ハードオンの楽しい思いつき集   作:ハードオン

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ネット繋がらない漫画アニメゲーム特撮ドラマ映画の続きやバックヤードが楽しめないってのが、異世界転生で最大の辛い点なので、その辺解決するなら僕は異世界転生しても良いです。


31:勧誘

喋る鹿は、足を畳んで蹲ると、肉体がメキメキと音を立てながら捻じ曲がり、人型に変形した。

 

「うげ……」「うわ……」「「「ひええ……」」」

 

俺以外の五人がドン引きする。

 

何せ、この変形は、血こそ漏れなかったが、白い骨とピンクの肉、黄色い脂肪がグニグニと波打っていたのだから。

 

あまりにもグロテスクな描写であった。

 

……とは言え、俺はそういうのをあんまり気にしないんで、何とも思わないが。

 

「……顔色一つ変えない、か」

 

目の前の人型が呟く。

 

中性的なソプラノの声だった。

 

人型は、胸を中心とし、紙にインクを垂らしたかのように、滲むようにじわじわと皮膚が広がり……。

 

一人の青年になった。

 

しかし、異様な姿でもある。

 

能力者らしい、真っ白な髪と緑色の瞳は良い。「深窓の令嬢」の男性版、というのがしっくりくる、儚げな美男子であることも、良い。

 

おかしいのは身体の作りだった。

 

男性であるのに、男性器がない。

 

かと言って女性なのか?と言えばそういうことでもなく、性器そのものが存在していない。

 

ここからは見えないが、恐らくは肛門もないだろう。

 

臍もない。腹部は、薄く腹筋が浮かぶなだらかな平地。

 

乳首もない。

 

また、髪の毛、まつ毛、眉毛以外に、体毛は一本もない。

 

そんな、人外的な男だった。

 

「それが『変身』か?面白いな、遷貌是印」

 

俺は、目の前のこいつと同じく、薄ら笑いを……、いや、はにかみを浮かべて、と言うべきかな?とにかく、笑顔で挨拶してやった。

 

「へえ……」

 

男……、是印は目を細める。

 

大方、俺に名を知られていることを驚いたのだろう。

 

だが、そんな素振りは見せない。

 

なるほど、無能ではないな。流石は、能力者連合の総リーダー、ってところか?

 

「知っているなら名乗る必要はないと思うけれど、あえて名乗ろうか。私は、遷貌是印(せんぼうぜいん)……。このグループの総リーダーをしている」

 

人好きのする微笑みをこちらに向ける是印。

 

よくもまあ、警戒の念をここまで隠したものだ。

 

「俺は……、そうだな。今は、ジョン・ドゥと呼んでくれりゃ良い」

 

「ジョン・ドゥ……?名乗るつもりはない、と?」

 

「それはこれからの話を、お前が受けるかによるな」

 

俺は、近くの樹木を『分解』して切り株にして、そこに座り込んだ。

 

「っ……?!」

 

目を見開く是印。

 

俺の能力の強さを知って、警戒の念を強めたようだ。

 

「端的に言おう。俺達の下につけ」

 

 

 

詳しい話は村の中で、と言うことで、是印に村に案内された俺達。

 

門前払いはされなかった、となると、その気はあるってことかね?

 

まあ、ともかく、だ。

 

ここには、三十人前後のグループが五つあるのだが、そのそれぞれのグループのリーダーが集まって、俺の話を聞くと言うことになったらしい。

 

石のテーブルに切り株椅子という原始的な装いの、野外で会談となった。

 

周りには、能力者連合の一員である外野達がゾロゾロと。

 

「あー……、話を聞くのは良いけれど、口出ししたり、騒いだりはしないようにね!」

 

是印が全体に呼びかけた。

 

さて、話し合いを始めようか。

 

「まず、自己紹介から行こうか。俺はジョン・ドゥ。こちらは全員、ジェーン・ドゥだ。よろしく……、するかどうかは、これからの話し合いで決まる」

 

俺はそう言った。

 

正那以下、仲間の五人には、喋るな、名乗るなと命じてある。

 

「ハッ!話にならねぇ!名乗りもしねぇ奴と何を話すってんだよ?!」

 

赤い髪を逆立てた凶暴そうな男が叫ぶ。

 

「劉生君、ここは私の顔を立ててくれないかな?」

 

是印は、赤髪男を宥めるかのように声をかけた。

 

「で、でもよぉ」

 

お?こんな人の言うこと聞かなそうな男を御しているのか。

 

俺の中で、是印に対する評価が一段上がった。

 

