ハードオンの楽しい思いつき集   作:ハードオン

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寒いんだけど????


41:迅雷のプラズマ『雷電姫』

思えば、対等な友人ができたのって、生まれて初めてじゃないかな。

 

僕、雷堂正那は、旧華族のそこそこいい血筋に生まれた。

 

幼い頃から、厳しく育てられたよ。

 

友達なんて作る間も無く、お稽古にお勉強、そして社交界。

 

お陰で、その辺の子よりは知識と作法を身につけられたけど、多感な子供時代を削ってでも欲しかった技能かと言えば……、って感じかな。

 

おまけに、超能力者だと親にはバレてるから、使用人達にも、親兄弟にも腫れ物扱い。

 

父親や兄となんて、一年に三回くらいしか喋らなかったね。

 

そんな僕の唯一の友達は、ネットだった。

 

籠の中の鳥よろしく、家に篭る僕を唯一笑わせてくれたのが、ネット。

 

特に、創壱の、『そーちゃんチャンネル』だ。

 

僕と同い年の子供が、半径百キロ圏内に人がいない北の極地でサバイバル生活だよ?

 

僕とは対極だ、あんな自由でさ。

 

でも、自由が必ずしも良いことではないってことも、動画の中の創壱は教えてくれた。

 

獣に突然襲われたり、孤独に耐えて寒空で一人焚き火を焚いたり、粗食になる日があったり。

 

僕は、窮屈だけど恵まれているんだと教わって、創壱にたくさん笑わせてもらって、感動させてもらって。

 

面識はなかったよ、1ファンだから。

 

でも、たくさんの……、本当にたくさんのものをもらってきたんだ。

 

それに……、馬鹿らしいかもしれないけど、初恋だったんだと思う。

 

リアルの同世代の子供達は、社交界でしか会わないから、お互いにおべっかを使い合う窮屈な関係。

 

たとえ、僕に向けたものじゃなかったとしても、屈託のない笑顔を見せてくれるのは創壱だけだった。

 

それが、僕にとってどれほどの救いだったか……!

 

そして、今もまた、創壱に命を救われた。

 

だから僕は、僕を二度も救ってくれた創壱のためなら、何でもしてあげたいと思ってる。

 

 

 

僕は、一応、警備隊の総責任者ということになっている。

 

無役じゃアレだし……、ってこと以外にも、僕が単純に強いからだ。

 

僕の能力、『雷電姫(エレキクイーン)』は、とにかく速い。

 

電気の速さとプラズマの熱量を持つ速攻型。

 

確かに、能力者には能力者抵抗があるから、能力による攻撃は効きづらいというところはあるけれど、僕の雷速の電撃を喰らえば、大抵は死ぬし、そうじゃなくても痺れて動けなくなる。

 

超能力者同士の戦いでは、火力は大抵、人を殺すくらいはみんな持っているから、速さが重要なんだって。

 

そんな訳で、僕も訓練をしてるよ。

 

一応、教養の範囲内での軽い護身術くらいならできるんだけど、帯流みたいな本物のサムライほどはできないなあ……。

 

あ、今は、創壱も訓練してるよ。

 

睦が作った仮想元素のヘッドギアとかサポーターを着けて、殴り合ってる。

 

……もう、訓練って言うよりは試合だね。

 

リングの上で戦ってるし。

 

みんな、お酒片手に観戦してるし。

 

お酒とか、みんなすんなり飲むようになったなあ……。

 

まあ良いや、創壱の活躍を見ておこう。

 

創壱はね……、めちゃくちゃ強いよ。

 

タフネスと、身体のしなやかさが人間のそれじゃないんだ。

 

戦闘スタイルはほぼ我流なんだけど、前に立つと大型の虎のような獣を相手にしていると錯覚する、らしいね。創壱は女の子は殴らないから、対戦した経験のある男の子の談なんだけど。

 

腕力も凄まじくて、片手で人を二、三人まとめて投げ飛ばすんだ。

 

