フラッシュバックっての?
あれほんまに要らん機能だよな。
いやそりゃ、オールドスネークみたいな歴戦の傭兵が辛い過去を思い出して苦悩するシーンはカッケェですけど、私のようなゴミ人間が思い出すことと言えば、「カラオケで全然歌えない曲を無理して入れた」とか「クソムカつく奴を笑って許しちゃった」とかそんなんばっかりですよ。
それを思い出して辛くなってどうしろと?
人体バグだらけなんだが?はよパッチくれや神様よお。
大和は、嗚咽と共に大泣きした。
実の親から愛されず、それどころか他人に操を売り渡され、何が正しくて何が正しくないのかも分からぬ子供の内に路上に放り出され……、冬の寒さに凍え、夏の日差しで焼かれつつも、物盗りや人殺しで生きてきた、自らの提督の不憫さを想って泣いた。
こんなにも可哀想な人間は見たことがなかった。
本音で言えば、今すぐにこの資料室を飛び出して、狂死を抱きしめてやりたかった。
しかし、そのように「哀れまれる」のは、狂死を最も怒らせると、大和は理解していた。ならば。
「私が、支えないと。あのお方は、私が、私が……ッ!!!」
強く、想う。
それは最早強迫概念に近いような想いだ。
何よりも、誰よりも恵まれず、地獄ばかりを見てきた狂死を。
狂死は、救われなかったし、救えない人間だ。
狂死などと言う名を受けた頃、親に売られた頃、家を失い残飯を漁り生きていた頃、人から盗み奪わなければならないと思った頃、人殺しに慣れる頃。
救われるべき時に救われなかった。
今更、手を差し伸べたとしても、狂死の怒りを買うのみだ。
大和は思う。
救うのではなく、支えると。
救ってあげられなかったのなら、せめて、支えると……。
大和は、狂死を怒らせないように、ギリギリのラインを見極めてコミュニケーションを取った。
仮に、少しでも狂死を怒らせた場合は、人前であれ、野外であれ関係なしに、地に頭を擦り付けて謝罪した。
雨が降った日は、泥濘む泥に顔をつけてまで許しを乞うた。
その様を見て、周りの提督候補生や士官学校の生徒達はドン引きする。
当然である。
美容整形上等の改造人間のようなアイドルグループを鼻で笑えるくらいの美人である大和が、最悪の問題児である狂死に媚び諂い、頭を下げて、三歩後ろを侍従のように歩いてついて回るのだ。
それは当然、やっかみを、嫉妬を買う。
———「何であんな奴が!」
誰もが口を揃えてそう言った。
士官候補の学生達は、愛国心故に、あんな破綻者に護国の英霊たる大和が傅くのが理解できなかった。それは、教官や、現職の軍人達もそう思っている。
民間から徴兵された十五の少年である、四人の提督候補生らも、あのような酷い態度の狂死に、大和のような清廉で優しい女性が振り回されるのは、気の毒だと思っていた。十五の少年らにも、愛国心はそうそうあらずとも、人並みの義侠心くらいはあった。
色々な意味で、周りの人間から目の敵にされる狂死。
しかし、狂死にとっては、敵意の籠もった視線は慣れたもの。
生まれてこの方、味方などというものが居なかった狂死にとって、敵意に囲まれた環境は心地が良かった。
これに困ったのは大和だ。
大和は、敬愛する自らの提督である狂死に、穏やかな人生を送ってほしいと切に願っている。
このような敵意の針の筵では、気も休まらないだろうと思い、すぐに教官に直訴した。
「ニンゲン、資材を出しなさい。提督をお守りする為の艦娘が必要です」
「うむ……、気持ちは理解している。しかしだな」
「しかし?何を言っているのですか?あなた方が悪いのですよ、このように提督を目の敵にして……!」
「……分かった。カリキュラムを変更して、艦娘の召喚を先にしよう」
本来のカリキュラムであれば、初期艦と一月ほど絆を深め合ったところで、航海訓練を実施し、その後に追加の艦娘を建造するという形式で、提督候補生への訓練は成立していた。
だが、予想以上に、狂死という男が周囲のヘイトを集め過ぎた。
「目が気に食わない」くらいの理由で他人に暴力を振るう狂死は、士官学校に来て一週間なのにも関わらず、既に三回もの暴行事件を起こしている。
とは言え、大和が同伴している時には大和が狂死の暴走を止めるのだが、しかしその場合は、狂死が大和を殴り、足蹴にする。そして、それを見た周囲の人間が、狂死に対してヘイトを更に強めるという悪循環となっている。