「では、こちらも自己紹介をしよう。私のことは良いかな?既に、能力の『変身』も、名前も割れているみたいだしね」

 

と是印。

 

「チッ……。焦炎劉生(しょうえんりゅうせい)だ」

 

こいつは、確か、報告によると一級の『発火(パイロキネシス)』の使い手だったな。

 

火炎攻撃はシンプル故に強力だ。

 

こいつの束ねるグループは、六十人の戦闘系能力者がいる警備部だ。荒くれ者をまとめるだけあって、喧嘩の強さも評価できる。

 

見た目は、炎のような赤い髪を逆立てた、赤い瞳の三白眼。細身ながらもそこそこに筋肉もあり、背丈は俺よりは低いがそれでも平均よりは高い。

 

服装は革ジャンに革ズボンの古風ヤンキー。

 

「是印さんがそう言うならぼくから言うことはないよ。……ん?ああ、自己紹介だったね。ぼかぁ、薬師寺霧衣(やくしじむい)だよ。よろしく、名無しの権兵衛さん」

 

こいつは、報告によると一級の『栄養剤(ピルクリエイト)』の使い手だったな。

 

何でも、単一の栄養素を持つ錠剤を創り出す能力だとか。但し、人体に吸収されない錠剤は作れない、とか。

 

こいつの創り出す医薬品で、多くの人が助けられているみたいだ。

 

こいつは、十人の研究部というインテリ集団をまとめているようだ。お勉強ならトップクラスだろう。相当に賢いらしい。

 

見た目は、鳶色のモジャッとした髪を長くしていて、瓶底眼鏡の奥にブラウンの瞳。

 

毛糸のシャツに薄汚れた白衣を着込んだ、肆嘉並にチビな女だ。

 

「素原タマ(もとはらたま)にゃよ。よろしくにゃ、イケメンさん!タマはイケメンさんはみんな好きにゃよー!」

 

この頭のおかしい口調の女は、一級の『原子創造(アトムマテリアル)』の使い手だったな。

 

単一の原子で出来たプレートを創り出す能力だそうだ。

 

放射性物質で出来た小型プレートをばら撒くだけで土地を殺せる、危険な能力でもある。

 

こいつのグループは、二十人の資源回収をやっているグループ、調達部らしい。

 

見た目は、猫耳フードを被った栗毛の女。

 

八重歯で、スタイルもまあ普通に良い。

 

「まあ、良いんじゃないの?俺は是印さんが話を聞くってんなら聞くべきだと思うよ?あ、俺は百合応善(ゆりおうぜん)ね、よろしく」

 

こいつは、一級の『合成(コンビネーション)』の使い手だ。

 

うちにも、似たような能力である『混成』の使い手がいるが、こいつの方がより高精度な合成ができる。

 

『混成』は、簡単な化合と、物質そのものを混ぜ合わせて全く別の中間物質にすると言う、言わば……、もっと『超能力的』な能力だ。

 

だが、こちらの『合成』は、より科学的で、材料たる原子があれば高分子なども作れるそうだ。

 

すなわち、先ほどの猫耳女……、タマの『原子創造』と組み合わせて使えば、『無』から食料を作れるみたいだな。

 

だって、食料なんてものは、炭素と窒素と水素と酸素の高分子化合物なんだからな。

 

こいつは、調合部……。何かを作る部門の三十人を管理しているらしい。

 

見た目は、黒髪で額を出した、垂れ目気味の昼行灯そうな男だ。

 

中肉中背、黒色のワイシャツにブルーのズボン。

 

これに天秤のバッチをつけてれば完全に法曹関係者だ。

 

「わ、わ、私は、是印さんが、言うなら……。是印さんが、ここに連れて来てる時点で、信用はできるかなーって……。あ!ごめんなさい!私、瞬基千紗(またたきちさ)です!ごめんなさい!」

 

この卑屈な女は、一級の『瞬間移動(テレポート)』の使い手だな。

 

付近の様子を探る三十人の偵察部の元締めだ。

 

見た目は、青みがかった黒髪で目を隠した長髪の小柄な女だな。背丈や体格、声音から高校生くらいだと分かるのだが、かなりの童顔だ。下手すりゃ中学生に見える。

 

服装は、ミニスカートにシャツ、袖が長めのカーディガンと言った様相だが、全身の服とアクセサリーがやたらと子供っぽいデザインで、それが幼さを強調している。

 

さあ、自己紹介はここまで。

 

交渉に入るか。

 




魔王もの……。

悪堕ちものが書きたい。

今流行りの追放ものです!みたいな体裁のやつ。

そうだなあ……、こう、王国があるんよ。その王国は小国ながらも、豊かな水資源と、その水資源から作られる高品質なポーションで栄えてたのよね。ある日、無能王子が主人公の有能サイコパス魔導師を、自分のミスを誤魔化すためにスケープゴート?的な?まあなんかテンプレで降格!閑職の水資源管理人という名の有名無実職に左遷するのね?