体格的には大人と変わらないような、高校生の男の子に顔面を思い切り殴られても、血の一滴も出さず、微動だにしない。まさに人外のタフネス。

 

バネみたいにグッと身体を縮めると、大砲みたいに突っ込んできて、叩きのめされるんだって。

 

ほら、今も……。

 

「オオオオオオオッ!!!!」

 

「ぎゃーっ!!!」

 

「あーあ、やられたよ!これで十人目だ!ドクター!」

 

「はーい!」

 

瞬く間に十人の警備隊の男の子を畳んじゃった。

 

……にしても。

 

極限まで絞り込まれた鋼のような筋肉。

 

歴戦の証である傷の数々。

 

香るオスのフェロモン……。

 

はぁ〜、カッコいい……!

 

女の子達の中には、線の細いアイドルみたいな男の子が好きって子も少なくないけど、僕は断然、骨太な色男が好きだなあ。

 

マッチョで大柄な男性……、まあつまり創壱なんだけど、創壱に抱きしめられたらもう、最高じゃないかな?

 

見てよあの筋肉。

 

あのムチムチの筋肉でギュッと抱きしめられたら……。

 

「正那?正那!どうしたの?」

 

「ふぇ?!あ、ご、ごめん!なんの話だっけ?」

 

「もう、しっかりしてよ!でも、しょうがないか……」

 

と啞零が言った。

 

「創壱、カッコいいわよね……」

 

え?

 

「珍しいな、啞零がそんなことを言うなんて」

 

「私だって、良い加減正直になるわよ。あいつより良い男とか、この世に存在しない。断言できる」

 

本人に言ったら調子に乗るから言わないけどね!とは言ってるけど、本心だと思う。

 

「まあ、そうだよね。創壱はカッコいいし、頼りになるし」

 

「創壱を取り合って人間関係がギスるの嫌だから言っとくけど、全部は創壱の選択次第なんだからね?!誰が選ばれても恨みっこなしよ!」

 

って啞零は言うけれど……。

 

「お前らは全員、俺の女だゾ!」

 

「「ひゃわあああ!」」

 

おっ、お尻!

 

掴まれたっ!

 

「ンー、いい尻してるねぇ!ぶち込みたい!」

 

「死ねっ!!!」

 

「あひー」

 

う、うわー!

 

大胆なセクハラ!

 

もーほんとにドキドキする!

 

嫌いな人に触られるとものすごい嫌悪感が湧くものだけど、好きな人にならベタベタ触られても嬉しいんだもん、女って単純だね……。

 

「ほら、来い来い!チャンピオンだぞい!十人抜きだ!褒めろ!崇めろ!称えろー!」

 

「ば、ばかっ!人前で変なところ触んないでよっ!コラッ!」

 

ああ、良いなあ、啞零は。

 

創壱のお気に入りなんだなあ。

 

「ほら、正那も来い」

 

「ふぇ?」

 

「お前も触ってもあんまり嫌がんないもんな!好きだぜ!」

 

「す、好き?!そ、そっかあ!嬉しいなあ!」

 

あ、駄目だ。

 

顔、緩んじゃう。

 

創壱は凄い、好きな人に好きって言えるんだもん。

 

僕は、どうも外聞を気にしちゃう。

 

それに、なんて言うか……、最近は、他の子を可愛がっている創壱を見るのが好きになっちゃった。

 

馬鹿みたい、まるでこれじゃ、不倫ドラマの「都合のいいオンナ」だよ。

 

でも、啞零みたいに、「誰が選ばれても恨みっこなし!」みたいな勝負はできないな。

 

一番にならなくてもいいや。

 

愛人になりたい……、そう、創壱の愛人になりたい。

 

都合がいいオンナとして、たまにでいいから可愛がってもらえれば満足できちゃう。

 

いつもは、近くで創壱を見てられれば、不満はないよ。

 

はぁ……、僕、なんてこと考えてるんだろ。

 

こんなの、変態じゃないか……。

 




ゴールデンカムイ、マジで面白いなこれ……。



あーっ書けない!

誰か助けて!あーっ!

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