ハードオンの楽しい思いつき集   作:ハードオン

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地球君さあ……。

急に寒くなるのはやめようって、毎年言ってるよね?


30話 帝都ハシュマリム

さて、ストローべの封鎖が解除されたな。

 

この一週間、ストローべで商売をしつつも、ストローべの美食を食べ尽くし、ストローべの食材を使っての料理を色々と試した。

 

もちろん、俺はちゃんと考えて行動しているので、ラッセル領の人間に存在を悟られることなく、ラッセル領を無事に抜け出した。無論、合法的に。

 

そして、帝都にやってきた……。

 

 

 

帝都までの道中は、マジで何にもなかった。

 

ストローべでスタンピード騒ぎで足止めされた分、残りの旅程がスムーズに行ったことは喜ばしい。

 

神様からの贈り物とでも思っておこう。神なんざ微塵も信じちゃいないが。

 

さて、帝都ハシュマリム。

 

「わあ!凄い……!」

 

ノエルははしゃいでいるが、毎年夏と冬に有明に馳せ参じる我々オタクからすれば、こんな程度の人混みで驚くことはなかった。

 

むしろ、帝国と言うなら、最終幻想みたいに飛行船とかあるんじゃないのかと期待していたのに、特に珍しいものがなくって興醒めしたくらいだ。

 

「空中都市とかないんか……?」

 

「ナーロッパですらないね」

 

「続編ではもっと違う世界観なのかもしれんね」

 

「マジなの?来年にはこの辺に神羅ビルとか立ってる系?」

 

「パルス・コクーンとかできてる可能性が微レ存」

 

「光速の異名を持ち重力を自在に操る高貴なる女性騎士の人、私は割と好きだよ」

 

いつものように無駄話をしながら、帝都を歩いていく。

 

もちろん、街に入る時点で、門番にブリュンヒルデ様から預かった手紙を渡してるぞ。

 

門番もそこそこに優秀で、ゴルディアス辺境伯家の紋章が手紙にあることを見て即座に上に報告して、すぐに帝国軍本部に案内してくれた。

 

門番とかの人と直接会う人員を訓練しておくのは、国だろうと店だろうと当然。

 

どんなに美味い飯屋でも、接客態度が悪いと美味さも半減だろ?

 

「では、こちらになります。この部屋でお待ち下さい。何かあれば、外の兵士に」

 

「はい、案内していただいてありがとうございます」

 

案内されたのは、巨大な訓練場に併設された、これまた巨大な建物。

 

その作りは、王国のように、「普段の生活には金をかけてはいけませんが、宗教に関するものにはどんどん金をかけましょう」的な思想とはかけ離れている。

 

具体的に言えば、華美でありながらも荘厳。実用性と威厳を兼ね備えた、石の砦であった。

 

「ゴールデンバウム王朝かな?」

 

「ドライアイスの剣さんはやくきてー、はやくきてー」

 

「いきなり滅ぼそうとするのはヤメロッテ」

 

「いや、だってこれ、完全に銀河帝国じゃんアルゼバイジャン」

 

「門閥貴族は無能じゃないから許してぴょん」

 

四足歩行する犬型の警備ゴーレムに、画一的な制服を着込んだ兵士達がサーベルを腰に吊しつつ見回りをしている。

 

私語などは吐かずに、黙々と。

 

この時点で、高い練度が伺えた。人間、黙ってキビキビ動くことなんて小学校で習うが、それができる奴は意外と少ない。ましてや、中世レベルのこの世界でここまで躾けられているのはかなり上等だ。

 

建物の中もよく掃除されている。

 

掃除されていると言うことは、不審物があればすぐに気付かれるってことだよな。整理整頓は衛生面や見た目の為だけじゃなく、軍事的な意味を持つってことか。

 

そう言えば、旧日本軍の軍学校では、夜中にいきなりガスを放たれて、五分以内にフル装備をして寮から校庭に出て整列しろ!とか言われていたらしい。

 

そんな時に、暗闇の中でフル装備に着替える為には、普段からしっかりと整理整頓して、暗闇の中でも着替えられるように、物を定位置に置いておかなくてはならない……、なんて話。

 

なるほど、軍事国家とは凄いもんだな。

 

そもそも、中世レベルの世界で兵農分離をしっかりしている辺りも評価できる。

 

王国なんて、聞いた話じゃ、戦争の度にその辺の農村の若い男を呼び出して、農兵として戦わせるそうだ。

 

それが許されるのは一重に、大陸最大の領土と国民を持ち、適当な農業でも食っていけるくらいに魔力に満ちた良い土地を独占しているからだろう。

 

そんでここは……、なんだろう、応接室かな?

 

ロココ調っぽい革張りのソファに、足の部分に彫刻が刻まれたウッドテーブル。

 

周囲は、嫌味にならない程度の調度品が2、3点あり、それも絵画や彫刻のような、何かが隠れたり、隠したりできない構造のものばかりだった。

 

壺とか鎧は、中に何かを隠せるから置いてないみたいだ。

 

さてさて、あまりキョロキョロするのは要らん疑いをかけられるかもしれないから大人しくしておこう。

 

……ノエルはかなりキョロキョロしているが、完全に御上りさんに見えているので問題ないだろう。

 

っと……?

 

「待たせたな」

 

「いえ」

 

入室してきたのは、身長220cmにまで達するであろう長身と、ボディービルダーのように鍛えられた巨大な筋肉の塊。

 

茶髪の側面を剃り、頭頂部のみを少しだけ伸ばし、髭も伸ばした四角い顔。

 

耳は潰れ、顔に傷がある。

 

この耳は、柔道家などによく見られる、何度も地面に叩きつけられた人間のそれだ。

 

顔の傷は、刃物による傷が殆ど。

 

年齢は六十代くらいだろうが、筋肉がこれだから大分若く見えるかな。

 

そんな筋肉の塊は、ぎらりとした瞳から発せられる武人の眼光で俺を貫き。

 

野球グローブのような手を差し出してきた。

 

「儂が、帝国陸軍元帥、ブレンダン・フォン・マグナットだ」

 

「ケンウェイと申します。閣下に拝謁でき、恐縮の至りであります」

 

手を握る。

 

へえ……?

 

なるほど、殴りタコでボコボコ、戦士の手だ。

 

「ほう……?」

 

ブレンダン様も、俺の手を握って何かを感じ取ったみたいだな。

 

「ゴルディアス卿からの手紙、読ませてもらったぞ。なるほど、『特別』な料理か……」

 

あえて明言しない辺り、聞かれるとヤバい話ってことなのかな?

 

流石に人の気配とかは言われても分からんけど、部屋の空間の感覚がおかしい感じがするから、多分壁の中に隠し通路とかがあって、そこに隠しキャラ的なのがいるんだろうな……。

 

それとも、この言葉遣いは貴族らしい韜晦なのかね?その辺はわからんわ。

 

まあ、付き合ってやるか。

 

「ええ、非常に『特別』な料理です。その他にも、ちょっとした『異国』の雑貨なども取り扱っております。是非、ご友人にも紹介なさってください」

 

「ほう、『異国』か。さぞ遠い異国から来たのであろうな」

 

「ええ、とても、とても遠いところですよ」

 

俺がそう返すと……。

 

「ふ、ふはははは!」

 

と笑われた。

 

つまり、どういうことだってばよ?




面白いやる夫スレがエタっていた時の苦しみ……。

だが、金を払っている訳でもない俺が、完結させろなんて言えないんだわね。
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