ミートソース作ろう。
結論。
有能マンが多過ぎた。
まず、今日わかったことと、今日得られた成果。
翔琉の能力で、コンソメと米と非常食クッキーと片栗粉と醤油、ケチャップ、ピクルス、インスタントカレー、インスタントスープ、サラダ油、オリーブオイル、酒類を原材料に戻す。
すると、にんにく、にんじん、ジャガイモ、玉ねぎ、セロリ、かぶ、白菜、長ネギ、トマト、砂糖きび、米、小麦、大豆、きゅうり、ピーナッツ、大麦、ホップ、ぶどう、とうもろこし、スパイス、油菜、オリーブを手に入れた。それと、肉牛、乳牛、更に豚も得た。
ついでに、革製品と綿製品、絹製品を回帰させたら、馬と、コットンと、蚕が出てきたのでそれも確保。
それを、双夢と弥絵がコンビを組んで増やして、辺り一面に水田、畑ができた。
更に言えば、以降、家畜と植物は無限に増やせるので、気にする必要はなくなった。
この日は、食料大増産の日となった。
双夢と弥絵がフル稼働して家畜を増やし、それを俺が『分解』して解体して、氷室にぶち込む。
双夢は、生命が1あれば、100に増やせるが、0から1にすることはできない。
つまりは、受精卵があれば、そこから成体まで成長させられるが、受精させることはできないのだ。
しかし弥絵は、受精を強制させる能力を持っている。
これほど都合の良いシナジーは他にあるまい。
そんな感じで、氷室が肉でいっぱいになったので、更に二つの氷室を作り、そこに肉を大量保存。
翔琉の力をフル稼働させて、醤油、味噌、日本酒、みりん、ナンプラーなんかを作成。いやまあ、ナンプラーとかどう考えても使わねーんだけどね……。
更に作った氷室に仕舞う。
紫衣が、大量の海水を大岩に変える。
啞零が運び、それを俺が『分解』して、石畳の食糧庫にした。
そんなのをいくつか作って、食料体制はバッチリだ!
夜飯。
増やした鶏肉を醤油と酒、にんにく、生姜に漬けて、片栗粉をまぶして、菜種油でジュワッと揚げる。
しかも二度揚げ!
更に、カブときゅうりの浅漬けに、昆布出汁の味噌汁。
そして、炊き立てほかほかのご飯!
「「「「「「いただきます!」」」」」」
うおおおおっ!うめええええっ!!!
久しぶりの鳥の唐揚げ!!!
不味い訳あるかよ!!!
ザクっ!と齧れば、じゅわ〜!な肉汁!
それで白米を掻っ込む!
ふおおおおっ!うんめえええええ!!!
「「「「「「ハムッ!ハフハフ!ハフッ!」」」」」」
全員、喜んで飯にありついている。
女の子だと言うのに、口いっぱいに頬張って食べていた。まるで子供のように。
中には、泣いている奴も少なくない。
久しぶりのまともな飯に感動しているんだろう。
あ、因みに、飯作りに関しては、双夢をリーダーに、俺と、あと何人かの女の子ができるので、みんなで作っている。
とは言え、飯盒や土鍋で、炭火で米を炊けるのは俺と双夢だけなんで、火入れと味付けは俺と双夢がやっている。
次の日。
「えー、今日は、ロングハウスを作ります。ロングハウスとは、中世の略奪民族であるヴァイキングの家のことです」
ロングハウス作りをやることに。
「ロングハウスは、窓が少なくて、広くて暖かい家のことな。そこに、全員で集団で暮らすぞ」
「何故、集団で暮らす必要があるんですの?」
睦が聞いてきた。
「巨大な肉食獣や、もしかしたら他の超能力者の襲撃があるかもしれない。それを考えると、一箇所に人が固まっていた方が守りやすいんだよ」
「それは……、そうですわね」
「ついでに言えば、俺もあの生徒会長と同じ考えだ」
「ええっ?!」
驚く睦。お嬢様とは思えない、目が点になった表情だ。
「俺は超能力の力の差で『差別』はしない。だが、『区別』はさせてもらう。例えば、ここにいる涼巴。こいつのお陰で、合計六つの氷室が冷たいまま維持されてるんだ。涼巴が死ねば、氷室は使えなくなる」
俺は、涼巴のおっぱいを突いた。
涼巴に殴られた。
「例えば、双夢。こいつのお陰で、食料の増産ができている。最優先で守らなきゃいけない」
俺は双夢のおっぱいを揉んだ。
双夢は顔を赤くした。
「つまりは……、能力によって身分を差別することはないが、いざと言うときには、一番守るべき存在は、有用な能力を持つ者となる。それは良いな?」
「……ええ、それは当然のことですわ。相変わらず、直截なお言葉ですわね」
「そりゃそうだ。女だから、ガキだから無条件に守ってもらえると思うなって話よ。俺は別に、おフェミポリコレなんざ気にしないからな。大切なのは効率だ」
「効率、ですか……」
「ああそうだ、獣の群れと同じだよ。文句あるか?」
「いいえ、獣で結構。腐った人間は禽獣より劣りますわ」
なるほど、生徒会長のような腐った人間は、獣の群れ以下ってことか。
「で、ロングハウスである利点だが……、ロングハウスは寒さに強い。窓や入口が少なくて、暖かい空気が中に篭りやすいんだよ」
「暖かい必要があるのですか?今は涼しいですが、これから夏になれば暑くなりますわよ?」
と睦。
「良いか?この地域の気候は、北海道に近い寒帯だ。今は涼しいし、夏はそこそこに暑くなるだろうが……」
「冬は豪雪になる、と?」
「そういうことだ。よって、寒さと雪に強い家が必要だ。平屋だと最悪、潰れ死ぬぜ?」
「そうですわね……、重要ですわ」
「ロングハウスは、複数の部屋を持つ、超巨大な家をしよう。そこで、みんなで煮炊きして、仕事をして暮らすぞ」
「仕事、ですか」
「おうよ!タダ飯食いなんざ許さねーぞ!ガキだろうがなんだろうが、働かせるからな!」
「それはもちろん、やるべきですわね……」
「ガキだろうが、やれることはいくらでもあるぞ?麦や米があるなら、藁を縒れ。金属加工もできるっぽいな。金属が加工できるなら石材の加工もできるだろ。料理もやれ、獣の解体もやれ、ガキもいるなら勉強も教えてやれ。糸紡ぎ、機織り、警備、全部やれ!やることはいくらでもあるぞ!最終目標は、『超能力に頼らずとも生活できること』だ!!!」
「「「「「「おおーっ!」」」」」」
そう言うことになった。
とりあえず、今日は完成予想図と間取りを話し合って決めて、後ついでにトイレを増産して終わりだ。
夜、LEDランタンの光の下で、麦藁の編み方や、綿から糸を紡ぐ方法、蔓の編み方なんかを教えて周った。
こう言うのは好きだって女が多く、楽しんでいたようだ。
いやもう本当に、生きるのがダルすぎる。
異世界転生してぇー。