ハードオンの楽しい思いつき集   作:ハードオン

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ss書きたいけど時間がない!


やりたいこと

「やっぱりこの世界アイマスちゃうか……?」

 

当時テレビとか全然見てなかったが、日高舞、なるアイドルがいたらしい。

 

映像を見たが、ありゃ俺や親父とママンと同じ、天才だ。それも、世界を変えるレベルの。

 

んんんんんー?

 

嘘だろ承太郎。

 

後輩の服部瞳子はアイドルになった。

 

菜々もアイドルになりたいらしい。

 

こ、れは、まさか。

 

い、いや、しかし、346プロなんて聞いたことがないぞ?

 

765プロも影も形もない。

 

961プロも、あ、いや、ある……?!

 

なんてこった、この世界は、アイドルマスター、なのか?

 

いや、流石にあり得ないだろ?!

 

輪廻転生はまだ理解できないこともない。オカルトだが、前世の記憶を持って産まれた、なんて話も聞くことはあるだろ?

 

でも、俺は、漫画やアニメの世界に生まれ変わったなんて話は聞いたことがない。

 

そんなの、妄想の類だろ。

 

そんな訳……!

 

「いや、でも……」

 

もう高校生だ、顔の作りはこのまま大人になっても変わらないと言えるだろう。

 

そんな中で、モバマスのキャラクター達の顔を思い出した。

 

『千川ちひろ』はこの世界のちっひと同じ顔じゃないか?

 

『高垣楓』はオッドアイの美人キャラだった。この世界の、俺の知る楓もオッドアイの美人だ。

 

『服部瞳子』は一度アイドルになって、夢破れて芸能界を去った経歴のあるキャラだ。この世界の瞳子は、最近アイドルになったらしい。

 

……偶然の一致とは、考えにくい、か。

 

まあ、仮に、仮にだ。

 

この世界がアイドルマスターシリーズの世界だとして、だ。

 

何か俺の生活に支障はあるか?

 

……うむ、ないな。

 

なら良いか。

 

 

 

さて、高校生だ。

 

世の中には高校生活が一番楽しかったって人も多いんじゃないかな?

 

俺は個人的に大学が一番楽しかったけど。

 

高校も楽しいよね。やっぱこう、中学生よりも行動範囲が広がって、バイトとかしたりさ。

 

あ、うちの高校バイト可だってよ。

 

菜々なんかは喫茶店でバイトしてるっぽい。

 

まあ、俺は働いてるし、金はあるからバイトとかする気ないんだけど。

 

それで……、そう、高校生活は楽しいなって話。

 

仕事の方は順調だ。

 

FFもドラクエも7位までリリースして、男神転生の新シリーズ、ペルンナも発売。RPGは累計二億本超えたあたりで数えるのがバカらしくなってきてやめた。

 

アイアンギアやヴァイオハザードも3が大人気で、海外人気も物凄い。

 

それもそのはず、翻訳が上手くいっているからだ。

 

俺は10ヶ国語以上を平気で読み書き会話できるから、細かなセリフの言い回しも全て翻訳して、各国に売り出している。

 

最近では忍者漫画MENMA、海賊漫画ツーピース、侍漫画ブリードがめちゃくちゃな売れ行きを見せている。

 

遊びで出した固魂という周囲のものを巻き込んで塊をデカくするゲームもエモいと海外でバカ売れしたし、暇つぶしに出したCD……、この世界には存在しないロックバンドの曲詰め合わせは一億枚売れた。適当に描いた風景画がフランスの競売で日本円にして80億円で売れた。資産はこれからバブルが来る国で回して更に金を作る。総資産が300億ドルを超え、史上最も若い資産家としてギネスに載った頃。

 

全てがバカらしくなった。

 

なんか、なんかもう、馬鹿だろ。

 

今じゃまともに町を歩けない。顔と名前は全世界に知れ渡り、世界のどこに行ってもサインを強請られる。

 

俺は、スターになってしまった。

 

いや、遊びのつもりだったんだ、最初は。

 

だけど、段々とエスカレートしていって、今ではこれだ。

 

極め付けは、さっき、ハリヴッドでちょちょいと監督してCG弄って作った映画、アヴァターが、興行収入世界一位になったことだ。

 

俺の才能は、ハリヴッドでも通用してしまうことが証明されてしまったのだ。

 

なんかの賞やらトロフィーやらを山ほどもらって、芸術に携わる者として、最大の栄誉を得た。

 

うーん、これ、もう。

 

やることがないんじゃないかな?

