ハードオンの楽しい思いつき集   作:ハードオン

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おらっ、追加キャラじゃ。


17:お嬢様

「今日は、石鹸を作ります」

 

「本当かい?!助かるよ!」

 

正那が喜んだ。

 

「正那、電気分解ってできるか?」

 

「できるよ!苛性ソーダだね?」

 

お、分かるのか。

 

「じゃあ、啞零は、サイコキネシスで薬剤を混ぜるのを手伝えよ」

 

「ええ。油は何を使うの?」

 

「これだ」

 

この前拾って来たココナッツ!

 

「ココナッツオイルね!良いじゃない!」

 

良いのか?よく分からん。

 

「ココナッツオイルの石鹸は、高級品なんですよ」

 

と、双夢が教えてくれた。

 

なるほど、高級品。

 

 

 

さて、石鹸作り。

 

まず、塩水を電気分解。

 

「えい」

 

バリバリーッ!はい終わり。

 

余った苛性ソーダは、小さな壺に封じておく。

 

瓶欲しいな、ガラスか……。

 

ココナッツから、油分のみを抽出。

 

分量は俺が覚えてるので、混ぜる!

 

なお、作業は危険なので、啞零がサイコキネシスで遠隔操作して作りました。

 

そして、完成した石鹸から水分を『分解』して……。

 

「完成だ!」

 

うん、上手にできた。

 

倉庫の棚に、切り分けて、置いておいた。

 

この辺りは湿度もそんなに高くないし、とりあえずはこれで。

 

こんなもんかな、と考えていると……。

 

「大変でやんす!大変でやんすー!」

 

肆嘉の叫び声が聞こえて来た。

 

 

 

「どうした?」

 

「南から、超能力者の集団が来てるでやんす!きっと侵略者でやんすよ〜!!!」

 

ふむ、川上から超能力者の集団か。

 

「超能力者の内訳は?」

 

「女の特級が一人、一級が五人、二級が八人、三級が十二人、四級が十六人でやんす!男は、一級が三人、二級が十人、三級が五人!」

 

ふむ……。

 

特級がいるのか。

 

侵略者だとすればまずいな。

 

いよいよって時は、覚悟を決めなきゃならんだろうな。

 

 

 

俺は、啞零と正那に護衛されながら、肆嘉を伴って前に出た。

 

向こうからは、特級能力者一人だけが歩って来ている……、と肆嘉が言っている。

 

特級能力者は……、身長普通、胸は大きめ。

 

髪型は、金髪のドリルみてーな感じ。

 

瞳の色は緑で、肌は真っ白。

 

アレっすね、昔のネット小説の、悪役令嬢みたいな……。

 

そんなのが、両手を上げながら歩って来た。

 

「そこで止まれ」

 

俺はそう命じた。

 

手元には、弓矢がある。

 

矢尻にはトリカブトの毒が塗り込んである……、ってか、この距離だったら外さない自信がある。

 

「何の用だ?」

 

「単刀直入に言いましょう。仲間に入れてくださいな」

 

ふむ……。

 

「六十人の足手まといを仲間にしろと?とんだ厚顔無恥野郎だな」

 

「その点については、面目次第もありませんわ。それにつきまして、私達は、超能力による労働力を対価とさせていただきますわ」

 

えっ、口調もお嬢様風なんだ。おもしれぇなこいつ。

 

「労働力は足りてますわよ」

 

俺もお嬢様口調で対抗する。負けてらんねぇぜぇ……!!!

 

「そうかしら?たったの六人では、見張りもできないのではなくて?」

 

六人と知ってるのか……。

 

感知系の能力者か。

 

ここから飛行機墜落現場からは、体感だが六、七十キロメートルは離れているはずだ。

 

それだけの範囲が見える能力者は、強力だな。

 

「盗み見ですか?随分と不躾なことをなさるのね」

 

お嬢様モード継続中の俺がその辺を突いた。

 

「あら、ごめんあそばせ?あまりにも楽しそうにしていらっしゃるから、気になってしまった子がいたのですわ。それに、素敵な殿方は、女性の耳目を集めるものですわよ?」

 

へえ、言うじゃん。

 

「仮に、労働力が提供できたとして、それを対価に、わたくしに何を求めますの?」

 

俺が訊ねた。

 

「知識を。それと、相互に守り合って欲しくありますわ」

 

ふむ……。

 

「嘘を仰られないで!わたくし達が、食品や資材を貯め込んでいるのを知って、奪いに来たのでしょう?!」

 

核心部分を突いてやるか。

 

すると、お嬢様は苦い顔をして……。

 

「……確かに、そう言った面もありますわ。ですが!わたくし達には、もう後がないのです!この身を捧げろと仰るならそうしますわ、だから、どうか!どうか……、助けて……!」

 

懇願だ。

 

なるほど……。

 

「啞零お嬢様!あなたの意見を聞いてもよろしくて?」

 

俺が訊ねた。

 

「誰も突っ込まないから私が言うけれど、真面目に頭を下げている人の前でふざけるのはやめなさいね。……ええと、私の意見ね。私は、まあ、あんたに無理矢理付いてきた身だから、意見を言える立場にないけれど……、できれば、助けてあげたいわね」

 

ふむふむ。

 

「じゃあ聞くがね、何で今更ここに来た?どこから来たのかは知らんが、生徒会長とやらと仲良しこよしで建国(笑)してりゃあ良いだろ」

 

疑問だった。

 

あの生徒会長とやら、頭は悪いがカリスマはあったように思える。

 

森は、ウサギやネズミがその辺にいて、木の実や山菜も採れる。

 

生きていくことは可能なはずだ。

 

何故、あの生徒会長とやらではなく、俺の仲間になりたいなどと言うのか、理由を知りたい。

 

「あいつは、あの男は……!」

 

話を聞いた。

 

どうやら、あの生徒会長は、特級能力者は王族で、一級能力者は貴族!とか言っているらしい。

 

自分の配下に、『複製(コピー)』『水類生成(ウォーターマスター)』『治癒(ヒーリング)』『電気操作(エレクトリック)』の四人を置いて、飛行機内で暮らしてるそうだ。

 

『複製』が食料を増やして、『水類生成』が水を出して、『電気操作』が電化製品を動かす。『治癒』はもしもの時の控え。

 

それと、抜群の戦闘能力を持つ『光芒(ライトブリンガー)』の生徒会長が、四百人ほどの能力者を支配しているそうだ。

 

能力者にあらずんば人にあらず、みたいな身分制度で、食料は配給制に。

 

そして……、これは初めて聞いた話だが、超能力者は、女の方が数は多いが、男の方が質がいいらしい。

 

能力者の六、七割は女だそうだ。

 

それにより、生徒会長は、より強力な能力を持つ存在が、弱い能力者を保護する代わりに、言うことを聞かせるべきだと提唱。

 

そんなこんなで女の立場は悪いそうだ。

 

挙げ句の果てに、男の能力者の方が強くて、女の能力者が多いのは、強い男の遺伝子をたくさんの女が受け取るためだ!とか言っているらしい。

 

非能力者の一般人は追い出し、小等部の子供達にもその身分階級を強制してきたから、身分制度に疑問を持った女と、子供達と一緒に逃げてきた……、んだとよ。

 

ついでに言えば、ここから追い返されたら、行き場がないとも。往路の分しか食料を持って来れなかったらしい。

 

なるほどな……。

 




どうです?

ちょっと話が動きましたね。

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