内容はまあ、うん。
ヨミの過去を知った。
まあ、あるあるな展開だよね。
日本ではそうそうないのかもしれないが、今の時代でも、アフリカの恵まれない子供達とやらは、親に売られたり捨てられたりなんだりされてるだろうしな。
その辺を考えれば、この世界でも地球でも、かわいそうなガキなんてものはあるあるな話なのかもしれない。
でも俺達、ぶっちゃけ、実家が太いから大抵のお悩みが伝わってこねぇんですワ。
うちの旅館は、箱根の一等地にあってな。日本一!とまでは言わないが、セレブやら、政府関係者やらがちょくちょく宿泊するレベルでさ。
まあ、あれだな。
生まれてこの方、金で困ったことはないですねえ!!!
リンド?
リンドはね、お袋さんがドイツ人でね、女優やってらっしゃるんだよ。
んで、親父さんが通訳の方でね、実家がうちの近くにあるってことで、リンドはそこで育ち、俺の幼馴染みになった訳だ。
リンドの親父さんの実家?医者だよ。開業医。
あー、つまり、リンドも金に困ったことはないってことだ。
世の中ってのは大抵、金があればなんとかなるからな。
金に困ったことのない俺達は、世の中の大変さとかわかんねーんだわ。
ってか、何度も言うけど、俺達は高校二年生ながら自分の食い扶持を稼ぐくらいのスキルがあるからさ。
俺達は、太い実家と金と技能と顔の良い恋人がある訳でさ。
そうなってくると、世の中の悩みの八割は理解できないんだよね。
ほら、よくツブヤイターで流れてくる障害持ち女さんのマンガみたいな感じでさ。「障害で辛い!でもそんな時、私を助けてくれたのが理解のある彼クンでした!」みたいな?
自分をある程度理解してくれる顔の良い恋人がいると、大抵の悩みとか気にならんべよ。
そんな訳で、ヨミの過去についても、一ミリも共感できなかった。
幼い頃から訓練訓練!はあ、そうですか、俺はガキの頃から好きなことだけやってきたんで分かんないです。
両親を失った悲しみ!はあ、そうですか、俺の親は生きてるんで。
呪いにかかった苦痛!はあ、そうですか、俺達は健康なんで。
だがまあ、わざわざそれを口に出す必要もないだろう。
「そっか、頑張ったね。偉い偉い」
とでも言っておけば良いかな。
んで……。
「スパイ活動は良いの?」
「……我々、ヤマトの民の『草』は、どこかしらの主君に仕えているのが普通です」
ふむ?
「私の主君は、幕府の外様大名、『シズマ家』になる予定でした。ですが、元服の直前と言うところでこうなってしまい……」
元服とかあるんだ。
つまり、成人は十五歳くらいってことかな?
となると戦国時代みたいな感じってことか。
「ってことは、そのシズマ家に任官前だから、二君に仕えることにはならない、と?」
「はい」
なるほどな。
じゃあ問題ないか。
「シズマ家に未練はないのか?」
「私の家族は、所詮は使い捨ての『草』ですから……」
なるほど?
確か、戦国時代では『草』……、つまり忍者は、人にあって人にあらずと言ったような扱いを受けていたらしい。
戦っている支配者であるサムライが一番偉くて、忍者は卑しい身分ってことだな。
この世界でもそうなのかもしれない。
まあアレよね、海外の駐在員とか、いくらでも替えがきくってことなのかもな。
かわいそ。
まあ、アレだな。
「ヨミ、お前が俺に仕えてくれるなら、毎日の充分な食事と、最低限の寝床と、高価過ぎない服を用意しよう。お前が望むなら、ある程度は金も融通してやる。菓子類や娯楽本、演劇でもなんでも、少しくらいはくれてやる」
「そ、それほどの待遇を……?!」
「その代わり、俺にしっかりと仕えろよ。街の外に出て戦闘訓練をやらせたり、モンスターと戦ってもらったりするし、俺の補佐もしてもらう」
「も、もちろんです!で、ですが、それは……、主人様の小姓ではありませんか?」
あー?
「そうだね」
「わ、わ、私のような、下っ端も下っ端の『草』の、元服もできていない小娘を、小姓にしてくださるのですか?!」
うーん?
