三月頃に異世界転移して、二ヶ月が過ぎた。
今は五月だ。
正確な暦は分からないが、気候的にも五月くらいだろう。
村は安定しており、村人達は生活にも慣れてきたように思える。
強力な能力者達は、自らの能力をもって村に貢献したし、弱い能力者達も、自分にできることをやって村に貢献している。
村の内訳はこうだ。
女の特級が一人、一級が五人、二級が八人、三級が十二人、四級が十六人。
男は、一級が三人、二級が十人、三級が五人
それに、初期メンバーの俺、啞零、双夢、涼巴、肆嘉、正那の六人で、合計六十六人。
その内、男七人と、女八人は小学生くらいの子供だ。
男は、子供以外も中学生しかいない。生徒会長の下では、男の方が暮らしやすいから、ここに逃げ込んできた男は基本的に、温厚な子供だそうだ。
さて、こうして暮らしていると、段々と役割分担ができる。
そして、有能な奴が頭角を現す。
まずは、役割についてだ。
俺は族長。
村全体の方針を決める役割を持つ。
それだけでなく、様々な知識を村人に教える教師役もやっている。
啞零、双夢、涼巴、肆嘉、正那、睦は、それぞれがサブリーダーってか、元老院ってか、そんな感じの役割を持っている。
そして、個人個人にも役割がある。
啞零は、紡績関係の総責任者のような役割をしていて、最近作った機織機の使い方もいち早く覚えて、村の中でも手先が器用な女の子と裁縫に勤しんでいる。
また、裁縫は、『混成』の智海が非常に得意なようで、型紙から服まで作れるそうだ。
最近は、採取してきた天然塗料で染めた布で、服作りをするまで進んでいる。
双夢と弥絵は、食糧生産部門のトップだ。
涼巴は、炭焼きと風呂焚きが主な仕事で、氷室の管理もやっている。
因みに、氷室に刺さってる青い剣って何?って聞いたら、あれは『オーラビジョン』と言って、超能力者が設置式の能力や、最大出力で能力を使うと見えるオーラの塊らしい。初耳っすわー。
肆嘉は、警備部門と連携して周囲の見張りをしている。
正那は、電化製品の充電役と、警備部門の長を務めている。
睦は、数字に強いので、資材管理部門の長を務める。
紫衣と桃花は、ペアを組んで金属加工部をやっている。
紫衣が金属を創り出し、桃花がそれを粘土レベルに柔らかくして、木材の型に流し込み、鉄器を作るようだ。
そして、それ以外にも、頭角を現してきた有能な人材を紹介しよう!
まずはこちら、黒髪ポニテ、鳶色の瞳の、切れ目な武道少女!
三級能力、『身体強化(パワーアップ)』の、刀辺帯流(かたなべおびる)ちゃんだ!
帯流は、実家が古武術道場らしく、武術の心得がある。
乗馬、弓術、剣技、槍、格闘ができるそうだ。
それを、正那を頂点とした警備部門の三十人のメンバーに惜しみなく教えている。
俺が作った弓で、弓の訓練を中心に行なっているらしい。
警備部門は、肆嘉などの感知系能力者と、帯流のような戦闘に使える能力を持った人達が多い。
体育会系の女二十人と、中学生の男十人だそうだ。
あ、そうそう。
警備部門には、飛行機墜落現場から七十キロは離れたこの村を見ることができる、『千里眼(クレアボヤンス)』持ちの女もいたぞ。
それと、帯流は能力の出力的には三級だそうだが、『身体強化』は、物理的に身体能力を上げる能力だ。
能力抵抗があり、能力者から能力者へは能力が効きにくいと言う話をしたと思うのだが、この『身体強化』は、戦うとなるとあくまでも物理的な身体能力で戦うので、この能力抵抗がないようなものになる。
故に、戦闘能力で言えば、帯流は、本人の武技も合わせて、一級能力者に匹敵するほどだそうだ。
実際、なんかやってとせがんだら、10mくらいの距離を一歩で踏み込んできたから、普通の能力者が相手ならなんかする前に殺せるわな。
因みに……。
警備部隊の長は正那だが、実質的な指揮者はこの帯流である。
正那が軍事大臣だとすれば、帯流は将軍だ。
次にこちら。
この村の中で最もでかいボインちゃん!素朴ながらも優しげな顔立ちで、編み込んだブロンドの髪と、彫りの深めな顔立ちはまさに、アルプスで暮らしてそうな感じ!
四級、『健康波(ヘルスウェーブ)』の阿良牧藤榴(あらまきとうる)ちゃんだ!
