「……さて、そろそろ良いかな?」
深呼吸を待って、一分。
呼吸を整えて、落ち着いた五人を見回す。
「……ええ、落ち着いたわ」
「うん、おっぱい揉ませ痛え!」
「殴るわよ?」
「殴ったよね?」
うーん、隙有りだったし、行けるかなと思ったんだけどなあ。
「さて、まず、一番最初にすべきことは、安全の確保だ」
「安全?」
「ああ。異世界だとして、モンスターやら毒虫やら、出るんじゃないか?」
「そ、そうね、確かにそうだわ」
「肆嘉」
「はいでやんす!」
「お前の能力で、周辺に何か動物がいるかとか、分かるか?」
「はい!周辺に、大きさ三メートル前後、重さ400キロ近くの大型哺乳類らしき生き物がいるでやんす!それが最大でやんすね!」
それを聞いて、俺と肆嘉を除く四人が顔を青くした。
「な、何よそれ!化け物?!猛獣?!」
啞零が錯乱気味に叫ぶ。
「まあ落ち着けよ、乳揉むぞコラ」
「だ、だって!」
「能力でどうにかできる範囲内のはずだ、そう焦ることでもねぇだろ。考えてもみろ!特撮映画みたいな、クソでかい怪獣とかじゃないんだ。どうにかなるさ」
まあ、例え、特撮映画のような怪獣が出てもぶち殺せる自信はあるが。
「え、ええ、そうね、そうよね……」
啞零を座らせる。
「えー、そして次に空気だが……、これは大丈夫っぽいな」
「あ、空気でやんすが、この辺はめちゃくちゃキレイでやんすね!有害なガスとかは、半径10km内には見られないでやんす!」
使えるなあ、こいつ。
「次に、水だ。この気候なら、三日くらいは水がなくても保つな。逆に言えば、三日以内に水を見つけなきゃ死ゾ」
「「「「ッ!……」」」」
俺と肆嘉意外の四人は、『死』の一言を聞いて顔色が変わる。
肆嘉が余裕そうなのは、水がどこにあるか知っているからだろう。
「……とは言え、そうくると思って、飛行機内にあった非常用の飲料水をたくさんパクってきたので、ある程度は保つぞ!」
「……あんた、言動は変な奴だけど、有能ね」
啞零に褒められた。
「次に、食事。三週間食事しないと死ゾ」
再度脅す。
まあ脅しじゃなくって単なる事実なんだが。
それを聞いて再び、啞零達四人は緊張を強めたっぽいな。
肆嘉が平気そうなのは、食料がどこにあるか知っているからだろう。
「……だが、そうくると思って、飛行機から非常用の保存食をたくさんパクっておいた。重いんで自分のものは自分で持ってね!」
そう言って、作ったジェラルミンコンテナから、非常食のビスケットを配る。
「ありがとう、助かるわ」
「凄いですね……!何だか、とんでもない量の荷物を持っていたので何事かと思ったのですが、まさかこんな……」
「すげぇよお前……」
「舌を巻くくらいに有能だね……」
「流石でやんすよ旦那〜!」
みんなにお礼を言われた。
「そして服装。啞零と双夢はスカートだねえ、かわいいよ!だが、スカートでサバイバルとは、ちょっと舐め過ぎでは?うちはを舐めるな!舐め舐め小娘共め!」
「「うう……」」
「と言う訳で、俺が何かに使えるかと思ってかっぱらってきた、職員用のズボンを履いてもらう。男性用だから長いが、我慢しろ」
「ありがとう、ごめん」
「すいません……」
「いや、まあ、別にサバイバルするって知らなかったんだからヘーキよ」
はい次。
「そんで、あとは住居。雨風を凌げる場所だ。この気候からして、今は春くらいかねえ。まだ平気だが、冬までここにいると仮定すれば……」
「家がなきゃ、最悪、凍死って訳ね……」
神妙そうな面をする啞零。
そうなのだ、この辺の気候は、俺が住んでいた北海道と似通っている。
つまり、冬が来たら雪が降るのだ。
雪の中で野宿なんてやったら死ゾ。
でも……。
「まあ、ヴァイキングハウスとかなら建てられるから問題ないけどね!」