まあ、小姓ってのは武士の良いとこの子が偉い武将に子供の頃に仕えて、大人になった小姓は仕えてた武将の側近になる、とか言うし……。
ついでに言えば、小姓ってのは男で、武将のおホモだちの役割もあるとか。
奴隷の自分にそんな重要ポジション任せてええんか?ってことやな。
「ええよ」
「っ……!!!精一杯お仕えさせていただきますっ!!!」
オッ、スゲー土下座。
うーん、よく分からんけども、ヨミにとっては、良い主君に仕えることこそが喜びなんだろうな。
そう考えるように教育……、否、洗脳されて育ってきたんだろう。
実に好都合だ。
素晴らしく使いやすい駒が在野にいるとか、ゲームバランスこわるる^〜。
序盤でこんな良い駒もらって良いんですか?
さてさて、そんな訳で俺は、遠慮するヨミを隣に寝せることとした。
「そ、そんな!主君の隣で寝るだなんて!私は床で……」
「良いからほら」
「で、ですが……」
「じゃあ、リンドの隣でも良いぞ?」
「お、奥様の?!」
狼狽えるヨミ。
特に説明はしてないんだけど、リンドのことを奥様と言う辺り、人の機微は分かってるなこの子。使えるゥ!
に、し、て、も……、うーん?
これはアレかな?
強制はしない方がいいのかな?
恐縮し過ぎて一睡もできませんでした!とか言われたら本末転倒だし。
「ヨミ、俺はおかしいことを言っているのか?お前はさっき、奴隷は使い捨ててもいい存在だと言ったな?だが、長持ちさせたい場合はどうすれば良いんだ?」
と、俺は問いかけた。
「は、はい。主人が気に入った家内奴隷などは、最低限の食事を与えられるそうです。それと、裕福な主人だと、奴隷用の小屋を持つとか……」
ふむ。
「奴隷と同衾するのはおかしいんだな?」
「は、はい……、普通はしません。ましてや、大切な奥様の隣で寝ろなどとは……」
なるほど、俺はおかしいことを言ってしまったようだ。
「ヨミ、お前のことは基本的に小姓扱いにしたいと思うとさっき言ったよな?それでも駄目なのか?」
「そ、それはもちろん……。小姓扱いでも、主君と同じ布団で寝るなど、不敬極まりないです!」
ふむふむ。
「えっと……、それは、俺が男性的に嫌いだとかそう言うのでは?」
「い、いえいえ!主人様は素敵な方だと思います!で、ですが、それとこれとは別です!主君と家臣の線引きはしっかりしなくてはなりません!」
なるほどな。
上下関係をしっかり気にするタイプなんだな。
じゃあ、強制するのはよくない、か?
「分かった、教えてくれて助かる。だが、俺に仕えてくれる第一の家臣を床で寝せるのは不憫だ。リンド!」
「はーい」
リンドに、兵員用のベッドを出してもらう。
「どうか、ここを使ってくれ」
「は、ははっ!ありがたき幸せです!」
これで良し、と。
兵員用の衛生用品の一つである歯ブラシで歯を磨き……。
「寝るぞ、おやすみ」
「おやすみー」
「は、はいっ!おやすみなさいませ!」
ほーら、みんな大好き、可愛くて不憫な奴隷だぞー。
今ちょっと偏屈提督の書き溜めを確認したんですけど、これはちょっと難しいな……。
文章が面白くない。
やはり俺は一人称ギャグしか書けないんだ……。
もう駄目だ、死のう。
いや実際ね?艦娘を泣かせる話とか、読みたくないでしょみんな!
死ぬ程人格が歪んだバケモノみたいな提督に、健気に仕える艦娘!俺は読みたくてもあんまりウケなそうではあるよね。
提督がもうゲス過ぎてヤバいもん。虐待→変態おっさんに売られる→親の借金で返済の為に家をなくし闇金に追われる→追い剥ぎやスリで生活→暴力団の鉄砲玉にされて使い捨てられる→逮捕、だもんよ、そりゃ人格も歪むだろうけどさ。
初期艦は大和!大和かわいそう……。
初期メンバーは、大和、武蔵、サラトガ、アークロイヤル、U551、木曾、時雨、夕立。
全員酷いこと言われます。かわいそう……。
旅人の方は、かわいそうな艦娘を救って、信頼を勝ち得ていく話だったよね?
でも、偏屈提督は、最悪の提督を心から愛する艦娘達が、酷い扱いをされ続ける話になってます。
あまりにも救いがない……。