ハードオンの楽しい思いつき集   作:ハードオン

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あー、書きたい書きたい!

書きたいものがたくさんだ!


6:絆の強制

「あのっ、提督!」

 

大和は、満面の笑みを浮かべて、部屋で寝転がる狂死にすり寄った。

 

提督候補生の私室は、クイーンサイズのベッドが七つもある大部屋である。

 

部屋の作りも高級ホテルと見紛うほどで、装飾、飾り気は少ないのであるが、その飾り気のなさが逆に、上品さを醸し出している。

 

金箔だ宝石だと、目に見えた輝きを求めるのは所詮成金。本当に富める者らは、むしろごてごてとした華美さを避ける。

 

そんな最高級の部屋で、大和は、狂死と絆を深めるためにコミュニケーションを取ろうとした。

 

「提督、よろしければ、お名前を教えていただけますか?」

 

「狂死だ」

 

「キョウジ提督ですね!素敵なお名前です!」

 

「……素敵なお名前、だと?」

 

絶対零度の視線が大和を射抜く。

 

「え?ええ……」

 

「狂い死にが良い名だと言うのか?俺にお似合いだと?」

 

「え……?」

 

褒めたのに、何故怒られているのか分からない大和は、困惑していた。

 

「名札を読め」

 

狂死に上着を投げつけられ、内側の胸元に縫い付けられた名札を見る。

 

「槻賀多……、狂死?!!!」

 

大和は仰天した。

 

実の子に「狂い死に」などと言う名前をつける親がいるとは、思ってもいないことだったからだ。

 

狂い死にが良い名だと褒められれば、それは怒る。

 

大和はこの時、自分が酷いミスをしたことを自覚した。

 

即座に土下座の体勢になり、心から詫びる大和。

 

「申し訳ありません!まさか、提督が……、このような名前であるとは夢にも思わずっ!!!」

 

「いやあ、構わねえよ、正直に言ったらどうだ?狂い死にの名はぴったりだとな」

 

「そんな……!私は提督のことを敬愛しています!狂い死になどとは!」

 

「敬愛?今さっき会ったばかりの俺の何を知っているんだ、お前は。何も知らないくせに敬うだとか愛するだとか……。薄っぺらだな」

 

「う……!で、でしたら、知る努力をします!それに、私達艦娘は、生まれた時から提督のことが好きなのが普通なんですよ?」

 

「ハハハ……、道具の分際で?兵器が色恋などと……、日本海軍のユーモアも捨てたもんじゃねえなあ?」

 

「本当なんです、ジョークじゃありません!鳥のすり込み学習のようなもので、自分の提督のお姿を一眼でも見ると、愛おしくなってしまうのです!」

 

「なるほど」

 

狂死は笑った。

 

「提督だからか。提督になら股を開くのか。コミュニケーションを積み上げることもなく、提督なら何でも良いのか」

 

「ち、違います!私の提督は貴方だけで!」

 

「じゃあ、俺が提督じゃなくなったらどうする?」

 

「そんなこと、絶対にあり得ません!」

 

「提督なんてもの、いつ辞めたって良いんだぞ」

 

「その時は、私はただの大和として、貴方にお仕えします」

 

狂死は大和の言葉を微塵も信じていない。

 

人だろうと艦娘だろうと、都合が悪ければ他人を切り捨てる獣だと思っているし、自分自身がそうだからだ。

 

大和も、自分が弱みを見せれば裏切ると思っている。

 

ついでに言えば、本能的に、大和が自分より強いことも察していた。

 

故に、見かけは何事もないようにしているが、内心では最大限に警戒している。

 

「もう良い、視界から消えろ」

 

「は、はい……。大和は退室します」

 

 

 

そして、次の日……。

 

になる前に、夜中に叩き起こされる狂死。

 

「起きたまえ!起きたまえ、槻賀多候補生!!!」

 

叩き起こしたのは教官だ。

 

「何だ?」

 

「何だではない!何故、大和殿を室外で寝かせているのだ?!!」

 

「何か問題でもあるのか?」

 

「ある!自身のパートナーたる艦娘を、寒空の下に放り出すとはなんたることか!!!」

 

「俺に文句があるのか?」

 

一段、狂死の声が低くなる。

 

その剣呑な雰囲気を察して、教官は、争いを避けるために態度を少し軟化させる。

 

内心、「何で扱いにくい奴だ!」と悪態をついているが、それを表に出さないあたりが人間性と言うか、大人と言うか……。

 

「文句とは言っていない。ただ、同じ部屋で寝せてやって欲しいだけで……」

 

教官は、努めて柔らかい声で、助言をするが如く言った。

 

「駄目だ」

 

しかし、狂死は、そんな程度で首を縦には振らない。

 

「何故だね?」

 

「寝首をかくからだ」

 

「わ、私は決してそんなことは!」

 

大和が、悲しそうな表情を見せる。

 

愛する提督に警戒されている事実は、大和の心を傷つけた。

 

多少の警戒心は理解できるが、寝首をかくと断定され、偏見の目で見られるのは辛い。

 

「口だけでは何とでも言える。お前のような奴はすぐに裏切るんだよ」

 

やたらと、実感が篭っている言葉だった。

 

裏切られた経験があるのだろう。

 

「やりません……、私は提督が好きなのに……」

 

心ない言葉を浴びせられ、ついに大和は泣き出してしまった。

 

「チッ、うるせぇな。女ってのは泣けば良いと思っていやがる……」

 

「提督、提督っ……!私は本当に……」

 

「槻賀多候補生、大和殿を部屋に入れなさい」

 

「断ると言った」

 

「……手錠と鍵を用意する。大和殿を縛り付けても良いから、部屋に入れなさい」

 

「何故そこまでする?」

 

「提督と艦娘は一心同体なのだ」

 

「………………」

 

無言で睨みつける。

 

狂死が聞きたいのは、そんなおためごかしではない。

 

「……はあ、分かった、正直に言おう。艦娘が強くなるには、三つの方法がある。一つ、艤装を妖精に改修してもらう。二つ、戦いの経験を積む、そして三つ……、提督と絆を育むことだ」

 

「絆?」

 

「ああ。同じ時を過ごし、共に訓練して、同じ釜の飯を食い、そして……」

 

「……そして?」

 

「愛し合うことだ」

 

「……じゃあ、何だ?これを抱けと?」

 

さしもの狂死もこれにはたまげた。

 

抱けば強くなる兵器など、そんなふざけた存在がいていいのか?と。

 

「そう思ってもらって構わない」

 

そう……、この世界は、絆強制オンラインなのであった。

 

「やってらんねー……」

 

 

 

結局、大和は部屋の中で寝れることになった。

 

しかし、ベッドに縛り付けられているのだが。

 

「あ、あの、提督?」

 

「何だ?」

 

「寝る前に、その……」

 

「言ってみろ」

 

「撫でてくれますか?」

 

「……その程度でお前は強くなるんだな?」

 

「は、はいっ!もちろんですっ!」

 

手錠と鎖で拘束されて、ベッドの上に転がされた大和が目を輝かせる。

 

「ほらよ」

 

がしがしと、頭を撫でられる大和は……。

 

「えへへ……♡」

 

ご満悦であった。

 




ローグライク、28話くらいまで書けた。

でも、あんまり面白くないかもしれない……。

俺、やっぱり三人称で書くのに向いてないのかな……。
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