「何なのよあんた?!家建てられる高校生って何?!」
啞零が突っ込む。
「森の民だゾ!」
俺が笑う。
「『ガチムチダークエルフニキ』」
正那が呟いた。
「はあ?何言ってんのよ、あんた?」
啞零が、当然のように、その意味不明な単語にツッコミを入れる。
「北海道の冬の山で、家を作り、火を焚いて、獣を捕らえて山菜を採取し、川の水で煮炊きして生きる。その合間に、レトロゲームの実況プレイ。それが、この創壱君の『ソーちゃんちゃんねる』だよ」
そう、俺は、サバイバル生活を動画にしてアップしているのだ。
「月に一回、一万円分だけの買い物ができる『課金アイテム』や、突然ヒグマに襲撃される『襲撃イベント』……、見応えがある動画だよ」
あー、やってたな。
課金アイテムで調味料と小麦粉や米を買って、釘とか買って。
襲撃イベントはかなりウケる。
「因みに、裏情報だけど、課金アイテムとは別口で買った麦でビール密造したりしてました!」
「ははっ、ヤバいね」
だって、ビールは貴重な炭水化物やし。
「まあ、何にせよ、お前らが協力してくれて、その上で指示を大人しく聞くなら、できるだけ死なせないように配慮するさ」
俺は足を組んで言った。
すると、五人は表情を、多少柔らかくした。
「さて、最後に、大方針だ」
「大方針?」
「ああ、これからどうするかを決める」
「それは……、衣食住の充実を目指すんじゃない?」
啞零ちゃんたらもう。
それだけじゃないだろ?
本題を忘れるなよ。
「それで?」
「それでって……」
「それなら、ただ生きるだけだ。目標を持つ必要がある」
「それは……、そうね。大事なことね」
「まず、住み良い拠点を見つける。川、海、森の近くがいいな」
「ええ」
「そこに簡易な家を建てて、拠点にする」
「そうね」
「そうしたら、この世界を調べよう。もし、どこぞかの政府が作った無人島や、誰かの陰謀によるものなら、必ず、陰謀を考えた奴の拠点があるはずだ。そこを探して調べる」
「そうね、そうした方がいいわ」
「もし、何もなかったら……」
「なかったら?」
「それこそ、建国でもするかね?ははは!」
「笑い事じゃないわよぅ……」
あー、おもしれぇなあ!
書きたいものの例
・ゾンビもの
生物兵器博士が、ゾンビアポカリプスと化した現代日本で、自分の創り出した生物兵器系クリーチャー嫁と一緒に、横須賀市を旅する話。最終的に、ゾンビアポカリプスを引き起こした原因である悪の組織の話とかもしたいゾ。作者の俺が、あんまりこう……、スローライフとか好きじゃないんだけど、終末世界でスローライフする話はすこなんだよね。
・偏屈提督
艦これアルペジオ方式もの。実の親に売春を強要され、借金のカタに売り飛ばされて、野良犬同然の生活をしてきたバリーハード人生を歩んできたサイコパス提督が、数百万人に一人と言われる提督因子を誰よりも多く持って生まれたって話だゾ。大和が提督のご機嫌とりのために、土下座させられたりするんだゾ。ぼのたんがクソ提督!とか言ったら秒でグーパン食らうんや。バトルシーンは鋼鉄の咆哮。最終的に、力をつけて、独立部隊になって傭兵になるんだゾ!
・『召喚』もの
ダンジョン系ポストアポカリプス学園ものだゾ。ある日、世界中に数え切れないほどのダンジョンができて、そこからモンスターが溢れ出して暴れ回った。人類は、化石燃料や鉱物資源なんかを、ダンジョンとの戦いで使い切ってしまった。しかし、人類の中から、『適合者』という超能力者が現れて、その場を凌げた。現在、一人の適合者が千人の一般人を支えるような、歪な社会ができていた。主人公は、欲しいものを異次元から呼び出す『召喚』の固有魔法を持っているゾ。でも、適合者であることがバレて、強制的に適合者育成学校にぶち込まれるんだよな。