ハードオンの楽しい思いつき集   作:ハードオン

1137 / 1724
ほらお食べ、イライラパートだよ。


EX1:追放してきた人達

時は遡り、異形組を追放した人間組の様子は、と言うと……。

 

「よし、みんな!俺達『人間』は、人間らしく生きるために、皆で助け合うぞ!」

 

生徒会書記にして、二年一組のクラス委員長であった男、霧谷竜也(きりたにたつや)……、この世界での名をレックスという。

 

この男が、人外へと化した生徒会長、ローズの立場を簒奪し、この千人ほどの大集団のリーダーとなった。

 

人間として褒められることではないのだろうが、声が大きく、カリスマ性を持っていることは確かだ。

 

集団を扇動するには、何も全員を説得しなくてはならない訳ではない。

 

正論ではなく、耳障りの良い言葉を集団に投げかけ、その中でも二割三割が従えばしめたもの。

 

声の大きい二割三割が、残りの七割を巻き込むだろう。

 

結局、単なる高校生程度が、このような場面で決断して行動に移すことは基本的にできないに決まっている。

 

そこまで決断力がある子供がたくさんいるのなら、今の日本の教育界が、やれ子供の個性だ自主性だなどと困ってはいない。

 

そして、ローズの失策も大きい。

 

ローズは、追い出されるあの瞬間、耳障りな正論を吐いていたのだ。

 

正論をそのまま受け止められるほど心に余裕のある人間はそうはいない。

 

人間は、自分の非を認めるだとか、省みるだとか、そう言ったことが一番辛いのだから。

 

醜いことそのものが嫌なのではなく、醜いと自覚するその瞬間が嫌なのだ。

 

だから、彼らは……。

 

「生徒会長、どっか行っちゃったね……」

 

「で、でもさ、やっぱりあっちが悪いよ。あんな言い方、良くないもん」

 

「そ、そうだよな!」

 

言い訳をする。

 

自分達は悪くない、相手が悪いのだと。

 

「そもそも、こういうことはみんなで相談して決めるべきだよ……、な?なあ?」

 

「そ、そうそう!勝手な行動は良くないよね、周囲の和を乱すって言うか……」

 

「お、俺もそう思ってた!」

 

そうして、ここにいる全員が、「追放は当然だった」と納得する。

 

そう思い込む。

 

 

 

だが、そうしたら、次はどうするか?

 

彼らは所謂、有象有象である。

 

自分で考えて動くことなどできない。

 

徹底的な指示待ち人間の癖に、やりたくないことはなんだかんだと理由をつけて一切やらない。

 

まあ、それでもまだ、無能な怠け者であるだけマシだ。

 

こちらの……。

 

「よし、まずは周囲の偵察だ!何か発見したら報告してくれ!」

 

無能な働き者に比べれば。

 

レックスは、『ここがゲームの世界である』という前提で動き出した。

 

確かにそれは間違いではない。

 

だが、この世界はローグライクなのだ。

 

VRゲームと同じように考えるのは迂闊だ。

 

とは言え、ここは最初の野営地であり、強力なクリーチャーもいない。

 

まだ、この時点では、油断慢心も許される……。

 

 

 

そうして、しばらく経つと、誰かがすぐに小屋(小屋とは言ってない)を見つける。

 

「おーい!こっち!こっちだ!」

 

「うわ、なんだこれ?」

 

「あれだ、初期の家じゃないか?」

 

当然、生徒達は、ドアを開いて無警戒に中に入り……、資材を見つける。

 

「すっげえ!ここ、初期装備置き場か!」

 

「ん……?なんか、人が触った形跡じゃないか?」

 

「あ、もしかして……!」

 

そして当然、そこは既に異形組が装備品を持ち去った後であるが故に……。

 

「「「「あいつらが盗んでいったんだ!」」」」

 

と、彼らはそう認識した。

 

実際は、異形組が誰のものでもない装備や資材を拾って行ったというだけのことではあるのだが、彼ら、人間組の目から見れば、それは盗難だった。

 

世の中は、事実がどうであったか?よりも、人々がどう認識したか?の方が重視されるものだ。

 

法治国家の日本でも、卑劣な犯罪者は「死刑にしろ!」と叫ばれ、訳ありの犯罪者は「情状酌量の余地が!」と叫ばれる。

 

例え、同じ罪を犯していたとしても、嫌いな奴がやったことなら厳罰を与えろと喚き、仲間がやったことなら庇う。

 

それは実に人間らしい反応だ。

 

つまり……、彼ら人間組は、卑劣な異形組に物資を盗まれた被害者である、という意識が共有されたということだ。

 

ここには、まだ全員に行き渡るだけの物資が残っているにも関わらず、彼らの中ではそういう事になった。

 

「クソ、最悪だ!」

 

「やっぱり、悪い奴らだったんだな!」

 

「盗みとか最低だな!」

 

誰もが悪態をつく。

 

「みんな!あいつらのことは一旦忘れよう!そんなことより、早く装備を整えて、パーティを組み、レベル上げをしよう!」

 

レックスがそう言って音頭をとる。

 

赤魔導師であるレックスの適正武器は、ショートソードか、もしくはレイピア、サーベルといったところだが……。

 

「よし、俺はこれにしよう!」

 

よりにもよって、選んだのはロングソードの二刀流であった。

 

悪い点は二つ。

 

赤魔導師の初期習得スキルでは、ロングソードは上手く扱えないこと。

 

赤魔導師の初期習得スキルでは、二刀流は上手く扱えないこと。

 

この二つだ。

 

例えば、レックスが大人しく、そこにある鉄のショートソードを一本だけ持ったとしよう。

 

その場合、鉄のショートソードの攻撃力である『2〜10』と、赤魔導師の初期習得スキルである『短剣』スキルのレベル5により、攻撃力は1.05倍。

 

更にレックスの初期能力値から『器用』のステータスを参照して……、攻撃力は、一撃当たり『3〜12』となる。

 

また、命中率もまた『短剣』スキルと『器用』『知覚』ステータスから算出され、『95%』となる。

 

しかしこれが、『長剣』種であるロングソードの二刀流となるとどうか?

 

まず、このゲームで大切な『スキル』による補正がかからない。赤魔導師には『長剣』スキルがないからだ。

 

それだけでなく、『二刀流』スキルがないので、命中率は右手ロングソードが『80%』、左手ロングソードが『50%』まで落ちる。

 

ストラテジーゲームでは行けそうな気がする数値だが、このゲームの命中率は、相手の回避率によって左右されるので、命中率が100%でもある程度素早い敵には避けられると思って良い。

 

実際、ラスボスに攻撃を命中させようとなると、命中率は5000%は必要と言われている。

 

更に言えば、ロングソードとショートソードでは参照される能力値が異なるのも重要な観点だ。

 

ショートソードで参照されるのは、赤魔導師にもそこそこある『器用』のステータスで、器用の分だけ攻撃力が伸びるのだが、ロングソードで参照されるのは、赤魔導師が殆ど持ち得ない『筋力』のステータスである。

 

とどのつまり、レックスは、最悪の武器を選択した事になる。

 

「さあ、みんなも武器を持って行こう!」

 

レックスの言葉を聞いて、皆が武器を持つのだが……。

 

遠距離職の狩人が何故かツヴァイヘンダーなどを持ったり、刃物を持つと大幅に弱体化する司祭が剣を持ったりなど、このゲームからすればめちゃくちゃなことをしていた……。

 




はーあ、身体の不自由な女の子を介護してオナサポする話を書きてえなあ。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。