『健康波』の能力は、当たると健康になる、っていう完全に双夢の下位互換な能力なんだけど、この子は凄い。
実家が牧場らしいんだよね。
だから、動物の世話ができる。
それだけじゃなく、度胸もあって、動物の解体なんかもやってくれる。
その辺ができる子は非常にありがたい。
そしてこちら。
イエローの髪を短く切っている、元気で人懐っこそうな顔をした女の子。
四級の『懐中道具(ビッグポケット)』の噛代佐天(かみしろさてん)ちゃん!
この子はね、能力は、持って歩ける程度の大きさ重さのものを異次元に仕舞えるって言う、しょぼい能力しか持っていない。
しかし、本人は、めちゃくちゃ料理が上手いのだ。
魚をさばけて、窯で米を炊けるし、炭火で肉は焼けるし……。
窯でピザも焼けるし、中華鍋で炒飯を作ったり、スパイスからカレーを作れる。
双夢も料理はできるが、それはあくまで家庭料理の域を出ない。
俺もできるが、俺のはサバイバル感が強くて、プロ並みってほどではない。
だが、この佐天は、プロ並みの料理人なのだ。
料理人の家系らしく、古今東西の様々な料理が作れるらしい。
特に、極秘の配合で作られたスパイスカレーはマジで美味かった。
今は、この村の料理長として活躍している。
と、まあ、このように。
超能力がショボくても、本人の技能でカバーする奴もいるのだ。
もちろん、能力も本人の技能もショボい奴もいる。
そんな奴は荷運びやらの下働きだ。
とは言え、食うに困らないくらいの生活ができているんだから、感謝すべきだろう。
そんな感じで、村は安定している。
さて、そろそろ暖かくなってくるぞ。
どうなるかね。
モンハンライズ買ったぞー。
そしたら、こう……、モンハン二次書きたくなってきた。
あらすじはこう。
俺が前書いた『世界線を間違えた男』と同じ世界線の、元自衛軍現任期終了で退職ニートのおっさんがVRゲームの世界に転生する設定ね。ああ、この世界のこの時代の自衛軍は自衛隊と違って倍率百倍くらいの超エリート集団です。学力は東大生並、身体能力はS並にないと不合格のガチエリート部隊。
んで、主人公は、リメイクされた『VRモンスターハンター』を全シリーズクソほどやり込んでHR999全武器全防具最強最高の護石を揃えた変態なのね。変態だから、全シリーズで別々の武器を使うネカマプレイヤーで、お姉さまからロリキャラまで幅広く女キャラをキャラメイクして使ってきたのよ。
そんな変態最強ネカマおじさんが、『VRモンスターハンター』を全部ごちゃ混ぜにした世界に男の身体のまま転移。若返りあり。だって主人公、元の年齢はアラフォーだもの。
当然、すぐに「ここモンハンの世界やん!」と気づいた変態は、ノリノリでハンターになろうとする。
しかしここはど辺境の村で、割とちょくちょくモンスターが出るけどハンターさんはいない。
ツテ無しの辺境生まれじゃどうしようもない……、八方塞がりだ。が、そんなある日、平和な辺境村にアオアシラが!
変態、タル爆弾やブーメランに投げナイフなんかを持って突撃。ノーダメで撃破。
その知らせを受けて、都会のハンターが来て、引き取ってもらえることに。
訓練所に通って、ハンターの訓練を受けるが……。
そこで、『モンハン4』の女主人公と出会う。
そう、各シリーズの女主人公達は全員、変態おじさんが心血を注ぎキャラメイクし、HR999にまでした自キャラだったのだ。
ついでに言えば、変態おじさんの自キャラたる女主人公達は、変態おじさんに操作されていたことを覚えている。
女主人公達が言うには、操作される感覚は、「謎の男性の声が頭の中に響いて、身体の動かし方を教えてもらっていた」みたいな感じだったらしい。しかし、「ある日、私達を導いていてくれた声は、急に聞こえなくなった」とも。そして、「頭に響いていた『導き手』と同じ声の男性が目の前にいる」と……。
HR999女主人公達に囲まれる変態おじさん!
女主人公達の忠誠度はアサシンクリードのテンプル騎士団並だぞ!
おじさんは、とりあえず断って、辺境の村へ帰り、そこでハンター生活をする。
村クエは速攻終わりました……。
集会所クエも速攻終わりました……。
この世界、モンハン世界とは言え、変態おじさんみたいに毎日狩りに行って希少種乱獲とか想定してないんすよ……。
獲物を求めて各地を転々とする変態おじさん!その度に「あら奇遇!偶然!」みたいなツラをして付きまとってくる女主人公達!
うーん、いつもの展開で面白くないな。