ハードオンの楽しい思いつき集   作:ハードオン

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いい加減にナラティブ見るっかー。


22話 奴隷忍者狐娘『ヨミ』

私と主人様は、モリン村で一晩を明かしました。

 

この世界の宿場町は、主人様方からすれば、とてもじゃないけど寝れる場所ではないそうです。

 

スキルで掃除器具を出して少し掃除して、寝具を出して初めてそこで休める……、と言った感じらしいですね。

 

衛生……、というのが大切らしく、汚れてもいないのに、お二人は毎日湯浴みをなさります。

 

それも、飲めるほどに清い水を使っての湯浴みです……。

 

詳しく訊ねるのは不敬ですし、恐ろしいので聞けませんが、主人様方は……、恐らくは相当な身分にあると察せられます。

 

神懸かり的なスキルからもそれが感じ取れますね。

 

スキルは血に宿るとされていて、王侯貴族などの青い血には強力なスキルが生まれつき宿っているとか……。

 

それだけでなく、お二人とも、輝かんばかりの美貌をお持ちでいらっしゃる。

 

高貴な身分の方は、顔立ちからして違いますからね。

 

更に言えば、私は、奴隷の身で厚かましいことなのですが、主人様と食事を共にさせていただけています。

 

その際に、斜向かいに座られる主人様の食事の様子を目にするのですが、それがまた美しくて……。

 

この国の作法とは違うのですが、非常に洗練された異国的なもので、それは最早、流麗とも表せられます!

 

お二人共、見てくれは引き締まっていらっしゃいますが、とても健啖で、見ていて気持ちのいい食べっぷりでいらっしゃいますよ。

 

さて、昨日。

 

『寝具をこちらで用意するので、極論を言えば、屋根と床と壁があればなんでもいいのだ』と仰られた主人様は、奥方様と共に床に入られました。

 

しかも、私は遠慮したのですが、わざわざ私に一部屋とってくださいました。

 

なんとお優しい……。

 

 

 

ですが、その夜は……。

 

隣室の主人様の部屋から、奥方様の艶やかな声が響いて……。

 

悶々として、あまり眠れませんでした……!

 

 

 

「おはよう、ヨミ」

 

次の日の朝、主人様と顔を合わせたのですが。

 

「あえっ、お、おはようございます」

 

思わず、口籠ってしまいました。

 

そして、不意に奥方様の方を見て……。

 

「どしたの、ヨミちゃん?具合悪い?」

 

「ひゃい?!いいい、いえっ!大丈夫です!」

 

あ、あの声……!

 

あの、七色の玻璃で作られた笛のような美しい声が、夜な夜な艶めかしく……!

 

へ、変な気持ちになってしまいます!

 

それだけでなく、部屋が隣だった分、主人様の睦言まで聞こえていたのです……!

 

あ、あのような暖かな愛の言葉を囁かれて、心が蕩けない女子などおりませぬ……!

 

……私がそうやって吃ると、主人様は察したようで。

 

「ごめんごめん、声漏れちゃってた?」

 

と、あっけらかんに仰られました。

 

「あ、は、はい……」

 

私が思わずそう返すと、「あらま、ごめんねー」と軽い態度をなさっていて。

 

うーむ、異国ではそれが普通なのかなと、異国との差異について悩みました……。

 

後で聞いたのですが、異国の人でももっと恥ずかしがるそうです……。

 

つまり、主人様方が殊更に肝が太いようですね……。

 

 

 

そうして、主人様は、部屋の鍵を宿屋に返却して、村を出ました。

 

そして、村から離れて四半時もしないところで、朝飯を摂ることに。

 

そう、主人様の料理です!

 

主人様の料理は正に神懸かり的で、日頃から上等なものを口にしているであろう貴族の方々をも唸らせる、素晴らしいものです!

 

本来なら、これほどの神業は一子相伝の秘伝とすべきではありますが……、見ても何一つ分からないですからね。

 

今も、黒い木の皮?のようなものを陶器の鍋に水を入れて浸したり、木の削りかす?のようなものを茹でたりしていらっしゃいます。

 

全くの謎です。

 

何をしているのか、全然分かりません。

 

ですが、半刻もすれば……。

 

「ふわぁ……!!」

 

何故か、美麗な料理ができているのですから、驚きです!