こうなれば、複数の艦娘で狂死の周りを囲み、凶暴性を抑えるように隔離するほかないと言うのが、教官以下、教導部の総意であった。
また、それだけではなく、狂死の人間性を理解していない政治家連中の突き上げもある。
政治家達は、大和召喚の報せを聞き、狂喜乱舞した。
世界最強の大戦艦が建造された。
それは、現海軍元帥にして、『始まりの提督』たる、生ける伝説『桜園晴人』にもなしえなかった奇跡であるからだ。
つまりは、前人未到の領域である。
故に。
現場での、狂死の人格による問題を知らない上層部や政治家達は、狂死にたくさんの艦娘を建造させろとしつこくせっついている。
もちろん、狂死本人にはその命令は下ってはいないのだが、教官らには、矢のような催促が来ていた……。
教官達の総意としては、気狂いに刃物を持たせるようなことであるので、二の足を踏むと言うか、慎重な判断をしようとしていたが、催促の量はいかんせん多く。
大和本人からの進言もあるとなると、最早、やらざるをえなかった……。
第二次艦娘建造。
狂死だけ特別扱いする訳にもいかず、他の四人の提督候補生らも召喚の儀を行う。
御宅坂は『吹雪』『白雪』『深雪』を。
鈴村は『比叡』『榛名』『霧島』『利根』『筑摩』を。
堀内は『翔鶴』『日向』『伊勢』『麻耶』『鳥海』を。
早乙女は『伊168』『伊58』『伊8』をそれぞれ建造した。
艦娘は最低一人、最高十数人ほど召喚でき、並列して動かせるのはどんなに優れた提督でも六人までとされている。
あの生ける伝説たる楼園晴人ですら、十八人の艦娘の召喚と、並列稼働可能人数は六人であったからして、それが限界……。
限界の筈、だった。
「では、槻賀多候補生。建造の儀を」
「ふん、良いだろう。……おい、妖精!」
『アイヨー!一丁お待ち!アンバサ!』
高速で横回転する妖精と『交渉』する狂死。
「軽く調べてきた。こちらの希望を言う。よく聞け」
『サーイエッサー!』
「まずは、『武蔵』だ。大和型だそうだな?」
『オウヨ!武蔵は強いぞー!カッコいいぞー!』
「そして装甲空母『サラトガ』と、空母『アークロイヤル』」
『良いねぇ、海外艦とは良いセンスだ!渋いねぇ!洋物がお好き?』
「次に、重雷装艦の『木曾』と、『時雨』『夕立』『U-551』そして……」
「ちょ、ちょっと待ってくれないか」
横から教官が出てきて、狂死の言葉を遮った。
「……なんだ?」
「あのだな……、できるできないは別として、資材がもう残っていないんだ」
「……なんだと?」
「既に知っていると思うが、艦娘は、ランニングコストは実艦の万分の一で動かせるのだが、建造のみは別だ。実艦と同じくらいの資材を消費する」
「なら、もっと持ってこい」
「いや、持ってくるのは構わないが、昨日今日ですぐに手配はできない。しばらくは時間をくれ!」
「……良いだろう」
狂死は、ここでゴネてもないものはないと考え、諦めた。
『お話は終わったかい?』
「ああ。とりあえず、今言った分だけ建造しろ」
『オッスオッス!じゃあ行くぜェーッ!消えろイレギュラーッ!!!』
そして、建造されたのは……。
ホホホーッ!
そんな訳で、ローグライクが三十話ストックできました。
三十話中五話が追放してきた側の話で、その五話の話で一応のざまぁシーンを書けましたね。割合はこんなもんでいいですかね?一応、あともう2、3話くらい追放してきた側が酷い目に遭う描写を書いて、それから主人公陣営に出会って、盛大な恨み言を言いながらフェードアウトって感じでよろしい?
本編は一応、メインストーリーの最初まで書きました。えぉなで例えるとパルミア到着くらい?変愚では二十階層到達前後くらいかな?
そして、本編二十五話から魔法少女編が始まります。
つまりほら、あれですよ。ローグライクフリーゲームの世界に転生する話なんだけど、そのゲームの作者がふざけて魔法少女アニメのキャラクターをユニークキャラクターとして実装しやがりまして、その魔法少女アニメの主人公である『高木このえ』ちゃんとかいうどことなく聞いたことがあるようなないような魔法少女と、グリーフシードやらクロウカードやらを集めたり、悪の組織の悪者を倒したりする話になります。やったね!