ハードオンの楽しい思いつき集   作:ハードオン

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油入れて炊くと米が美味くなるなあ。


120話 再開される夫婦生活

「つまり、新出島以外にも、長崎、横浜、神戸、新潟が開かれたんだな」

 

「はいっす。先輩がエクストラダンジョン総ナメの旅に出てすぐの話っすね」

 

俺がいないうちにそんなことになっていたのか。

 

どうやら今は、外国人の入国もある程度許可されているらしく、長崎、横浜、神戸、新潟の四都市が新たに開放されているそうだ。

 

「横浜か……、いいな。今度行かないか?お前が暇な時にでも……」

 

「んー、まあ、忙しいんすけど……、先輩の為ならスケジュール空けるっすよ!」

 

「因みに、お前は今何をやってるんだ?」

 

「先輩が放置してる『ダンジョン省大臣』の仕事っすよ?」

 

あっ……。

 

「それは……、まあ、何だ?悪いな」

 

「良いんすよー!先輩は名前だけ置いとくことに意味があるんすから!」

 

良いのか……?

 

「紗夜ちゃんが副総理になっちゃったっすから、代わりに自分がダンジョン省大臣秘書として働いてるんす」

 

「ん?じゃあ、前にお前がやっていた、御影流の運営は誰がやってるんだ?」

 

「普通に息子がやってるっすよ?」

 

ああ?

 

あ、あー……、そうか、そうなるか。

 

もう、最初の子が生まれて三十五年だもんな。

 

そりゃあ、息子も一人前にもなるわ。

 

「ちょうどいい機会っすから、そろそろ別の息子にダンジョン省大臣秘書としての仕事を引き継いじゃうっすね!しばらく待っててくださいっす!」

 

そう言って杜和は、片手でスマホを操作して、メールを送っていた。

 

メール一つで仕事の引き継ぎができるのか……?

 

と、俺がそんな顔をしていたのを読み取ったのか、杜和が言葉を追加する。

 

「いや、実は、そろそろ引き継ぎしちゃおうかなーって思ってたとこなんすよ!それに、仕事は大体マニュアル化してあるんで、そんな難しくないんす!」

 

「そうか」

 

その辺はよくわからん。

 

だが、どうやら、俺の仕事は「最終兵器」のようなものらしく、平時は何もせずにその辺でダンジョン潜ってろ!ということだそうだ。

 

まあ普通に酷いがそんなもんだろう。

 

世界も、日本も平和とは程遠いが、安定はしているからな。

 

一人で世界を壊せる俺なんて別に平時は要らんだろうよ。

 

むしろ、俺のような異常者を「英雄」とか言って祭り上げてくれている時点でかなりの慈悲だ。

 

本来なら、「化物」として排斥されて然るべきだからな、ここまでの力の持ち主は。

 

俺はアメコミ映画を観たから、超パワーを持つヒーローがいかに一般市民から排斥されるかがよく分かっているのだ。

 

……とにかく、杜和は俺の為にスケジュールを調整してくれた。

 

しばらくは、夫婦としての生活を楽しみたいと思う。

 

 

 

しかし、夫婦とは何をすればいいのかまるで分からんな。

 

セックスか?それは結構しているが。

 

エクストラダンジョンから帰った来た日も、杜和と愛人三十人を三日三晩かけて抱き潰したからなあ……。

 

殺し合いをすると血が滾り、女を抱きたくなるから仕方ない。

 

だが普通の夫婦とは、もっと穏やかなものだろう。

 

それくらいは俺にもわかる。

 

「あ、別に気を遣わなくても大丈夫っすよ?ウチは普通の家庭じゃないんで、もう諦めてるっす!」

 

「諦めてるのか」

 

「いやその、悪い意味じゃなくって……。単に、先輩がそういう人だと分かった上で結婚したんで……。あんま気にしてないっすね」

 

「そうか?しばらくはうちにいるつもりなんだが……、何か希望はあるか?」

 

「うーん……、次の子も仕込んでもらったし……、特にはないっすね」

 

「デートだのなんだのと、したくはないのか?」

 

「そりゃ、したいっすけど……、別に今じゃなくても良くないっすか?」

 

ふむ……?

 

どういうことだ?

 

十五年も待たせたんだぞ、俺は。

 

「あのっすね……?自分、今年で幾つだと思います?」

 

杜和の年齢?

 

ええと、十六の時に結婚して、そこから三十五、六年だから……。

 

………………ん?

 

「………………五十代、になる、のか?」

 

俺はそう言って、杜和を見る。

 

龍心人(ドラグナー)らしい、四本の龍角が生えた白髪。

 

瞳孔が縦に割れた黄金色の瞳。

 

頬を起点に、首の側面から肩に龍の鱗が張り付いており、腰からは龍翼が生えている。

 

腰からは細長い龍の尾がぴこぴこと動き、爪や牙も鋭い。

 

何より、胸の真ん中に輝く白い宝玉が埋まっている。

 

……そして、大きな胸と、小さめの体躯、溌剌とした若々しい顔つき。

 

そんな美しい身体を、黒い着物コートのパンツルックで身を包む。

 

……五十代のババアの見た目じゃない。

 

若作りとか、そういうレベルの話でもない。

 

こいつ……、龍心人(ドラグナー)になってから、殆ど歳をとってないんだ!

 

そう言われれば、俺もそうだ。

 

衰えが全くない。

 

技の冴えも腕力も強くなる一方で、性欲や活力も消えることがない。

 

俺達は……、歳をとってないんだ!

 

「そういうことっす。自分達はもう、殺されない限りは永遠に生きられるんすよ。だから……、デートだとか遊ぶのとか、そんなものは文字通りいつでもできるんす」

 

……なるほどな。

 

だからこそ、人間らしい孤独感などを感じなかったのか。

 

いや、それでも……。

 

「いつでもできるなら、今することとしよう」

 

「はいっす!」

 

いつから始めても遅くないのなら、今から始めてもいい筈だ……。

 




馬鹿にしていたが、米炊く時に油ちょっと入れると、時間が経った米も美味しく食べられるな。

今後は米炊くときに必ず油入れよう。


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