 

「今日の朝食はこんなんでどうだ?」

 

・鮭おにぎり

・大根の味噌汁

・ネギ入り卵焼き

・きんぴらごぼう

 

とのことですが、何がなんだか分からないですね!

 

鑑定結果は相変わらず異常ですが、もうそれは気にしません。私も、肝が太くなったものです。

 

さて、まずは、おにぎりから行きましょうか。

 

「おにぎりはな、具が入ってると崩れやすいから、鮭フレークをご飯に混ぜ込んだんだ。外国の人は白いご飯をそのまま食べるのってあんまり得意じゃないからな」

 

つまり……。

 

「お気遣い、有り難く……!」

 

「気にせんでええよ。俺らが白飯食いたい時は時間あるときに別で作るから」

 

お優しい……。

 

主人様、大好き……。

 

一生お仕えする……!

 

はっ、それよりも料理ですね。

 

冷めないうちに美味しく食べるのが、主人様の作法だそうなので、私もそれに倣います。

 

「はむ……!」

 

おにぎり!

 

粒の立った艶々の光の種!

 

噛み締めるたびに、脳髄が蕩けそうな優しい穀物の甘味と、魚の塩味が口の中に漂うように広がります!

 

そして、味噌汁!

 

「ズズッ……!」

 

味噌という濃厚で複雑な風味に、何故だか海を思わせるような風味が絡み合う!

 

ですが、汁の中の具を見れば、透明に透き通るタナププのような根菜のみ。

 

一体、この海の風味はどこから……?

 

「ん……、ああ、『かつおだし』か?魚の干物を削ったものをスープに潜らせて、風味を付けたんだ」

 

と主人様は仰られた。

 

なるほど……、風味付け!

 

そんな技法は聞いたことがありませんが、それでこのような味になるものなのでしょうか?

 

どちらにせよ、野菜のスープに干した魚の風味が混じることで、スープの味に深みが増しているのは確かですね。

 

次はこの、きんぴらごぼうを口に運ぶ。

 

「んー!」

 

豪魔の欠片の、焦げたような独特の風味が、口に入れる前から漂う。

 

茶色の根菜を口に入れ、咀嚼すると、見た目より柔らかであることが分かる。

 

「俺の好みなんだけどね、太めに切って茹でて作ってるんだ。その方が柔らかくなるからね」

 

よく分からないですけど、茹でることにより柔らかくしているみたいですね。

 

それに、根菜本来の甘みに、更に糖蜜か何かを入れて、更に甘くしていました。

 

ちょっとしたオヤツかもしれないです。

 

塩気と、醤油と呼ばれる調味料のほんの僅かな苦味と、少しの酸味。それらは、醤油単体でも美味しいのでしょう。

 

けれど今は、それらの複雑な味が、このきんぴらごぼうの甘みをうまく引き立てているように感じます!

 

そして最後に、この卵焼き!

 

「んんーっ!」

 

前に食べた卵焼きは、優しい甘さのふんわりとしたものでしたが、今回のこれは塩気が強い!

 

「今回はきんぴらごぼうを甘めにしたから、卵焼きはだし巻きだよ。バランス感覚だね」

 

つまり、今回の卵焼きはしょっぱいってことだそうです。

 

卵焼きは……、とても、とてもふわふわです!

 

まるで、雲を食べているかのようで……。

 

「因みに、ふわふわにするには卵液をこすと良いぞ」

 

とのことです。

 

ふわふわの中にも、緑の野菜が入っていて、シャキシャキの食感も味わえます。

 

ふわふわでシャキシャキで……、凄いですね、口の中が楽しいです!

 

 

 

ああ、食べた。

 

食べ終わってしまった。

 

でも、次はお昼ご飯が食べさせてもらえます。

 

その次はオヤツ、そのあとは夜ご飯。

 

私、こんなに幸せで良いんでしょうか……?

 




そして仮面ライダーアマゾンを見始めた。

アマゾンいいっすねこれ。

人食いのダークな描写がカッコいい。
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