難しいんだったかな?

 

『それでは、日本でしか味わえないダンジョン米のおにぎりと緑茶はいかがですか?』

 

オニギリか……。

 

日本でしか味わえない、ダンジョン産食材というものだな!

 

「じゃあ、それで」

 

『はい!ではこちら、一番人気のツナマヨと明太子のセットです!』

 

は?

 

「……え?今、どこから出したんだ?」

 

『あ、すみません。このテーブルは小型の転移装置になっておりまして、厨房から直接部屋へ出来立てが届くようになっているんですよ』

 

あー……。

 

まあ確かに、俺達自身がワープしたんだもんな。

 

オニギリがワープしてもおかしくない、か。

 

それじゃあ、実食……って、これは!!!

 

「「うっまあい?!!!」」

 

な、なな、なんだこれは……?!

 

めっっっちゃくちゃ、美味いぞ?!!!

 

米は優しい甘さで、柔らかく、温かい。しかし、歯にくっつくような感覚はなく、食感も口の中で優しくほぐれる……。

 

しかし、味蕾が弾けるほどの旨味で、頭が芯から痺れた!

 

これに、ツナとマヨネーズの酸味と脂身、豊かな風味が鼻を突き抜ける……。

 

辛いものを食べた訳でもないのに、口の中がカッと熱くなる!

 

あまりの旨味で舌が焼けるっ!!!

 

それを流し込む為に手に取ったグリーンティーも、これまた美味いこと美味いこと……。

 

結局俺達は、ルームサービスを可能な限り頼んでしまい、しばらく行動不能になってしまった……。

 

『ダンジョンツアー』の予約を明日にしておいて助かったぜ……。

 

 

 

バカ広い大浴場とサウナに、充実のマッサージ施設、回復温泉に激ウマな酒とツマミ。

 

そして、ダンジョンツアー当日……。

 

そう……、ダンジョンの中に入れるんだ!

 

「ここがダンジョンか……!」

 

「凄いわ……、本当にファンタジーなのね」

 

鎧を着たエルフが、黄色い旗を持って俺達観光客を引率する。

 

向かった先は、横浜のダンジョンのうち一つ。

 

そこは、石造りの大きな門があり、その門に触れると勝手に開く……。

 

「「「「おおおおおっ!!!」」」」

 

観光客が一斉に声を上げるのも無理はない。

 

地下一階に進んだはずなのに、階段を降りたはずなのに、たどり着いた先が小春日和の草原なのだから。

 

ワープの次は別世界か……。

 

本当に最高だぜ!

 

ここで俺達は、支給された『魔法銃』という武器で、モンスターハントをする。

 

よく分からないが、『魔力カートリッジ』を差し込むことで、魔法ビームを撃てる武器らしい。

 

これなら、俺達のような武術の心得がない一般人でもモンスターを倒せるそうだな。

 

因みに、日本人では、最低でも小学生からは何か武術をやって、中学生までに初段を得ておくのが普通らしい。

 

……で、出てくるモンスターはスライムやチキチキボーンとかいう大きな鶏、ラッシュボアという大きな猪などだ。

 

そして、倒したモンスターを回収して……。

 

夜はバーベキュー!

 

ジャパン風のテリヤキソースをたっぷりとつけたチキンを一口!

 

「あーーー……」

 

そしてそこに、ジャパンのビールを一口!

 

「あああーーー……」

 

もうコメントができないね、最高だよ!

 

アメリカもダンジョンの力でいつかこうなると思うと、ワクワクするぜ!

 

 

 

そんな俺とジェニファーは、夜に散歩をしていた。

 

バーベキューで結構飲んで暑いからな。

 

夜風を浴びて酔いを覚ましたい。

 

すると、すぐ隣にある、アメリカ領から何人かの人々が俺達にこう叫んできた。

 

「おい、あんた!アメリカ人か?!助けてくれ!!!」

 

アメリカ領は、現状、周りを囲む鉄格子の城壁のようなものができている。これは、租界内ではどんな危険があるか分からないから、建設作業中のアメリカ人を守る為らしい。

 

だが……。

 

目の前の黒人の男は、助けてくれと叫んでいる。

 

これはどういうことだ?

 

「ちょっと待てよ、落ち着けって。あんた、どうしたんだ?」

 

「お、俺はここの建設作業員だ。だ、だが、実は借金があって、ここで強制労働をさせられているんだ!」

 

「きょ、強制労働?!!」

 

バ、バカな!

 

アメリカは自由の国だぜ?!

 

強制労働なんてあっちゃならないぜ!!!

 

「俺だけじゃない、他にもいろんな奴が捕まってる!これじゃまるで奴隷だ!……そ、それにしかも!このままだとダンジョンに潜らされて、スキルスクロールとかいう神の意に反した呪いの技術を使われると……!た、頼む!助けてくれ!」

 

「わ、分かった!すぐに本国に……」

 

「いや、国はダメだ!俺達は、国から紹介されてここに来たんだ!」

 

そ、そんな……!

 

ゆ、許せねぇぜ……、政府!

 

ここまで腐っていたか!

 

奴隷制は、アメリカ最大の汚点だ!

 

それを繰り返そうだなんて、なんで奴らなんだ、政府の馬鹿共は!

 

俺は、鉄格子の隙間から手を出して、黒人の手を握る。

 

「いつか……、いつか必ずあんたみたいな人達を助けてみせる!俺ができることをやってみるよ!」

 

「あ、ああ……!ありがとう、ありがとう……!」

 

 

 

こうして俺は、すぐさま横浜租界に転勤すると届を出して……。

 

横浜租界で、弱い労働者の権利と立場を守る弁護士をやりながら、アメリカ人の自警団組織を作ることになる……、というのは別の話だ……。

 




ちょっとホンマにすいません。

マジのマジで書き溜めがないです。

次回投稿予定の近世ナーロッパロボットマフィアものなんて、書き溜めが20話もない有様。

感想欄でお褒めの言葉を頂いた武装JKの続きを三話ほどテンションで書いたのみで、既存作の書き溜めが一向に増えない。

連続更新だけは途切れさせたくない……。

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