 

高校生にして、もうやることがない。

 

あとは現状維持だけだ。

 

……ちょっと飛ばし過ぎたか。

 

高校生活、も……。

 

「きゃー!新九郎様ー!!」

 

「校内に入らないで下さい!」

 

平穏とは程遠い。

 

連日、ファンが家や学校に押しかけてくる。

 

「風見さん、アフリカの恵まれない子供達に……」

 

「障害者への募金を……」

 

「赤十字……」

 

そして、金持ちとしてのしがらみ。

 

金の匂いを嗅ぎつけてきた物乞い共が俺の財布を狙ってぞろぞろと。

 

勿論全部断ってやった。

 

何が嬉しくて顔も知らない連中に金を出さなきゃならんのだ。そんなことするくらいなら、自分が好きな業界に投資するわ。

 

そして、桃鉄じみたスピードで企業買取を続けて、ついには、業界最大手、神天堂、ヴァンダイ、ナコムまで手にしたところで。

 

「おおおおおおおあ!!!!」

 

「ぜりゃあああああ!!!!」

 

実戦空手中野道場の師範代との立会い。

 

俺は中野師範代の必殺技正中線五連撃を捌ききって、上段回し蹴りを放つ。

 

「くっ!」

 

素早く顔面をガードする師範代。

 

だが俺の蹴りは軌道を変えて中段、師範代の脇腹に突き刺さった!

 

「ぐゥ?!」

 

「まだだっ!!」

 

間合いを取ろうとする師範代に強襲、更に蹴り。師範代はこれを受けきれず、吹っ飛ばされる。

 

「ぐああああ!!!」

 

「……俺の勝ちです、師範代」

 

「……ふふふ、そう、だな。もう教えることは何もない。今日、今この時を以て、中野流空手免許皆伝を言い渡す!!」

 

「ありがとうございます!!」

 

と、まあ、こんな感じで、空手を極めた。

 

その上で、伊賀の浜口さんところに通い、上忍頭の資格を得て、実はこそこそ通っていた実戦剣術道場、脇山流剣術の免許皆伝も得た。

 

……やることが……、やることがない!!

 

才能があり過ぎる!!

 

高校生にして、人生の目標を全て達成してしまった俺。

 

残りの人生をどう過ごせば良いんだ?!

 

 

 

だが、やるべきことは沢山ある。沢山だ。

 

「新九郎さん!角丘、編集の神崎です!新連載、ゼロのファミリアですけど、サイン会をやりたいと!」

 

「新九郎さーん!修練社の荒木です!MENMA、ツーピース、ブリード大人気につき増版、なんですけど、全世界で増版スピードが足りてませーん!それと、各国でサイン会やれって……!」

 

「あの、新九郎さん!クイーンレコードの梅木です!今回の曲凄いですよ!オリコンでも海外のチャートでもぶっちぎりの一位で、どこももう増版が足りません!それで、今回のアルバムから、全国ツアーをやらないかって……!」

 

「社長!スクウェニの三好です!ポキモン、全国でバカ売れです!その件でフェミ通とかテレビとかからまたインタビューしたいって連絡が!」

 

「新九郎さん、デザイナーの吉岡です!あの、ヨーロッパの方から、また絵を描いてくれと……!」

 

「日アニの二宮です!カードチャプターさくらいの視聴率物凄いですね!劇場版の話が来てるんですけど!」

 

「アイリスソフトの大石です!鬼畜姫ランヤの売れ行き物凄いですよ、エロゲでこんなに売れるなんて!それで、画集を出すべきだと社内で案が!」

 

やりたいことはやってしまった。

 

やるべきことばかりが増える。

 

そのやるべきこともやりたくないことじゃないんだけどね。

 

「おら、一人ずつだ一人ずつ!並べ社会人共!」

 




やりたいこととやるべきことが一致してても、なんか、やりたくなくなる時ってあるよね。

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