ハードオンの楽しい思いつき集   作:ハードオン

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はあー、俺もなー。

Ξガンダムに乗って地球人を宇宙に追い出したいなあ。


13話 奴隷の立場

「頼む、依頼を受けてくれ!」

 

ヅカお嬢様の依頼とは?

 

聞いてみよう。

 

「まあ、話にもよりますが……」

 

「おお!受けてくれるか!」

 

「話にもよります」

 

何度も言うけど話によるんだよな。

 

「いや、何も損をする話ではない。まず、今回の料理の代金は、言い値を払おう」

 

ほーん?

 

損をしない話とか怪しいが、まあ、料理の代金をもらえるのは助かるな。

 

じゃあ全財産ヨコセヨデパート!とか言ったらどうなるんや?

 

まあ、流石にそれはアホくさいんで言わねーけれども。

 

「ふむ……、ヨミ。あの料理はいくらくらいだ?」

 

ヨミに訊ねた。

 

するとヨミは、ビクー!って毛を逆立ててから、小声で言った。

 

「(辺境伯様の御息女の前で奴隷に話しかけてはなりません!)」

 

あっふーん。

 

奴隷はマジ人権ない系ですかそうですか。

 

「構わん、許す。そこの奴隷、話してみよ」

 

と、気を利かせてくれるお嬢様。

 

「は、はっ!で、では……。私の見取りでは、正直に言って、『値段がつけられません!』」

 

ふむ。

 

「それは何故だ?」

 

「先ほどの料理で使われた食材は、どれもが、どれか一つでも売れば、十年は遊んで暮らせるくらいの財宝であるからです。あれらを揃えるとなると、国営の、それも帝都のオークションで……、ということになります」

 

なるほどな。

 

オークションで落札する必要があるもの、つまりは時価だ。ならば……。

 

「完全に理解した。では、となると……、ブリュンヒルデ様自身にお値段を設定していただきましょうか」

 

キラーパスは基本。

 

「ふむ、そう来るか。であれば……」

 

少し悩んだ後、お嬢様は。

 

「一千万オルボスでどうだろうか?」

 

一億円か。

 

英雄を一人作って一億円ってのは、高いんだか安いんだか……。

 

まあでも、それだけもらえりゃかなり嬉しいね。

 

「いぃっ?!!」

 

ヨミがすっごい顔してる。

 

ってことは、相場からすれば高額なんだな。

 

じゃあそれで良いや。

 

値段の高低そのものじゃなくって、誠意を示して欲しかっただけだからね。

 

これがもし、舐め腐ってあまりにも少額の金を渡してくるようならブチ切れてたかもしれんね。

 

「ありがとうございます。依頼の件も、前向きに検討できそうです」

 

「おお!そうか!」

 

パッと明るくなるお嬢様。

 

で?結局依頼ってのは?

 

 

 

「依頼とは、簡単な話だ。料理を作って欲しい」

 

ふむ。

 

まあ、俺はそれしかできないからな。

 

「この領地の兵士全員に」

 

「………………は?」

 

いや、いやいやいや……。

 

「あー……、詳しくは存じ上げませんが、辺境伯の兵士となりますと、総勢で数万を超えると思うのですが」

 

「……無理か?」

 

無理ゾ。

 

「貴女は、自分の館の料理長一人に、数万人分の料理を作れと命じなさるので?」

 

「……うむ。では、何人までなら良い?」

 

「最高でも千人以内。多い場合は数日間に分けて料理するとしましょう。そして、数は多ければ多いほど、能力向上の効果が低くなります」

 

「なるほど、な。大人数の能力を小さく上げるか、少人数の精鋭のみの能力を大きく高めるか、か」

 

再び考え込むお嬢様。

 

「それに、少ない方が、余計なことを知る人間が少なくて楽だとは思いますが?」

 

「それもそうだな」

 

「では……、依頼はこうしよう」

 

 

 

依頼を受けた。

 

