「いやー、奴隷商人、意外と紳士的じゃね?」
「そうだね」
そんな話をしながら、俺はヨミを小脇に抱えつつ、街外れに移動した。
よし、じゃあ、屋台を出して……。
「……?!?!!」
ヨミが驚いてるな。
しかし俺、意外にもこれをスルー。
「ヨミ、だったか?」
「あ……、はい……」
「お前のその呪いは、どうやったら解けるんだ?」
「……『呪滅豆』があれば……」
呪滅豆、ね。
「呪滅豆ってのは、どんなのだ?」
「う……、ええと……、ぐううっ!」
お、大丈夫か大丈夫か?
とは言え、辛そうでも喋ってもらわにゃ困るんだな。
「色は?」
「う……、あ、赤色、です……」
「大きさは?」
「ち、小さい、です……。私、の、指先より……」
女の指先より小さな、赤い豆。
なるほど。
「これか?」
俺は、みんな大好き餡子の材料、『小豆』を出した。
「ぐっ……、ああっ、か、『鑑定』!」
ヨミが鑑定スキルを発動させる。
そして、小豆を見た瞬間、目に希望の光が宿った!
「そ、それ!それです!呪滅豆!」
「これをどうするんだ?飲むのか?」
「はい、飲むんです!う、ああっ……、く、ください、何でもします!」
「ん?今なんでもするって言ったよね?」
俺がそう言うと。
「何でもします!(何でもするとは言ってない)」
とリンドが茶々を入れて来た。
「何だァ、テメェ……?」
そんな事を言いながら、ヨミに小豆を一粒飲ませてやる。
すると、その瞬間……。
ヨミの身体に纏わり付き、養分を吸い取るかのように魂を削っていた黒い鬼灯は、たちまち枯れて朽ち果てた。
「は、あ……!な、治った……!」
嬉しそうに、自分の身体を抱きしめるヨミ。
そして。
「ありがとうございます……!私は、終生の主人を得ました……っ!」
と、俺に土下座をした。
いやー……、他人の土下座ほど見ていて気持ちの良いものはないな!
しばらく、土下座するヨミを眺めてから、俺は……。
「苦しゅうない、面をあげよ」
「はい!」
「このことを恩だと思うなら、これからは、俺達の為に働いてくれ。決して裏切らずにな」
と、菩薩もかくや、といったアルカイックスマイルを浮かべて言ってやった。
いやぁ、だって気持ちがいいんだもの。
他人に傅かれるの好きなんだよなー。
こいつ、ちょっと呪いとやらを治してやったくらいで終生の主人とか草生えますよ〜。
まあどうせ、ガキの戯言だろうな。
女狐らしく、他に良い男でも見つければ、そっちに尻尾を振るだろうよ。
ン?イヤイヤ!俺より良い男とかこの世にいるんですかねぇ?!
俺が俺より良い男だと思う「歪みねぇあのお方」は事故で召されたしな。
つまり、この世で最も良い男は俺。
Q.E.D.
さて、じゃあ早速、飯にするかね。
献立は、テャーハンだな!
「テャーハンでおk?」
「炒飯?グゥウレイトォ!」
「主菜は麻婆豆腐で行こう。それと、茹で鳥のもやしサラダと、わかめスープ」
俺が、最初の頃より広くなった屋台のテーブルに、食材を積み上げる。
「……?!?!!?!!?!」
おっと、ヨミの顔がゲシュタルト崩壊してるな。
「ヨミ、鑑定しろ」
俺が命じる。
「は、はいっ!え、ええと、一掴み投げるだけで、あらゆる死霊を滅するという『光の種』」
米だな。
「食べれば、一日中火属性に対する絶対耐性を得る『不死鳥の肉』と、食べれば、一度だけ死から蘇ることができるという『不死鳥の卵』」
鶏肉と鶏卵。
「一口齧れば、一日中物理攻撃を無効化する『天龍の肉』」
豚肉。
「これは……、一粒食べれば永続的に筋力の値が1ポイント上昇する『力の種』の加工品ということしか……。すみません」
豆腐と醤油。つまりは大豆が力の種ってことか。
「こちらは、一粒食べれば永続的に体力が1ポイント上昇する『体力の種』の芽ですね」
もやし。あ、このもやしは緑豆だ。
「そしてこちらは、一口齧れば一日中水中で呼吸が可能となる『空水草』」
わかめ。
「そしてこれは、口にすれば一日中あらゆる冷気を無効化する『炎熱の爪』」
鷹の爪。つまりは唐辛子。
「こちらは、ひとつまみ食べれば魔力が数日間倍に上昇する『豪魔の欠片』」
胡麻。
「そちらは、あらゆる病気を治す、エリクサーの材料の一つとも言われている『無病草』」
長ネギだな。
「こ、ここまでの至宝をどうやって手にしたのですか?ここにあるものを一つでも売れば、私のような木っ端奴隷ではなく、国営オークションに出されるような外国の王族奴隷すら手に入りますよ……?」
なるほど……。
「それはそれとして、これを調理します」
〜クッキングターイム!〜
「どうだ!」
簡単炒飯
辛さ控えめ麻婆豆腐
茹で鳥のもやしサラダ
わかめスープ
「こ、こ、これは……っ?!!!」
ローグライク書けてます。
因みに皆さん、追放した側の描写ってじっくり見たいもんですか?
やっぱりこう、他人の破滅って見てて楽しい感じ?