今日は鶏舎を建てることとする。
ついでに、大きい畜舎も建てておこう。
全員で、三日かけて作った。
明日は、牛とか羊とかを探しに行こう。
はい、明日になりました。
今日は、朝早くから丸一日かけて、十キロ先まで遠征します。
何故なら、肆嘉が、十キロ先に羊っぽい反応があるって言うからです。
干し芋とシマウマの干し肉を持って、さあ行くか!
同行者は啞零と肆嘉。
「あのさあ、双夢ってさ、あの生命力を与える能力、人間には使えねーのかな?」
「ああ、前に聞いたけれど、人間の、それも超能力者には効きにくいらしいわよ」
「え?何で?」
「知らないの?超能力者には、『超能力抵抗』があるのよ」
「何それ知らん……、怖……」
いきなり新要素出すのはやめロッテ!
この世界が小説だとしたら、読者は困惑するぞ。
「良い?超能力者は、基本的に、他の超能力者に超能力を使おうとすると、相手の超能力の出力と反比例する結果になるの」
「ってことは、強い超能力者には、超能力が効きにくい?」
「そう言うこと。実際、双夢は、私達が怪我したりしたら、二、三人治せばへろへろになっちゃうって言ってたわ」
なるほどなあ。
そんな設定があったのか。
知らんかったわ。
「となると、超能力者同士の殺し合いは、中々決着がつかなそうだな」
「そうね」
と、そんな話をしながら、野原を歩く。
啞零は、歩けなくなると、自身にサイコキネシスをかけて、空を飛んで動いていた。なんでも、超能力抵抗は、自分自身には無効なんだとか。
肆嘉は体力があるようで、普通についてきていた。
途中、りんごっぽいものと、ヤシの実っぽいものを拾う。それと、キャベツっぽいものも発見。回収した。
そして羊を発見。
「お、いたいた」
啞零のサイコキネシスで、見えない壁を作り出し、背後から俺が追い立てて移動。
流石に、帰り道では肆嘉も疲れて歩けないと言うので、俺がおんぶしてやった。
啞零は、自身にサイコキネシスをかけて空を飛んで移動。
夕暮れ時に、拠点に帰還できた。
畜舎に羊をぶち込む。
今日はこんなもん。
晩飯は、干し芋と干し肉に、茹でキャベツっぽいもの。
次の日。
「今日こそは、ベッドを作ります」
「本当?!」
啞零が、喜色満面で訊ねてきた。
「おう、羊の毛から布団を作るぞ!」
「やったあ!もう身体が痛くて痛くて……!」
確かに、ベンチ兼ベッドは木製だ。
そこに、ジャンパーを敷いて寝ていたので、身体は痛い。
「では、俺と啞零と双夢は、毛刈りだ」
「ええ!」「はい」
「残りはやることないんで籠でも作っとけ」
「「「はーい」」」
「以上、解散!」
はいまず、俺が、羊毛と羊の身体の接合面だけを『分解』します。
それを、啞零がサイコキネシスでひっぺがします。
そして、双夢が生命力を付与して、羊の毛を復活させます。
このループで、ごく大量の羊毛を得た俺達。
次は、これを、俺が汚れや虫などを『分解』して綺麗にする。
そして……。
「行くわよ……、それっ!」
啞零が、超高速で糸にして、布にする。
あっという間に、布団用の布と、布団に詰める用の羊毛ができた。
午後は、全員で布団作り。
その前に昼飯。
昼飯は、鶏ガラスープで、さつまいも、キャベツ、羊肉を煮込んだスープだ。
「うーん?羊の匂い、あんまり気ならないわね」
「そりゃ、匂いの元を『分解』してるからな。『分解』を使わないとなると、めっちゃ洗わないと臭いぞ」
実際ね、洗ってない肉を出す飲食店に行くと分かるけど、洗ってないとこの肉はもう本当にマジで臭いぞ。俺はまあ、森の民だから気にならんってか我慢できるけど、現代人はゲロ吐くんじゃない?
そんな話をしながら飯を食っていると……。
「わ、私、今日はちょっと食欲が……」
と、双夢が食事を辞退した。
んん?
病気か?
いや、そんな感じはしないな。
んー……?
あ、そうか!
「生理か?大変だな、寝てて良いぞ」
「ちょっ、あんた!デリカシーってもんがないの?!」
啞零に叱られた。
いやそんなん言われましても。
「実際、病気じゃないんだろ?」
「は、はい、その、生理、です……」
顔を真っ赤にした双夢が俯いた。
そんなに恥ずかしいことか?
生き物なら普通だろ。
「じゃあ、今日はもう休んで良いぞ。他の連中も、生理だ何だで働けねぇんなら早く言えよ!」
「もうちょっと気を遣うとかないの?!言い方!」
「しゃあねえだろうが。俺は知らんが、生理ってのは辛いんだろ?なら寝てろ。そして、俺は見ただけじゃ生理かどうかだなんてわかんねぇんだよ。だから言ってくれ」
「ま、まあ、休みたいときは休んで良いってことね?」
「そうだよ」
さて、早速、布団作りをやっていきたいと思います!
まあ……。
「裁縫って簡単ね」
ミシンと化した啞零が、速攻で六枚、布団を縫ってくれたんだけどね。
晩飯は、生理中の双夢に配慮して、マッシュしたさつまいもになりました。
次の日。
「双夢、今日は大丈夫そうか?」
「はい、大丈夫です」
ほーん。
「今日は、羊の乳搾りをやります」
妊娠している羊がいるので。
「それと、子羊を一匹解体して、レンネットを採取します」
「レンネット……、となると、チーズですか?」
双夢が言った。
「ご明察だなあ。その通りだ。知らん奴のために言うが、レンネットってのは、草食の哺乳類の子供の胃袋にある、乳を固める成分だ。これを使うとチーズができる」
「チーズ!良いわね!」
啞零が喜んだ。
「チーズ作りでは、温度管理の面で、涼巴にも手を貸してもらうからな」
「おう!任せろ!」
まず、乳酸菌を加えるか。
「双夢、乳酸菌のみを増やすとかできるか?」
「できます」
「じゃあ、これをヨーグルトにしてくれ」
ヨーグルトをスターターにして、と。
レンネットを加えて……、よし、カードができた。
ここで、カードから水分を『分解』して、塩漬けにしてハードチーズに。倉庫で熟成させておこう。
ソフトチーズも作っておこう。
ヨシ!
うーん、基本的に、この辺は何かを作ってます!ってことが多くなりがちだな。
近いうちに住民が増えるよ!やったね森の民ちゃん!