俺達は、この館に貴賓扱いで泊めてもらえることになった。

 

「わ、ベッドがふかふか」

 

リンドが、嬉しそうにベッドの毛布をもふもふする。

 

実際、リンドのスキルで出せる施設のベッドは軍用の硬いものだからな。

 

こんなに柔らかい寝床は久しぶりだ。

 

とは言え、海外旅行で色々と慣れてる俺達は、枕が変わっても安眠できるからな。

 

「ほら、ヨミ。突っ立ってないで隣に来い」

 

床に座るヨミを呼ぶ俺。

 

「夜伽でしょうか……?」

 

はあ?頭ん中どピンクか?

 

「いや、隣で寝ていいってだけだ」

 

「は……?私は奴隷ですよ?」

 

うーん……。

 

「俺のいた国には、低い賃金で労働をする奴隷に近い存在はいたが、奴隷そのものはいなかったんだ。だから、奴隷の扱いについていまいち分からないんだ」

 

「奴隷とは、主人の所有物です。生かすも殺すも自由……。賃金を払うなど、もっての他です」

 

なるほど、ナーロッパ系奴隷。

 

「俺の認識だと、衣食住の面倒をみる義務の上で、任意のタイミングで解放するのが正しい形だと思うんだけど」

 

「イスラーム系奴隷的な?」

 

「古代ローマの初期の方かもしれない」

 

「後期は酷かったらしいね」

 

「ラティフンディウム……」

 

そんな話をリンドとしていると……。

 

「いえその、ないです」

 

とヨミが言った。

 

「は?」

 

「養う義務、ないです」

 

「「はいぃ?」」

 

特命係になってしまうのは僕達の悪い癖。

 

「あくまでも、買った値段の元を取れる程度に使えば、後はお好きに、と言った感じです」

 

えー。

 

「いや、だって、奴隷は資産を持てないんだから、衣食住を提供しなきゃ死んじゃうでしょ?」

 

「はい、そうですね……?」

 

んー……、あー……。

 

なるほど。

 

この世界の奴隷は、苦役とか安価な労働力とか、そういうローマ前期の奴隷ではなく、使い捨て鉱山奴隷みたいな感じなのか。

 

「あー……、えっとな。ヨミ?」

 

「はい!」

 

「お前に同情してる訳でも、哀れんでる訳でも、ましてや俺が聖人な訳でもないが……、俺達はお前の衣食住の保証をすると約束しよう」

 

「あ、主人様……っ!」

 

すると、素早く土下座の体勢をするヨミ。

 

「ありがとうございます!ありがとうございます!わ、私、生きていて良いんですね!」

 

「そらそうよ」

 

「呪いにかかり、親が死に、奴隷の身になり野垂れ死にとばかり思っていましたが……、素晴らしい主人に助けていただき、生涯お仕えすることを許していただけるとは!このヨミ、感激の至りにございます!」

 

えぇ……。

 

重い過去やめてくださいよ……。

 

他人の過去とか興味ない上に、地雷だった時のキツさとかあるから敢えて聞かなかったのに、自分から喋っていくのか……。

 

こうなれば、地雷拾いを後でするのは面倒だし、聞いちまうか。

 

「ヨミ、お前が奴隷になった経緯を聞かせてくれるか?」

 

「はい、それは……」

 

はい、まとめ。

 

・ヨミは、職業:下忍から分かるように、東の方の国家である『ヤマト帝国』のスパイの子

・ヨミの家族は、ヤマト帝国がスパイとして全国に放った『草』という存在だった

・両親は、表向きは遍歴商人であった為、ヨミは商人としての知識や技能も持つ

・両親は、行商の途中でモンスターに襲われて死亡。ヨミはなんとか生き残ったが、モンスターに呪いをかけられた

 

ということらしい。

 

なるほど、そーゆーことね、完全に理解した。

 




はぁあ!

メンタルボロボロ!

身体もボロボロ!

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