でも、例によってサイコパス主人公だから、自分を追放するような無能な国は滅べ!みたいな感じで国を滅ぼすのよ。

とは言え、主人公はサイコパスながらもカリスマありありの帝王気質で、主人公を慕う平民や、美人妙齢師匠(巨乳)、魔導学院の後輩や、学院の生徒達などに尊敬されていたのよね。まあその辺が無能王子の妬心を買う理由の一因だったんじゃねーかな?知らんけど。

で、主人公は、一年の時をかけて、バレないようにこの王国の水資源を、自分の術式で汚染。主人公の汚染魔導水は、王国の水発生源である泉を汚染してて、その泉からとれる水は、王国の主要産業たるポーションや、飲料、酒、風呂なんかにも使われてる。つまり、主人公の汚染水は、全国民の肉体に入り込んだのよ。

そして主人公は、満を辞して、国の中心にある美しい大噴水の上に立ち、自分を馬鹿にしたこの国そのものの処刑ショーを始めると宣言するのよね。

もちろん、最初のうちは「何言ってんだお前?」みたいな扱いをされるんだけど、気がつけば、この水の王国の美しい運河から、黒い水でできた化け物が大量発生してるじゃないか!!!となる。更に主人公は、魔導汚染水を自らに注入して、生物としての『格』を上げる術をも開発していた。黒肌に赤い瞳、捻れたツノに六枚翼の醜い姿に変じる主人公!これこそが、世界を恐怖に陥れる種族である『魔族』の王、『魔王』の誕生だったのだ!みたいな。

王族は、平民達の手でズタズタに引き裂かれて抹殺される。

一方で、主人公を慕う平民達や、魔導師達は、主人公に助命を嘆願する。

主人公は、魔族の仲間になれば助けてやると戯れに言ってみたら、殆どの人があっさりと人であることをやめた。

かくして、この美しい水の王国は、邪悪な魔族の国に変わってしまったのです!みたいな。

その後、なんか知らんけど異端扱いして攻めてくる周辺国家を焼き尽くして、世界に覇を唱えよう!みたいな。

闇&水属性の魔王!

ヒロインはほら、魔導学院の学長であるボインのお師匠様と、後輩ワンコ女子の二人でどっすか?気を見て追加とか?平民サブヒロインとか?

魔族だから恐ろしげな姿に変えようぜ!

主人公のビジュアルってか、こう、魔族のキャラ造形は全体的にデビルメイクライみたいな感じの。俺がいつも書いてる、性癖全開の可愛い人外娘とかじゃなくって、ガチモンの魔族にしよう!

主人公は赤くて黒くて厨二な、こう、スパーダっぽい感じで!最悪の大魔王は比較的人間に近い形の方が強キャラ感出るとは思わないですかな?

巨乳師匠はまあ、エキドナっぽくなってもらおう。ワンコ後輩はベリアルっぽい感じで。

あ、もちろん、人間体には戻れる設定で。やっぱりほら、真の姿で化け物はロマンよ。

魔族化したその辺のおじちゃんとかがこう、デビルメイクライのフロストみたいになってて、「いやー、魔王陛下様々だな!ただの魚屋の俺が、魔族にしてもらったおかげで、こんなにたくさんの魚を凍らせて運べるんだからな!おまけに腰も痛くなくなったぜ!」みたいな。ほのぼの!

あとはほら、敵国の、有能だけど閑職に追いやられて復讐の牙を研いでいた人達や、反政府組織の人達をスカウトして魔族化させて……、みたいな?悪堕ち物語!

ほら、あるじゃん?「有能かつ非情で、圧倒的な知略を誇るが、上層部の豚共のせいで評価されず、あまつさえ失策の責任を押し付けられて闇堕ちした天才軍師」とか「自分の力に誇りを持ち、正義のために戦っていたのに、その正義感を逆手に取られ、市民の虐殺をさせられた聖騎士」とか「信頼している仲間にあっさりと売られた冒険者」とか。そういうのをスカウトして魔族にすんのよ。

召喚された勇者と戦ったりしてえなあ。

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