昨日の夜はヤバかったな……。
糸紡ぎのやり方を教えたら、啞零が、サイコキネシスで全自動紡績機と化して、太さ一センチ、長さ五十メートルくらいの縄を作ってくれた。マジ神。
双夢もめちゃくちゃ器用で、ちょっと教えただけで、小さめの蔓編み籠を三つも作ってた。編み物が得意らしい。
使えるゥ!
さて、次の日。
今日で、異世界転移からちょうど一週間だ。
生活基盤がまだできてないから頑張らなきゃな!
朝!栗!終了!
そんな訳で、朝食を済ませてから仕事内容の説明。
「では……、君達には殺し合いをしてもらいますゥ……!」
「ふざけてないで早く指示しなさい」
啞零ちゃんに抓られた。
ウス。
「肆嘉、粘土はどこにあるか分かるか?」
「ここから四キロ先の、森の中にある川の分岐路にあるでやんす」
ああ、分かるんだ。
マジで凄えなあ。
下手な超能力よりも、この探し物能力の方が便利だな。
まあ、俺はあらゆる能力の上位互換みたいなもんだからあんまり言うことないけど。
「じゃあ、啞零と正那と肆嘉は、粘土をとって来い。肆嘉、お前は道案内と危機察知をしろ。正那は二人の護衛、啞零は荷運び」
「「「はい!」」」
「双夢と涼巴は、川に行け。双夢は釣り、涼巴は護衛。魚を釣れるだけ釣ってこい。保存食にする」
「「はい!」」
「俺は、昨日、啞零が持ってきたクソでかい岩を加工して窯にする」
一メートル立方くらいのクソデカ岩を複数持ってきやがったからな……。
啞零は能力を隠す気があんのかこれ?
まあ、その辺つつくのもどうかと思うし、スルーで。
「じゃあ解散!」
「「「「「おー!」」」」」
まあ、俺はやることそんなにないんだけどね。
石をレンガ状に分解してから積み上げて、分解接着するだけ。
これで、万能クソデカ窯ができた。
これを使って土器とか食い物とか炭とか作ろう。
使い回ししても、汚れを『分解』すれば衛生的!
その前に、試しに火入れしておこうか。
……しばらく見たが、特に問題はないようだった。
昼。
またもや、焼き魚と栗。
しかし、全員、「飽きたんだよなあ」みたいな顔をしていた。俺も含めて。
うーん、午後は、土器を焼いている間に、森の探索をして、新しい食料を探そう。
双夢が釣ってきた魚は、全部捌いて乾燥させ、『鮭とば』ならぬ『マスとば』にする。
これを、昨日作った籠に入れて、倉庫に吊るす。
地面に直置きでは、虫とか湧きそうなんでな。
粘土は、啞零にサイコキネシスで捏ねさせた後に造形させ、それを俺が『分解』で水分を消滅させる。
そして、大窯で焼く!
その最中、俺は……。
「重曹はここでやんす」
「啞零」
「はいはい」
資材回収のため、森に来ていた。
成果は、自然薯と重曹、唐辛子を見つけた。
それぞれを畑……、と言う名の適当に分解した地面に植えておく。後で双夢が増やすだろう。
晩飯。
自然薯とポロネギを昆布出汁で煮たスープだ。
それに、木苺の果糖と重曹で作ったカルメ焼きを出したら、めっちゃ喜ばれた。
「久々に甘いものを食べたわ……」
「カルメ焼き、たまに食うと美味いよな」
「なんか、気を遣ってくれたのね。その、ありがとう」
「え?俺が食いたかっただけだけど?」
「そう?でも助かったわ」
そして、焼いていた土器完成。
水甕にする。
柄杓と、木製の蓋を用意。
「助かるわ、あんたがいないと水が飲めないのって、大変だったんだから」
川の水、海の水を、煮沸もせずにそのまま飲むのは大変危険だからな。
しかしそうか、確かにそうだな。
じゃあ……。
「なら、明日は井戸でも掘るか?」
「そうね、そうしましょうか」
そんな話をして、晩飯終了。
夜はまた、糸紡ぎと蔓編みだ。
俺は、デカい背負い籠を作っている。
一方で、啞零に機織機の構造を教えると、紡いだ糸で布を作るようになった。
一晩で、2m四方の麻布ができた。
作業効率がヤバ過ぎる……。
あと、余談だが。
「炭?作るのか?」
「おう!この窯でな!」
「……オレ、できるぜ?」
「はい?」
涼巴が生木を握ると、一瞬で炭化して炭になった。
「これで良いか?」
「……できんなら早よ言えやーーー!!!」
キレた。
完成した炭は、さっき啞零が作った麻布で作った麻袋にぶち込んでおいた。
いやー、能力公募、やって正解だったな。
まだ受け付けてるんでよろしくお願いします。