ハードオンの楽しい思いつき集   作:ハードオン

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夏だし髪切ろう。


12話 ステータスアップ

しばらく、満足感から呆然としていたお嬢様は、1分後に再起動して、即座に『鑑定の水晶』という魔導具を使った。俺達がこの世界に来て一番最初に使ったアレだな。

 

すると……。

 

『ブリュンヒルデ・フォン・ゴルディアス

レベル:25

人間

剣姫

 

体力:188+150(×20)

精神:180+150(×25)

筋力:175+150(×20)

耐久:150+150(×15)

器用:200+250(×15)

知覚:185+150(×15)

学習:197+150(×15)

意思:180+200(×15)

魔力:194+200(×25)

魅力:250+250(×15)

 

剣術:7

体術:5

火属性魔法:6

礼儀作法:7

執務:5

教養:6

指揮:7

+火属性耐性:5

+物理耐性:5

+水属性魔法:5

+魔力増加:5

(物理無効:8)

(魔法無効:8)

(属性攻撃無効:8)

(絶対会心:8)

(飛行:8)

(分身:8)

(幻影:8)

(次元屈折連撃:8)』

 

「は、はは、は……!ははははははははははははは!!!!!」

 

お嬢様は、狂ったように笑い始めた。

 

なんやこいつ……。

 

「……いやあ、笑わせてもらったよ!」

 

「はあ……」

 

怖……。

 

近寄らんとこ……。

 

「私はね、良いかね?私は、普段、『ゴルディアス家の剣姫』だの『鋼の令嬢』だのともてはやされているが、実際は私の力など、どう贔屓目に見積もっても三級冒険者程度に過ぎない」

 

あ、冒険者ね。

 

冒険者は、上から、一級から十級まであるよ。更にその上に特級ってのもある。

 

七級もあれば食っていくには充分、五級もあれば地方では英雄扱い、三級ともなれば一流だ。

 

二級になれば、引退後はどこかの貴族で教育係として雇われたり、ギルドの職員の重要ポストになれたりする。

 

一級なら、爵位をもらえるのが確実だという。それも、一代だけだが伯爵クラスで、子供も男爵は確定……。

 

特級ってのは、国家レベルの依頼をこなした特別な一級冒険者のみに与えられる称号で、それはまあ……、魔王を倒した勇者だとか、魔神を封印した賢者だとか、伝説レベルの冒険者の為の称号だ。

 

そんな中で三級ほどの実力があると自称できるのは、かなり凄いと思う。

 

言ってしまえば、武辺の腕前のみで生きていけるという宣言に他ならない訳だからね。

 

「それが、今……、一級冒険者すらをも遥かに凌駕する力を手にしているッ……!!!」

 

と、拳を握り込むお嬢様。

 

アレかな?

 

アイニードモアパワァ……!って事です?

 

ダァーイされちゃう?

 

まあ、そうなのね。

 

だいたいわかった。

 

つまりこうだ。

 

『高級バフ料理を食べれば、誰もが一級冒険者を超えられる』と。

 

これはこころのノートに書き殴っておこう。

 

「分かるか?理解しているか?私程度の、そこそこ優秀な程度の剣士を、最強の力を持つ英雄にできるんだよ、君の料理は!」

 

「そうみたいですね」

 

そーですね!え?古い?

 

「すまないが、事情が変わった。君は私に、ゴルディアス家に仕えてもらう」

 

「嫌です」

 

即答。

 

駄目です。あああああ。

 

「賢い君なら分かるはずだ。君がもし、他国の手に渡ったら?などと考えれば……」

 

おお、剣呑剣呑。

 

ヅカお嬢様は目を細め凄んでくる。怖い怖い。

 

まあ、そうね。

 

「安心してください、誰にも仕えるつもりはないので」

 

この一言なんだよな。

 

「口約束を信じろと?」

 

ふむ。

 

まあ、そりゃそう思うのが当然よね。

 

だけどね?

 

「貴女は、私の料理を口にして、気が大きくなっていらっしゃるようだ」

 

「……何だと?」

 

「本来なら聡明な方と思いますが、今は、降って湧いた力を手にして、冷静さを失っている」

 

「それは……」

 

自覚したみたいだな。

 

「熟考するまでもなくご理解いただけるかと存じますが……、私達は、『毎日私の料理を食べている』のですよ?」

 

「……ッ!!!」

 

そう、そういうことだ。

 

俺達は、一日三食おやつも含めて、この一週間ずっと、最高級バフ料理を食べ続けている。

 

ステータスは、既に、初期の頃の数十倍まで膨れ上がり、様々なスキルが身についている。

 

「……なるほど、力ではどうこうできない存在である、と?」

 

「まさにその通りでございます。ついでに言えば、私は趣味八割、商売二割で料理人をやっておりましてね」

 

いやマジで。

 

楽しいから料理してるだけだよ俺は。

 

趣味を仕事にすると続かないとはよく言うが、自分のスキルを活用できる仕事が良いのもまた真理だよな。

 

「なるほど、金でも駄目、と?ついでに言えば、美しい奥方もいるようだから、女も駄目か……」

 

考え込むお嬢様。

 

あ、ってか、リンドは俺の嫁に見えるのか。

 

へえ、やっぱり、見る人が見れば分かるってことかな?学校では隠してたんだけど……。

 

「ならば、権力はどうだ?ゴルディアス辺境伯の寄子としての男爵、いや、子爵の位を与えてもいい」

 

「ふむ?貴族になると、何ができるのかお訊ねしても?」

 

「それはもちろん、平民より良いものを食べられるし、酒も飲める。女や金銀財宝も……、あ」

 

オッ、気付いたかな?

 

「すみませんね、全部持ってます」

 

そう、貴族になって得られるようなものは、大体持ってるのよ俺。

 

「し、しかし、あれほどの食材を無尽蔵に得られる訳では……、いや、待て。毎日食事をしていると言ったな?まさか!」

 

ありゃ。

 

スキルで食材が生成できるとバレたか。

 

「気付き過ぎるのもどうかと思いますね。優秀過ぎるというのも考えものだ」

 

「そういうことか。なんらかのユニークスキルの使い手、なのだな?であれば……、アリスティア王国の……!」

 

そこまで気がつくか。

 

優秀だなあ。

 

この世界って中世ナーロッパな訳でしょ?通信手段とかないっぽいのよね。多分、あったとしても伝書鳩とかだと思う。

 

で、アリスティア王国が勇者を召喚したのはつい最近だよ?なのにもう、この通信手段が乏しい世界で、隣国の、しかも最大の仮想敵国の勇者召喚のことを掴んでる訳でしょ?

 

このお嬢様、マジでやり手だな。スゲーよ、尊敬しちゃう。

 

「どう思われるのも貴女の勝手ですが、みだりに吹聴なさらないでいただきたいですね」

 

だけど、そんなことを方々にバラされたらめんどくさいよね。

 

「……人に漏らすとどうする?」

 

「別にどうも?ただ、その場合はこの国を出るだけです」

 

「……それこそあり得んな、その場合の損害は計り知れん。分かった、仕えろと強制はしない」

 

お、説得できたか。

 

まあ、こんだけ賢いんならそうするだろうな。

 

余計なことをしないのは当然の判断だ。

 

「だが、依頼は頼むぞ!金に糸目はつけん!どうか、依頼を受けてくれ!」

 

依頼、ねえ。

 




ローグライクなあ。

とりあえず二十話くらい書けたけど、なんかこう……、プロットや設定を練り過ぎたせいで、説明文が増えて冗長になっちゃった感があるなあ。

どうしましょうこれ?

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